概要
演劇等において観客席(現実)と舞台(フィクション)の間に概念上存在する透明な「壁」(映像作品で言うスクリーン)である。ちなみに第一〜第三の壁は、いずれも舞台を物理的に囲っている壁(正面奥、左右)のことである。
「物語」は「現実」の我々とは違う場所にあり、それらを隔てる存在をそう読んでいる。
この壁を破ることを、今風に表現すると「メタフィクション(メタ)」となる。
解説
第四の壁は写実主義の出現とともに19世紀から発生した概念であるといわれる。この第四の壁によって隔てられた現実の世界とフィクションの世界は、基本的には互いが互いに物理的影響を与えることのない、相互的な不可侵の領域である。しかし、場合によっては演出的手法として、登場人物が現実側の存在である作品の受け手や制作者などの存在、あるいは自分たちのいるのがフィクションの世界であることを意識したセリフを喋ったり、突如観客に対して問いかけや語りかけをするなど、フィクション側から現実側への干渉が行われることがある。このような演出を俗に「第四の壁を破る」と呼ぶ。
キャラクターが観客に問いかけたり、解決策を求める作例は演劇から幼児用アニメーションまで幅広く使われているが、pixivの諸氏に身近なのはロールプレイングゲームにおいての第四の壁だろう。ロールプレイ、PLにPCを操作させる≒一体化することで「物語」に参加させる手法を、あえて破ることでプレイヤーへのメッセージ性をもたせた作品も多い。これはRPGの前提であるロールプレイを破壊する事にほぼ等しいこと、昨今はどちらかというとメジャーなことから難易度の高い演出である。
なお、ギャグ作品の該当者の場合はほとんどの場合作品の展開がシリアスになると途端に第四の壁が認識できなくなる。
認識・突破できるキャラクター
※作品がシリアス展開でも第四の壁を認識できるキャラクターは太字。
- 荒井三兄弟(パワポケ)
- 天野漂(月華の剣士)
- ケフカ・パラッツォ(ファイナルファンタジー6)※明確な描写が見られるのはDFFシリーズから。
- サイタマ(ワンパンマン)
- ザ・ヴァーティゴ(ニンジャスレイヤー)
- 講釈師(忍者戦隊カクレンジャー)
- デッドプール(MARVELシリーズ)
- シーハルク(MARVELシリーズ)
- スパイダーマン(MARVELシリーズ)-アルティメットスパイダーマンでのみ視聴者に話しかけてくる
- 斉木楠雄(斉木楠雄のΨ難)
- プロビデンス(ブレイブリーセカンド)
- アコール(ドラッグオンドラグーン3)
- 古畑任三郎(同名のドラマの主人公)
- Flowey(Undertale)
- リセットさん(どうぶつの森)
- 曽根美雪(君と彼女と彼女の恋。)※半分ギャグみたいな状況ではある
- H0peles$0uL、asmodeus.exe(PonyIsland)
- もるがな、ミネルヴァ、テミス、アルコアの導き(スクールガールストライカーズ)- 一回だけだが水鳴かなも第四の壁を突破してきたことがある
- 案内人(パラノマサイト)
- ウォズ(仮面ライダージオウ)
- ウルトラマントレギア(劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル)- 「画面の中から物理的に出てくる」という技はウルトラマンタイガなどでも披露しているが、絆のクリスタルではそれに飽き足らず劇場の観客に向かって話しかけてくるシーンがある。
- ガーフィールド(ガーフィールドシリーズ)
- 皇(パワプロアプリ)
- アン・イシュワルダ(モンスターハンターワールド:アイスボーン)
- 安心院なじみ(めだかボックス)
- 両津勘吉(こちら葛飾区亀有公園前派出所)
- コンカー(Conker's_Bad_Fur_Day) - メタ発言が数多く飛び出す本作ではあるが、彼の場合は「画面の向こうにいるスタッフ」に対して「画面を叩いて話しかける」シーンがある
- ペケダー(ペーパーマリオRPG)
- ワルノリン(妖怪ウォッチ)
- ベルンカステル、ラムダデルタ、フェザリーヌ・アウグストゥス・アウローラ(うみねこのなく頃に)
- 八雲紫(東方project)
- バイス(仮面ライダーリバイス)
- メレブ(勇者ヨシヒコシリーズ)
- オドローム(のび太と夢幻三剣士) - 自分をゲームのキャラだと認識しているかつ外の世界(パラレルワールド)の存在も把握している。
- 早乙女浪漫(SKETDANCE)
- 三田園薫(家政夫のミタゾノ)
- ジーン(仮面ライダーギーツ)
- 桃井タロウ/ドンモモタロウ(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
- 伊藤ふみや(CHARISMA)
- 一部の登場人物(レッドフード)
作中の登場キャラクターがほぼ全員認識・突破できる作品
- 銀魂
- TYPE-MOON作品※主に藤村大河や琥珀。他は場合による。ギルガメッシュやマーリン等、ネタ補正抜きで並行世界の認識ができる人物もいる。
- アトリエシリーズ※ロロナ、フィリス、ルルアなど。
- 外伝作など一部のガンダムシリーズ※スパロボやGジェネではそれが顕著。
- 君のことが大大大大大好きな100人の彼女
- 物語シリーズ
- スクールガールストライカーズ※場合によるが、少なくともエテルノのフィフス・フォースは全員、「隊長猫の向こう側」が存在することは識っている。
- パワーパフガールズ※作中ではナレーターがモジョ・ジョジョに拉致され、ナレーターの座を奪われる回がある。
- おねがいマイメロディシリーズ※主にはりねずみくん(過去のマリーランドを舞台にした4期『きららっ★』ではルロロマニックに交代)。
特殊ケース・その他
- 神山飛羽真、本郷猛 - 「スーパーヒーロー戦記」で自分達が虚構の存在と気づき後者は原作者である石ノ森章太郎に感謝の言葉を述べた。ただし状況が特殊の為、このくくりに入れていいかは微妙な所。
- 小松左京 - 『こちらニッポン…』の終盤にて主人公が、自身は作者(小松左京)の空想によって生み出された物語上の登場人物である、という解釈に至る(あくまで主人公自身の解釈で明確にそうとは断言されていない)。同作自体も、第四の壁が意識された1921年の戯曲『作者を探す六人の登場人物』から着想を得たもの。
- 旋風寺舞人 - ブラック・ノワールによって自分達が二次元の存在だと気付く。
- スターオーシャン3 - 物語の主人公であるフェイト・ラインゴッドがラスボスのルシファーによってこの世界がゲームだという事を告げられる。
- スプラトゥーンシリーズ - 8号(ハチ)とヤシガニさんが明らかに「こちら側」を見る描写があり、8号に至っては微笑みすら向ける。しかしただ無言で見つめるだけなので、第四の壁を認識しているかは不明。また、仮想現実ネリバースの住人ユメエビは、自身が仮想現実の住人であることに気づきかけている(劇中劇内の第四の壁に気づいているといった所か)。
- ヒーローショーの登場人物たち - ヒーローも敵役もしばしば観客席まで行って戦ったりする、たいてい観客の声援でヒーローがパワーアップする、などショーならではのメタな演出がよく使われている。
特殊
- アンダーワールド(SAO) - フラクトライト達はアンダーワールドに住む電子生命体だが、その世界を物語の後半まで現実世界だと信じていた。
- ツツジ台 - 上記と同じくレプリコンポイド達はその世界を本物だと信じていた。また同作品の登場人物であるはっすは『グリッドマンユニバース』で「フィクションは大袈裟な方が盛り上がるんだよね」と意味ありげなメタ発言をしている(グリユニ自体もメタ要素が非常に強い作品である)。
- 魔デウス - 「ウルトラマンマックスという作品の世界」と「ウルトラマンマックスという作品を制作しているリアル世界」とかメタ的にリンクしている特殊な回。
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