Як-3。ヤコブレフ設計局が開発した労農赤軍(ソ連軍)の戦闘機。低高度での戦闘に絞って開発された。
概要
ヤコブレフ設計局はYak-1の後継機を構想していたが、練習機から主力戦闘機になったYak-7・Yak-9系の改修に追われ、放置されていた。
1943年、オリェーク・アントーノフ(1956年にアントノフ設計局を設立)がYak-1を改良した軽戦の開発に着手し、主翼面積の縮小、軽量化、空力的洗練を図ったYak-1M(москит=蚊)を試作。1944年、主翼の幅を切り詰めた試作2号機がYak-3として採用された。
総生産機数4,848機。
低高度での戦闘に絞って開発された。上昇力や加速力が優れ、操縦し易く、3,000m以下の高度ではBf109GやFw190Aより優速で、ドイツ軍パイロットに「顎(オイルクーラー)の出ていないYakと、高度4,000m以下で戦闘するな」と指示が出された。
液冷エンジン単発単座、低翼単葉の軽快な戦闘機だが、アルミニウム節約のため機首外板のみジュラルミンで、胴体は鋼菅フレームに樹脂浸潤合板の外板が貼られ、主翼は木製の桁に樹脂浸潤合板の外板。機体表面を滑らかにするため、羽布を貼った上で塗装している。
オイルクーラーは胴体内に収め、主翼付根にインテークがある。
武装は機首上面にUB 12.7mm機銃×2、プロペラ軸内にShVAK 20mm機関砲を搭載。Yak-3P(1945年)からはB-20 20mm機関砲×3に強化。
性能諸元(初期型)
全長 | 8.50m |
翼幅 | 9.20m |
空虚重量 | 2,123kg |
エンジン | クリモフM-105PF-2 液冷V型12気筒×1 |
最大出力 | 1,240馬力 |
最高速度 | 646km/h |
航続距離 | 648km |
実用上昇限度 | 10,400m |
上昇率 | 1,111m/min |
乗員 | 1 |
武装 | ShVAK 20mm機関砲×1、UB 12.7mm機銃×2 |