技データ
登場 | 第3世代 |
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タイプ | あく |
分類 | 物理 |
威力 | 20(第3~5世代)→65(第6世代~) |
命中率 | 100 |
PP | 20 |
範囲 | 単体 |
直接攻撃 | ○ |
備考 | 相手の道具を落として使えなくする。道具を持った相手には1.5倍のダメージを与える(第6世代以降)マックスレイドバトルでは味方相手ともに使用できない。 |
英語名 | Knock Off |
概要
第3世代から存在する技。
ダメージを与えながら相手の持っている道具を戦闘終了まで使えなくして効果をなくす、という技。
つまり相手を「道具を持っていない状態」にする。
第4〜第6世代で教え技になっている為習得者は案外多く、主にあくタイプ・かくとうタイプの習得が目立つ。
但し威力は僅か20。その為ダメージではなく効果が主体となる技である。
しかし、同世代から登場したトリックやすりかえが幅を利かせており、立場としては非常に弱いものであった。
トリックやすりかえはどちらかと言えば相手の道具の無効化というよりデメリット効果を持つ自分の道具を押し付ける目的で使われることが多く、本来別の効果故問題なく住み分けができる技である。相手からもこだわり系アイテムが渡されてこちらの行動が縛られるという事故が無い点では優位点もあったが、第三世代当時は相手の道具を無効化することで大きなアドバンテージを得られる状況が少なかった点が影響していたと言えるだろう。
この点は、元々変化技として1ターンかけて遂行する価値があった「でんじは」を命中100の攻撃技として繰り出せる「ほっぺすりすり」が極めて低威力にもかかわらず優秀な技とみなされ、習得可能なポケモンなら採用頻度が高いのと対照的ともいえる。
……にもかかわらずトリック共々教え技になっており、トレーナー達を困惑させた。
ちなみに習得条件は黄色いかけら4個(BW2)と安い。
なお、コンテストでは自分の前にアピールしたポケモンを妨害できるのでそれなりの価値はあった。
この技に転機が訪れたのは第6世代。
何と威力が65と、元の3倍以上にまで強化されたのである。
さらに相手が道具を持っている場合に威力が1.5倍になる効果が追加された。ストーリー上はともかく、対人戦(通信対戦)では道具を持っていないポケモンはほぼいないため、とても有用な効果である。
加えて、あくタイプのはがねタイプに対する相性が見直され、等倍となった事も追い風となりその需要が急上昇した。
特にかくとうタイプは(天敵がいるとは言え)相性の良い強力なサブウェポンを入手する事になったのは大きい。
その相性の良さは、第6世代初期で不遇に落とされたローブシンが一気に復権するほど。
また、トリックやすりかえは上記のように『こだわり系アイテムを押し付けて相手を妨害する』という目的で使われることが多く、専用の構成にすることが求められるほか、相手に逆用されることが無いよう有用な道具を持たせることが難しいという点で使いにくさもあったのだが、叩き落とすは普通の構成に習得させるだけでお手軽に相手の道具だけを無効化でき、どんな型でも問題なく搭載できるという点が再評価されるようになったのも大きいだろう。
前述した通り教え技だった事もあり、誰からはたきおとすが飛んでくるかが分からない。
その為、今や対戦ではお互いが道具をはたき落とし合う謎の試合が繰り広げられている。
しかしXYまでは覚えさせる手段は第5世代の教え技しかなかった。
つまり自力習得できるポケモンや遺伝で習得できるポケモン以外は過去作に頼るしかなく、全国のトレーナーがこぞって第5世代のソフトを引っ張り出す現象が起こった。
幸いコストが低かったので問題は無かったのだが、いつぞやの「タネマシンガン」を彷彿させる現象である。
その後ORASでめでたく教え技に復帰した。
但し汎用性が高くなりすぎた結果コストは大幅に上昇している。とは言えどもHGSSはこの時よりもかなりコストが高かったのでそこまでの問題ではないか。
剣盾では性能こそ変わらないものの、メガシンカとZワザが廃止されたことで叩き落とせないアイテムがなくなり、相対的に大きく強化された。一方で、バランス調整のためか習得できるポケモンが大幅に制限されている。先述のローブシンやマニューラ、キリキザンといったこの技を主力とするポケモンにとっては大きな痛手となった反面、カイリキーなど引き続きこの技を習得できたポケモンにとっては競合との有力な差別化点となっている。
SVではマスカーニャで、初手出しして高い素早さと特性へんげんじざいを活かしてこの技を出す戦法が初期環境では単純かつ強力だったが、シーズンが進むにつれてパラドックスポケモンや四災が解禁されるとそれらのポケモンに対してマスカーニャが素早さで上を取られる上タイプ一致で弱点まで突かれてしまったため、一気に鳴りを潜めてしまった。
ポケモンSVのDLCである前編・碧の仮面ではなんと技マシンで登場。
おそらくこの技に弱いサマヨールの解禁に合わせてだと思われる。
ハッサム、トドロクツキ、ヒスイヌメルゴンなどの強力なポケモンが覚える。
また、意外な所だとバンギラスが新規で習得しておりぼうじんゴーグルをはたき落としてすなあらしのダメージを通すと言うバンギラスならではのコンボが使える。
なお、対戦でのバランス調整も意識されているのか、キリキザンやその進化系、ランドロスなどが覚える事ができなくなっている。
この技自体にも欠点はある。
「持ち物を叩き落とす効果」は技が終了してから発揮されると言う事。
その為ゴツゴツメットによるダメージは通常通り受け、一部の使い捨てアイテム(きあいのタスキ、じゃくてんほけん等)は効果を発揮されてしまう。
エスパータイプやゴーストタイプの持つナモのみは技を出す前に使うので補正はかかるが叩き落とせない(大ダメージを与えられるのでそのまま倒す事も可能だが)。
しんかのきせきも叩き落とせるのだが輝石を落とす時は輝石の補正が掛かったままなので注意。叩き落としたらすぐに別の手にシフトしよう。
なお、レッドカードやだっしゅつボタンは効果が発動せずに叩き落とされてしまう。
また、一度叩き落とした後は1.5倍補正もかからなくなり、ただの威力65技へ戻るというのも地味に重要なポイントである。補正がなくなるのをうっかり忘れて2発目も1発目と同程度のダメージが出るものと期待し、落としきれず返り討ちに遭う類のプレイングミスは後を絶たない。また、そのことは重々承知しているがもうどうにもならない状況というケースもある。悪タイプにメインウェポンを兼ねて習得させる場合は特に気を付けるべきだろう。
逆に、ねんちゃく持ちは「持ち物を落とさない」効果がある為叩き落とせないが、威力1.5倍補正が切れないので、ダメージソースとしては安定した効果が期待できる。
ただし、同時にこだわり系アイテムや火力補正アイテム、食べ残し、進化の輝石といった耐久を底上げするアイテム、能力値を上昇させるアイテムといった厄介な道具群を無効化できないということでもあるため、カモとまで言えるほど好相性かどうかはあくまで状況次第である。
しかし持たせた道具によってフォルムが変わっているポケモンたち、具体的にはギラティナ・ゲノセクト・アルセウス・シルヴァディ・ザシアン・ザマゼンタ・ディアルガ・パルキア・オーガポン、メガシンカポケモンポケモン相手だと叩き落とす効果どころか威力補正すら無いため注意。ギラティナだけは相性的に有利ではあるが、その場合嚙み砕くや地獄突きといった技の下位互換となってしまう。
また、メガストーンやZクリスタルを持っている場合は発動前でも同様に叩き落とせず、補正のかかる対象にもならないため注意。交代時や先制の叩き落とすでこれらを妨害できてしまうのは流石にご無体という判断だろう。
ちなみに「追加効果を無効にする」はずのりんぷんは貫通し、「追加効果を無くす代わりに技の威力を上げる」はずのちからずくの影響を受けない、といった具合に一般的な追加効果とは挙動が異なる。
また、特性かるわざ持ち相手に使ったら特性の効果がしっかり発動する。注意するべし。
……と言ってもかるわざの特性を持つポケモンはどいつもこいつもはたきおとすを半減する奴が多いので交代で出た時以外では使ってしまうという場面は基本的にない。フワライドのみ相性関係により大ダメージを与えることは出来るが、うっかり耐えられると先制バトンを決められかねないので気を付けよう。
ちなみに、上述のゴツゴツメットやさめはだ、てつのトゲのダメージによってひんしになると、道具をはたきおとすことができない。
ぶきようタブンネやマジックガードピクシーならこの技とギフトパスを両立できて持ち物を叩き落とした後でデメリットアイテムを押し付ける変わった戦い方が出来るが、この場合タブンネはメガシンカを捨てなければならない。更に見た目的に覚えそうな上にタイプ相性も良いゲッコウガは覚えない。
余談だが、英語名のknock offは「叩き落とす」の他に「やめさせる」と言う意味もある。
ポケダンシリーズではマグナゲートまではダメージを与えずに装備品を床に叩き落とす効果で補助技扱いとなっていた。
超以降は本編の強化が反映されて攻撃技へと変更された。本編同様に装備品を持った相手にはダメージが1.5倍になるため、適当なアイテムを押し付けてから使用すると効果的。
余談
この技を使用する時「○○のはたきおとす攻撃!」ではなく、「○○ははたきおとすを使った!」と直接攻撃技としては独特な表現がされている。
なお、似た効果の技としてさしおさえやマジックルームも存在するが、ダメージソースとしての役割を失う点で下位互換と見なされることが多い。わざわざそれだけのために1ターンかけてやることではないということか…
どちらもターン制限のある効果であり、変化技故に挑発で封じられ、また交換するだけであっさり効果を解除できてしまう点も痛いというべきだろう。特にマジックルームは交換先の道具も無効化できるが自分の道具も無効化してしまうため、デメリットの方が大きく出てしまう点も否めない。
もっとも、持ち物を持ったまま無効に出来るという差異はあるため特性「かるわざ」を発動させることが無く、また接触技ではないためゴツゴツメットやてつのトゲで確定数をずらされることもないという点は「はたきおとす」にマネできないポイントだともいえる。
はたきおとす超強化によってさらに立場が弱くなった上記の2技ではあるものの、住み分けは十分できるだろう