「モモワーイ!」
基礎データ
全国図鑑 | No.1025 |
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ブルーベリー図鑑 | No.243 |
ローマ字表記 | Momowarou |
分類 | しはいポケモン |
タイプ | どく/ゴースト |
高さ | 0.3m |
重さ | 0.3kg |
せいべつ | 不明 |
特性 | どくくぐつ |
タマゴグループ | タマゴみはっけん |
他言語版の名称
ドイツ語 | Infamomo |
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英語・スペイン語・イタリア語 | Pecharunt |
フランス語 | Pêchaminus |
韓国語 | 복숭악동 |
中国語 | 桃歹郎 |
概要
DLC「ゼロの秘宝」の番外編「キビキビパニック」に登場するポケモンで、スイリョクタウンにある桃沢商店に飾られていた謎の置物の正体。
今作における幻のポケモンであり、ポケモンHOMEで交換する事ができない。
ドローンの如く宙を浮かぶ、毒々しい色をした桃の実のような姿をしているが、これは分厚く強固な殻に身を包んだ状態。
有事の際には殻を開いて、桃太郎の怨霊・人魂じみた種っぽいデザインの本体を現す(バトル時は常に殻を開いた状態)。
この殻は本体とは独立しており、自身の意志で制御可能。ピンク色に光る殻の内側は猛毒の貯蔵庫になっており、ここから毒素で出来た鎖などを射出する。
タチが悪いのはこれの使い方。
モモワロウの毒は生物の奥底に眠る欲望や願望を引き出し能力を底上げする作用を持っているのだが、この毒素を練り込んだ「くさりもち」と呼ばれるモチを作り出し、食べた相手を毒性と呪いで洗脳。「どくのくさり」で操り使役するという、分類の「支配ポケモン」の呼び名に違わぬ凶悪な性質の持ち主。
くさりもち自体は仄かな甘みでとても美味しいらしく、口に投げ込まれてもそのまま食べてしまう者が多いのが、厄介さに拍車をかけている。
この力は人間に対しても有効であり、支配された人間は「キビキビー!!」なる奇声を発しながら奇妙な踊りを踊り続けるというシュールながらも不気味な光景が発生する。
そうして洗脳された人間を介し、より多くのくさりもちを人々にふるまわせ、支配圏の拡大を目論む様子も見られた。
いわば操ったポケモンや人間を傀儡にして、自分の手を汚さず略奪を行う狡猾な黒幕の立ち位置であり、明確な悪役が登場しない本作において、ポケモンでありながらともっこ共々その役割を担っている。
可愛らしい外見とキテレツな絵面のギャグ展開で流されてはいるものの、このように下手すれば都市ひとつ滅ぼす事が可能という、幻に相応しい強力なポケモンである。
その反面、モモワロウ自身は非常に臆病かつ慎重な気質であり、盾になる傀儡がいないと狼狽えたり、そそくさと逃げだしたりと直接戦闘には消極的。必要時には弱々しい赤子を装ってうそなきで同情を惹こうとするなど、ずる賢く小心者な小悪党要素も強調されている。
ともっことの関連性は実は台詞としては明言されておらず後述の動画で初めて明確になったが、「碧の仮面」でスグリの祖父が語る歴史の真相のイメージの中でともっこの事を「"数匹"の欲深いポケモン」と「3匹」とは明言していなかった他、このポケモンが画面右上に見切れて写っていたこと、並びにBGMがアレンジであることや、図鑑の写真にともっこも映っていたり、図鑑説明から「どくのくさり」との関連は読み取れる等、伏線が張られていた。
なお、家来達と違って性別不明となっている。
2024年現在、色違いは未解禁。
ただし、解析によってその姿は判明しており、本体の紺色の部分が金色になっている(殻の色はそのまま)。
ストーリーにおいて
「碧の仮面」よりずっと昔から休眠状態で桃沢商店に存在しており、ホコリまで被っていたその姿は、店主含めた地元民からも単なる置物としか思われていなかった。
だが「藍の円盤」の後、「まぼろしモモン」を持った主人公が近づいたのを契機に目覚め、スグリが主人公宛の手紙を送った辺りで人知れず活動を再開。
そして桃沢商店の店頭にくさりもちを置いたり、ゼイユを始めとした操った人間を使ってくさりもちをキタカミ中にばら撒くなどし、里中の人間を少しずつ支配。
主人公と共に遊びに来たペパー・ボタン・ネモも次々と洗脳し、自身は逃げ回りつつ、最後まで被害を免れた主人公とスグリを村民に包囲させるという、さながらゾンビパニックを引き起こした。
だが、けしかけたネモも倒され、村民たちもスグリに止められている間に主人公とのバトルに持ち込まれ、そのまま敗れて捕獲される。
ボールに閉じ込められてくさりもちを通じた呪いのコントロールも途切れ、皆も目を覚まし事態は収束したのだった。
戦闘時、ともっこを繰り出すとモモワロウが「モゲゲッ! モゲーッ!」と怒っているようにも聞こえる鳴き声と反応を返す。
モモワロウからすれば、不遇だった彼らに力を与えてやったのに、自分を裏切り歯向かってきたのだから、怒る反応も理解できる。(もちろんともっこがモモワロウに洗脳されていなかったならの話ではあるが)
逆にオーガポンを繰り出すと「……がお゛ぼう゛つ!!」と、今までの様子とは違う明らかに激昂しているかのような叫び声を浴びせており、只ならぬ因縁を感じさせる。
カッコよくトドメを刺すなら毒技が弱点ではなくなるいしずえのめんで挑むのがお勧め。
また、みずびたしで水タイプに変えたり、すりかえ等の技でねらいのまとをモモワロウに渡してタイプ相性を無効化した後にかたきうちを叩き込むのも一興。
因みにこの場所は背後に洗脳村民が大量にいるせいで処理が重いのだが、テラスタルすると、更に滅茶苦茶処理が重くなる。処理落ちにとどまらずゲームが落ちたプレイヤーもいるため、やる際は要注意。
なお、アカツキのガチグマ、オーガポン、テラパゴスと同様、戦闘終了後に強制捕獲となるため、好きなボールに収めることが可能。ボールの種類に拘るのならば事前に準備をしておこう。
性格は「おくびょう」で固定だが、個体値自体はランダムで変わるため、A0厳選をすることも可能。ただし伝説系の例に漏れず3V固定となるため、難易度はやや高め。なお幻ゆえ使用できない場面も多いため、あえてA0厳選する価値はそこまで高くはない。
性能
HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
88 | 88 | 160 | 88 | 88 | 88 | 600 |
ゲンガー系統以来となるどく・ゴーストの複合タイプ。
ぼうぎょ以外の全ての数値が88統一となっている。
恐らく88は鎖を表現していると思われ、戦闘・捕獲時のレベルも88である。ちなみに8は日本では漢字で書くと「八」と末広がりの数字として縁起が良いとされているが…後述の伝承のことも考えると何とも皮肉である。
「わるだくみ」や「じこさいせい」を覚えるためフォローは可能であり、圧巻の160を誇るぼうぎょも相まって物理技に対してはめっぽう強い。
具体的にはHB特化させると同条件の輝石ポリゴン2を僅かに上回る物理耐久を得、攻撃特化グラードンの「だんがいのつるぎ」をも耐えてしまう。
物理技による一発突破を狙うなら、こだわりハチマキなどの補強は必須だろう。
イカサマが弱点で取得する有用な攻撃技は下記の専用技も含め特殊に偏っているため基本的にはA0厳選を行う方が良いが、何も考えずにひたすら殴る場合は物理技の方が威力が高いので物理型で育成するのもあり。
特徴となるのは専用特性「どくくぐつ」であり、モモワロウの技でどく状態になった場合、追加でこんらん状態に陥らせるトリッキーなもの。
この為「つるぎのまい」などで能力値アップを狙っていると先にどく状態とこんらん状態にされ、自滅に追い込まれる場合も。
説明文に「モモワロウの」と書かれているためか他のポケモンがこの特性を得ることはできない(なやみのタネ等で消すことは可能)。
専用技「じゃどくのくさり」は高威力に加えて50%の確率でもうどくを付与するため、基本的にはこれを狙って立ち回る。
ただし初期PPが5と少ないので、考えなしの連発はできない。モモワロウ自身がかなり耐久寄りの種族値配分であり、混乱でかく乱しつつ居座って毒で削る戦法が取りやすい点を合わせて、「どくガス」や「どくどく」により確実にどく状態にする手を取る余地も十分ある。
また、ゴーストタイプではあるが自力で覚えるゴースト技は「シャドーボール」と「おどろかす」のみ。基本的には特殊技で殴っていくため、わざマシンで「たたりめ」を覚えさせるのも良いだろう。
「すてゼリフ」や「みちづれ」「おきみやげ」など強力な変化技も自力習得する。
トリックルーム下では先手を取れるほど遅くもない絶妙な数値であるため、メインアタッカーよりはもうどくとこんらんをバラ撒いて、相手の交代を誘発しつつ物理を受けていくサイクル役がベターだろうか。
「のろい」や「くろいまなざし」も覚えるため、物理ポケモンをキャッチして混乱で攪乱しつつ毒とのろいで削り倒すというのも嵌ればなかなか強力。
火力不足な点は「わるだくみ」で特攻を上げるか、「うそなき」で相手の特殊耐久を下げて突破することも可能。ゴースト以外にテラスしてのろいを積み物理の殴り合いを制する運用でも戦える。味方のフォローを受けるなら「ドわすれ」+「バトンタッチ」で特防もフォローするとカッチカチの要塞と化す。
テラスタルはくろいヘドロを持たせる場合は他のポケモンと同じく毒一択となる。ノーマル・格闘への耐性は失うものの、現状幅を利かせている悪やゴーストの弱点が消えるため耐久を考えるならむしろ有効に働く。
また、どく/ゴーストの弱点を全て等倍以下に抑えられるノーマルや悪、飛行もおすすめ。
ちなみに、いずれのスタイルでもどくが通らないと何もできないためどくタイプとはがねタイプがめっぽう苦手なのだが、それ以上に問題なのがサブウェポンの範囲。
覚えられる攻撃技がどく・ゴーストに偏っており、それ以外のタイプは「テラバースト」を除くところがるとイカサマのみと、サブウェポンが壊滅を通り越してほぼ皆無の一点特化ぶりである。
このため、めんえき個体のカビゴンやどく/あく複合で特防の高いアローラベトベトン、きよめのしおのキョジオーン、一致技を両方半減以下に抑えるドドゲザンが非常に苦手。他にもてんねん個体のドオーにも毒が効かない+積んでも意味がない+特防が高くてダメージが通らず、一致技を両方半減以下に加えてこんじょうで毒を逆手にとられるガチグマも三重苦になる(特にアカツキには能力面でも弱点を突かれる)。
また特殊耐久は並程度で、上からタイプ一致の特殊技で弱点を突かれると簡単に沈んでしまう。
テラバーストは覚えられるため、テラスタルを絡めてフォローは一応可能なのだが、総じて強い相手にはとことん強く、苦手な相手はとことん苦手なピーキーなポケモンである。
様々な所で見られるように他者を操って自分はこそこそと逃げるような前に出て積極的に戦うタイプではないので、フレーバー的に理にかなった技構成と言える。
因みに性格がおくびょう固定である関係上辛い味が苦手なので、フィラのみだけは絶対に持たせないようにしよう。
戦闘BGM
「戦闘!モモワロウ」
作曲:足立美奈子
編曲:前馬宏充
ともっこ戦のBGMにEDM要素を取り入れたアレンジとなっている。イントロの終わり際に不協和音のような音飛びが入り、Aメロはフレーズが1ループ増えている他、サイケデリックで視界が揺らいでいるような印象を与えるなど、モモワロウによる洗脳を強く意識させるものとなっている。サビ~Bメロは原曲と変わらない。
伝承との関係
ゲーム中では不明瞭な部分が多いモモワロウであったが、1月15日の夜にYouTubeでキタカミの里では語られていないモモワロウの昔話が配信された。
モモワロウは昔々、子供がいない老夫婦に可愛がられていた小さく臆病なポケモンだったが、「もっと愛されたい」という思いから、自らの毒で作った美味しいくさりもちを振舞った。
結果、老夫婦はたちまちモモワロウの虜になると同時に、副作用であれも欲しいこれも欲しいと様々なものを欲する欲深い人間にもなってしまった。
すぐに叶えてやるのが愛される秘訣と考えるモモワロウは、くさりもちで手懐けたポケモンを使って次の朝には届けさせたので、二人はますますモモワロウを可愛がった。
これについては後述のことから窃盗や強盗なのはほぼ確実であろう。
そんな変わり映えしない暮らしにも飽きた頃、老夫婦はどこかから聞きつけたキタカミにある世にも珍しい輝くお面すらも欲した。
モモワロウは願いを叶えてやろうと、早速キタカミの地に向かう事にした。
旅にはお供がつきものなので、前述の毒の力で飼いならしたポケモンであるイイネイヌを家来に村を出た。家来一匹では心もとないと、道中少し先の未来が見えるマシマシラに出会い、家来にしておかない手はないと彼を家来にした。それでも不安だったが、魅惑のフェロモンで心を奪うキチキギスも家来にしてようやく安心する。
準備が整ったモモワロウは野を越え、山を越え、ラプラスやイダイトウに乗って海を越える長い旅を経て、キタカミの里にたどり着いた。
早速輝くお面を身に着けた男とオーガポンを見つけたモモワロウは、マシマシラに住処を見つけさせ、イイネイヌとキチキギスにお面を盗みに向かわせた。まんまとお面を手に入れたと思ったその時、帰ってきた男がそれを目撃しお面を取り返そうと飛びかかった。イイネイヌとキチキギスはなんとか男をねじ伏せると、男が身を挺して守った碧の面を諦め、残る3つの面を持って逃げ去った。
かくしてモモワロウは3つの面を手に入れ、後は老夫婦に届けるだけ、これでもっと可愛がって貰えると無邪気に喜んだ。
……のも束の間、大切なパートナーを傷付けられ、お面も盗まれて怒り心頭のオーガポンが襲来。
モモワロウはすぐさま家来の三匹を前に立たせて戦わせるが、鬼気迫る戦いぶりに家来達は為す術なく倒され、自身もツタこんぼうを叩き込まれて瀕死の重症を負い吹き飛ばされた。
薄れていく意識の中、最後の力を振り絞って殻に閉じこもったモモワロウは、いつしか復活して再び使命を果たそうと休眠状態に入ると、森のどこかへコロコロと転がっていった。
昔話はここで終わっているが、おそらくは転がった先で現桃沢商店の祖である人間が拾ったと思われる。
まさかポケモンであるとは気付かぬまま、「不腐の桃(くさらずのもも)」と名付けた置物として、店の前に代々飾るようになったようだ。
これらの出来事からは長い年月が経っているため、モモワロウが復活した今、彼が愛する老夫婦は既にこの世にはいないであろう。この手の昔話で欲深な人間は碌な事にならないのは定番だが、彼らが亡くなるまでどうなったかは語られていない。それまでの欲で破滅したか、それともモモワロウの帰りをずっと待ち続けていたのだろうか。
復活した際に里の人々を洗脳した理由までは分からないが、老夫婦のように彼らにも愛されたかったからかも知れない。また、ともっこたちに怒っているのは仲間ないし手下だと思っていたのに裏切られたから、あるいは仲間を奪った主人公に対して怒っていたともとれる。
また動画内にて確認できるが、モモワロウが老夫婦に与えたお宝の中には、番外編を始めるのに必要なまぼろしモモンがある。突然モモワロウが目覚めたのは、かつて老夫婦が喜んでくれたまぼろしモモンに反応したのかもしれない。
なお、この昔話は公式サイトでは一説であると紹介されており、ポケモン図鑑に記されているモモワロウの生態や、劇中で紹介されたともっこが力を手に入れた経緯と差異がある。昔話の前半はモモワロウを主人公とした視点で描かれているが、後半の全体的な流れはお面職人の一家に伝わる話とも共通している(ともっこ側が善寄りに描かれたキタカミの里の伝承でも、「(目的は異なるが)オーガポンからお面を奪った」ことは共通している)ため、まったくのでたらめだと言い切る証拠もなく、このような設定の差異は現実の昔話にも見られる「分かりやすさを優先するため、意図して細部に脚色を加える」という表現手法だろう。
余談
- 仮称
ともっこに仲間がいること自体は「碧の仮面」で示唆されており、それが桃沢商店の置物ではないかとの推察もかなり早期から発生していた。さらには不正な手段により4匹目がいることが確定し、考察動画などで広まってしまっていた。
この時は名前が判明していなかったため、当作品の看板ポケモンになぞらえた、もしくはともっこ達の首領(ドン)と言う意味で仮の名前としてピーチドンの俗称がついていた。
また、モモワロウのデータ自体は後編配信と同時に入っていたようであり、番外編配信以前から専用技である「じゃどくのくさり」がゆびをふるで出たことが報告されていた。
- ネーミング
本体のデザインと桃をモチーフとした造形、食べ物で操り支配する能力やともっことの関係からして、モデルは間違いなく桃太郎だろう。
名前の由来は「桃太郎」+「桃を割る(桃太郎誕生のイメージ)」および「和郎」という「子供」「人に対する親しみまたは蔑み」を示す言葉もあるため、恐らくこの辺りの多重ネーミングと思われる。
モチーフおよびともっこのネーミング(ポジティブな意味の言葉を含む)を考えれば「桃の和郎」+「桃を割る」が由来だろう。
尚、外国名のコイツの名前は、英語版では「Pecharunt」、ドイツ語版では「Infamomo」、フランス語版では「Pêchaminus」だが、それぞれ「桃」もしくは「モモンのみ」+「好ましくない」「下劣」「忌まわしい」「無能」「出来損ない」「嫌な奴」とそこまで言うかというレベルの酷い名前がつけられている。
本編での悪行、さらに三匹のともっこ達とは違い伝承にも残っていない存在なので普通に悪の側面しかない点を見れば名前の由来に「悪(ワル)」や「わろし(良くないという意味の古語)」も含まれていると思われるため、その扱いも残当と言えるかもしれないし言えないかもしれない。
- モチーフとの関連
相手を操る時に使ったくさりもちは、桃太郎が腰につけているきびだんごが元ネタと思われる(操られた人々が発した「キビキビ」の台詞も同様と思われる)。
ただ、家来を引き連れて自ら率先して悪鬼と戦う桃太郎と、自らは戦わずに支配した人間を操るモモワロウは正反対と言える。
怒り顔をした本体を上下反転させると、模様が口を押さえた笑い顔に見える点(殻を閉じてる時に映る白い目も、上下それぞれで不機嫌・上機嫌な目に見える)や、桃を上下反転させたような形の殻、近年諸説に挙げられる「桃太郎は実は鬼ヶ島を荒らした略奪者なのでは?」という推測を踏まえると、ともっこ達も含めて「善悪を逆転させた桃太郎」をモチーフにしたデザインなのかもしれない。
なお、本作のテーマは宝探しであり番外編は『主人公が本編の旅で見つけた宝物同士が出会う話』である事を考えるとそのラスボスであるモモワロウが『宝を奪いに来た桃太郎』として洗脳能力を持っているのも妥当と言える。
更に、番外編配信日の1月11日は鏡開きの行事があり、お供え物である鏡餅を割って食べる風習から、ストーリー上で毒のモチを食べさせた点や、名前の由来である「桃を割る」とも掛けているかもしれない。
ちなみに本編のラスボスである楽園防衛プログラムとは
- 『仲間を必要としない破壊の化身である楽園の守護竜』と『洗脳を駆使して仲間を増やす策略のモモワロウ』
- 『凶悪なポケモンに殺された博士』と『自ら手を下したわけではないとはいえ人を殺した可能性のあるモモワロウ』
という点で対となっている。
くさりもちとオモテまつりで使われるキタカミもちはデザインが良く似ており、キタカミもちのルーツはモモワロウという可能性が考えられるが、モモワロウがキタカミの里には短時間しか滞在していないことから、単に普遍的なもちのデザインとも考えられる。
- 洗脳能力について
桃モチーフのポケモンではあるが、上記モモンのみとの関係は不明。
モモンのみの作用はどくの解除=解毒であること、モモワロウ自身から甘い香りがする(モモンは甘味)ことを踏まえると、本来は技で敵ポケモンをどく状態にする→モモンのみを探すポケモンにモモンの香りがするモチを与える→どくのくさりで操って手駒にする、という流れで身を守るポケモンだと思われる。
一見すると桃と毒とは縁遠いと思われるが、桃の種や未熟な実を食べすぎると中毒症状を引き起こし、最悪の場合、死に至ると言われており、モモワロウのタイプとしても理に適っている。
本種の洗脳行為には恐らく悪意は無く、生態として他生物を操る種であると思われる。
もっとも、現実にも7世紀から16世紀にかけて、自分の意思に反して死ぬか踊り疲れるまで体が踊り続けてしまう「ダンシングマニア」という伝染病があったという記録がある。老若男女を問わず数千人が影響を受け、中には飢え死にや過労死、心臓発作と洒落にならない被害を出している。
よって、悪意が無かったとしても本編の通り行動が迷惑過ぎる上、多数の人間に被害を出しているため、討伐・捕獲・無力化されるのは当然である。
- 看板の人間
ともっこの伝説が書かれた看板には、「鬼」を追いかけるともっこのシルエットの他に石かモンスターボールらしき丸いものを投げるトレーナーらしき人間の絵(腰にはボールらしきものが3つ付いている)が描かれている。村人達はこの人間が何者であるか疑問に思っており、ユーザーからは一時期は「モモワロウに操られたオーガポンのパートナー」説が挙げられた。
しかしオーガポンのパートナーは上述の通りイイネイヌとキチキギスからお面を取り戻そうとしてねじ伏せられており、洗脳されていないため否定される。
モモワロウの過去の話の配信からしばらくして、モモワロウのPVが公式配信され、そこでは看板のトレーナーらしきシルエットがクローズアップされ、モモワロウを紹介する映像が流れている。
この事から考察するに、昔のキタカミの里の人々はともっこ達を指揮する何者かがいることには勘付いていたがモモワロウには気付いておらず、ポケモンを指揮する存在=ポケモントレーナーと誤認したという可能性が考えられる。
オーガポンも鬼=化け物として当初はポケモンとは認識されていなかった(ポケモンだと知っていたのは、先祖の言い伝えを知るスグリの祖父だった)ため、モモワロウもポケモンとして認識されず伝承に語り継がれなかったとするなら辻褄が合う。
- 三つ目の看板の謎
看板の記述がオーガポンの性格や能力と乖離していたことから、当初よりオーガポンと混同された別の「鬼」がいるのではないか?と考えられていた。
そのためモモワロウが追加された直後には、先述した通りもちを使っての洗脳や支配能力から、この看板はモモワロウを指しているのではないか?という意見が上がった。
理由としては
- 「魂を引っこ抜かれる」というのは洗脳状態の様子を表している。
- 夕暮れ時なら、モモワロウの姿が見えづらく、こっそりともちを人の口に入れることができる。
- もしくは「歩いてくる影」とあることから、スグリ・ゼイユの祖母のように操られてもちを口に入れてくる人間を現わしている。
- お面をしていれば口にもちを入れられずに操られずに済む。
といったものである。
しかし翌週には昔話の動画が公開、モモワロウが最初からオーガポンを狙ってキタカミに来たのであれば、到着してから倒されるまでの時間はおそらくそれほど長くない。さらに仮面を奪ってからすぐに離れようとしたこと、オーガポン相手にモモワロウ含めた4匹のみで戦ったことを考えると、モモワロウには人にもポケモンにももちを食べさせて洗脳させる理由はあまりないと思われる。
その場合、楽土の荒地にある三つ目の看板に記された「黄昏時の鬼」の正体について疑問が残る事になる。
この問題については、作中で最も合致する存在としてガチグマ(アカツキ)の可能性が挙げられる。
- 二つ名の「赫月」が「暁」とのダブルミーニング(明け方を指す暁と夕暮れを指す黄昏は対極の意味だがどちらも日が低く暗い時間帯)。
- 泥で出来たお面を被った様な顔。
- 鬼の様に大きく頑強な体格や、鋭く恐ろしい目。
- 二足歩行で遠目では人のようにも思えるシルエットの立ち姿。
- キタカミの里で長い年月を生き抜いたという設定。
といったようにアカツキにも伝承と共通する、または近い部分が散見される。
暗くなりはじめ、遠くがはっきりと見えない時間帯であれば遠くで二足歩行をするアカツキを人の様な鬼と思うのもおかしな話ではない。
「魂を抜かれ二度と村へは戻れない」の「魂を抜く」というのが比喩表現であり、実態は襲われれば命は無く、二度と村へは戻れないという物と解釈すれば「鬼」の正体として申し分ない。
お面を被った者が襲われずに済んだのをお面同士の会釈で助かったと解釈し、そのまま後世へ伝えたとすれば正にアカツキこそ鬼と言うにふさわしいだろう。
むしろアカツキを鬼とする話に、お面を被った鬼であるオーガポンが混同された結果、「お面で素顔を隠せば助かる」という様な話になったとも解釈できるだろう。
ガチグマは進化前も含めて本来キタカミの里には居ないため、ガチグマと遭遇した当時の人物が初めて見るその姿を恐れて伝承として残したものが、「鬼」としてオーガポンと混同されたとすれば不自然な事ではないと言える。
(ただこちらもこちらで、ガチグマが大き過ぎるので、距離があろうとも人影と思うには見間違いにも程があるのではないかという意見もあるが。)
もっとも、この手の伝承でよくある言い伝えに尾ひれがついた事実無根の俗説という可能性も考えられる。
何せ、何も悪事を働いていないオーガポンを村に現れて悪さを働いたと冤罪を被せ、そのオーガポンと戦っていたというだけでともっこを英雄視して勝手に祭り上げていた迷信深い村人達のことであるから、思い込みや偏見であることないことをでっち上げていても不思議ではない。鬼という存在への恐怖心から作られた妄想、根拠となりうる出来事は最初から存在しないというパターンである。
なお先にあるようにモモワロウの昔話はあくまで一説であるため、事実は全く異なり看板の鬼であった可能性も否定できない。
また昔話の内容はあくまでもオーガポンと敵対したモモワロウについてであるため、以前に出現した別個体のモモワロウが鬼という可能性も無くはないが、普通のポケモンならともかく幻のポケモンなので可能性は低い(別個体が出てきた本作の看板ポケモンは歴代でも稀有なケースである)。
そもそもオモテ祭りがオーガポンが来る以前からあったことを考えると、スグリの祖先がお面を売るために作った話であり、そんな鬼ははじめから存在してすらいないという可能性もある。
いずれにしても憶測の域は出ず、明確な答えは示されていない。
- 幻のポケモンとして
昨今のポケモン作品では、幻のポケモンが本編で入手できること自体は珍しく無くなっているものの、新規の幻のポケモンがゲーム内で捕獲できるのはビクティニ以来となる。更にモモワロウは捕獲イベント自体が本編シナリオを進めるトリガーとなる上、上記のYouTube動画も公開されているため、歴代の幻のポケモンと比べるとポケモン本編の中で極めて高待遇な印象を受ける。
しかしポケモンのメディアミックス全体の事情を鑑みると、ポケモン映画の代替措置と考えられ、2020年公開のポケットモンスター ココ以降はポケモン映画は作られておらず、ジラーチ以降続いていた前売り券や映画館での幻のポケモンの配布が絶望的な状況となってしまっている。
このため過去作で何度か見られたように幻のポケモンをストーリーに絡ませるように配慮し、条件付きかつ有料とはいえゲーム内で出現、入手できるようにしたものと考えられる。
また、モモワロウについては上記の通りゲーム本編やYouTube動画を含めても明らかに悪者に見える描かれ方をしており、幻のポケモン全体としては極めて異質な方である。
一方で伝説のポケモンのような威風堂々たる風格はなく、見た目自体はどこか愛嬌のある風貌になっており、マスコット的な存在が多い幻のポケモンのコンセプトはしっかりと引き継がれている。
これもまたポケモン映画では真似できない方向で描いたと言えるかもしれない。
- 何故「どく」・「ゴースト」タイプなのか
様々な考察がなされているが、一説では「子供の魂が変じたポケモン」という説がある。昔話の年代がいつかは不明だが、現実でも飢饉等を理由に子供の間引きが行われた過去があるため、あちらの世界でも起きていたとしても不思議ではない。もしもそうであれば、モモワロウの正体は、間引きによって幼くして命を落とした幼子の魂から生まれたポケモンということになる。
(洗脳してまでも愛情を欲しがったのも、生前の記憶が影響しているのかもしれない…)
- 愛について
Youtube動画において、モモワロウは老夫婦に愛されていたにもかかわらずもっともっと愛されたいがために上記の蛮行を行っている。
このため、行動の内容はともかく、動機に関しては一概に悪意があるとは言えないと評されることが多い。
しかし、例えば仏教の考え方の一つとして、「愛」とは人間の何かに執着する心、欲望から産まれる煩悩である、というものがある。
もっと愛されたいという願いは、一見すると子供のように純真な願いのように思えるが、言い換えるならそれは自分への愛情が足りない、という我儘な欲望であるとも言える。
そう考えると、もっと愛されたいという欲に囚われてしまうことは、悪意があるかどうかに関わらず良いこととは言えないのである。
愛も度が過ぎればよこしまな欲望に行き着いてしまい、自分も他人も苦しめてしまうということである。
Youtube動画にはモモワロウの内面が多少描写されているが、他者からの愛情をなりふり構わず求めようとする気質は、まさしく煩悩に囚われた人間の業を思わせる。
老夫婦からの温かい愛情を受けていながら、満足できずにそれ以上を求めたばかりか、自分の能力で彼らの愛情を台無しにしてしまう有様であった。
以上のことから、モモワロウが報われない結末を迎えたのは誰のせいでもなく、ただただ自分自身の業に勝てなかったためであろうと思われる。
またそれと同時にモモワロウは生物として他者を利用して生きる寄生に近い生態をしている。
その点においてダークライのようにそのポケモン自身の感情や性格が種族としての生態とまるで噛み合っていないポケモンともいえる。
しかしこれは完全に自分の意思と無関係に勝手に能力が発動するダークライと違い、こちらは自分の意思で餅を制御できるという決定的な差が存在するため、自制する心があれば抑えれる話ではある。
ただ一方で、現実の子供が誰かに躾けられるか成長の過程で学ぶまで「自身の身の丈にあった幸せに満足する」ことが無いように、モモワロウの環境や性質ではその業を抑えることはおろか、自覚することすら難しいであろうことにはなんとも言えないものがある。
しかし、強いて学習の機会があったとすれば、一つだけ存在する。
それは、オーガポンによって復讐されたこと。
欲望のまま振る舞い、そのために他人をも傷つけ、自由意志を奪い取って己の道具にまで貶めるのであれば、それによって買った恨みによって復讐されるのは当然のこと。
オーガポンから仮面と彼女の愛するひとを奪ったこと、その結果瀕死になったことは、その当然を学ぶための機会にもなりえたと言える。
…とは言え、相手は復讐による怒りに支配されたオーガポン。「それは悪い事だ」と教えを説かれたならまだしも単なる痛みによる矯正では理解しにくいと言う側面もある。
事実、伝承においてモモワロウは「ただ愛されたかったのに理不尽に暴力を振るわれた」とまるで自分が被害者であるかのような認識をしてしまっている。
そもそもモモワロウ自身は自分の行動が他者へ迷惑をかけていると自覚すらしていなかったかもしれない。
結局、現代でモモワロウは懲りずに同じことを繰り返し、またもや成敗されることとなった。
しかしこの一件で過去と変わったことがある。それはトレーナーである主人公に捕まえられたこと。
それまで悪気は無かったとはいえ人のものを盗んでいたオーガポンが変われたように、モモワロウも人間社会のルールや倫理観を学び、今後は人間と共生の道を歩むことが全く不可能であるとは、必ずしも言えないのではないだろうか。
…しかし公式からも「泣きまねをして同情を買うなど弱々しい赤子のように振舞うずる賢い一面もある」と、弱者としてふるまえば庇護されると理解している事を遠まわしに伝えるような紹介のされ方をしており、結局本当に悪意が無かったのかはモモワロウにしか分からない。
なお、ポケモンシリーズの生みの親である増田順一氏(現在は(株)ポケモンのチーフ・クリエイティブ・フェロー)は、ポケモンXYの攻略本のインタビュー記事の中で、「悪役のボスは、極端な執着を持った人物として描写している」と述べたことがある。モモワロウは人間ではなくポケモンであるが、愛に対して非常に強い執着を持つ存在として描かれており、「ポケモンの悪役のボスは極端な執着を持っている」という方向性はしっかり継承していると言える。
- 立ち位置について
見過ごされがちだが、実は何気に第五世代のケルディオ以来となるトリオマスターのポケモンである。
- 図鑑について
キタカミの里に出てくるポケモンだが、登録される図鑑はキタカミ図鑑ではなくブルーベリー図鑑である。
関連イラスト
関連タグ
各世代最後のポケモン組(暫定)
図鑑番号順
1024.テラパゴス(ノーマルフォルム/テラスタルフォルム/ステラフォルム)
→ 1025.モモワロウ
同複合タイプ
関連ポケモン等
- ウツロイド:他の生物に寄生し、覚醒作用のある毒で潜在能力を引き出して暴走させ自分を守らせる生態を持つウルトラビースト。こちらは未知の世界に迷い込んだが故の生存本能からくる行動と見られ、アニメ版などでは人間を理解し歩み寄ろうとする描写も見られる。
- フーパ:同じく、過去に人の願いを無遠慮に叶えた末大惨事を起こしてしまった幻のポケモン。こちらは過ちをしっかりと諭してくれる人に出会えた事で、己の過ちに気づくことができた。
- カラマネロ(アニポケ)、ダークライ(ポケダン)、ギラティナ(LEGENDS):ポケモン自体が個人的なエゴをもって黒幕を務めた前例。