概要
レシプロエンジンを主な動力とし、プロペラによって推進力を得る戦闘機。
構造上速度の限界点は700km/h程度。改造したレース機でも850km/hほどである。第二次世界大戦終結後、各国でジェット戦闘機の開発が進むと性能向上についていくことができず、レシプロ戦闘機は急速に第一戦から退いていった。
現在では実用機としては絶滅状態だが、ジェット機には困難な軽快な運動と、専ら機銃のみにより至近距離で迫力のある空中戦を行う様に魅かれる者も多い。
なおレシプロエンジンとは「ピストンなどの直線運動をクランクを介して回転運動に変換しているエンジン」の事であり、ジェットエンジンに代表される「動力を得る過程が全て回転運動である」タービンエンジンと対をなす概念の動力である。身近な例としては自動車等のガソリンエンジンやディーゼルエンジンがこれにあたり、それら内燃レシプロ機関の場合は燃焼に間欠があるため、「ドッドッドッドッ」というノイズが発生する特徴がある。WW1~WW2の頃の航空エンジンはピストンの配置や冷却方式こそ差があれど、自動車用ガソリンエンジンとほぼ同じ構造のものである。これに対し、近年の軍用プロペラ機は殆どタービンエンジンである「ターボプロップエンジン」を搭載しており、プロペラ動力ではあってもレシプロエンジンではないため、見た目は似ていてもレシプロ機ではない事が多い。
仮にスーパーツカノのようなターボプロップのCOIN機が空対空戦闘を行ったとしても、それはレシプロ戦闘機の再来にはあたらないのである。
歴史
第一次世界大戦の当初、レシプロ機は飛行船の後継として前線の偵察に使用され、敵偵察機に石を投げるなど偵察の妨害を始め、やがて乗員が拳銃で撃ち合うようになった。その延長で機銃が搭載され、「戦闘機」が誕生した。
戦闘機という概念が登場すると、偵察機の派生型としてではなく、機体そのものを戦闘に特化させた専用の戦闘機の開発が進められるようになる。
大柄な機体にエンジンを2基組み合わせ、軽快さと引き換えに出力を高めて多用途性を図った「双発戦闘機」が流行した。
第二次世界大戦は航空機を戦術に取り入れた初の戦争となり、その重要性が増していった。
「双発複座戦闘機」は「単発単座戦闘機」相手に通用しない事が実戦で判明したが、出力の大きさを利した「戦闘爆撃機」、ナビゲーターが搭乗できる事から「夜間戦闘機」などに転用された。
飛行機を発着させる航空母艦の登場により、戦闘機は洋上での作戦行動も行えるようになった。
各国の主なレシプロ戦闘機(記事のあるもの)
日本
陸軍航空隊
海軍航空隊
・三菱A6M 『零式艦上戦闘機』
・三菱J2M 『雷電』
・三菱A7M 『烈風』
・中島A6M-2N『二式水上戦闘機』
・川西N1K1『強風』
・川西N1K1-J 『紫電/紫電改』
・九州J7W 『震電』
アメリカ
陸軍航空隊
・ロッキードP-38 『ライトニング』
・ベルP-39 『エアラコブラ』
・カーチスP-40 『トマホーク』『キティホーク』『ウォーホーク』
・リパブリックP-47 『サンダーボルト』
・ノースアメリカンP-51 『マスタング』(ムスタング)
・ノースロップP-61『ブラックウイドー』
海軍航空隊
・ブリュースターF2A 『バッファロー』
・グラマンF4F 『ワイルドキャット』
・ボートF4U 『コルセア』
・グラマンF6F 『ヘルキャット』
・グラマンF7F『タイガーキャット』
・グラマンF8F『ベアキャット』
ドイツ
ルフトヴァッフェ
・フォッケウルフFw190
・フォッケウルフTa152
・ユンカースJu88戦闘機型
・ハインケルHe219
イギリス
RAF(ロイヤル・エアフォース:王立空軍)
・ソッピース・キャメル
・スーパーマリン・スピットファイア
・ブリストル・ボーファイター
・デ・ハビランド・モスキート戦闘機型
・ボールトンポール・デファイアント
Royal Navy(ロイヤル・ネイビー:王立海軍)
・スーパーマリン・シーファイア
・ホーカー・シーフューリー
ソビエト連邦
労農赤軍航空隊、赤色空軍、防空軍、海軍航空隊
・ポリカルポフI-15
・ポリカルポフI-16
・ミコヤン・グレヴィッチMiG-3
・ラボーチキンLa-5
・ラボーチキンLa-7
・ヤコブレフYak-1
・ヤコブレフYak-7
・ヤコブレフYak-9
・ヤコブレフYak-3
イタリア
空軍
・マッキMC.200 『サエッタ』
・マッキMC.202 『フォルゴーレ』
・フィアットG.50『フレッチャ 』
・レッジャーネRe.2000『ファルコ』
スウェーデン
空軍
・航空庁国立工場J22