全国図鑑	No.0481
シンオウ図鑑	No.147
ヒスイ図鑑	No.226
ローマ字表記	Emrit
ぶんるい	かんじょうポケモン
タイプ	エスパー
たかさ	0.3m
おもさ	0.3kg
せいべつ	不明
とくせい	ふゆう
タマゴグループ	タマゴみはっけん

各言語版での名称と由来

言語	名称	由来
日本語	エムリット	UMA（未確認動物）+sprite（スプライト）
英語・スペイン語・イタリア語	Mesprit	日本語名と同様
ドイツ語	Vesprit	Vernunft（理性）・Vester（ラテン語で「あなたの」）+Esprit・Spirit
フランス語	Créfollet	Création（創造）+Folletta（フォレッタ）
韓国語	엠라이트	日本語名の音写
中国語	艾姆利多	日本語名の音写
タイ語	เอ็มริต	日本語名の音写

なお、開発途上は「アイ」の名で呼ばれていたことが判明している。

概要

『ポケモンDPt』（第4世代）で登場した、いわゆる「準伝説」ポケモンの一種。

「感情を司る神」と呼ばれる存在であり、遥か太古にエムリットが飛び回って世界に感情という概念をもたらしたことで、生きとし生ける者は悲しみの苦しさと喜びの尊さを教わったといわれている。

それ故、不敬なる者に対してはその力をもって感情を狂わすこともできるらしく、シンオウ神話にはエムリットに触れた者は3日にして感情が無くなってしまうことがほのめかされている。

同じくシンオウ地方に伝わる知識の神・ユクシー、意思の神・アグノムとは同じタマゴから生まれた3つ子とされ、現在では揃って湖の地下深くで眠っているが、時折魂が抜け出して水面を飛び回るといわれている。

これら3体の力を合わせると、時間を司る神や空間を司る神と互角の力を発揮するともいわれ、何らかの要因でその均衡が崩れた時には、湖から出て「あかいくさり」なるものを生み出し鎮めるという。

容姿

外見は小型の妖精のようで、足が短くイカ腹な体形、先端がカエデの葉のようになった二尾の尻尾、その尾先と額にある赤い宝石といった構造は他の2種と共通している。

体部分はやや青みがかった白色で、色違いは白色部分が金色となる。

ピンク色の頭部からは4本の房状のものが垂れ下がっている。

顔立ちはツリ目気味の「半眼微笑」といった印象で、目を見開いたアグノムと閉ざしたユクシーの中間的なもの。

鳴き声は見た目に反してややハスキーな低めの声をしていたが、第6世代の音源変更を期に甲高いものに改められている。

後述するようなハンデを負いながらも一定の人気があり、pixivに投稿された作品数も割と多い。勝気な少女じみた人相や『ポケダン』での扱いなどもあり、女性・♀として描写される傾向にある。

ゲーム上の特徴

シンジ湖の中に沈む地下空洞で眠りについていたが、ディアルガ・パルキアを支配下に置くべく「あかいくさり」を狙ったギンガ団に囚われてしまう。

その後、ギンガ団のアジトに乗り込んだ主人公達に解放され、「槍の柱」でのイベント終了後には地表に出た湖の空洞に戻っている。

ただし他2体と異なり、話し掛けると外へ出て行ってしまい、以降はシンオウ地方各地を飛び回るいわゆる「徘徊型伝説」となる。

ナナカマド博士曰く、主人公と遊びたがっているように見えたとのこと。

『BW2』（第5世代）でイッシュ地方にも進出。殿堂入り後、20ばんどうろにある「心の空洞」へ行くと邂逅でき、その後タワーオブヘブン屋上にある慰霊の鐘の前で接触・捕獲が可能になる。

様々な感情が渦巻く同所はエムリットに相応しい舞台設定と言える。

『ORAS』（第6世代）ではホウエン地方へ進出。今作では、手持ちになつき度が最高のポケモンが3匹以上いる状態で、おおぞらをとぶで行けるマボロシのばしょの1つ・「未知の洞窟」内に他2種と時間差で登場するため、接触する上で特筆される演出は無い。エムリットの割り当ては広義の昼間帯にあたる4～20時。

余談だが、第6世代で実装された「ポケパルレ」にてエムリットの頭の房に触れると、ものすごい形相でマジギレされる。何かあるようだが、詳細は不明。

『USUM』（第7世代）ではウルトラワープライドで行ける青いワープライド先で出現する場合がある。

『剣盾』（第8世代）ではDLC「冠の雪原」で行えるダイマックスアドベンチャーのボスになっている。

『LEGENDSアルセウス』では主人公が「あかいくさり」を求めて接触することになる。その際にエムリットより出される試練で心を通わせて対話を行うこととなり、冒頭に記したような質問がされる。

捕獲はメインストーリークリア後に可能となる。『DPt』とは異なり、今作ではシンジ湖より飛び去ることはない。

対戦での扱い

	HP	こうげき	ぼうぎょ	とくこう	とくぼう	すばやさ	合計
ユクシー	75	75	130	75	130	95	580
エムリット	80	105	105	105	105	80	580
アグノム	75	125	70	125	70	115	580
クレセリア	120	70	120	75	130	85	600

ユクシーやアグノムと比べ、残念ながら対戦勢からはあまり良い扱いをされない傾向にある。

ステータス的には攻撃型のアグノム、防御型のユクシーに対してバランス型となっている。フライゴンを思わせるかなりの均整ぶりであるが、先方が第4世代以降どのように評価されたかを考えると、生まれつき前時代的な配分といえた。

しかも「すばやさ」80というのは第4世代当時の基準で「激戦区」と呼ばれる地帯であり、それを超えている他2種と比べて「上から殴られる」可能性が高いこと、1体に全ての役割を持たせることは現実的ではないため、他2種をそれぞれの特性に特化させればそれで済むと判断されがちなことから、一層の不安が漂った。

なにより一ヶ所に留まらないエムリットは、ゲームの仕様上いわゆる「厳選」行為がほぼ不可能であったことから、多くのトレーナーにとってそもそも育成対象と見做されないという大きなハンデを背負ったデビューとなってしまった。

UMAトリオは他の「準伝説」グループと異なり全て単エスパータイプであったという点も差別化を困難にした。

一応、レベル76と技マシンで、それぞれ異なる自主退場技と特殊攻撃技を習得し、エムリットは「いやしのねがい」と「れいとうビーム」「ふぶき」を覚えられるものの、今度はクレセリアというディフェンスに定評のあるポケモンが二重の意味で壁として立ちはだかった。

「いやしのねがい」はクレセリア固有技である「みかづきのまい」の完全下位互換性能となっており、使い手としての適性も防御力・素早さ共に上回るあちらに分があった。

そもそもエムリットは類似名称・効果の「いやしのはどう（第5世代～）」「ねがいごと」といった技を覚えず、「じこさいせい」すら不可能であったため他2種の後追いをするために持たされているという向きが強かった。

一方のクレセリアは「つきのひかり」によって強力な「受け」としての役割を果たしており、「どくどく」等と組み合わせた持久戦にも秀でた。回復手段が「ねむる」に限られるエムリットにはいずれも困難な戦法であった。

「れいとうビーム」を覚えるエスパーは希少であるが、クレセリアもその中の一種に入ってしまっており、多くのトレーナーが仮想敵としたガブリアスに対して「後出し（≒攻撃を2度受けて）から倒す」などという芸当さえやってのけてしまえた。

残る「ふぶき」はエムリットのみが覚えたものの、命中率に不安があるため本職のこおりタイプですら採用を控えることも多い技であり、サブウェポンとして隠し持つにはいささか勇気が要った。鈍足と回復手段の不足故、多くの場合外せば「2発目」は無かった。

実の所、クレセリアの「とくこう」は75と大きく劣っており、エムリットが差別化を図ることは容易かったのであるが、1度付いた「劣化クレセリア」というイメージは中々払拭できるものではなく、純粋な防御型同士であるはずのユクシー以上の比較対象となってしまった。

『Pt』では教え技システムの追加によって「しねんのずつき」やいわゆる「3色パンチ」を覚えられるようになり、物理攻撃型という選択肢が新たに生まれた。

もっとも、パンチを3色全て覚えられた反面、他2種も同様に全てを覚えたため、UMAトリオ内での差別化には至らなかった。

長所としては、バランス型故どのような育て方をしてもそれなりの成果を発揮できる上、単体で完結する型が多いためパーティを組むメンバーもさほど選ばないという自由度の高さが挙げられる。

「すばやさ」80はいわゆる「スイッチトリパ」の起点としては悪くない速さであり、そうした方面に活路を見出す光景が多く見られた。火力と耐久を両立し、型も豊富なエムリットは妨害に遭いにくく、不発時や発動後もそのまま攻撃に移れるため「置き物」となりにくかった。

他にも「ステルスロック」「ふういん」「あまえる」「とんぼがえり」といったエスパーとして個性的な技は有しており、特にダブルバトル以上にて「ふぶき」「まもる」「ふういん」の組み合わせで「霰パ」を機能停止に持ち込めるとの見立ては当初よりなされていた。

第5世代

『BW2』では初の固定シンボルとなり、「厳選」行為が可能になった。

しかし、クレセリアも同様に固定シンボルとして再登場しており、特に新しい戦法が開発されることも無かったため大きな話題とはならなかった。

第6世代

『XY』には登場せず、当初は旧作との互換性も切られていたため、一時的に対戦の場から姿を消していた。UMAトリオは「準伝説」で唯一ゲーム内のバトル施設にも登場せず、その徹底的な隠しぶりから「新たに発見されたフェアリータイプを追加してポケモンバンク・ポケムーバーの目玉とするのでは？」という推測がにわかに広まっていった。

UMAトリオは妖精との関係性が示唆されており、特にエムリットはフェアリータイプの強化アイテムが「せいれいプレート」という名称であることや、同じ「かんじょうポケモン」であるキルリアが実際にフェアリータイプを持ったことから、クレセリアとの差別化を超えた期待が寄せられた。

しかし、現実にはフェアリー技「マジカルシャイン」を得たのみでタイプ変更は無かった。それは同時に、メガシンカまで得たサーナイトに大きく後れを取ったということであり、「れいとうビーム」や「ほのおのパンチ」を持つ優位性が揺らぐことでもあった。

その後は急速に関心が薄れてゆき、ディアンシーの鳴き声やメガチルタリスのステータス配分で時折引合いに出される程度の存在となった。

一時はネット検索をすると「もしかして：エンペルト」という予測変換が出ていたくらいである。

第7世代

『SM』では、近しいステータスを持つテッカグヤが引き合いに出された。

しかし、複合タイプの優秀さやとくせいの強力さから先方が一方的に使われるのみで、エムリットの再評価には至らなかった。

また、フェアリー複合の強力なエスパータイプとしてカプ・テテフが登場した。

幸い「脳筋」とまで言われる程に攻撃一辺倒なポケモンであったため直接的な競合は回避できた。しかし、カプ・テテフのとくせい「サイコメイカー」などの影響でフィールドを活かしたバトルが盛んになると、その恩恵を受けられない「ふゆう」は相対的に弱体化した。

UMAトリオを含めて「ふゆう」のとくせいを有するポケモンはそれ以外のとくせいを持たないことが多かった。長らく強めのとくせいと評価されてきたが、これでは一種の足枷ではないかという疑問が上がり始めたのもこの頃である。

もっとも、「れいとうビーム」を持つことからじめんタイプと対峙する機会も多かったエムリットは、まだ有効活用できている方ではあったのだが。

第8世代

『剣盾』では新たな「かんじょうポケモン」としてイエッサンが登場。

ノーマル複合でゴーストタイプを恐れず、カプ・テテフと同じ「サイコメイカー」を持つとこれまた優秀な能力の持ち主で、特にダブルバトルのエスパー枠として重宝された。

UMAトリオ（とクレセリア）は「冠の雪原」から参戦したが、他3種がそれなりに成果を残した一方で、エムリットのみはPT採用率ランキング圏外であった。

サーナイトはメガシンカを失ったが、「マジカルフレイム」を習得するなど一定の補填を得られたため、相応に環境に留まっている。

第9世代

『LEGENDSアルセウス』にて念願の「じこさいせい」と強力な専用技「しんぴのちから」を手にしており、積み型としての活躍が期待された。しかし、『SV』では「じこさいせい」を思い出すことができず、「しんぴのちから」にも大幅な弱体化が入ったため活躍には至らなかった。

登場しなかったテッカグヤに代わり、はがねタイプにテラスタルして、じめんタイプを無効化可能な「ふゆう」と組み合わせることで、擬似テッカグヤとして動くことも構想された。しかし、これも机上の空論に過ぎなかった。

テラスタルは従来の対戦要素以上に素の能力に左右されると言われていた。実際、専用技の強化があったラティ兄妹などには近いコンセプトの型が出現したことを踏まえると、エムリットの器用貧乏さが一層際立ってしまった。

クレセリアも耐久面に直接的な弱体化が入ったものの、依然としてエムリットより高い使用率を誇っていた。悪い意味で両者を比べて論じること自体が過去の話になってきており、大真面目に一般ポケモンのチリーンとどちらがマシか検討した考察すら出たほどである。

またダブルバトルを中心に「霰パ」改め「雪パ」が突発的に流行し、同じく不遇気味であった「準伝説」のフリーザーが再評価された。クレセリアも対策として一定の評価があった一方で、エムリットは「雪パ」の一員としても対策としても目立った活躍が無かった。

「ふぶき」や「ふういん」が使えるだけでは活躍が難しかったと言え、何か特定の要素が弱いのではなく、それらを組み合わせた時の全体的・総合的な実力不足と結論付けられている。

使用トレーナー

ケイ：ポケモンマスターズ男主人公
ユイ：ポケモンマスターズ女主人公

番外作品

ポケモン不思議のダンジョン

『時・闇の探検隊・空の探検隊』

「ときのはぐるま」を守る番人として登場する。男性的なアグノム、中性的なユクシーに対して女性的な雰囲気が漂う。

しかし、感動的なイベントがあったユクシーや、「ときのはぐるま」を唯一守り切ったアグノムと比べると、言動にやや感情的な点が見られた程度で影が薄い。むしろ、技構成関係で1体だけ力不足であったとも言われる。

『めざせ!光の冒険団』

冒険団ランクを「ヤドキングにんていランク」にした後、｢なぞのパーツ｣または｢ひみつのせきばん｣を持っている状態でルビーのみずうみに出現する。

ポケモンマスターズEX

主人公&エムリット

アグノム・ユクシーが先駆けてレジェンドバトルに登場したのに対して、エムリットは2022年8月28日に主人公とバディーズを組めるポケモンとして登場した。

「悪の組織編・最終章」で、ある者とあるポケモンによって呼び出されたポケモンである。

エスパータイプでロールはサポート。

技

ねんりき
10%の確率で相手をこんらん状態にする。
リフレクター
味方全体の場を物理ダメージ軽減状態にする。
ひかりのかべ
味方全体の場を特殊ダメージ軽減状態にする。
感情への問いかけ
味方の全員の特攻を2段階+素早さを1段階あげる。味方の全員を回復付帯状態にする。
飛び回る喜怒哀楽のサイキックレイ
エスパータイプの特殊バディーズ技。

パッシブスキル

マスターパッシブスキル：エスパーのカリスマ
味方全員の技威力を10%あげる。味方全員の技で攻撃を受けた際のダメージを10%軽減する。この効果は自分のチームにエスパーのタグを持つ味方のバディーズが多い程さらに上昇する。
被攻撃時次回ゲージ消費無9
技で攻撃を受けたときに自分を次回ゲージ消費0状態にする。
登場時次回ゲージ消費0
登場したときに自分を次回ゲージ消費0状態にする。
B技後HP回復G1
バディーズわざをつかったあと味方のバディーズ全員のHPを最大HPの約20%回復する。

アニメ版

アニポケ・第1～7シリーズ

ダイヤモンド&パール編

第1話｢旅立ち! フタバタウンからマサゴタウンへ!｣から登場。シンジ湖でヒカリが半透明の姿を目撃している。

第36話『シンオウ時空伝説!』ではユクシー・アグノムと共に美術館の石像として、ナオシが語る「はじまりのしんわ」の中のシルエットでも登場している。

第151話『アグノム・ユクシー・エムリット!』第152話『ディアルガとパルキア! 最後の戦い!!』では、ギンガ団の依頼を受けたポケモンハンターJに捕らわれてしまったアグノムを助けるためにリッシ湖へ現れるも同じくJに捕らわれ、ギンガ団へ引渡されてしまう。しかし、捕らわれる寸前にユクシーと共に「みらいよち」を放ってJの飛行艇機関部を攻撃しており、湖へと沈めている（描写からして恐らくポケモンハンター達は死亡したのではないかと思われる）。

アカギにより「あかいくさり」で支配されてしまうが、ヒカリのポッチャマの「バブルこうせん」によって解放。支配されているディアルガとパルキアを助けるため、サトシ達と協力した。

新無印編

Amazon Prime特別編『神とよばれしアルセウス』に登場。

ギンガ団の幹部は、かつて時空の扉の先に消え行方不明となったアカギと再開するため、ヒードランと「ひのたまプレート」の力を使って再び時空の扉を開こうと目論んだ。しかし、その実験でヒードランが暴走し、そのエネルギーはテンガン山のポケモンにも影響を及ぼしてしまった。アルセウスはシンオウ地方の異変を察知し、ユクシー・エムリット・アグノムにサトシたちへ知らせるよう指示した。3匹はギンガ団の野望を阻止するため、サトシたちと協力して戦った。