この記事には『スプラトゥーン3』のサイド・オーダーの重大なネタバレを含みます。
ネタバレを避けたい方や未クリアの方は閲覧を控えることをお勧めします。
概要
ネリバースとは秩序の街の正体であり、テンタクルズのイイダが作成した仮想現実である。
元はイイダが、深海メトロで「消毒」され、自我を失ったオクタリアンの心を修復するために開発を進めていたが、それを秩序を求める数多の声から生まれた知能・オーダが乗っ取ったことで暴走。オーダは永遠に変わらない世界「色の無い秩序の世界」を実現すべく、現実世界のハイカラスクエアの住人を中心に多数のヒトの精神を無理やり取り込んだのである。
精神を取り込まれた人々はオーダが「ノンカラ処理」というものを行うため、少しずつ気力を失い、いずれは現実世界も秩序の世界へと変化しようとしていたのだった。
同じく秩序の街へと精神を取り込まれてしまったハチとヒメ、そしてイイダとミズタはオーダの野望を阻止すべく、秩序の世界を奔走することとなる。
秩序の塔の本来の機能
『イイダの開発日記』によると、秩序の塔はネル社に"消毒"され自我を失ったままだったオクタリアン達を元に戻す仕組みの一つとして作られたというものであった。
ネル社が"消毒"の過程で抜き取った精神の結晶であるネリメモリーの保管場所をイイダは発見するが、それらは碌に整理されておらず、前作でハチが集めた分を含め、どれを誰に戻してやれば良いのか全くわからなかった。
その為、逆に被験者にネリメモリーを改めて混ぜて作った『カラーチップ』を与え、正しい記憶を自ら取捨選択させ、定着させるためにこの塔で困難を乗り越えてもらい、最上階にて仕上げる。という構想のもと、試練の塔として設計されたらしい。
各ステージはイイダが訓練生だった頃の経験を活かしている。
エネミープログラムであるスケルトーンたちも元々は凶暴な存在ではなかったらしく、もっと可愛らしいデザインだったという。
開発秘話
サイド・オーダークリア後、秩序の塔を再攻略していくと、ネリバースはイイダが開発したが、その開発にはタコの技術者たちが手伝いをしていたという情報が明かされる。
地下のタコ世界では数年前から同族が地上へと脱出することが相次ぎ、長年敵視していたイカ達と仲良く暮らし始める者も増えていった。
規律正しく穏やかだった情勢が一変したことで、技術者たちは「変わらぬ世界」を無意識に望むようになり、その想いがネリバースで練りあがってオーダが生まれたのだという。
また、秩序の塔の攻略を繰り返し、秩序の塔の前のロッカーを開けていくことで読めるようになる「イイダの開発日記」に、ネリバースの更なる詳細が記されている。
始まりは4年以上前のファイナルフェス終了直後、8号や「消毒」されたタコなどのネル社の被害者を助ける計画としてイイダが始動したプロジェクト・ネリバース(仮)で、ネル社が「消毒」の過程で被害者から記憶を抜き取り抽出したネリメモリーを、被害者に返して記憶を取り戻させる救済計画の一環として始まった。
ネリバースは記憶の一時保管場所とすべく作り始められ、プロトタイプは2年前に完成したが、この時はまんまハイカラスクエアのコピーだったらしい。
その後、ネル社の廃棄所で大量のネリメモリーが見つかったが、どれもこれも元の持ち主が分からない状態で、下手にネリメモリーを被害者に返せないと判明する。
そこでイイダは、ネリメモリーにネリ込まれた想いや記憶を全部混ぜ、ネリメモリーにタマシイが空っぽになっている被害者たち「骨組みのタマシイ」を与え、ネリメモリー自身に元の持ち主を見つけてもらう方法に変更。
だがこれは現実世界では難しいため、ネリメモリーをデータ化し、仮想世界上で行うことになった。イイダはこの仮想世界として、それまでプロトタイプのまま放置していたネリバースを再利用することにしたのである。
ネリバースの開発ではネル社のメインフレームを借りることで演算能力を確保し、イイダの開発したネリバースのプロトタイプをベースに、集積したネリメモリーのデータから仮想世界を構築することになった。
また、ネリバースへのアクセスはネル社の社内ネットワークを使用し、ネル社社内ならどこでも、社外からはナマコフォンを経由してアクセスできるようにした。
ネリメモリーの記憶を被験者に定着させるには「困難を乗り越えた経験」が必要であることから、秩序の塔を設置して「塔の攻略」という課題を被験者に与えている。
ネリバースのシステム管理はイイダ、被験者の先導はヒメ(=ヒメドローン)、ネリバースの治安維持はアタリメから紹介された人物にお願いして任せる、ということになった。
この頃にはイイダもテンタクルズのワールドツアーと並行して開発を進めていたが、多忙の合間に一人での開発は流石に無理があると感じ、エンジニアのコミュニティに手助けを求めることになった(上記のタコの技術者たちのことだと思われる)。
事件1か月前となるワールドツアーの中休み中にプロジェクト・ネリバース(仮)は完成。名を改めて『トキメキ★秩序世界の大冒険!』となった。起動実験は事件前日、8号を被験者にヒメも参加して行われることになった。未知のリスクも考えられたが、8号は快く引き受けてくれたらしい。ヒメは単に「楽しそーだから」という理由から。
なお、『トキメキ★秩序世界の大冒険!』としてネリバースが完成する直前、イイダはネリバースへのアクセス端末にしようと考えていたナマコフォンにセキュリティホール(脆弱性)を見つけており、悪用すればナマコフォンを持っている人を無理やりネリバースに接続できることから、後で開発会社に連絡すること、と開発日記内に留めている。
その結果は上記の通りだが、奮闘の末にオーダは敗北・無力化され、プロジェクトは本来の目的通りに運用され始めたのだった。
インタビューで明かされた情報
後にファミ通のインタビューとニンドリのインタビューでは次のような詳細情報が明かされている。
- 秩序世界の住人たちは、仮想世界を構成しているプログラムのノード(仮想世界を構成する個々のプログラム)が、プランクトンの姿になって表れたもの。この中でユメエビは唯一、秩序世界が仮想世界であることに気付き始めている存在である。
- イカたちがフクを「着こなしている」のと違い、住人はフクに「着せられている」状態で、トランクスを巻きつけていたり、ほとんど体を覆えていない布を巻いているだけなど、服に着せられているような見た目を意識したデザインがされている。
- 住人たちが装着している銀色のリング状の金属は、ほかからの入力を受信するための装置になっている。住人たちは入力を受けて決まった仕事を遂行することで、ネリバースを構築している。
- 秩序の塔は、記憶のキューブが生成され、脱色を行い、最終的には焼却する工場として機能している。秩序の街に降り注いでいる雪のようなものは塔から出た焼却灰である。
- 空中に突然現れる四角いオブジェや螺旋のようなバーは、仮想世界を構成するプログラムの各要素がプランクトンのような形で表現されているもので、そのプランクトンが音に反応し発光したりしているもの。
- デザイン自体はインスタレーション作品を学生時代に作っていたスタッフが提案、担当したものらしい。