概要・沿革
日本中央競馬会(JRA)が京都競馬場・芝2200mで施行される重賞レース(GⅡ)。
1953年、「京都盃」の名称で創設。1971年より、提供企業の京都新聞社から「京都新聞杯」に名称変更。
当初は秋・10月第2週に開催されており、菊花賞と同じ京都競馬場で開催される前哨・トライアル戦としての性質を持ち、3着入着までの馬は菊花賞の優先出走権を得られた。トップ画像は1997年の勝ち馬マチカネフクキタルであり、このレースを制したのち菊花賞を制覇し、同時にトライアルでの京都新聞杯勝利馬で菊花賞を制した最後の馬となっている。
- なお、京都新聞杯と菊花賞の両方に勝利した馬は少ない。とりわけ、ダービー馬が京都新聞杯を勝つと菊花賞では負けてしまうというジンクスがあった。(開催時期が変わった現在でもこの3競走を勝利した馬は現れず、シンザン・ミスターシービー・ナリタブライアンの三冠馬3頭も本競走で敗戦している。)
- 77世代のプレストウコウは京都新聞杯と菊花賞をどちらも当時のレコードタイムで勝利している。
2000年に菊花賞の施行時期が10月第3週とおよそ2週間早まったことを受けて、菊花賞トライアルから除外、開催時期を5月2週に変更し、関西における日本ダービーの前哨・トライアル戦のひとつにレースの意味合いが大きく変わることとなった。なお、かつて同時期に行われていた京都4歳特別(GⅢ)は京都新聞杯の移設で廃止になった(厳密に言えば京都新聞杯に統合された)。
1953年(第1回):「京都盃」として創設。
1956年(第4回):この年のみ「4歳以上」で開催。勝ち馬のヤサカは前年の第3回も制しており、現在に至るまで(制度上当然だが)唯一の二連覇馬である。
1967年(第15回):この年より菊花賞トライアルに指定。(1999年まで)
1971年(第19回):京都新聞社より優勝杯提供を受け、「京都新聞杯」に競走名変更。
1984年(第32回):グレード制定でGⅡに格付けされる。
2000年(第48回):現行の5月上旬に開催時期を変更。
日本ダービーとの関連
京都新聞杯は毎年5月第2週に行われ、5月最終週開催の日本ダービーとは中2週。あまり余裕のあるレース間隔とはいえない。
しかし、それでも京都新聞杯を足がかりにダービーを狙う馬は多い。そのため、前身の京都4歳特別時代から『東上最終便』と呼ばれる。
というのも、京都新聞杯が日本ダービー前に大きく収得賞金を積める最後のチャンスであり、今の収得賞金のままではダービーに出られない立場の馬たちが、逆転出走を狙って集まるからである。前身の旧・京都4歳特別も同じような理由で集まる馬も多かった。
日本ダービーのトライアル競走である青葉賞は、京都新聞杯の前週に終わってしまっている。もう一つのトライアル競走として、京都新聞杯の同週にプリンシパルステークス(L・東京芝2000m)があるが、ダービー優先出走権を得られるのは1着馬のみであり、リステッド競走なので2着では収得加算ゼロ。1着以外ダービーへの道は閉ざされるだろう。
その点、京都新聞杯1着なら本賞金の半額・2700万円の収得賞金(2021年)、重賞なので2着でも収得加算があり1100万円がプラスされ、収得賞金順によるダービー出走枠確保に大きく前進できる。
実際、アグネスフライト・キズナ・ロジャーバローズが京都新聞杯からのローテでダービー馬に輝いている。
京都新聞杯の同週には東京競馬場でNHKマイルカップもある。京都新聞杯の約2倍の賞金が得られるが、GⅠなので当然ながら相手となる馬の質も高く、2着以内に入る難度は大きく上昇するだろう。
また、中2週でNHKマイル(芝1600m)→日本ダービー(芝2400m)という明らかに距離カテゴリの違うレースを戦わせるのは馬への負担も大きい。タニノギムレットやキングカメハメハなどがこのローテの結果競走生命を大幅に縮める結果を招いてしまった。こうした歴史から、現在ではこの「変則二冠」ルート(松田国英調教師が多く採用したことから「松国ローテ」とも)が採られることはまれである。
そうしたわけで、京都新聞杯は「ダービーへの最後の望み」として存在感を増している。
無論、じゃあ京都芝2200m→中2週で東京芝2400mなら疲労や負担はないのかといえばそういうわけではなく、本競走を経てダービー馬に輝いた先述の3頭は、いずれも1年以内に故障している。特に2019年のロジャーバローズは京都新聞杯2着の収得加算によってダービー出走に滑り込み、12番人気・単勝93.1倍の大穴からダービー馬の栄光に輝いたが、その勝利とひきかえに屈腱炎を発症し現役を退いた。
リスクを孕んだローテには違いないが、それでも一生に一度のダービーを目指し、京都新聞杯には野望に燃える3歳馬たちが集うのである。
競走条件
出走資格:サラ系3歳
JRA所属馬
地方競馬所属馬(後述)
外国調教馬(優先出走)
負担重量:馬齢(牡・せん56kg、牝54kg)
東京優駿(日本ダービー)のステップ競走に指定されており、地方競馬所属馬は東京優駿(日本ダービー)の出走候補馬(2頭まで)およびJRAで施行する2歳芝GI競走の優勝馬が優先出走でき、JRAで施行する3歳芝重賞競走の優勝馬にも出走資格がある。
歴代優勝馬
平成
1989年(第37回)バンブービギン ※当時は10月中旬開催
1990年(第38回)メジロライアン
1991年(第39回)ナイスネイチャ
1992年(第40回)ミホノブルボン
1993年(第41回)ウイニングチケット
1994年(第42回)スターマン ※阪神競馬場開催
1995年(第43回)ナリタキングオー
1996年(第44回)ダンスインザダーク
1997年(第45回)マチカネフクキタル
1998年(第46回)スペシャルウィーク
1999年(第47回)アドマイヤベガ
2000年(第48回)アグネスフライト ※この年から5月上旬開催
2001年(第49回)テンザンセイザ
2002年(第50回)ファストタテヤマ
2003年(第51回)マーブルチーフ
2004年(第52回)ハーツクライ
2005年(第53回)インティライミ
2006年(第54回)トーホウアラン
2007年(第55回)タスカータソルテ
2008年(第56回)メイショウクオリア
2009年(第57回)ベストメンバー
2010年(第58回)ゲシュタルト
2011年(第59回)クレスコグランド
2012年(第60回)トーセンホマレボシ
2013年(第61回)キズナ
2014年(第62回)ハギノハイブリッド
2015年(第63回)サトノラーゼン
2016年(第64回)スマートオーディン
2017年(第65回)プラチナムバレット
2018年(第66回)ステイフーリッシュ
令和
2019年(第67回)レッドジェニアル
2020年(第68回)ディープボンド
2021年(第69回)レッドジェネシス ※中京競馬場開催
2022年(第70回)アスクワイルドモア ※中京競馬場開催
2023年(第71回)サトノグランツ
2024年(第72回)ジューンテイク