Ta152の開発
Fw190D-9で液冷エンジンを採用したFw190だったが、設計者クルト・タンク技師は満足していなかった。性能的に、高高度戦闘機とは言えなかったためである。
そこで主に、
- 高高度用エンジンの搭載
- コクピットの与圧
- 主翼の拡幅
といった強化を取り入れた高高度戦闘機の設計に着手した。
エンジンは当初DB603を希望していたが、メッサーシュミット社への供給が優先されていた為、ユンカースのユモ213となる。
このエンジンは生産しやすく、DB603の気難しさ、繊細さはなく、爆撃機や輸送機に用いられていて供給が潤沢という利点があった。
武装は機首の13mm機銃2門に代わって30mm機関砲をモーターカノンとして搭載し、主翼付け根の20mm機関砲はそのまま残している。
1945年1月31日、武装なしの試作機が高度10,800mで最高速度708km/hを記録。「MW50(水メタノール噴射装置)とGM-1(亜酸化窒素噴射装置)の追加で高度12,500mで最高速度765km/h」と計算された。
Ta152の活躍
登場が戦争終結間近だったため、殆ど活躍していない。
配備された頃には全ドイツの燃料は尽きており、航空機はもちろん、補給トラックの一台を動かす燃料さえ事欠く有様だった。
また、高高度戦闘機と言いながら、肝心の2段3速過給機(スーパーチャージャー)が不調で、MW50とGM-1も役に立たず外されていた。このため低空での防空が主で、Me262離着陸時の援護に活躍したという。
Ta152で5機以上を撃墜してエースに序せられたパイロットも何人かいる。
Ta152のバリエーション
生産数は150機程度、完成数はH-1が67機と言われている。(という事はH-0が80機程度か)
H-0
Fw190D-9用のエンジンを使った前生産型。
エンジンが同じで重量が増えているが、タンク技師が「操縦中にP-51に出くわしたが逃走に成功した」と述べている。目撃者はいないので本当かどうかは不明。
H-1
エンジンを換装した本格的生産型である。
過給機の不調でエンジンの信頼性が低かった。
後述の「成層圏気流」に登場したのはこちら。
主翼を短くした低高度型も計画されていた。
Fw190の性能向上のための案の、DB603を使用する「C型」に近いが、敗戦までに完成しなかった。
関連イラスト
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レシプロ戦闘機 戦闘機 Fw190 フォッケウルフ ルフトヴァッフェ
松本零士の戦争を題材にした短編集に含まれるTa152が主役の一編。OVA化もされている。登場するのはH1型。