「パーティーしようぜ、GUNHED!」
概要
特撮の大家・東宝とアニメ制作会社のサンライズが組んだ実写の巨大ロボット映画。
他にも数々の企業が提携し、漫画・小説・ゲームを同時展開したメディアミックス作品でもある。
《史上初の実写巨大ロボットムービー》を謳い、従来の『ジャイアントロボ』や『大鉄人17』のような着ぐるみ特撮ではない、実物大モデルを使った実写によるリアルロボットを目指した。
ガンヘッドは1/12、1/24、1/8のモデルのほかに1/3の人が着込んで操作するスーツタイプ、原寸大の1/1も製作され、撮影に使用された。
興行的には今ひとつだったものの、放映から20年以上が経過した現在も根強いファンは多く、2007年2月23日には当時発売されていたサウンドトラックの復刻版が付属したDVDが発売され、
2012年10月30日にはコトブキヤから1/35スケールのガンヘッドのプラモデルが発売されている。
また、2013年11月に発売したガンヘッド2025 SPECIAL EDITIONにはプラモデルを使用したプロモ映像「ガンヘッド2025」のDVDが付属している。
なお、TV放送時の吹き替え版はもともと東宝に無許可で製作されたため長らくソフト化されていなかったが2022年6月発売のBlu-ray版に収録される。
2020年4月10日には、まさかとも言えるスーパーロボット大戦X-Ωに参戦する事が発表された。
2024年、公開35周年に合わせて各種書籍が復刻、一部は電子書籍のみとなっているが、漫画版は描きおろしが追加されている。
あらすじ
無人島のアイランド8JOには、発展型巨大コンピューターのカイロン5によって統括される巨大ロボット工場が建設され、世界のあらゆる職場に向けてロボットが生産、供給されていた
しかし2015年、カイロン5が突如として自我を持ち、連邦政府に宣戦を布告する。政府は鎮圧のため、可変装甲戦闘車両・ガンヘッドを主力とした大隊を投じたが、カイロン5と対ガンヘッド用兵器・エアロボットにより全滅。
戦闘の後、勝者であるカイロン5は突如として沈黙し、8JOは汚染区域として封鎖された。
それから13年後。
Bバンガーと名乗るトレジャーハンターのチームが、カイロン5のCPU目当てに8JOのカイロンタワーに潜入する。
しかしカイロンタワー内の防衛装置やバイオロイドの襲撃を受け、ブルックリンとベベを残して全滅してしまう。
バイオロイドは、連邦政府の研究所から超電導物質テキスメキシウムを奪って逃亡していた。
バイオロイドを追跡してきたテキサス・エアレンジャーズ隊員の唯一の生存者であるニムはそこでブルックリンと出会う。
やがてベベも脱落し、ブルックリンとニムだけとなる。
その後、エアロボットの襲撃に遭った二人は地下へと逃げ延び、8JO最後の生存者であったセヴンとイレヴンに助けられる。
そしてスクラップ置き場(ロボット墓場)に眠っていたガンヘッド507を発見、修復し有人仕様に改造したブルックリンは、生き残るため、カイロン5に戦いを挑むことになる。
キャスト
ニム - ブレンダ・バーキ(地上波吹き替え版戸田恵子)
セヴン - 原田遊人(地上波吹き替え版坂本千夏)
イレヴン - 水島かおり
ガンヘッド507 - ランディー・レイス(地上波吹き替え版郷里大輔)
- Bバンガー
ベベ - 円城寺あや
:日本人の女性メンバー。元傭兵。ブルックリンの姉的な存在であり、顔の半面には負傷している片目に視力補強メカを装着している。戦闘能力が高いが、ニムが追っていたバイオドロイドと同化してしまい、依代にされてしまった。
バラバ - ジェームズ・B・トンプソン(地上波吹き替え版笹岡繁蔵)
:黒人の巨漢。軍人や傭兵ではないが、様々な武器の扱いに長けている。
ボンベイ - 川平慈英
:ブルックリンと同じ東洋系。虚勢を張り英語で喋るが、動揺すると日本語が出る小心者。ロレックスのコレクターで、自身のコート内にぶら下げている。
ボクサー - 斉藤洋介
:サングラスをかけオールバックの髪形のメンバー。べべとは過去に幾多の戦場を駆けたパートナー同士だった。コックピット恐怖症のブルックリンを快く思っていないが、彼と同じ嫌煙家。
ブーメラン - ドール・ヌィーン
:東洋系の女性。コンピューター技師で、バックアップを主に担当する。
バンチョー - ミッキー・カーチス
:Bバンガーのリーダー。自由人で、白い顎髭と飛行帽がトレードマーク。幼いブルックリンを引き取り育てた、彼にとって養父のような存在。銃で遊ぶとツキが落ちると、ブルックリンに教えている。
※Bバンガーのメンバーたちは、全員が「B」で始まるニックネームを有している。
ガンヘッド
G1 | G2 | |
全長 | 8.7m | 6.12m |
全幅 | 5.4m | 5.76m |
全高(後部ウェポンラック含まず) | 2.47m | 5.28m |
基本重量 | 38.07t | |
出撃重量(標準装備) | 43.7t | |
最大速度(路上) | 180km/h | 140km/h |
行動距離 | 760km | 647km |
概要
正式名称はMBR-5RA2C。
2020年代に製造された無人戦闘兵器で、動力源はMTU3804型ハイパーリキッドジェネレーター。
雑燃料性のジェネレーターのため、ハイパーリキッドのような高性能燃料だけでなくケロシンや灯油といったありとあらゆる燃料、混ざり物が多い質の悪い燃料も使用可能で、更にはウィスキー等の粗製アルコールも燃料として使用可能。
G1モード(タンク形態)とG2モード(スタンディング形態)への変形機構を持ち、固定武装として頭部20mmチェーンガンとレーザースポットライフル、股間部5.56mmマシンガン、後部ウェポンラックに75mm(ソフトリコイル)キャノンと6連装地対地ミサイル、スモークディスチャージャー、グランプリングランチャー、マルチプルランチャー(装備箇所は不明)を装備している。
前後の脚部を伸ばし壁面へと車輪を接地させ、グランプリングワイヤーを併用することでG3モードと呼ばれる縦坑移動モードとなることが出来る。
基本武装の換装、腕や脚部を多目的発射台として各種装備の搭載、追加装甲の装着、腕を目的特化したものへと換装することで様々な用途に使用でき、戦闘指揮や火力支援、偵察だけでなく土木作業を行うことができる。
居住区域であるドームをテロやバンディッツと呼ばれる賞金稼ぎなどから護るため、開発中であった昇降式プラットフォーム搭載自走型攻撃車両が威圧的陸戦兵器として注目され、U-HEDとして開発が進められ、ガンヘッドとして完成した。
天敵は対戦車ヘリなどの航空兵器だが、この時代はスーパーコンピュータ「タイタン」の指揮下である無人機が主力を占めており、バンディッツなどが所有する航空機はエアレース用のレプリカ程度とたいした脅威となる兵器はなく、変形機構を用いた姿勢制御を存分に発揮することが出来た。
装甲材は複合装甲を主に、一部にリアクティブ装甲が採用された。
劇中に登場したUNIT#507はメインに加えてサブに推論型コンピュータが搭載されたサージェントタイプであり、その行動制御にタイタンが関与せず、「カイロン5の反乱」時点ではタイタン及びカイロン5ともデータリンクがされていない兵器であった。
ロボット大戦
人類に対する反乱を宣言した「カイロン5」に対応するために世界連邦が保有する様々な兵器の投入が検討されたが、殆どが有人型であり、その開発や提供技術に「カイロン5」が関わっていた事から有効とは判断されず、開発段階から関わりを持たないガンヘッドであればカイロン5は対抗できる有効な兵器を持たないだろうとして無人化改修が行なわれ、「タイタン」とデータリンクを行ったガンヘッド大隊がアイランド8JOに投入された。
しかし「カイロン5」はU-HEDシリーズの開発を探知しており、密かに対U-HED兵器を開発、KV-IIIbisエアロボットが防衛網を突破したガンヘッド16機を迎撃、最後まで生き残ったサージェントタイプの3機が破壊されたことで373日に及ぶの戦闘の果てに大隊は全滅した。
「カイロン5の反乱」に約250機が投入されたガンヘッドであるが、その全てが世界連邦のスーパーコンピュータ「タイタン」とリンクした無人兵器であり、超電導物質で作られたコンピューターを使用することで、常時タイタンとリンクしている。
一方、超電導物質の不足で、いくつかのガンヘッドはメインコンピューターに超電導物質を搭載することができず、独立したサブの推論型コンピューターに超伝導物質が使用された。の小隊指揮、強行偵察用のサージェントガンヘッドが、劇中に現れる#507及び#508である。
#507
本作の主人公機。
8JOに到着したガンヘッド大隊は、「タイタン」をハッキングした「カイロン5」のジャミングにより撹乱され、罠や溶鉱炉に誘い込まれ、あるいはエアロボットの前に次々と撃破されていった。その中で即座に状況を察知したサージェントタイプはメインコンピューターの接続をカットし、独自に「カイロン5」との対決に踏み切った。彼らはジャミングにより本部との連絡が途絶えた後も小隊を指揮してカイロンドーム目前まで迫るも、エアロボットとの戦闘で部隊が全滅した上に#508は撃破され、#507はエアロボットと最後まで激戦を繰り広げた末にメインコンピュータを破壊されて擱座。敗北を喫した。
その後は長らくカイロンタワー10階のロボット墓場に廃棄されていたが、カイロンと戦うため、ブルックリン達によって掘り起こされ、残るサブコンピュータを利用し、有人仕様に再改修。再び「カイロン5」との対決に挑むことになる。高い戦闘能力はもとより、内部構造を熟知しているなど、彼の経験はブルックリンたちの大きな助けとなった。
その性格はロボットらしからぬ洒脱でユーモアあふれるものであり、ブルックリンとは短い間ながらも戦友として絆を育み、共に「カイロン5」に挑むチームメイトだと認識している。また野球のファンであり、中でも贔屓にしているブルックリン・ドジャースについては試合内容やスコアボードまで記録しているほどで、それを通じてブルックリンを励ますシーンも見受けられた。燃料代わりに「ロボットでさえ踊りだす」というウィスキーを注入した際には、陽気な発言も飛び出すようになる。
コミカライズ版においては#507はその戦闘能力を評価され、「カイロン5」から降伏勧告を受けている。しかし彼は自らの腕を引きちぎって叩きつけることでこれを拒絶し、攻撃を受けて擱座した。また映画本編においてもブルックリンと共に「カイロン5」との最終決戦に挑む際は「死ぬ時はスタンディングモードで」と、直立形態での戦闘を希望している。他の戦車とは異なり腕と足を持つガンヘッド達にとって「立つこと」は誇りなのだ。
小説版である正伝では破壊されておらず、残骸に隠れて休眠状態となっていた。
なお、小説や漫画版では装備や設計が異なる機体が登場しており、中でも小説に登場する「タイプゼロ」は超兵器じみた性能を持つ。
また、設定のみであるが、後継機である舗装路限定の高速走行型の「ガンヘッド-HSR」、ビーム兵器の搭載及び新型装甲への換装を行なった「ガンヘッドII」などが開発され、量産されている。
余談ながら、天敵であるエアロボットもスタンディングモードを持つエアロボット2が正伝で登場している。
スタッフ
監督 - 原田眞人
脚本 - 原田眞人 / ジェームス・バノン
製作 - 田中友幸 / 山浦栄二
製作総指揮 - 辻信太郎
メカニカルデザイン - 河森正治
バイオロイドデザイン - 三上晴子 / 飴屋法水
音楽 - 本多俊之
主題歌 - 永井真理子『TIME~Song for GUNHED~』
撮影 - 藤沢順一
編集 - 黒岩義民
製作会社 - 東宝 / 株式会社サンライズ / バンダイ / 角川書店 / IMAGICA / 東宝映画
製作国 - 日本
予告編
メディア展開
- ゲーム『ガンヘッド 新たなる戦い』(ファミリーコンピューター) - バリエ
- ゲーム『GUNHED』(PCエンジン) - ハドソン(発売) / コンパイル(開発)
- 漫画『GUNHED』 - 麻宮騎亜
- 漫画『ガンヘッド外伝』 - 近藤和久
- 小説『ガンヘッド1 銀光の狂獣』『ガンヘッド2 朱き荒野の狩人』『ガンヘッド正伝 蘇る機神』(ガンヘッド3は未発売な為未完結)- 会川昇(現・會川昇)
- ゲームブック『ガンヘッド コンピュータ・クライシス』(バンダイ出版)- 鎌田秀美、吉本正彦 スタジオ・ハード
余談
「ゴジラvsメカゴジラ」の予告特報第二弾はなぜか本作の映像を多用したもので、さながら「ゴジラvsガンヘッド」とでもいうような内容になっている(言うまでもないが、両者ではサイズが全然違うため実際に戦おうものなら奇跡が起きない限りゴジラに踏みつぶされて終わりだが)。
本作のメカデザインはコンペ形式で発注され、最終的にガンヘッドのデザインを担当したのは河森正治だが、以来、正式名称が決まっていないメカデザインの仮称として「ガンヘッド」が用いられるようになった。
エアロボットも同様に河森正治が担当していたが、スタジオOXが引き継ぎ、大澤哲三が仕上げている。なお、麻宮騎亜の漫画版では河森デザインのものが登場している。
1999年に発売されたプレイステーション用レースアクションゲーム『ランナバウト2』には"G・TANK"というガンヘッドをモチーフとした車両が隠し車両として登場。チェーンガン、左肩のキャノン、右肩のミサイルのどれか一つを選択して出走可能で、変形ももちろん可能。条件を満たして車両名をブルックリンやカイロン5と変える事で武装が強化される裏技もある。
2017年発売されたアニメ映画版『GODZILLA』の外伝小説には“G-HED”という多脚型戦車が登場している。名前も由来は言わずもがな本作のこれと思われる。
ペプシコーラがスポンサーについており、作中にはペプシの自動販売機ロボットが登場したり、実際に飲むシーンがある。
セヴン役の原田遊人氏は監督の原田眞人の実子である。地上波吹き替え版では声変わりしてしまったため坂本千夏がアフレコすることとなった。
関連タグ
ロボジョックス - 同時期にアメリカで製作された実写ロボット映画
ガンタンクR-44 - 初期に参加していた大河原邦男によるガンヘッドの没デザインがベースになっている。