タイレーツ
たいれーつ
ポケットモンスター 第8世代『ソード・シールド』から初登場するポケモンで、一見するとハナチャンのような姿をしているが、その実態は星のカービィに出てきそうな球状の姿をした個体が6匹集まって並んでいるという群体生物。
デザインを担当したコザキユースケ氏によると、自分らをむしタイプのように見せかける事で、弱点であるエスパータイプを威嚇しているとのこと。…ひこうタイプ、特にこいつらからの襲撃は増加しそうだが大丈夫なのだろうか。
「ヘイチョー」と呼ばれるリーダーの個体と、後ろに並んでいる「ヘイ」と呼ばれる5匹がグループを組むことで1つのポケモンを構成している。
つまり「タイレーツ」という名前は、上記の6匹のチーム名という意味合いが強く、名前の由来もそのまま『隊列』となっている。
このように、複数匹でひとつという特性上、性別の違う個体が混ざることもザラな為か性別も不明。ただ複数体で性別が固定されている前例もあるので、本当に無性別なポケモンかもしれない。
ヘイチョーは他のヘイと比べるとひと回り大きく、盾で前面を覆って移動する。伸縮する大きな一本角を持ち、6匹の中でいちばん強くて賢い個体が昇格するらしい。
ヘイも盾はあるが常時兜と一体化したような配置で、角もやや小さい。
バトルではヘイチョーの命令を絶対とし、様々な陣形を組み替えながら戦う抜群のチームワークを持っている。実際、戦闘場面の待機モーションでも行きの揃った足踏みを見せている他、ポケモンキャンプでも全員一丸となってボールを運ぶ姿が拝める。
その分個々の力は弱いのか、ダメージを受けると列が乱れてバラバラになったり、ダメージを受けると瞳が「><」になったり、更に倒れるとアニポケで戦闘不能になった時と同じくぐるぐる目になる。
図鑑においては地味に高さが3mもあると記載されているが、これは6体全員の「合計分」を扱っているからで、ここから推測すると1匹あたりの体長は
- ヘイチョー:0.55m
- ヘイ:0.49m
程だと思われる。同じく群体ポケモンのタマタマは一匹での大きさで測ってあるが、タイレーツの場合はヘイチョーとヘイで体長が違う為、全員並んだ時の長さが図鑑に記載されていると思われる。
一個体の体自体は小さく、初登場となった「ソード・シールド」では8ばんどうろの壁に空いた小さな穴から行進してくる。
8ばんどうろにて横切って出現する他、ワイルドエリアの「げきりんのみずうみ」にて曇時にランダムエンカウントする。
ストーリーにおいては、『ソード』ではファイナルトーナメントにおいてジムリーダー・サイトウの手持ちとして立ちはだかる。
また、クリア後ストーリーにおいては主に『シールド』でバトルする事となるシルディの手持ちでも登場。
未登場。
西1番エリア、北2番エリア、ロースト砂漠に生息。東3番エリアには「はがねテラスタル」する個体が出現する。
HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
65 | 100 | 100 | 70 | 60 | 75 | 470 |
攻撃・防御が高く、素早さもまあまあ。ただし特殊耐久はかなり低い。その為、後述の積み技もあって物理アタッカーとして運用される場合が殆ど。
メインウェポンはインファイトでほぼ確定。他にも同威力のばかぢからやインファイト以上の火力が出せるきしかいせいや壁の破壊が出来るかわらわりがあるが、ばかぢからは攻撃ダウンのリスクがあり、きしかいせいは最大火力を出すのにきあいのタスキが必須であり、かわらわりは威力が低すぎる為、特に狙いがなければインファイトで良い。
見た目の割に技範囲がかなり広く、サブにはフェアリータイプ対策になるアイアンヘッドやどくづき等が候補に挙がる。
また、むしタイプっぽい見た目からかメガホーン、であいがしらも習得する。一応、エスパータイプに通るので十分視野に入る。
他にはひこうタイプ対策と技範囲の拡張も兼ねるがんせきふうじやいわなだれ、更にゴーストタイプに通るじごくづきが候補に上がる。
ちなみに特殊技ははかいこうせん、いびき、りんしょう、きあいだましか覚えず、ゴーストタイプ相手に詰む可能性もある為特殊型は扱いが難しい。
専用技としてはいすいのじんを覚える事が可能。バトルから逃げたり交代したりできなくなる代わりに全ての能力が1段階ずつ上がる効果を持つ。
積み技としては破格の性能だが、基本的に1試合で1回しか使用できない上にであいがしらとの併用が難しいのがネックである。やけどになったり、不利な相手が交代で出てきたり、逆に積みの起点にされてしまうという目も当てられない事態になるので使い所を見極める必要がある。
ただ1つ言えるのは、この技のお陰でタイレーツは他の単かくとうタイプとの大幅な差別化を可能にしているということである。
持ち物はまひややけど対策になるラムのみや、そう高くはない耐久を補えて、はいすいのじんとのシナジーもあるきあいのタスキが主流。
とくに後者は、はいすいのじんとであいがしらを再利用できるのはもちろん、かくとうタイプのダイマックスワザであるダイナックルは追加効果で自身の攻撃を上げられる為、インファイトで耐久を削らずに攻撃面を補強できるので居座ることの多いタイレーツにとって非常に相性が良い。ただ、素の威力はインファイトに大きく劣りパワーに欠く点には注意したい。
また、『こだわりスカーフで最速ではいすいのじん→ダイマックスしてこだわり効果を解除し攻める』という戦法もある。決まれば効果は絶大だが、解除されたら攻撃も撤退もできない敗残兵に成り下がってしまうため注意。
特性は急所に当たらないカブトアーマー、能力を下げられると攻撃を上げるまけんきがある。同じくまけんき持ちで防御以外は完全劣化であるナゲツケサルとの更なる差別化を目指したい、きあいのタスキを用いない、ダイマックス後も安定性が欲しい場合はカブトアーマー、火力を求めたい場合やダイマックスワザ等能力低下の対策が欲しいならばまけんきと、使いたい場面や技と相談して比べよう。
惜しかったのは環境におけるゴーストタイプとダイジェットの流行である。
前者は元より前世代のメジャーポケモンの多くが存在しない中でエスパータイプの牽制にもなっているものの、メインウェポンのかくとう技が通りにくいのは非常に痛い。どこからおにびやのろいが飛んでくるか分からないのも脅威である。特にじごくづきが等倍かつタイプ一致技で弱点を突かれるミミッキュ、素早さが一段階上がっても先手を取れないことが多いドラパルト、ちからをすいとるを使った物理受け型が主流であるガラルサニーゴは天敵。
後者は自身の素早さを一段階上げる効果を持つひこうタイプのダイマックスワザであり、積む前のタイレーツが食らえば致命傷なのはもちろん、せっかく上げた素早さもあっさり上を取られてしまうことだってありえる。何よりダイマックスの性質上、ひこうタイプの技を覚える遅すぎないアタッカーなら誰が覚えていてもおかしくないというのが恐ろしい。
これらはかくとうタイプ全般の課題と言えばそうなのだが、タイレーツは積みアタッカーという性質上これらがダイレクトにのしかかってくるのである。タマゴグループが妖精と鉱物なのだし、せめてはがねタイプかフェアリータイプとの複合であれば…。
第9世代
ダイマックスが廃止されたことでダイジェットで吹っ飛ばされることはなくなり、代わりに登場したテラスタルによって自身の弱点タイプを変えたり、かくとう技の威力をさらに高めることが可能となった。
特にゴーストタイプにテラスタルとは相性がよく、相手のゴーストポケモンをテラバーストで仕留めることができるだけではなく、はいすいのじんの弱点であった交代不可能のデメリットをなくすことが可能となった。
タイレーツを使う上では、お膳立てだけでなく引き際もきちんと考えておくのが最大のポイントとなるだろう。素の種族値では心許ないとはいえ、インファイトやであいがしらといった撃ち逃げに向いた技を覚えるのも事実であり、こだわり系のアイテムやとつげきチョッキを持たせて奇襲をかけるプレイヤーも存在する。
「タイレーツと言えばはいすいのじん」というイメージを上手く読み合いに活かし、逆に相手の起点にされないよう注意したい。
ポケモンGO
2021年8月のウルトラアンロックパート3「剣と盾」で実装。地域限定ではないため世界中で見かけることができる。
また、実装から3年後の2024年9月にはレイド・デイの対象にも選ばれ、色違いも実装。
ローブシン以来の「カウンター」持ちのかくとうポケモンだが、ゲージ技が「ばかぢから」「かわらわり」とやや頼りにくい上に、サブ技もむし技の「メガホーン」のみと貧弱(「きあいだまは残念ながら没収)。一応「かわらわり」に確定で相手の防御を下げる効果があるため、PvPでデパフ要員として使えないこともないか。
なお、列をなすポケモンである以上、マップ上ではアローラナッシーの横版みたいな現象が起こっている。ステータス・図鑑画面でも横に向けると見切れてしまう。
アニポケ・第1-7シリーズ
レギュラーの手持ち
- ゴウのタイレーツ
CV:光部樹、坂田将吾
新無印73話で登場。
ガラル地方へタイレーツの調査にやって来たサトシ達に野生の個体がバトルを仕掛けてくるが、まだチームを組んで日が浅いのかイマイチ統率が取れておらず、ピカチュウの攻撃を一発もらっただけで負けただけでなく、ヘイ達とヘイチョーが離れ離れになる。この敗北からすっかり自信をなくしてヘイ達の元へ戻るのを拒むヘイチョーを見かねたゴウがエースバーン、サルノリ、ライチュウ、バオップ、ヒヤップの協力も得ての特訓を課し、何とか自信を取り戻してヘイ達の元へ戻る事を決意(ちなみにヘイチョーを待っている間、ヘイ達はピカチュウを無理矢理リーダーにしていた)。
その後、住処の寒冷地からガラル地方へ流れ着いた野生のはぐれコオリッポと鉢合わせになってバトルになった際、特訓の成果が実って抜群のチームワークを発揮。攻防一体の陣形でコオリッポを撃破し、リーダーとしての自信を完璧に取り戻す。
バトルの結果を見届けたゴウは、これからも6匹で頑張れよと別れを告げたが、タイレーツたちは話し合った末ゴウの仲間になることを決め、ゴウにゲットされた。
ポケットモンスターSPECIAL
- 盾・シルドミリアのギガ
特性 | カブトアーマー |
---|
シルドミリアがまどろみの森で意識を取り戻した時には既に行方不明となっていた手持ち。
実はシーソーコンビにより他の手持ち共々連れ拐われており、しかしながら挙げ句に各地へ捨てられたキロ(サシカマス)・ペタ(コオリッポ)・テラ(ストリンダー)の3匹とは異なり、彼らのドータクンが持っていた(同様にガラルマッギョのメガも彼らのグソクムシャに捕まっていた)。
エネルギープラントの堀に落ちていたがパイプを通って内部に入り、地下からエレベーターに乗って最上階へ登ったところでやっとシルドミリアと再会する。
ヨロイ島ではクララのガラルヤドンと最初に戦う。
名前の意味は情報の大きさを表す単位の「ギガ」。
姿のモチーフは古代ギリシャの重装歩兵およびそれにより構成された隊列「ファランクス」であり、英語名もこれをもじった「ファリンクス」となっている。ドイツ語だと古代ローマ軍団を意味する「レギオン」由来の『レギオス』となる。ただし、専用技の「はいすいのじん」は中国の故事からの引用となるので注意。
とてもかくとうポケモンには見えないデザインにも納得である。
ちなみに古代ギリシャ式の最小陣形単位は36人。ちょうどタイレーツ6匹でパーティを組むと再現できる。
余談ながら、古代ギリシャはボクシング、レスリング、パンクラチオンなど非常に格闘技が盛んな地域だったとされ、加えてレオニダスが活躍したスパルタは苛烈なまでの厳格な教育の下に男児(正確には女性も)が鍛えられたという。かくとうタイプを贈られるのも納得である。
しかしながら、初登場はイギリスをモチーフとしたガラル地方である為、ギリシャモチーフの地方で活躍するのはまだまだ先の話になりそうである。
シンボルでのグラフィックにおけるインパクトの強い見た目と、いざ触れてみると分かる可愛らしい仕草とのギャップから、事前情報が無いながらも人気の高いポケモンになっており、対戦でもガラル限定とはいえ念願の進化を遂げたネギガナイト共々愛好家も多い。
なお、技を出す際に1匹がヘイチョーの後ろに隠れる為、5匹と間違われて描かれることもある。イラストを書くときは要注意。
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