「来たりて取れ」
概要
レオニダス1世はアナクサンドリデスの子であり、先王クレオメネス1世の異母弟である。レオニダスは三男であり、本来王位にはつきにくかったが、二人の兄クレオメネス1世とドリエウスの両方が死んだため、王位が回ってきた。彼はクレオメネスの一人娘ゴルゴーと結婚して、王位を継いだ。
ペルシア戦争を控えてデルポイに神託を聞いたところ「王が死ぬか、国が滅びるか」ということだった。そこでレオニダスは「自分が戦い、死ねば国は滅びない」と知ったことで覚悟を決め、他の都市から来た兵士を帰し、わずかな軍でペルシアの大軍に立ち向かっていったのだとヘロドトスは書いている。さらにこの時がちょうどオリンピアでオリンピックを開催する年であった(神を捧げる神事であり、戦争や亡国より優先しなければならない)ことも重なり、十分な軍を送ることができず、レオニダスは親衛隊300人のみを率いて出陣した。紀元前480年のテルモピュライの戦いに赴く時、死を覚悟した彼は出陣の直前に妻に「よき夫と結婚し、強き子供を生め」と言い残したという。
彼はテルモピュライでスパルタの重装歩兵300名を含むギリシア連合軍7000を率いて戦った。テルモピュライは隘路であったため、少数の軍でも大軍を食い止めることができたため、クセルクセス1世は大軍を十分に活かせず、自軍よりはるかに少数のギリシア連合軍に手こずった。しかし、内通者がペルシア側にギリシア軍の後ろに回りこむ裏道を教えたため、ギリシア連合軍は撤退を決定した。レオニダスは殿としてスパルタ軍、テスピアイ軍、テバイ軍を率いて戦い、自ら戦死し部下も玉砕した(ただしテバイ軍だけはペルシアに寝返った)。戦いの後、クセルクセスは部下にレオニダスの死体から首を刎ねるよう命じ、晒し首にした。
その奮戦によって稼いだ時間でアテナイは準備を完了させることができサラミスの海戦でペルシア海軍に勝利することが出来たため、レオニダスは古代ギリシアの英雄として今も語り継がれている。
またその海戦においてレオニダスの撥ねられた首が脅しとして晒されたが、アテナイからすれば自分達のために命を賭して時間を稼いだ恩人であり英傑の首でもあったため、その奪還のために却って奮起し逆効果となった。
彼の死後、王位は子のプレイスタルコスが継いだ。
親族
アナクサンドリデス
先々代のアギス朝の王にして父。主な共同統治者(エウリュポン朝の王)はアリストン。
長年に渡ってスパルタのアルカディア進出を阻んで来た因縁の宿敵テゲアを降し、スパルタによるアルカディア支配の橋頭保を築いた人物。
レオニダスは彼の正室の子で、正室には当初子が生まれなかったために側室を娶ったのだが、側室が長男を出産したのと時を同じくして次男を産んだ。
クレオメネス1世
先代のアギス朝の王にして異母兄。主な共同統治者はデマラトス。
上述の通り側室が産んだアナクサンドリデスの長男で、ほぼ近い時期に産まれた正室腹の異母弟ドリエウスを民衆人気で降し、王位継承権を勝ち取った。
当時僭主制だったアテナイに神託に従って干渉し、当代の僭主とその一族を追放して称賛を得たが、寡頭派のイサゴラスと民主派のクレイステネスが政争を始めると、イサゴラスが助けを求めて来たことと、干渉を決めた神託がクレイステネスの仕組んだ茶番(僭主の打倒にスパルタの軍事力を利用しようと目論んだ)だったことを知り、クレイステネスを排除すべく再び干渉しようしたが、既にアテナイ民衆の全面的な支持を得ていた民主派の逆襲を受けて失敗した。この恨みを晴らすべく、今度は本格的な軍勢を率いてアテナイに侵攻したが、さすがに味方内でもこの攻撃は大義なしと判断され、デマラトスを筆頭に多くの有力者が勝手に撤退したため、こちらも失敗に終わった。この一件以降、諸問題を巡る意見の対立などもあってデマラトスとの関係は急激に悪化し、政略を徹底的に妨害され続けた。このため、王位継承を巡ってデマラトスと対立関係にあったレオテュキデスと手を組み、謀略によってデマラトスを廃位・国外追放に追い込むと、レオテュキデスを後継の王に立てて完全独裁を実現した。しかし、程なく陰謀が露見すると逆に自分が王位を追われることとなり、最期は逃亡先で発狂の末に自害した。
ドリエウス
同腹の次兄。クレオメネスとの王位継承争いに敗れた。
「自分は能力的に優れている」という自負とプライドから、新たに王となったクレオメネスに直接仕えることを良しとせず、植民都市の指導者となることを画策した。このため、北アフリカ、続いてシチリアにスパルタ軍を率いて進出しようとしたが、何れも当地に威を張るカルタゴや現地人の抵抗に遭って失敗し、シチリアにおける戦いで戦死した。
余談
ニコニコ動画により、スパルタ軍をコミケスタッフ、ペルシア軍を一般参加者に見立てて、コミックマーケット開催直後の会場の混乱を再現したものにより、ネタキャラ化された。
「開催!! コミ☆ケット!!」
「ルールを守らない奴は、埠頭の果てまで叩き落としている!!」
詳しくは→http://www.nicovideo.jp/watch/sm1850594
後述のFate/Grandorderでもこのネタが登場している。
関連イラスト
関連タグ
レオニダス一世(Fate):『Fate/GrandOrder』に登場するサーヴァント。レオニダスがモデル。
SF小説並びにアニメ『銀河英雄伝説』では、自由惑星同盟軍の艦隊旗艦レオニダスとレオニダスⅡという命名がされている。
タイレーツ:彼をモデルとしたポケモン。スパルタの兜とそっくりである
レオニダス・クリスパー:彼をモチーフとしたクリスパー。
レオニダス王(終ワル):彼をモチーフにした終末のワルキューレに登場する神殺しの一人。