概要
ガトリングガンとは、複数の銃身と機関部を束ね、外部動力でそれを回転させる事で、給弾・装填・発射・排莢のサイクルを繰り返して連続射撃を行う機関砲の総称である。
重厚な見た目と射撃時の挙動が絵的に映えるからか、ロボットアニメやゲームでも花形の武器として用いられる事も少なくない。
見た目だけで言えば「ここ全部から弾でて強そう!」となるが、
実際には同時に1箇所からしか出ず、それを毎分何十発、何百発と繰り返す、サイクルとなっているため決して同時に多銃身から発砲しているわけではない。
ガトリングガンの始まり
1861年にアメリカの医師リチャード・ジョーダン・ガトリング(Richard Jordan Gatling)によって最初に製品化されたのが名の由来。
…弾薬を湯水のように馬鹿食い(guttle)するからではないので注意。
砲身回転の動力源は、クランクによる人力だった。
後装式(現代の銃のように、銃弾を銃口以外の場所から装填する銃)が未発達で、毎分1~2発撃てる程度だった当時、紙薬莢を使用していたために信頼性は低かったものの毎分200発の発射速度を誇るガトリングガンは脅威そのものであり、南北戦争では限定的ながらも猛威を振るった。
その後も改良が加えられ、パーカッション式の金属製簡易薬莢を用いる事での信頼性の向上、雷管まで一体化した金属薬莢の採用によって更に火力は向上し、米西戦争では防衛ではなく攻勢にも用いられて活躍した。
ただし射撃中に一定速度でクランクを回さないと弾丸が詰まりやすく、回転速度を上げすぎると熱により故障するなどのデメリットもあった。
幕末・明治期の日本にも輸入されており、ガツトリング砲(または奇環砲、ガツトリングゴン連発砲)と呼ばれていた。特に戊辰戦争に際しては、長岡藩の名家老・河井継之助が洋式軍隊の切り札としてこのガトリング砲を用い、新政府軍を苦戦させたことで知られる。
しかし、後装式の銃が発達し、単銃身で小型軽量な機関銃が発達すると、大型で機動力が無く、連射速度も劣るガトリングガンはお払い箱となり、姿を消していく事となった。
航空機用火器としての復活
しかし、1950年代半ばにガトリングガンは復活を遂げる事となる。
レシプロ戦闘機からより高速のジェット戦闘機に交代し始め、音速を超える速度性能を持つ戦闘機も出現し始めたこの時代、通常の機関砲では高速で飛ぶ戦闘機に有効な打撃を与えられない(発射→装填→発射の一瞬の間に、敵機が照準をすり抜けてしまい、狙ってもまともに弾が当たらない)という事態がより深刻な物となっていた。
複数の機関銃を搭載する事で大量の弾をばら撒いたり発射間隔を狭める試みも行われたが、重量が増し、嵩張る為に広い収容スペース等が必要となる欠点があった。
そこでアメリカ空軍が目を付けたのが、既に過去の遺物と思われていたガトリングガンだったのである。
アメリカ空軍は骨董品として博物館に保管されていたガトリングガンを引っ張り出し、油圧モーター取り付けるなどして実験を重ねた。
その結果生まれたのが、電動で銃身を回転させる世界初の航空機搭載型ガトリングガン、M61バルカンである。
1956年、F-104戦闘機に初めて搭載されデビューを果たしたバルカンは、その後10年と経たずに流行りだしたミサイル万能論(「撃てば必ず当たるミサイルがあるんだから、もう機関砲いらなくね?」 という考え)によってお払い箱にされかけるものの、ベトナム戦争において(ミサイル自体の整備や交戦規定の問題もあったとはいえ)その思想が誤りであった事を米軍ファイターパイロットらの身をもって証明。
デビューから半世紀以上経過した現在に至るまで、アメリカ製戦闘機の固定火器として君臨している他、艦船防衛用システム(CIWS)であるファランクス等にも採用されている。
現代のガトリングガン達
バルカンの成功によってその名を轟かせた航空機用ガトリングガンは、ヘリコプター搭載用の小型版M134ミニガンやGAU-19、A-10神の代名詞でもある大型版のGAU-8アヴェンジャー、空飛ぶトーチカAC-130ガンシップのGAU-12イコライザー、F-35のGAU-22/Aといったモデルが登場。更に車両や船舶などで人力操作される機銃にまで使われている。
冷戦当時対立していた旧ソ連も、銃身回転に電動ではなくガス圧方式を採用したGSh-6シリーズなどを開発している。
なお、映画『プレデター』などでM134ミニガンを両手で抱えて射撃するシーンが描かれているが、それは映画的なフィクションである。
実際にはモーターを動かす為のバッテリーや毎分2,000~4,000発といわれる発射サイクルで長期間撃ち続ける為の大量の弾丸が必要で、ヘリに搭載されるミニガンの総重量は100kgにも上る。それに加えて反動も強烈なガトリングガンは、とても生身の人間が使用する事が出来るような代物では無い。
(事実、劇中でもバッテリーも同時に納めて500~700発程度入るほど※の巨大な弾倉を背負っていたにもかかわらず、弾丸は1分と経たないうちに撃ち尽くしており、その点からでも実用性が低い事が分かる)
現実にも数名の歩兵が分解して運び、地面に据え付けて使用するタイプや、一回り小さい弾丸を使用する事で小型・軽量化を図った「マイクロガン」なるものが開発されてはいるが、それでも重すぎて持ち運びに困るという理由で不採用になっている。
個人レベルであれば.22口径のガトリングガンを自作した例もある。
(※ただし実際には外部電源で箱は空っぽである)
創作世界でのガトリング
登場作品50音順。
搭載メカ
- インペライザー(ウルトラマンメビウス)
- ルディアン(ウルトラマンX)
- ガトリングボア(GEAR戦士電童)
- ガンダムシリーズ
- ガンダムNT-1(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争)
- ガンダムヘビーアームズ(新機動戦記ガンダムW)
- ガンダムレオパルド(機動新世紀ガンダムX)
- バルカン砲:主にモビルスーツの頭部やモビルアーマーの機首に牽制目的で搭載。
- オートバジン(仮面ライダー555)
- ZOIDSシリーズ
- ビーダマンシリーズ
- デデデレーシングカー(星のカービィ(アニメ)):後部にガトリングが隠されている。
- ロボボアーマー ジェットモード(星のカービィ ロボボプラネット)
使い手
- 南雲ハジメ(ありふれた職業で世界最強)
- クリード=デッカード(アンデッドアンラック)
- ウデスパー(イナズマンF)
- ガトリンガー(宇宙鉄人キョーダイン)
- ヒキガネバンキ(炎神戦隊ゴーオンジャー)
- 未来騎士(ガーディアンテイルズ)
- 仮面ライダーシリーズ
- リッキー・ゴールドツイカー(機界戦隊ゼンカイジャー)
- 雪音クリス(戦姫絶唱シンフォギア)
- メグメグ(#コンパス 戦闘摂理解析システム)
- 千年戦争アイギス
- 駆け出し海賊モニカ:スキル演出で使用。
- 無双の海賊デューオ:覚醒スキル演出で使用。
- メカゴブリンクイーン
- デジタルモンスターシリーズ
- ガットリン(電人ザボーガー)
- ドールズフロントライン
- イントゥルーダー:ガトリングとアサルトライフルを組み合わせた様な銃器を使用。
- ストライカー
- 花園ゆりね:本来は『邪神ちゃんドロップキック』のキャラで、『ドルフロ』出演時にミニガンを使用。
- ジャンパーソン(特捜ロボ ジャンパーソン)
- 獣神セーラ(モンスター娘TD)
- トランスフォーマーシリーズ
- ビーハイヴ(ニンジャスレイヤー)
- 追跡者(バイオハザードシリーズ)
- テディ(PUI PUI モルカー)
- BG9(BLEACH)
- ミソラ(プリンセスコネクト!Re:Dive)
- 十六夜ノノミ、豊見コトリ(ブルーアーカイブ)
- ノエル=ヴァーミリオン(ブレイブルー):普段は二挺拳銃だが、一部の技でミニガンを使用。
- アイギス(ペルソナ3)
- ガトリン・G・U(魔法使いと黒猫のウィズ)
- O・ディオ(ライブアライブ)
- E-16タロンフェザー、AG-1ネレイド、エタニティ(ラストオリジン)
- イワザル(ラストピリオド 終わりなき螺旋の物語)
- 武田観柳(るろうに剣心)
- ガトリングマン(ロボット刑事)
ガトリングそのもの
- スネイルガトリング(王様戦隊キングオージャー)
- ガトリングガン(カスタムロボ)
- ガトリングモジュール(仮面ライダーフォーゼ)
- ウォーターメロンガトリング(仮面ライダー鎧武)
- ホークガトリンガー、ガトリングフルボトル(仮面ライダービルド)
- ブルキャンガトリング(仮面ライダーガヴ)
- スプラトゥーンシリーズ
- ギガストリーマー マキシムモード(特警ウインスペクター)
- ガトリングレオ(忍風戦隊ハリケンジャー)
その他
- ランペイジガトリングプログライズキー(仮面ライダーゼロワン)…ガトリングモチーフの変身アイテム。
- ゴムゴムの銃乱打(ONE PIECE)…「ゴムゴムのガトリング」と読む。モンキー・D・ルフィの必殺技。