Як-1。ヤコブレフ設計局が開発した労農赤軍(ソ連軍)の戦闘機。独ソ戦序盤の主力戦闘機で、戦力化が急がれたため未完成な部分が多かったが、Yak-9、Yak-3などの開発の礎となった。
概要
1938年11月、旧式化していたI-15、I-16に代わる主力戦闘機の開発を命じられたヤコブレフ設計局は、クリモフ設計局の液冷エンジン搭載を前提としたI-26を試作。ドイツ陸軍がヨーロッパを席捲する中、1940年12月9日にYak-1として制式採用。1944年までに8,721機が生産された。
液冷エンジン単発単座、低翼単葉の軽快な戦闘機だが、アルミニウム節約のため機首からコクピット側面までがジュラルミン製のパネルで覆われ、胴体後部と三舵は羽布張り、それ以外は樹脂浸潤合板が貼られていた。
武装は機首上面にShKAS 7.62mm機銃×2、プロペラ軸内にShVAK 20mm機関砲を搭載。Yak-1B(1942年)からは機銃をUB 12.7mm×2に置き換え強化されている。
主なバリエーション
Yak-1
主生産型。当初はM-105Pを装備していたが、後にM-105PAやM-105PFなどに置き換えられ、性能が強化されていった。なおエンジンが変わっても、他国機のような型の区別は行われなかった。(ソ連ではしばしば用途やエンジンの違いでしか区別をしてなかったのである)
Yak-1b
胴体後部の再設計により全周視界の突出型風防を持つ後期生産型。武装や防弾装備の強化もなされている。なおこれは前線などで用いられた非公式な名称である。
Yak-1 MPVO
1943~44年にかけて、防空軍(PVO)向けに少数生産されたモデル。いくつかの計器や着陸灯などの機材を追加するなど、装備が充実している。
性能諸元(初期型)
全長 | 8.48m |
翼幅 | 10.00m |
空虚重量 | 2,445kg |
エンジン | クリモフM-105PA 液冷V型12気筒×1 |
最大出力 | 1,050馬力 |
最高速度 | 569km/h |
航続距離 | 650km |
実用上昇限度 | 10,000m |
上昇率 | 877m/min |
乗員 | 1 |
武装 | ShVAK 20mm機関砲×1、ShKAS 7.62mm機銃×2 |