ファランクスについて
基本的には左手に盾、右手に槍を持った状態で密集し、自分の左半身と左にいる仲間の右半身を盾で守る。最右翼にいる兵は右半身が無防備になるため、大抵は最右翼に最も強い兵士を配置する。ファランクス同士での戦闘は盾でぶつかって互いの重圧を押し付けながら槍で突き合い、前列の兵士が倒れたら後列の者がその屍を踏み越えて前進し穴を埋めた。
縦深は大抵8〜16列だった。レウクトラの戦いではテーバイ軍が最左翼にのみ縦深50列という極厚ファランクスを編成したが、これはギリシャ最強のスパルタ重装歩兵を戦力の一点集中で撃破するためである。
マケドニア王国は重装歩兵の盾を小型化し、サリッサと呼ばれる6メートルもある長槍を用いる新式ファランクスを開発。フィリッポス2世はさらに戦術を改良し、左翼が防御に徹している間に右翼が敵戦列を破壊するという新式ファランクス「鉄床戦術」を考案。アレクサンドロス大王に引き継がれ、当時最大であったペルシア軍を破り、インドまでの東方遠征に至る破竹の快進撃を行うほど古代ギリシャ世界では無敵を誇った。
大王の死後に勃発した「ディアドコイ戦争」は必然的にマケドニア式ファランクス同士のぶつかり合いになるため、さらに槍を長くしたり、防御を高めるために重装備にしたりといった改良がされたが、さらなる機動力の低下につながり、古代ローマとの戦争では騎兵の機動力を活かした散開戦術に敗れ、廃れていくことになる。
なお、有名なのは前述の通り古代ギリシャの物だが、同様の戦術は地域を問わず出現している。(ヴァイキングのスキャルドボルグ陣形等々)
科学の時代が進むにつれて銃が戦場の主役となり、近年では槍など長柄武器を用いた戦術が途絶えてしまった。
ただし、ファランクスの名と姿はゲームなどのメディア内で、槍を扱うユニット(キャラクター)達の武器であったり技名であったり、はたまた兵種名として今もなお生き続けている。
ファランクスに関するタグ・言葉
- 兵器の名称。艦艇用の全自動対空迎撃システム(CIWS)の一機種。
- アニメ『マクロス』シリーズに登場するデストロイドの一種。 → デストロイド・ファランクス
- ZOOMの横スクロールSTG『ファランクス』。
- CAPCOMのアクションゲーム『デモンズ・ブレイゾン』のキャラクター、「白き王」ファランクス。
- フロムソフトウェアのアクションRPG『デモンズソウル』に登場するキャラクター。
- ドラゴンクエストⅩの盾スキルの1つ。被ダメージが下がる代わりに与ダメも下がる。
- アトラスのRPG『世界樹の迷宮』シリーズに登場する職業の一つ。
- グランブルーファンタジーのアビリティのひとつ。他作品におけるダメージカット能力を持つ。詳細は使用するジョブの一つであるホーリーセイバーにて。
- ポケモン剣盾に登場するポケモン、タイレーツの元ネタと思われる(英語名も名前をもじって「ファリンクス」となっている)。
- CAPCOMの格闘ゲーム『ストリートファイター6』のキャラクター、マリーザの必殺技の一つ。
『世界樹の迷宮』のファランクス
『世界樹の迷宮3』に登場する職業および、そのキャラクター。
北米版での名称はHopliteで、古代ギリシャの重装歩兵(ホプリテス)に由来する。
前作、前々作のパラディンに相当する防御特化の職業。全職業中トップのVIT(体力)を持ち、HPとLUC(運)も高い。
防御に関するスキルはパラディンから受け継いだものが多いが、物理攻撃によるダメージを軽減する固有スキル「ガーディアン」や、一定確率で敵の攻撃を無効化するパッシブ(自動発動)スキル「パリィ」など独自のものもある。
また「警戒行進」によるエンカウント率低下がとても有用。
武器は剣または槍。後者は攻撃スキルも幾つか習得可能で、更に後列からでも敵を攻撃できる利点があるが、行動速度に大きなマイナス補正がかかってしまう。
重装備により行動が遅くなりやすいのが欠点だが、役割とスキルの関係上、あまり気にする必要は無い。
欠点は「PTの被害を軽減させる」という役割のため必然とスキルを多用する事になるにもかかわらず、ファランクスの最大TPは低めなうえに自家発電系のTP回復スキルが無いこと。 このため長時間の探索にはアムリタ系のTP回復アイテムが必須になってしまう。 サブクラス解禁後は上手く補ってあげよう。
他にも「スキルの都合上、盾装備が必須になるため装備の自由度がやや制限される」や「被弾前提のスキル構成なところがゲームシステムと微妙に噛み合わない」という難点もある。
キャラクター
♀1 | ボブカットで金髪碧眼の女性。得物はルツェルンハンマー。通称「ファラ子」。アナザーカラーはオレンジ髪で、衣服やスカートの青い部分が緑色に変化。 | ||
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♀2 | バルディッシュを担いだ、金髪ツインテールに褐色肌の女性。『ガンスリンガーガール』のトリエラに似ているとの声も。通称「ツインテファラ」。アナザーカラーは紫がかった銀髪で色白、赤目になる。 | ||
♂1 | none | オールバックともみあげが特徴の茶髪の男性。アナザーカラーは黒髪。 | |
♂2 | none | パルチザンを構えた茶髪の男性。ケツアゴが目印。アナザーカラーは赤毛。 |
イラスト
『デモンズソウル』のファンクス
ボーレタリア王城の城門で最初に立ちはだかるボスキャラクター。
盾と槍を構えた無数の部下による密集陣形による防御を得意とするデーモン。
老王オーラントに仕える将軍が部下ごとデーモンに呑まれたことで誕生したとも言われており、かつてのボーレタリア兵も同じ戦術を得意としたことが窺える。その正体は盾と槍を持つ粘泥状の生物「はぐれファランクス」の群れに取り囲まれた、巨大な発光体でも言うべき存在である。
接近すると槍による連続攻撃、距離を置いても槍の投擲でダメージを与えてくる。更に盾を持つため物理攻撃が効きづらく、本体とはぐれファランクスが接触していると相互にHPを回復しあう特性を持つが、実は炎属性や魔法系の攻撃に極めて弱い。アイテム「火炎壺」を投げつければ一発で数匹のはぐれファランクスを焼き殺せるほか、生まれが貴族や魔法使いならば初期装備の魔法で対処できる。本体は攻撃手段を持たないので、部下を全滅させたらあとは好きなように料理しよう。撃破すると「鉛のデモンズソウル」をドロップする。
このボスを倒すことでようやくソウルレベルのアップが可能になる為、撃破後の要石付近には「ここからが本当のデモンズソウルだ」の血文字が遺されていることが多かった。
次回作ダークソウルでは、隠しダンジョンの『エレーミアス絵画世界』に、オマージュキャラと思われる大型モブ敵「結ばれた亡者」が出現する。ファランクス同様集団でまとまって出現し、槍と大きな盾で武装しながら槍を投げて攻撃してくる。なお、スライムの中に亡者が埋め込まれたような姿なので、見た目は本家以上にグロイ。
関連装備
削り取る槍
「鉛のデモンズソウル」で槍系武器を強化すると手に入る武器。
はぐれファランクスが装備していた槍ではなく、城壁解放時のイベントで飛んできた巨大な槍と同じデザインをしている。
攻撃を命中させるとダメージを与えるだけではなく、相手の装備の耐久値を削るという特性を持つ。上手くいけば相手の武器や防具を破壊する事も出来るので、耐久値が低い刀や曲剣相手での対人戦には極めて有効だが、装備を破壊するという事は相手に多大な修理費を払わせるということでもあるので、嫌がらせ行為と受け取られかねない武器でもある。