概要
トラウマ目メシウマ科ヤジウマ属にカテゴライズされる哺乳類。英語で『rubbernecks』(「ゴム首」の意)。
主な生息地は世界中の人里であり、近辺で非日常の出来事(火事や飛び降り自殺、殺人などの喜ばしくない出来事)があると好奇心で見物に現れる。本来は使えなくなった馬=親父馬を意味する言葉で転じて、無責任な奴らという意味になった。また、野次には囃し立てたり、冷やかすという意味もある。
この野次馬はその不謹慎な状況を見物するだけに飽き足らず、撮影機器が発達した現代ではその状況を撮影したり、SNSにアップロードするといった生態が確認されている。
野次馬が群れると消防や警察といった公共機関の活動が滞ったり、最悪、その野次馬が災害や犯罪に巻き込まれて死傷者が出たりするケースも見られる。この他にも、何故か火事現場に居合わせたのにもかかわらず、誰も通報しないという例もある。
野次馬が集まれば、中には人助けを買って出る利他的な個体が現れる可能性が無きにしも非ずであるが、本質的にはデメリットの方が多い。
とは言いつつも、パンドラの神話にもあるように、人間という生き物はどうしても非日常の世界に首を突っ込みたがる好奇心旺盛な存在であるのは否定しきれない。それ自体は決して「罪」とは言い難いが、何事にも限度があるのである。
フィクションでは
野次馬は社会的には好ましくない現象であるが、度々フィクションでも題材にされており、国民的作品の主要人物が野次馬になったケースすらある。
『ちびまる子ちゃん』
特にこの手の話題で挙がりやすい作品。
まず一つ目のエピソードが「永沢君の家、火事になる」の巻という題でアニメ化された永沢くんの家が火事になるというエピソードで好奇心からまる子と友蔵が火事現場に向かった所、そこが永沢くんの家であった為に励まそうにも励ませない気まずい雰囲気になってしまう。
もう一つのエピソードが「まるちゃんの町は大洪水」の巻というエピソードであり、街で洪水が起こると人々は映像を撮影し始めたり、流されてくるものに一喜一憂したりする。これが群集だけで終わればいいのだが、なんとまる子と友蔵はその光景をバックに記念撮影を始め、家の2階に避難した被害者も注目される為にオーバーリアクションを取ったりとブラックジョークにもほどがある展開のオンパレードになっている…こんな内容だが、しっかりアニメ化された。
『サザエさん』
アニメ版第2535話『冷静なワカメ』ではサザエと磯野カツオが好奇心から火事現場に野次馬しに行くという内容になっている。
ちなみに、タイトルはフネが家を空けている為にワカメだけが留守番の為に家に残った事に由来する。
『ウルトラシリーズ』
撮影技術の発展により、より詳細に怪獣が出現した時の一般市民の行動が描写できるようになった為なのか、特にスマホが発展して以降の『新生代ヒーローシリーズ』では怪獣の襲撃時であるにもかかわらず、呑気にスマホでその様子を撮影しているというシチュエーションが往々にして見られる。
普通なら無差別に踏み潰されたり、倒壊した建物の犠牲になるところを想像するだろうが、中には市街地に現れた怪獣が地球生命体を抹殺する事が目的だった為に狙いを定められた上で殺害されるという胸糞悪い殺され方をされる事もある。
そんな事してるなら早く逃げろよと突っ込みたくなるが、きっと恐怖心よりも好奇心の方が勝ってしまったのだろう。