アルセウス
あるせうす
「わたしはアルセウス」
「あなたたち ひとがそうよぶもの」
はじめに あったのは
こんとんの うねり だけだった
すべてが まざりあい
ちゅうしんに タマゴが あらわれた
こぼれおちた タマゴより
さいしょの ものが うまれでた
さいしょの ものは
ふたつの ぶんしんを つくった
じかんが まわりはじめた
くうかんが ひろがりはじめた
さらに じぶんの からだから
みっつの いのちを うみだした
ふたつの ぶんしんが いのると
もの というものが うまれた
みっつの いのちが いのると
こころ というものが うまれた
せかいが つくりだされたので
さいしょのものは ねむりについた
第4世代『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール・プラチナ』で登場した幻のポケモン。
2009年7月18日公開の映画『アルセウス 超克の時空へ』を上映する映画館にて配布される形で正式に登場した。
開発陣の語るコンセプトは「全てを超越した神」であり、その設定の通り純白の体と鬣に、翡翠と思しき緑色の宝石の様なパーツが埋め込まれた後光や翼を思わせる金色の装飾の様な部位を持った、白馬や伝説上の麒麟に似た非常に神々しい姿をしている。
神話においてディアルガ・パルキア・ギラティナ、ユクシー・アグノム・エムリットらを生み出し、世界の全てを創造したと語られている。
そして誕生した世界の欠片に様々な力を与え、以来、この世界に産まれてくるポケモンには欠片の力が分け与えられるようになったという。
公式においては「全てを超越した神」というコンセプト通りの位置付けがなされているようで、媒体を問わず別格の存在、特別な存在として遇されることが多い。
本編シリーズのみならず映画作品、派生作品などでも度々「世界を創り出したポケモン」として扱われ、それに相応しい圧倒的な力を持った存在として描かれている。
特に映画『光輪の超魔神フーパ』では、看板ポケモンのフーパや当時大いにフィーチャーされていたメガレックウザ、ゲンシカイキ組とも一線を画する力が描写され、時代に依らない特別待遇が示される形となった。
作中で示された異名は『全なる神』。
時間の神、空間の神、海の神、森の神、光の神など神と呼ばれるポケモンは幾つか確認されているが、「〜なる神」という異名を持つのはアルセウスのみである。
ちなみに、幻のポケモンで初のトリオマスターであり(※)、かつ『禁止級伝説』三体を従える唯一のポケモンでもある。この点は現在でも未だに比肩するものがおらず、こういった要素も別格感を際立たせていると言えるかもしれない。
(※後に第9世代にて、キタカミの里に伝わる3匹の準伝説ポケモン「ともっこさま」を従える幻のポケモン・モモワロウが登場し、こちらについては唯一ではなくなった。)
神々しいデザインや壮大な設定もあってか人気は高く、2016年6月7日に結果発表された「ポケモン総選挙720」では2位に輝いている。
たびたびの配布もあり、神としての威厳と人気を保ってきたアルセウスだったが「ストーリーでの登場がない」という点だけは悩みどころであった。
第7世代ではアルセウスを模したと思われるポケモンがライバルの相棒となり、『ウルトラサン・ウルトラムーン』では生み出した子であるディアルガ/パルキアがアカギの手持ちとして主人公を苦しめるも、肝心のアルセウス自体は登場せず。
第8世代になっても状況は変わらず、DLC第2弾「冠の雪原」まで待ってもリストラが解除されないことに困惑の声も上がっていた。
そんな中、2021年2月27日に配信された「Pokémon Presents」にて『ダイヤモンド・パール』のリメイク作『ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』と、完全新作にあたる『Pokémon LEGENDS アルセウス』が発表。
後者では文字通りタイトルに冠された主役級の存在となり、同時に様々な設定が明らかになった。
詳細については個別記事も参照のこと。
全なる神
『LEGENDSアルセウス』にて明かされた情報によれば、アルセウスという存在には「分身」と『本体』(仮称)とでも言うべき概念が存在する。
「分身」とされるのは、『LEGENDS』の最終盤でアルセウスから主人公へと授けられた個体。
この個体はモンスターボールに入った状態で託されていることから、あくまでもポケモンの一種としてのアルセウスであると思われる。
そして、作中冒頭で主人公を導き、最後に「分身」を授けたアルセウスこそが、プレイヤーの間で『本体』と仮称されている存在である。
この存在については、
- ポケモンという存在を「人がポケモンと呼ぶ 不思議な生き物たち」と表現する超然的な視点
- 「ここは 時間も空間も超えた 私の宇宙」「貴方が生きていく宇宙を 私は祝福しましょう」といった台詞
- 「本体」から授けられるレジェンドプレートに刻まれた「そのもの あらゆる 宇宙で ポケモンと 人を 見る」というテキスト
などから、「あらゆる宇宙を観測する、多元宇宙規模の高次元存在」である可能性が示唆されている。
この『本体』は冒頭のように主人公(プレイヤー)へ語りかけることは勿論、時空の超越、生命や物体の創造、現実や夢への干渉といった力を持つと思わしき描写が随所に見られ、全能の如き力を振るう『神』の概念に近い存在として位置付けられている節がある。
- 時空を超越した存在という設定や「あらゆる宇宙」という表現から、その観測対象は古代や未来の世界は勿論、既存作品で登場していた数多の並行世界、図鑑において“別の宇宙”と称されているウルトラスペースにも及ぶと考えられる。宇宙と言えるか怪しいやぶれたせかいもその範疇なのかは不明だが、誕生経緯からすると含まれている可能性は高い。
- 英語版では舞台となる宇宙が「(アルセウスの)創造物」と表現され、シンオウ様自体も「人智を超えた全能者」と訳されており、この本体らしき存在が文字通りの創造神である可能性を重ねて肯定している。
作中で主人公が託された「分身」はゲームのシステム上において、今まで配信などを通じて入手できたアルセウスと同一種のポケモンとして扱われている。
このことから「分身」の概念は、今まで配信で入手できた個体と共々、一般的なポケモンの概念に属するものだと思われる。おそらくは、高次元の宇宙に存在する「本体」とって、いわば下位の分霊(端末)に近い代物(※)である可能性が高い。
(※)創造した分身を授ける際の「共に世界を見せてあげて下さい」というアルセウスの台詞から、分身体は主人公がいた未来世界やヒスイを含む多元宇宙を認知する本体からは完全に独立した存在であり、上述した全能とも言えるほどの能力も持たない個体であると推察できる(それでもシント遺跡での三神創造イベントを見るに、分身であっても時空の神々を無から生み出すだけの力は有しているようだが)。
宇宙を創造したポケモンと神話で語られるアルセウスと、研究者からポケモンの先祖と考えられているミュウとの関係については、長年に渡って注目の的となっていた。
しかし『LEGENDS』における「分身」の概念などの新情報から、アルセウスは宇宙そのものを作り出した神(ポケモンや人間よりも高次の存在)であり、ポケモン世界の舞台となる惑星に最初に産まれた始祖のポケモンがミュウである、という新たな解釈が可能となった。
ポケモンの力=タイプは、アルセウスが宇宙を生み出した際に結晶化したプレートから分け与えられたものとされている点も、この解釈を肯定している。
また『LEGENDS』の作中冒頭で主人公へ語りかけた際のアルセウスは眩い光そのもののように描かれていることから、一部ファンの間では「従来の姿は分身としての姿で、高次元の本体は冒頭で登場した光に満ちた姿をしているのではないか?」という説が実しやかに囁かれている。
この「光」はポケモン1008種類記念映像『Pokémon 1008 ENCOUNTERS』においても885番目のアルセウス紹介直後に登場しており、その光を背景に幻のポケモンが総出演し、続いて全世代のポケモンが一挙紹介されるというシーンがある。
創世神話について
冒頭で触れた通り、シンオウ地方(ヒスイ地方)の神話では「宇宙開闢以前に誕生し、時空を生み出して宇宙を創造した」と語られている。
この創世神話についてはスケールがスケールということもあり、概念的な寓話であるとするものから本当に万物を創造したとするものまで様々な説が存在する。
神話は概念的なものとする説では、神話を語り出した人間が宇宙の始まりを目撃できたはずがないことや、ポケモンの伝説や神話の事実関係は今までもどちらかというと否定的な表現がされてきた(伝説ポケモン参照)ことが挙げられることが多い。
また、『プラチナ』ではアルセウスを特定の方法でゲットした場合に発生するイベントにおいて、「世界の始まりとは人に心が芽生えた瞬間」「心が生まれて世界を認識した」「心が豊かになるほどに世界が広がっていく神話」とNPCに分析されており、これを以って「人間に心を芽生えさせる=世界の創造」と解釈する説もある。
一方、アルセウスが無から何かを創造する力を持つことは本編作中で示されており、多元宇宙規模の存在であれば文字通りの意味での世界の創造が可能ではないかとする見方も強い。
『LEGENDSアルセウス』にて断片的ながら世界の再創造のプロセスが語られたことを、この事実の裏付けと見る向きもある。
『HGSS』ではアルセウスが時間を司るディアルガ、空間を司るパルキア、反物質の世界を司るギラティナをシント遺跡にて実際に創造するイベントが存在することから、これを神話の事実性を裏付けるものとする説もある。
とりわけディアルガ、パルキアはDP作中にて新たな世界(時空)を誕生させる力を持つことが示されており、それらを産み出したアルセウスは、実質的に時空を含む世界を創造した根本原理と解釈できうる。
ともあれ、既述の設定からポケモンの歴史を通しても比類のない存在であることに議論の余地はない。
現状では「事実かどうかは分からないが、実際に万物を生み出していても不思議ではない」という表現が穏当だろうか。
プレート
アルセウスが宇宙を生み出した際に欠片となったとされる石板状の物体。
この世界に生まれるポケモンはプレートの力を分け与えられるとされており、その設定の通り全てのタイプに対応するプレートが存在している(全18+1種類)。
第4世代及び『LEGENDSアルセウス』ではプレートの裏側に書かれた文字を読むことができ、アルセウスとそれに連なる神々の設定が記されている。
その中には「宇宙を創造したアルセウスが巨人たちを倒し、その力をプレートに与えた」と捉えられる内容が存在しており、プレイヤーの間ではその巨人たちの正体についての考察もなされている。
宇宙の始まりの石であり、荒ぶる神を鎮めることができる唯一のボールの素材となる『オリジン鉱石』は、このプレートに類似する性質を持つという。
詳細については専用記事を参照のこと。
名前の由来・モチーフ
名前の由来は「αρχή(archí、ギリシャ語: 始まり)」+「Zeus(英語: ゼウス)」。
「αρχή」は「ἀρχή(arkhḗ、古代ギリシャ語: アルケー)」を語源としており、アルケーは哲学用語としては「万物の始源」また「(宇宙の)根源的原理」を指す。
現実世界でのモチーフとして考えられるのは、宇宙の始まりとされるビッグバンか。
また、三龍を創造した万象の父という特徴から日本神話の伊邪那岐命(イザナギノミコト)や、同じく日本神話に於いて根源神とされる天之御中主神(アメノミナカヌシ)、ギリシャ神話における原初神であるカオス、クトゥルフ神話の神々の王にして宇宙の原初であるアザトース、旧約聖書や新約聖書等における絶対神にして万物の創造者のYHVH(ヤハウェ)など、各神話体系の創造主を思わせる伝承を持つ。
その他、千本の腕で宇宙を作ったという設定や、自らの分身を生み出せるという設定はインド神話を思わせるものであり、特に創造神としての側面を持つ最高神であるヴィシュヌの別名「Sahasra baahuh」には「千手」という意味がある。また、ヴィシュヌ・ブラフマー・シヴァの三神は一体の神がそれぞれ創造・維持・破壊を司る側面として表れたものとする「トリムールティ」という概念があり、創造主の特徴を受け継ぐシンオウ三龍との共通点が見られる。
無論ネタだが、アルセウスの「アル」の部分を「アルパカ」に関連付ける人もいる。外見は確かに白くて非肉食獣的な角も蹄もない四足獣である。
今のところ配布は各世代1回ずつ。現在、Lv100以外の配信産アルセウスは存在していない。
第4世代
概要の通り、映画公開時のプレゼント企画にて「えいがかん」個体として初登場した。
このアルセウスは映画内容に因み、三龍の専用技『ときのほうこう』『あくうせつだん』『シャドーダイブ』を覚えた特別仕様となっている。
これら専用技を覚えた個体は以降配布されておらず、また自力習得もできないため、三龍の技を操る個体はこの映画産のみの特権である。
同時期に発売された『HGSS』との連動企画が存在しており、このアルセウスを連れてとあるマップを訪れた場合、『シント遺跡』にて特別なイベントを体験することができる。
第5世代
ポケモングローバルリンク(PGL)で行われた人気投票で会いたいポケモンの第1位に輝き、2010年11月1日から2011年1月31日まで期間限定で「PGL」個体が配信された。
なお、このアルセウスは他の配布とは違い、任意のボールで捕獲可能(ボールに拘らないなら「ドリームボール」を投げるだけ)、もちろんニックネームを付けることも可能。GTS制限もかかっていない。
場合によってはハイリンクを使えるようになった段階でアルセウスを受け取りそのまま冒険するという文字通り規格外のゲームプレイもできた。
自分のポケモン扱いになるので言うこともちゃんと聞く。
冒険を始めたてなのにLv100の創造神(しかも言うことを聞く)が手持ちにいる主人公に薙ぎ払われるイッシュ地方とは一体。
ちなみに、現在のところNNが付けられる配布アルセウスはこの第五世代の配信産のみである。
第6世代
2015年の映画前売り券でシリアルコードでの「デセルシティ」個体の配布が実施。
内容は持ち物であるプレート(+シルクのスカーフ)付きがランダムで一匹貰えるというものであった。
受け取りはXY、ORASどちらでも可能という親切仕様なので、XY新規ですぐやめてしまった人でも受け取ることができる。当然この個体もLv100である。
……のだが、このアルセウスには闇があった。
コード入力時に一定確率で色違いが出現する。
XY,ORASで実施された配布イベントでは色違いを確実に出ないようにする(わかりやすい例が前年のダークライ)処理がなされるのが通例であったのだが、アルセウスの配布の場合は何故かプレゼントコードを入力した時点で色違いか否かが決まるよう設定されており、正規の色違いアルセウスが出現する可能性があった。
当然、公式から(確率とはいえ)正規の色違いのアルセウスが配布された事例は最初で最後である。
もちろん色違いになるかどうかは完全にランダムであるため、色違いを手に入れようとするならば、複数枚の前売り券の購入が前提となる。
実際に、色違いアルセウスと同時に何十枚も購入した前売り券の画像をTwitterなどで上げるユーザーもおり、「リアル色違いアルセウスガチャ」の様相を呈する配信となった。
ちなみに色違いになる個体は必ずシルクのスカーフを所持しているが、シルクのスカーフ持ちが必ずしも色違いになるというわけではない。プレート全17種含め、色違いを引く確率は単純計算でも1/19、およそ5%という鬼確率。前売りは最低でも800円、20枚で16000円…しかもこれだけ買っても一匹も色違いが出なかったという報告すらある。
ここまで来るとソーシャルゲームの領域である。
もっとも、色違いの入手自体はゲーム的に大きなメリットもなく、プレイヤーの自己責任による部分が大きいのだが。それほどまでに、色違いのアルセウスという存在はプレイヤーにとって魅力的だったのだろう。
海外ではPokémon 20th Anniversary Mythical Pokémonの一環として「GF」個体が配布されていた。
第8世代
『LEGENDSアルセウス』では、遂に本編作中での入手が可能となった(後述)。
そして『LEGENDSアルセウス』との連動で、満を持して『BDSP』でもVer.1.3.0更新後に入手可能に。
『LEGENDSアルセウス』ですべての「メイン任務」を達成したセーブデータがあるユーザーで『BDSP』を起動し、主人公の家の自室へ行くと『てんかいのふえ』が手に入る。
そしてテンガンざん・やりのはしらでてんかいのふえを吹くことで光の階段が現れ、その先にある「始まりの間」にアルセウスが姿を現す。
Lvはシンボルエンカウントとなる伝説・幻としては単独トップの「80」。また、このアルセウスは色違いも出現する。
そして捕獲率は当然凄まじく低いので長期戦は必至。
わざのラインナップは必ず失敗する「いやしのねがい」はまだしも、凄まじい破壊力を誇る「はかいこうせん」、忘れた頃に飛んでくる高火力の「みらいよち」、そして捕獲メタの「じこさいせい」となっており、加えてPPは全て合計してたったの35となかなかハード。
実はヌケニンで完封できるため、オシャボを検討する場合は是非とも手持ちにいれておきたい。
余談にある通り、これはリメイク元のDPtでお蔵入りとなった伝説のイベントであり、その存在が判明してから実に15年もの時を経て、遂に公式実装されることとなった。
また、これまではORASでのデオキシスの様に、幻のポケモンがゲーム本編で入手できる様になると『バラマキ』と揶揄され、伝説ポケモンに格落ちするとも言われていたが、このアルセウスはゲームソフト2本の完全クリアという途轍もない難易度であるため、この様な批判は起こらなかった。
なお、『てんかいのふえ』は主人公の自室、それもニンテンドースイッチの横に置かれており、メイン任務を達成してアルセウスと出会ったプレイヤーは色々と想像を膨らませることができる演出となっている。
『LEGENDSアルセウス』と『BDSP』の作品連動で行われたてんかいのふえの公式配布は、その条件や入手までの流れから片方の作品で主人公の活躍を見届けたアルセウスより、もう片方の作品の主人公へ授けられたと解釈できる演出となっている。
これにより、これまで特に触れられていなかった両作品の主人公の設定的な繋がりが浮き彫りになるとともに、アルセウスが作品を超えた干渉すらも可能としている可能性が示唆された。
余談
第7世代までの時点でLv100以外のアルセウスは「公式には」存在していない。
だが、実際にはDPtのデータ上には野生のLv80アルセウスが存在する。
これはやりのはしらで「てんかいのふえ」というアイテムを使うことで天空への階段が現れるイベントが発生し、その先にLv80のアルセウスが待ち構えているというもの。
ただしDPtでは「てんかいのふえ」はデータ上存在するものの、配信を含めて入手手段が一切存在しないアイテム(いわゆる没アイテム)であった。
従って正規の手段でイベントを発生させることはできず、その存在を知るプレイヤーからはお蔵入りとなった幻のイベントとして語り継がれてきたという経緯がある(イベントの実在自体もチートやバグを用いて解析された結果判明したものである)。当然、イベント内容そのものも公式的には存在しない扱いであり、言及されることもなかった。
その後、実に10年以上の時を経て『BDSP』でこのイベントが正式実装されたのは前述の通りである。
ちなみに、2016年、北米でのアルセウス配布の際、何故かしれっとふしぎなカード上でこのイベントに言及がなされるという珍事が発生した。
件の文章をざっくり意訳すると、以下のようになる。
- ポケモン20周年を記念して、アルセウスをプレゼント! 『ダイヤモンド・パール』で特別な笛を吹くと行ける「はじまりのま」が、初めてアルセウスと出会えた場所だったんだ。
(翻訳にあたって若干の調整を施してはいるものの)本当にこのような文章であったし、確かに没イベントの内容もそんな感じではある。しかし、あくまで没イベントであるにもかかわらず、さも本当に出会うことができたかのような説明になってしまっているあたり、意図して明かしたのかは微妙なところ。
なぞのばしょ
隠しマップにいるダークライやシェイミと違い、イベントと戦闘がセットになっているため、DPにおけるいわゆる「なぞのばしょバグ」でも出会うことはできない。
…というのが通説だったのだが。
なんとDP発売から10年経った2017年になって、バグを利用したアルセウスの入手方法が海外ユーザーにより発見された。(Void Glitch - How to Catch Arceus in Pokemon D/P)
その方法は、「特定の手順を踏むことにより、パルパークのメニュー経由で“はじまりのま”でアルセウスと遭遇するスクリプトを実行させる」というものだった。まさに執念の産物である。
しかもこのバグ、手順がダークライやシェイミより遥かに面倒な代わりに同じ手順を踏めば無限に捕獲可能。ニックネームも勿論任意。
ただしはじまりのまのスクリプトを実行したものにもかかわらず、このバグは戦闘前に場所が「なぞのばしょ」に戻る為、「なぞのばしょで捕まえた」となる。
ちなみにこの方法で捕獲したアルセウスは、ダイヤモンド産かつ四世代の中でLv100にした状態で五世代以降に送るとポケモンバンクには弾かれない(理由については割愛する)。
とはいえ、当然ながら公式産のアルセウスではないため、その点は重々留意されたい。
種族値
HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
120 | 120 | 120 | 120 | 120 | 120 | 720 |
設定で「全てを超越した神」と謳われるだけあり、能力値はオール120とフルスペック。
種族値合計720は、トレーナーやイベントが絡む特殊な形態変化を除き堂々の全ポケモン中第1位である(前述の設定を考慮すると、このスペックもまた分身体としてのそれに過ぎないようだが)。
素早さ120は伝説・幻ポケモンの中では速い方であり、多くのポケモンに先制できる。また伝説ポケモンの中では耐久の高さも優秀であり、物理特殊共にクレセリア並の耐久力。
種族値が全体的に高いポケモンは「器用貧乏」の烙印を押されることがままあるが、それもここまで来ると種族値の暴力。むしろ「オールマイティ」「器用万能」と呼ぶのが相応しい(ちなみに全てのひでんマシンを習得可能なので豪華秘伝ポケモンとしても運用可能)。
普段はノーマルタイプだが、「〜プレート」を持たせる事によってタイプが変化(タイプシフト)する。
例えば「ひのたまプレート」ならほのおタイプ、「こわもてプレート」ならあくタイプに変化するため、みずタイプになり雨パなどの専門パーティに投入する、ドラゴンタイプになり広い攻撃範囲を手に入れる、こおりタイプやあくタイプなどの伝説戦に刺さりやすいタイプでパーティの穴を埋めるなど、自分好みのカスタマイズが可能になっている。
余談だが「あおぞらプレート」を持たすことで、BWでトルネロスが登場するまで唯一、ひこうタイプ単色になれるポケモンであった。(へんしょく、テクスチャーなどのタイプ変化は除く。)
また、隠し効果として「ミイラ」「なやみのタネ」「なかまづくり」などの特性に干渉する技を一切受け付けないという特殊な性能を持っており、さらにプレートを持っている時ならば「どろぼう」「トリック」など道具の所有に関わる技も受け付けなくなっている。
専用技は特性同様所持しているプレートによって技のタイプを変える「さばきのつぶて」である。
性能は威力100/命中100/PP10と文句のつけどころのない安定技。
この技は特殊技なので、事実上威力100(プレート込みで実質威力120)かつタイプ一致の特殊技を各タイプずつ1つ持っていることになる。
またノーマルタイプの高威力先制技「しんそく」をタイプ一致で使うことができ、その他にも各タイプ物理・特殊の高威力技を満遍なく覚える。
また変化技も豊富であり「つるぎのまい」「めいそう」「コスモパワー」などの積み技に加え「じこさいせい」、各種壁、「ほろびのうた」「じゅうりょく」「おいかぜ」などといった味方のサポートまで行える。
アルセウスの最大の強みは優秀な種族値と前述した多彩な技からなる万能性。
剣舞神速・天候パーティのエース・ドラゴンプレート「りゅうせいぐん」・「コスモパワー」「じこさいせい」で耐久・ほろびパーティの始動役・高い種族値を生かした「じゅうりょく」「おいかぜ」でのダブルサポーターなどなどできることにキリが無く、プレート次第では全く異なるタイプで登場することもあって完全な対策はほぼ不可能。
特に「出てくるまで(場合によっては出てきても)何をしてくるかほぼ分からない」点は脅威の一言であり、高い素早さと積み技の存在から型が分かった時にはもう手遅れ、ということも珍しくない。幻のポケモンゆえに活躍の場は限られるが、現状でも最強ポケモンの一角と言って差し支えないだろう。
もちろん完全無欠というわけではなく、型の相性や読み合いによっては押し切られたり天候勝負に競り負ける可能性もある。極めて強力なポケモンであることは確かだが、ゲームバランスを崩壊させるほどではない点で上手くバランスが取れていると言えよう。
第6世代
X・Yで新アイテム「せいれいプレート」が登場し、フェアリータイプにもなることができるようになった。これにより今まで以上に(主にさばきのつぶての)攻撃の幅が広がり、禁止級に多いドラゴンタイプに対して更に強く出られるようになった。
2015年の映画の前売り券での入手が可能なアルセウスは「ブラストバーン」・「ハイドロカノン」・「だいちのちから」を覚えており、前2者は各タイプでは「さばきのつぶて」よりも威力が出る。
第7世代
『サン・ムーン』では従来のプレートの他に新たにZクリスタルでもタイプが変わることが「ポケットモンスターサン・ムーン公式ガイドブック」の記載から判明し、プレートと違い素の火力が落ちる代わりに「さばきのつぶて」などをZワザとして使用することが可能になった。
ただし当然プレートではないので、Zクリスタルでタイプを変えたとしても「さばきのつぶて」はノーマルのまま。
アルセウスは多くの特殊技を覚えるのでそれらをZ化する事になるのだが、プレートさばきのつぶての実質威力180に対し、プレートなしシャドーボールは実質120、かえんほうしゃ等の各種特殊威力90技は実質135とZ抜きでの火力が大分低下してしまう点に注意。Zシャドーボールの実質威力は240、Z90技は約262となるのをどう見るか。
一方、Zブラストバーン/ハイドロカノン/はかいこうせん/ギガインパクトの実質威力は300となるため、この場合の瞬間火力は大幅に増す。
しかし、ムーンフォース、マジカルシャイン、じゃれつくを覚えないため、フェアリーZを持ったとしてもラブリースターインパクトは撃てない。
剣舞神速のストッパーとなるカプ・テテフや上から弱点を突いてくるマーシャドーが登場し、アルセウス側も彼らを意識して動かざるを得なくなったところもある。
第8世代
『ソード・シールド』には残念ながらアルセウス自体は登場しないが、ポケジョブにてその名前を冠した「アルセウス製薬」という製薬会社が登場している(企業ロゴもアルセウスを象ったものになっている)。
『LEGENDSアルセウス』ではノーマル版のプレート「まっさらプレート」に加え、「レジェンドプレート」という専用アイテムが登場。
このレジェンドプレートだが、「全タイプの技の威力を1.2倍。更にさばきのつぶて使用時、相手の2倍または4倍弱点を突ける相性有利なタイプへシフトする」という正真正銘の壊れアイテム。
プレートによる1.2倍補正に加えて必ずタイプ一致補正(1.5倍)と弱点補正(2〜4倍)が乗るため、ノーリスクかつPP10のさばきのつぶてが実質威力360〜720というZワザも裸足で逃げ出す威力に変貌することになる。
対戦環境に持ち込まれれば確実に環境が崩壊するレベルの代物だけに、後述する9世代では流石に実装されることはなかった。
なお、LAを含めた本編作品やポケモンホームの図鑑では、本来フォルム名が掲載されるべき場所に『アルセウスのすがた』という記載がなされる。
これはタイプシフトした姿を含めた全形態が一種のフォルムチェンジとして扱われていることによるものらしく、LAではプレートを用いてタイプを変えるとそれに応じた姿が図鑑に記録されていく。
『ソード・シールド』から復活した連れ歩き(フィールドでの触れ合い)機能だが、アルセウスが歩行する際は他のポケモンのような足音ではなく、宝石が煌めくような特殊なSEが発生する仕様が存在する。細かいながらも別格感を感じさせる演出と言える。
第9世代
『SV』では2023年5月30日のホーム連携により解禁。LA同様にプレートを持たせるとタイプが変化する演出が挿入される。
また、剣盾相当の連れ歩き機能が完全復活したため、前述の神々しいSEを響かせながらフィールドを闊歩するアルセウスが見られるようになった。
本作のプレートは手持ちかボックスにアルセウスを入れた状態で出現する女性NPCによるマリナードタウンの競りで手に入る。1つずつしか手に入らないのだが、500円という格安から始まる上、日付を跨がずとも連続で競りができる特別仕様となっている。
対戦の性能としては、今までの性能から、さらにテラスタルを獲得したことにより大幅に強化された。
まずノーマルテラスによるしんそくはカイリューが証明している通り非常に強力。アルセウスの場合は素の攻撃種族値こそカイリューよりも少し低いが、タイプ一致2倍補正(フォルムがノーマル時)が乗るので、カイリュー以上の火力を叩き出すことが可能。
積み技も大量追加され、今までのつるぎのまいに加えてりゅうのまいやビルドアップ、こうそくいどうも新規取得。耐久型としてはテンプレであったおにび+めいそうに加えて、てっぺき+ボディプレスも覚えるようになったのでより戦略が広がっている。
またプレートによるタイプの変更から、さらにテラスタルでタイプの変更が可能になるという独自性も持っており、より柔軟に立ち回れるようになっている。
これらの点からランクマッチで解禁されれば間違いなくメタになりうるだろう。
また、その汎用性からレイドバトルでも非常に優秀。ステラテラスさせれば、あらゆるタイプのレイドで活躍が可能である。
本編作品でありながらシリーズ初のアクションRPGとなった本作では、概要の通り物語の鍵を握る存在として登場した。
ネタバレを含む詳細についてはアルセウス(LEGENDS)を参照。
ポケモンカード
ルールを覆す力『アルセウスルール』を持っており、このルールが書かれたアルセウスのカードはデッキに何枚でも入れることが出来る(ただし『アルセウスルール』の効果がカードに書かれてないアルセウスにはこのルールは適用されず、通常通り60枚のスタンダードデッキでは4枚まで、30枚のハーフデッキでは2枚までしか入れられないので注意)。
ポケモンレンジャー光の軌跡
本編には全く絡まなかったが、古代編(通信協力ミッション)で登場。ラスボス(事実上の裏ボス)を務めた。
古代のオブリビア地方で崇められていたと思しきポケモンで、闇の長サーグに唆されたエウロンによって黄金のヨロイカブトで操られていたが、最終的に光の神殿で主人公にキャプチャされてどこかへ消えていった。
その後配信限定のエクストラミッションで現代にも登場。空中要塞(本編終了後なので実際は海に浮かぶ海上要塞)に出現。過ちを繰り返し続ける人間たちとパープルアイの態度に怒り、裁きを下そうとした。怒りの強さからキャプチャは不可能になっていたが、シンオウ三龍がひかりのかべを解除し、キャプチャが可能になった所をキャプチャされ、怒りを鎮めた。
その後、全く反省していないどころかアルセウスを利用しようとしたパープルアイを(本当に心を入れ替え反省するまでの間)自身の住む異世界に連行する事となった。その後のパープルアイの行方を知る者はいない…。
通信協力ミッションの戦闘でははかいこうせんを様々な方向から撃ってくる。エクストラミッションではりゅうせいぐんやシャドーボール、光の柱を使ってくる。なお、ブラウザに登録できるのはエクストラミッションのみ。
ポケモン不思議のダンジョン
空の探検隊
最難関ダンジョンであるうんめいのとうを99階まで登るとその姿を拝む事ができる…が、本人が直接登場する訳ではなく、像として登場する。アルセウスを仲間にすることは叶わないが、代わりに持たせたポケモンの技の威力が2倍になるチート道具「じくうのオーブ」が手に入る。また、アルセウスの像には「じくうをこえて こころをひとつに」と刻まれている。
また、追加エピソード「あんこくのみらいで」で消滅するはずだった未来世界を修復したディアルガの上位存在としてその存在が示唆されている。
ポケモン超不思議のダンジョン
物語終盤で世界が危機に陥った際に世界にいるすべてのポケモンに呼びかけ、主人公達に協力する。
最終盤にはポケモン達の負の感情の集合体であるダークマターの影響で石化してしまったが、生命の木に転送した主人公達の活躍でダークマターが消滅したことで復活し、世界中のポケモンに事の顛末を伝えた。
そして本作では遂にアルセウスを仲間にすることも可能に。ただしそこは創造神、会うためにはアルセウスを除く719体全てのポケモン(伝説や幻を含む全国図鑑No719までのポケモン全員)を仲間にする必要がある。
見事達成すると依頼が発生。空の探検隊と同じく「うんめいのとう」を99階まで登る事によって仲間にする事が可能。温和な神らしく丁寧語を用いており、後述する威厳マシマシの映画版アルセウスとのギャップに驚かされたプレイヤー多数。
なお、本作では自身をポケモンに含んでいると解釈できる台詞があり、丁寧な口調こそ似ているが『LEGENDSアルセウス』で登場した御本尊とはやや異なった印象を受ける。
ポケモン+ノブナガの野望
今作のラスボスであるノブナガとの最終決戦にて一時的に仲間に加わる。
使う技はさばきのつぶて(ノーマル固定)。本家ではマルチタイプという特性だったが今回はプレートもなく、代わりに「ぜんちぜんのう」という最強の特性を持つ。その効果は「すべてのタイプの敵に攻撃が当たる(それも等倍ダメージとなっている)」、「運がよければ敵の攻撃をかわす(ちょっかん、たちさばきと同様の効果)」、「ターン開始時にHPが少量回復(さいせいボディの効果)」、「崖の高さでも上り下りが出来る(みがるの効果)」という性能。
素のステータスも非常に優秀で、ほんの少し火力が伸び悩むが耐久素早さが最強クラスで登場するほぼ全てのポケモンを役割対象にできるレベル。
強いて欠点をあげるとすればさばきのつぶてでは特性で与えるダメージが等倍止まりとなるため全員に4倍弱点どころか2倍の弱点すら突けないところだろう。もっとも、ノーマルタイプ固定である以上元々誰の弱点も突けないし、それでも十分強いのだが。
クリア後に主人公のエピソードにて主人公とイーブイ系とのリンクを80%にして主人公をランク3に進化させるとアルセウスがハジメの国に出現する。
そのクリア後の主人公のランク3のブショーパワーが「攻撃が1段階上がり、2回行動できる」というモノである。それの効果がアルセウスに付けば、もはや無双と言っても過言ではない状態になる。更に背水のお札の効果なんかもこれに付加すれば攻撃・防御数段階アップに移動が5、更に2回行動という、ぶっ壊れポケモンの完成である(2回行動は1ターンのみだが、移動5に攻防アップは脅威)。
その性能は多くの伝説のポケモンを上回り、これとまともに戦えるのがミュウツー(こちらはあくタイプに攻撃が効かないので事実上下位)や色違いのレックウザ(火力では素のアルセウスを上回るが耐久で劣り、ブショーパワーを加味すると撃ち合いで負けうる)、ヨシヒロのブショーパワー(攻撃+3、防御-1)がついた高火力格闘くらいしかいないのがその性能を物語る。
余談だがランセ地方の全体像はアルセウスの形になっている。
大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ
『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』以降の作品で、アイテムのモンスターボール、マスターボールから出現するポケモンとして登場。
「じゅうりょく」を操り、空中にいる相手を強制的に真下に叩き落す。地面のないところで攻撃を受けると一気に画面外に叩き落されるので要注意。
CVはやはり美輪明宏氏……ではなく、ラティアスと同様に林原めぐみ女史が担当している。
『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』ではスピリットとしても登場する。当然ながらランクは★★★★。全体的に能力が高く、スロットも3つだが能力がないため、よく言えば安定、悪く言えば平凡な性能。パワー偏重かつシールド削り強化の効果を持つギラティナ、実質上位互換となる追加スピリットの剣盾姉弟の存在から、スピリットに関しては正直肩身が狭い。
余談だが、同作でステージに現れたアルセウスは神々しい光を全身から放ち続けるという特殊仕様が存在している(わざのエフェクトとは無関係に常時御光を放つ)。伝説・幻を含めて類似仕様を持つポケモンはおらず、別格感はスマブラでも健在である。
ポケモンマスターズEX
現状、アルセウス自体は登場していないものの、メインストーリー『謎の石編』では、テル(ポケマスでのLEGENDS本編は男主人公の世界線でストーリーが進んでいる)がヒスイ地方へ転移する前に聞いたものと同じ声、つまりアルセウスらしき声を聞いた。それを踏まえた上でアルセウスと関係の深いディアルガとギラティナの声(パルキアはアカギがバディーズとしており、アカギの協力を得られなかった為不在)を聴いたNによれば「あまり深い事は話せないが、アルセウスの気配が日々強まっている事だけは確か(意訳)」らしいが?
ちなみにギラティナは「アルセウスについては話す事を拒否している」との事。
アニポケ・サトシの旅シリーズ
劇場版『アルセウス 超克の時空へ』
- CV:美輪明宏
神々の戦い三部作と銘打たれた映画シリーズの最終章を飾る主役として鳴り物入りで登場。
映画公式サイトでは「今までのどんなポケモンよりも強大」と称され、劇中でもその設定に違わぬ圧倒的な強さを見せた。
使用した技は「さばきのつぶて」「はかいこうせん」「たつまき」「ふぶき」。
いずれも伝説のポケモンをものの数発で戦闘不能にする激烈な威力を誇り、余波による環境破壊も甚大そのもの。
また、このうち「はかいこうせん」は他のポケモンのそれとは異なる特殊仕様で、アルセウスが放つものは光線本体が極太化しており、かつ光線の周囲に円状のオーラが発生する(同作に登場するディアルガが放つそれと比較すると一目瞭然)。
監督である湯山邦彦氏からは「世界を作った全知全能の存在という設定、イメージがある」と語られており、物語に登場させるにあたってはそのスケールに苦慮したというエピソードがある。
特に設定の通り「全知全能」として描くとあまりに強すぎてストーリーが面白くならない点は大きな課題になったらしく、苦肉の策として映画オリジナルの解釈を交えつつ、プレートの欠けた不完全な状態にすることでドラマを作り出す、タイムスリップの流れを盛り込み問題解決の説得力を持たせるなどの手法が採られたという。
また、その創造神的なイメージを表現する一環として声優にモロの君で知られる美輪明宏氏を当てるという采配は絶大なインパクトがあったようで、氏の好演も相まってこの映画の公開以降アルセウスの形容として「美輪明宏」「ミワセウス」という呼称が広まった(流石に黙れ小僧は作中では言っていない)。
ゲームにおける16のプレートはアルセウスの一部にしてその命の欠片(命の源とも)とされ、これが完全に揃ったアルセウスは不老不死の存在とされている。
オリジナルの設定として通常は16枚(当時せいれいプレートとまっさらプレートは設定レベルで存在しなかった)のプレートを内包しており、必要に応じて周囲に放射状に展開する。
16のプレートはそれぞれが各タイプの力を持ち、その力によって相手の攻撃を無効化してしまうため、プレートの揃ったアルセウスにポケモンがダメージを与えるのは事実上不可能である。
また、仮に散逸してしまった場合であってもプレートが一つでもアルセウスの中に残されていれば、他のプレートは半ば自動的に本体の元へと還ってくる。
大昔、世界が滅亡するほどの規模とされる巨大隕石を破壊して物語の舞台となる惑星を守ったが、破壊の衝撃で全てのプレートが弾け飛んだことにより瀕死に陥る。
だがその光景を目の当たりにした人間のダモスが散逸したプレートの一つをアルセウスの元に還したことで復活を遂げ、その恩に報いるために隕石の余波で傷ついた彼の故郷・ミチーナの復興に力を貸すこととする。
アルセウスは自らの命の源であるプレートのうち、「水・地面・草・雷・竜」の5つを一つに結集して「命の宝玉」を創り出し、命の宝玉の力で荒れ果てたミチーナには瞬く間に緑溢れる自然が戻った。
だが、プレートを結晶化した命の宝玉はアルセウスの一部も同然であり、それを失ったアルセウスの命は限りあるものとなるのみならず、失ったプレートに対応する攻撃も通用するようになってしまう。それゆえ、ダモスは自然が戻ったミチーナを人間の手で完全に復興させ、次の皆既日食の日には命の宝玉をアルセウスへ返すことを約束する。
しかし、命の宝玉を失えばミチーナは荒れ地に戻ってしまうのではないかと危惧したギシンのドータクンのさいみんじゅつによりダモスは操られ、約束通りに命の宝玉を返して貰いに現れたアルセウスはギシンの数十匹以上のポケモン達のだまし討ちによる集中砲火(命の宝玉を作ったことで唯一通用するようになったでんきタイプの攻撃)、更には落石の罠によってダメージを負う。
不老不死を犠牲にして命の一部を授けたにもかかわらず裏切られたアルセウスは激怒し、ダモスが築いた神殿諸共にギシンたちを葬り去ると、傷を癒すために眠りについたのだった。
そして現代、長い眠りについていたアルセウスは今度こそ命の宝玉を取り戻し、更に人間に裁きを下すために覚醒する。
前々作で出会うはずのないディアルガ・パルキアの時空が接触したのは、強大な力を持つアルセウスの覚醒が近づき、周囲を取り巻く時空が不安定になったため。この事件が尾を引いて前作に繋がることとなったことから、神々の戦い三部作と称された第四世代の映画シリーズ全体の発端とも言える(正確に言えばギシンの裏切りが全ての原因だが)。
命の宝玉を失った不完全な状態にもかかわらずその力は絶大で、人間を守るために現れたディアルガ・パルキア・ギラティナの攻撃を全く寄せ付けずに纏めて圧倒するほど。
正攻法では勝ち目がないと見たディアルガは「事情を知る現代の人間を過去に送り、かつてのアルセウスと人間の関係を修復することで現代のアルセウスの怒りを鎮める」という方法に望みを託し、サトシ一行は過去の世界へ飛ばされることとなる。
結果としてサトシ達の介入によりギシンは図らずも「アルセウスの抹殺に失敗して怒りを買い、逆に自らが滅ぼされる結末」を知り、無数のポケモンによる総攻撃に加えて「銀の水」と呼ばれる物質(融解した金属)によるアルセウスの拘束・完全な抹殺を企てる。
この計画を阻止できなかったことで歴史が変わり、サトシ達は歴史に介入しに来た事実諸共消滅しかけたものの、催眠を免れたダモスの必死の説得により和解に成功。
命の宝玉を受け取ったことで完全体となったアルセウスは銀の水によって崩壊寸前だった神殿を瞬時に修復、更に無数のポケモン達を操っていた拘束具も解除し、ギシンの策謀に終止符を打つ。
そしてかつてのダモスと同じく己の命を救うため奔走したサトシ・ピカチュウと親交を結ぶが、騒動の中で力を使い果たしたことにより眠りについた。
これにより歴史が変わったことで現代のアルセウスも怒りを収め、更に生きながらえたダモスが人々とともに守り続けた緑溢れるミチーナの地を目の当たりにする。
アルセウスはサトシに「お前達の世界は素晴らしい所だ」と言い、「私もこの世界の一部だということが、今やっとわかった気がする」と語りながら去っていった。
「命の宝玉」は自然を形作る要素である「草・水・地」の力、それらを溶け合わせる「雷」の力、それを高める「竜」の力によって構成されているとされる。現実的に考えると、「雷」は地面に着弾する事で地中の窒素を固定化して土壌を良くする役割があり、「竜」は地面に流れるエネルギー「龍脈」と関係し、自然の神格化としての側面を持っている。
ちなみに、ゲーム版でもディアルガ、パルキアを縛る道具として登場した『あかいくさり』はアニメ版に登場した際の形状がアルセウスの輪と同じものになっている。
映画『光輪の超魔神フーパ』
大昔、アルセウスに自然と通じ合うチカラを授けられたというアルケーの谷の人々が登場。
アルケーの谷の人々は、アルセウスを「千の腕で宇宙を作り出した」という伝説から千宙腕(せんちゅうわん)として信奉し、アルセウスの胴体部の装飾に似たペンダントを身につけている他、そのチカラ(自然の力を用いた超能力)を使うことができる。
外界との交流に距離を置きながら、その自然と通じ合う力を大事にし、チカラを使いこなす人々は様々な形でカロスの人々のために貢献してきた。
100年前には、特にその強い力を持つグリスが、デセルの街で暴れているというフーパの噂を聞きつけ、自分の力に溺れ暴れていたフーパを、水・火・土の力から作り出したいましめのツボによりその力の大半を封印、フーパを「いましめられし姿」にするという芸当をなしている。
ちなみに、この映画内ではサトシが上記に書かれてあるペンダントを見て、このマークを何処かで見たことがあると発言。シトロンがアルセウスのものと同じと気づいた際に「そうかアルセウスの…」と言っている(小説版ではシンオウ地方で会ったと言及。なお、凄い体験のはずだが誰も突っ込まなかった)。
アルセウス自身は映画のラストに降臨。伝説のポケモンを無理に集結させたことで発生してしまった、パルキアでも止められず、集結した伝説のポケモン9匹掛かりの総攻撃でも崩壊を遅らせるのがやっとの空間崩壊を停止させ、フーパが崩壊から脱出するための時間を稼ぎ、そして全てを見届けると何も言わず去っていった。
小説版ではこの空間崩壊は「ポケモンがコントロールできない高次の力」とされており、それを停止させたアルセウスの規格外ぶりがより強調されている。
映画『名探偵ピカチュウ』
ライムシティの名士であるハワード・クリフォードの自室(会長室)にディアルガ・パルキアと共にアルセウスの彫像が置かれている(ギラティナの彫像がないのは、神に叛旗を翻した存在とみなされている上、現実世界からは隔離されている「やぶれた世界」を拠点にしているという生態からだろうか)。
また、別のシーンではピカチュウが「アルセウスの母よ…(Mother of Arceus)」という台詞を述べるシーンもある。これは現実世界における「聖母マリア様(Mother of god)」というスラングの捩りと思われ、あちらの世界でもアルセウス=万物の神といった認識はあるようだ。
ポケットモンスターSPECIAL
第9章に登場。プレートの力を失い、人間との関係が変化したことに絶望し眠りについていた。シンオウにて下界に引きずりおろされた時点で人間に見切りをつけようとしていた。
ロケット団四将軍・アポロの手でシンオウ地方にて甦り、ジョウト地方の38ばんどうろでクリスタルとロケット団四将軍の前に姿を現す。
捕獲のスペシャリストであるクリスに一瞬捕獲されかけるが逃走してエンジュジムの上半分を丸ごと吹き飛ばす。その後はアルフの遺跡に向かい、ゴールドを自ら作り上げた領域に閉じ込めて戦い、四将軍・シルバー・クリスタルをも巻き込みシント遺跡へと移動するが、アポロに捕らえられてしまう。
全てのプレートの力を取り戻し、後の時系列である第7章や第8章でも登場するディアルガ・パルキア・ギラティナを創造。シンオウとジョウトをつなぐ非常に特殊で不安定な領域であるシント遺跡で伝説の3匹が争うことで、ジョウト地方とシンオウ地方がともに崩壊する寸前になる。
しかし、これは人間が崩壊を食い止められるかを懸けるための行動であったようで、ゴールドとの交戦を経て彼が手持ちであるトゲたろう(トゲキッス)と向き合ったことを認めると、どこかへ飛び去って行った。
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