国士無双
こくしむそう
全てのヤオ九牌13種類を1枚ずつ揃えた上で、更にどれかのヤオ九牌をもう1枚揃えると成立する役。役満。麻雀における和了の基本の形となる4面子1雀頭の例外の形の一つである(他にも七対子が例外の形である)。
面子が無いため鳴く事は出来ず、門前限定である。
それぞれのヤオ九牌を1枚ずつ(1種類のみ2枚)集める事が出来れば良いことから役満の中では比較的作りやすい分類にあるため、四暗刻、大三元と並んで役満御三家と言われる。
しかしながら4面子1雀頭の形を取らないことから、複合できる役満はローカル役を除くと天和・地和のみ。また、普段ならば使いにくく捨てられやすいヤオ九牌が捨てられず、捨て牌に中張牌が大量に捨てられていくことになるため、中盤以降ともなれば他のプレイヤーに警戒されることになり、また、運悪くどれか1種類でもヤオ九牌が場に4枚見えた状況になってしまうとその時点で国士無双を和了することは出来なくなり、別の役に移行する事も困難だが、対子が多くある場合は七対子+混老頭(運が良ければ字一色orローカル役大七星)に移行可。
前述の通り鳴けないため、聴牌するまではツモ牌と配牌が全てである。配牌で何種類のヤオ九牌があるかが成否を分けると言って良い。
聴牌の形は既にどれか1種類のヤオ九牌を2枚持っている上で持っていない1種類を待つ国士無双○○待ち(○○には足りない牌の名前が入る)という形と、全てのヤオ九牌を1枚ずつ持っていて、どのヤオ九牌が来ても和了となる国士無双十三面待ちという形の二つが存在する。前者の場合は通常あり得ない同種字牌の最後の1枚で和了という状況が起きうる(字牌は順子を作れず必然的に単騎待ちかシャンポン待ちになるため、ローカル役を除く他の役では最後の1枚で和了はありえない)。
基本的には前者の形となることが多く、この場合は最大で1種類4枚の待ちとなる。一方で後者の形となった場合は全ての役の中で最も多い最大で13種類39枚の待ちとなる。後者の形は珍しいことからダブル役満と見なすケースもある。
また、国士無双の場合のみ、暗槓からの槍槓を認める、という特例があるケースも多い。このルールの場合ヤオ九牌については暗槓をしても安心とはいえない。
このように特殊な役であり、狙うにはリスクも伴うが、悪い配牌からでも狙いやすく、九種九牌(ルールによって不可)の場合でも流局を選ばずに敢えてこの役を狙っていく、という戦略もできる。また、他のプレイヤーから立直が掛かった場合に諦めれば比較的安牌となりやすいヤオ九牌を多く抱えるのでベタオリしやすい役でもある。よって国士無双で立直するのは降りられないデメリットの方が大きく、役満故に得点も増えないのであまり意味がないが、少しでも読まれないようにするためにあえて立直する戦術もある。
ちなみに萬子の中張牌が抜かれている三人麻雀に於いては、四暗刻よりも出やすい役と言える。また(他の役にも言えるが)抜きドラを採用している場合は抜かれた北でもロンすることができる「槍北」を採用することがあり、この場合一発消しやツモ順ずらしを狙った北抜きも危険になる。さらに、抜きドラを捨て牌として扱わないルールが採用されていると北を抜いた後で北待ちにしてもフリテンにはならないため、北を抜いているからといって北待ちではないと確定はできない。
中国麻雀では88点役で、役満の中での頻度の高さの割に最高点…とかなりの優遇ぶりである。また、下位役として12点役『組合龍』(萬子・索子・筒子で147・258・369を揃え、残りを字牌各1枚ずつか面子で揃える役)、同じく12点役『全不靠』(「組合龍」同様萬子・索子・筒子を筋で揃えつつ字牌を各1枚ずつ揃える役)、その上位役の24点役『七星不靠』(7種の字牌を各1枚かつ萬子・索子・筒子を筋で揃える役)が存在する。
WSOMルールでは160点役で、満貫(320点)に満たないが、頻度の高さから妥当な配点と言える。
元の名称は「十三ヤオ九(シーサンヤオチュー)」。
国士無双は雅名であり、「国士」はその国の中で最も優れている人物、「無双」は並ぶ者のない意味を指す。
語の出典は司馬遷の歴史書である史記の中の韓信について書かれた『淮陰侯列伝』の一節。前漢の高祖劉邦に仕えた蕭何が、韓信の才能を「国に二人といない、得難い人材」と讃えた言葉であるといわれる。