カツラギエース
かつらぎえーす
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主な勝ち鞍は宝塚記念(1984年)、ジャパンカップ(1984年)、サンケイ大阪杯(1984年)、毎日王冠(1984年)など。
1984年、最優秀古牡馬に選出。
ジャパンカップのイメージから逃げ馬と思われがちだが、大部分の勝利を3、4番手からの差しで挙げている。
不良馬場を苦手としていた。
ヒーロー列伝
翔馬
自他ともに認める、中距離の王者。
2000mで彼を前に行かせたら、必ずマークしなければならぬ。
その実力が、ジャパンカップで大きく花開いた。
外国馬たちを蹴散らした、府中2400m、逃げっ切りのひとり旅。
そのうしろ姿に、ぼくたちは、天翔けるサラブレッドの夢を見た。
1980年
4月24日、北海道三石町の片山専太郎牧場に誕生。家族経営の零細な牧場であり、中央競馬で重賞を勝った生産馬はカツラギエースが最初であった。
父・ボイズィーボーイはプリンスリーギフトの孫であり、当時テスコボーイ産駒が活躍していた事から期待されたが、日本へ来て2年で死んだため目ぼしい産駒はカツラギエースだけである。
母・タニノベンチャはカントリー牧場で繁殖牝馬として繋養されていたが、成績を残せず売りに出され、片山専太郎牧場が350万円で購入。この時すでに胎内にいた仔がカツラギエースである。
1981年
6月、日高軽種馬農協の特別市場に出品されたが買い手がつかなかった。しかしセリに来ていた福島県の馬商・佐藤伝二が目をつけ、片山専太郎牧場を訪ねて「次は自分が必ず落札する」と約束する。
8月、日高定期競り市に出品され、佐藤が710万円で落札。野出長一が譲り受けて馬主となった。
1982年
6月、野出はカツラギエースを栗東の土門一美厩舎に「開業祝い」として預けた。気性が悪く見映えもしないため、厩舎ではあまり期待されていなかった。
9月19日、崎山博樹騎手を鞍上に阪神競馬場の新馬戦(芝1200m)でデビュー。2着のクリヤーランサーに8馬身差の1着。
10月3日、萩特別(400万下)に出走しメジロモンスニーの2着に敗れる。
10月16日、りんどう特別(400万下)に出走し1着。
11月27日、ラジオたんぱ賞3歳ステークス(オープン)に出走しメジロモンスニーの3着に敗れる。
1983年
2月20日、京都競馬場の4歳ステークスで始動するが、ウズマサリュウの13着に敗れる。
3月19日、春蘭賞(800万下)に出走し1着。
4月17日、皐月賞に出走するが生憎の不良馬場で、ミスターシービーの11着に敗れる。
5月8日、ダービー・トライアルだったNHK杯に出走し1着。重賞初制覇。
5月29日、東京優駿に出走しミスターシービーの6着に敗れた。
6月26日、中京4歳特別(オープン)に出走しニホンピロウイナーの2着に敗れた。秋まで休養に入る。
10月2日、休養明けで神戸新聞杯に出走しスズカコバンの2着に敗れた。
10月23日、西浦勝一騎手に乗り替わり、京都新聞杯に出走し1着。ミスターシービー(4着)に初めて先着した。
11月13日、2番人気で菊花賞に出走する。ミスターシービーの三冠獲得を傍目に、距離の限界から20着に敗れた。
1984年
この年からグレード制が導入された。陣営は長距離は不適と判断し、中距離路線を進む事となった。ライバルのミスターシービーは蹄の状態が悪く、菊花賞以来長い休養が続く。
3月11日、鳴尾記念(GⅡ)で始動。ハシローディーの4着に敗れた。
4月1日、サンケイ大阪杯(GⅡ)に出走し1着。
6月3日、単勝1.9倍の1番人気で宝塚記念(GⅠ)に出走。好位から直線抜け出して1着。GⅠ初勝利となった。
6月24日、高松宮杯(GⅡ)に出走。59kgの斤量と重馬場が堪え、キョウエイレアの5着に敗れた。秋まで休養に入る。
10月7日、毎日王冠(GⅡ)に出走し1着。11ヶ月ぶりに復帰のミスターシービーは上がり3ハロン33秒7の末脚で2着に入った。
10月28日、天皇賞(秋)(GⅠ)に出走。折り合いを欠き、ミスターシービーの5着に敗れた。ファンから「前哨戦では勝つが本番ではシービーに負ける」「宝塚記念もシービー不在だから勝てた」と揶揄される。
新設されたGⅠ競走・マイルチャンピオンシップに出走する予定を取り止め、ジャパンカップ(GⅠ)に向かう事となった。
11月25日、ジャパンカップに出走。ミスターシービー、シンボリルドルフの新旧三冠馬が出走するため、ファンは外国馬の後塵を拝し続けていた歴史に終止符が打たれる事を期待した。カツラギエースは10番人気にとどまった。しかしレースではスローペースでの大逃げを決め、ベッドタイム(イギリス)を1馬身半差に押さえ、日本馬初のジャパンカップ制覇を果たす。シンボリルドルフにとっても初めての敗北であった。有馬記念(GⅠ)を最後に引退することが発表された。
12月23日、有馬記念に出走。シンボリルドルフ、カツラギエース、ミスターシービー3頭が単枠指定され、カツラギエースは3番人気に支持された。シンボリルドルフの2着に敗れる。
1985年
1月、1984年度の優駿賞最優秀5歳以上牡馬を受賞。京都競馬場で引退式が行われた。
大規模なシンジケートが組まれ、泉刕牧場(新冠町)に種牡馬として繋養される。中央重賞を勝ったのはヤマニンマリーン(優駿牝馬で予後不良となり血を残すことはできなかった)のみだったが、ヒカリカツオーヒ、アポロピンクなど地方競馬での活躍馬を輩出した。その後、レックススタッド(新ひだか町)、冬沢牧場(新ひだか町)に移った。
2000年
- 3歳時、ミスターシービーとの対戦成績はカツラギエースの1勝3敗だったが、その後は3勝1敗で4勝4敗の五分となった。
- クラシック三冠馬を2頭まとめて倒した唯一の馬である。類似した例としては、クラシック三冠馬コントレイルと牝馬三冠馬デアリングタクトを破ったアーモンドアイ及びエフフォーリア、クラシック三冠馬ディープインパクトと秋古馬三冠馬ゼンノロブロイを破ったハーツクライがいる。それ故、馬なり1ハロン劇場ではハーツクライを激励するカツラギエースという一幕もあった。
- ジャパンカップ出走時、西浦騎手は折り合いを欠きがちなカツラギエースを落ち着かせるため、周囲の音が聞こえにくいよう耳袋のついた覆面を被せた。また、30cm長く持つ長手綱でリラックスさせた。カツラギエースが行きたがっていたので逃げを選択したが、2400mという距離は長いので勝てるとは思っていなかった。カツラギエースが先頭でゴールすると、予想外の結果にスタンドは静まり返っていた。
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