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ciws

しーうす

現実の艦艇などに装備される近接武器システム(Close in Weapon System の略)。 「CIWS」と大文字表記するのが正しい。
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近接武器システム(Close in Weapon System)の名の通り、艦船が搭載する自動火器の内、至近距離で使用されるものを指す。

基本的には武器として銃砲を使用し弾幕を張るものだが、RAMなどの近接防空ミサイルがまとめられることもある。

対艦ミサイルにはともかく、ボートなどの水上小型目標(自爆艇など)や低速低高度の空中目標であるUAVなどの目標に対してまで弾幕を張り続けるとあっという間に弾切れになってしまうので、手動制御による適切な濃度で弾幕を張れるバースト射撃や、射界制限機構により搭載されている艦に当たらないよう射撃を行なえる非常に優秀なおりこうさんである。


概要

レーダー、発射装置、給弾装置などをあわせた兵器システムの総称を指す。

機関砲ミサイルなどを用いて、自動で敵の航空機やミサイルを迎撃する防御兵器。

長距離対空ミサイル(スタンダードミサイルなど)で迎撃する艦隊防空、中距離対空ミサイル(シースパロー、ESSMなど)で迎撃する個艦防空、同じく個艦に搭載された速射砲(127mmやOTOメラーラの76mmスーパーラピッドなど)による近距離での対空迎撃による個艦防衛をもすり抜けた航空機及びミサイルに対する最後の砦である(同時に、チャフフレアECMなどの非破壊的な対抗手段(ソフトキル)により無力化が図られる)実際の脅威としては、対艦ミサイルを主に想定する。


主な機種としては米軍の20mm6銃身ガトリング砲バルカンを転用したファランクスが有名だが、20ミリ砲の射程の短さや威力不足に対する懸念の声も多く、近年では25mmや35mm口径の機関砲によるCIWSが試作されたり(開発中止)、ボフォース57mm砲などの大口径の機関砲をCIGS(Close in Gun System の略)として採用するなどしている。

(ただ、CIGSなどは搭載を前提として艦体を設計せねばならないために完成後に追加搭載や位置の変更は難しく、それに比べファランクスは他のCIWSと比べ軽量かつ小型であり、比較的搭載場所を選ばず、船体に大きな改造を加えることもなく追加搭載できるという利点で再評価されている。また、後に改良型弾薬(アメリカの劣化ウラン弾、オーストラリア・日本のタングステン弾など)の導入により30mm機関砲クラスの射撃精度と威力へと向上したのも再評価を後押ししている)


この他にも、米軍のA-10攻撃機にも搭載されている30mm7銃身ガトリング砲・アヴェンジャーを転用したオランダゴールキーパーや、ロシアのGSh-6-30 30mmガトリング砲を搭載したAK-630(A-213ヴィンペル-A)、ミサイル・機関砲を混載して遠近からの脅威に対応可能な3M87 コールチク(カシュタン)など、様々なタイプが存在する。


因みに弾丸はCIWSに備え付けであり、搭載弾数はやや少なめ、特にファランクスの初期型Block0は装填弾数が987発と1,000発にも満たないため20秒も持たずに全弾を撃ち尽くしてしまう。(能力が向上したBlock1からは搭載弾数が1,550発と大幅に増えたが、同時に発射速度も毎分3,000発から4,500発へと大幅に向上したため撃ち尽くす時間は殆ど変わらない)


CIWSの機関砲の有効射程はそれぞれ1.49km(ファランクスCIWS)、2km(ゴールキーパーCIWS)、4km(AK-630(GSh-6-30)、DARDO(ボフォース40mm機関砲))程度と短いが、そもそもこの兵器が動き出すような状況は個艦防御の最終局面であり、ミサイルはもう自艦の直前(着弾まで数秒)まで迫っている危険な状態である為、CIWSが10秒以上射撃する段階で、その艦の運命は既に絶望的と言える。(近年ではマッハ3~5という超音速で突っ込んでくる対艦ミサイルも存在する、仮にマッハ3で艦船に突っ込んできた場合、ファランクスでは有効射程に入ってからミサイルが命中するまでの、僅か1.49秒間しか撃ち落とす時間の猶予がない事になる)

これらに対する懸念から、近年では機関砲よりも射程が長く複数の目標に対処可能な21連装短距離対空ミサイルRAM(Rolling Airframe Missile)がドイツとの共同で開発、配備されている。

(ファランクスCIWSの機関砲を11連装RAM発射機に取り替えたSeaRAMというものもある、、完全に代替するものとはならず、とくに大型艦では今後も両者が併用されるそうである。)

また、レーザーによる小型船舶及び無人機の迎撃、ミサイルを破壊ではなくシーカー等の無力化を行うLaWS(Laser Weapon System)の研究も進められている。

(将来的には高出力レーザーによるミサイルの撃墜なども行えるようになる予定)


CIWSの起源

1967年、哨戒中のイスラエル駆逐艦エイラートがエジプトのミサイル艇が放ったP-15対艦ミサイルにより撃沈されたことを契機として、対艦ミサイルに対する対抗策の開発が行われた。

しかし、対抗策といっても電子妨害といったソフトキルばかりで、機関砲によるハードキルは米ソ以外では殆ど開発されていなかった。

更に既存艦への対抗策の搭載は予算化されないなどの理由で殆ど行われていなかった。

水兵の携行するMANPADS(携帯式防空ミサイルシステム)により防空が行なわれていた程度である。(なお、現在でもMANPADSによる防空は行なわれており、歩兵に持たせるだけでなく、機銃架に乗せたり、同じミサイルコンテナを用いる発射機を搭載するなどが行なわれている)


フォークランド紛争にてアルゼンチン海軍シュペルエタンダール攻撃機によって放たれたエグゾセ空対艦ミサイルの直撃によるイギリス海軍42型駆逐艦HMSシェフィールドの撃沈を教訓に各国で開発・配備が本格化した。


シェフィールドはアルミ製船殻であった故に被害が拡大したと言われているが、実際は鉄製であり、直撃したものの弾頭は不発であった。しかしエグゾセのロケットエンジンのブラストや機関室の潤滑油と燃料に引火した事が原因により艦内で火災が発生、ミサイルの直撃や火災によってダメージコントロールが不可能になった為に消火活動も上手くいかず、結果として上部構造物の多くが焼失(十分に形状が残っており、焼失といえるほどの損害ではなかったが)するに至った。

(沈没理由は曳航中に悪天候に遭遇しての浸水である)


アルミ製構造物を一部に採用していたのは、同紛争で撃沈された21型フリゲートF170アンテロープであり、こちらはA-4Bスカイホークの放った1,000ポンド爆弾を被弾、不発の上にいくつかは船殻を貫通し被害は小さかったものの、不発弾2発が艦内に残っており、乗員退避後に行われた処理中に信管除去失敗により爆弾は爆発し大破、沈没した。


アルミ製構造物が燃え落ちたという話の元はアメリカ海軍のベルナップ級ミサイル巡洋艦ベルナップ及びイギリス海軍の21型フリゲートF169HMSアマゾンと思われる。

ベルナップは1975年11月22日に空母ジョン・F・ケネディと衝突して火災が発生、弾薬類は回収されたために轟沈こそ無かったものの、上部構造物が燃え尽きてしまった。

HMSアマゾンは1977年に火災の際にアルミ製梯子が熱で溶解している。


近年では、2000年に起きた米海軍の駆逐艦コールに対するボートでの自爆攻撃のような既存の水上レーダーやCIWSでは対応しきれない事態が生じた事もあり、小型の水上目標への対応能力の追加と共にブローニングM2重機関銃などを使用した目視と人力による近接防御が再び重視されるようになった。


Counter-RAM

C-RAM、Counter-Rocket, Artillery and-Mortar。

アメリカ陸軍が開発中のゲリラ等からの基地に対する攻撃がRAM(ロケット弾砲弾迫撃砲弾)である場合、自動で空中迎撃を行う兵器システム。

陸上版CIWSとも言える。

暫定的なLPWS(Land-based Phalanx Weapon System)としてファランクスを流用した地上車両搭載型がノースロップ・グラマン社との共同で開発されている。

流れ弾での地上への被害を減らす為に使用される20mm弾は自爆機能が搭載された弾体が採用された。

脅威となってきているUAVへと対応したC-UAV(Counter-UAV)も登場している。

既存のC-RAMのプログラムを改修、UAVへと対応している。


他に弾道修正能力を持つ50mm弾とブッシュマスターIII 50mm機関砲を組み合わせたEAPS(Extended Area Protection & Survivability)、エリコン35mmスカイシールド対空機関砲システムを流用したMANTIS(Modular, Automatic and Network capable Targeting and Interception System)(後に地対空ミサイルLFK NGも使用する予定)、ミサイルを搭載したイスラエルアイアンドームスウェーデンアブラハムなどがある。


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兵器 軍艦 機関砲 ガトリング砲 ミサイル

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