概要
内燃機関としてのレシプロエンジンと外燃機関としてのレシプロエンジンがあり、いずれもエンジンとしては歴史が長い部類であるため技術的にも熟成されている。
内燃機関としてのレシプロエンジン
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど。一般的に「エンジン」と聞いて最初に思い浮かぶであろうものがこれ。
シリンダー内の燃料を爆発させ、ピストンを動かし、それを機械的な動力として取り出す。
部品点数はガスタービンエンジンやロータリーエンジンと比べて増えるため製造コストが比較的高く、また整備性も若干劣る(ただし量産効果と技術的な熟成が進んでいるので実際には低コスト化しており、信頼性も高い)が、間欠燃焼なので燃費が優れている。
外燃機関としてのレシプロエンジン
ボイラーで発生させた蒸気をシリンダー内に取り入れたり(蒸気機関)、外部からの熱でシリンダー内の気体を膨張させたり(スターリングエンジン)してピストンを動かすもの。
燃料(というより熱源)の自由度が高い、動作音が静かなどの長所がある一方で、熱源が必要になる分大掛かりになるという難点もある。
レシプロエンジンの特徴
長所
- 低燃費(内燃)
ガスタービンとは違い間欠燃焼のため燃料の消費量が少ない。
- レスポンスが良好(内燃)
ガスタービンはスロットル(アクセル)開放から出力が上がるまでに時間がかかるが、レシプロエンジンの場合はスロットル開放でほぼすぐに出力が上がる。
またロータリーエンジンと比べてもフライホイール効果が少ないため、レスポンスで勝る。
- 熱源の種類を選ばない(外燃)
外燃機関としてのレシプロエンジンの場合は熱源の種類を選ばない。
スターリングエンジンに至っては「温度差があれば動く」といっても過言ではなく、人間の体温や太陽熱ですら動作する。
- 信頼性が高い
長年の活躍で技術的にも熟成されており、信頼性は非常に高い。亀の甲より年の功を地で行く。
- ロマンがある
いかにもメカメカした構造(特にピストン周り)や爆発燃焼による動作音と振動はロマンそのもの。
ジェットの方がハイパワー、モーターの方が静かなのはわかっている。でもレシプロエンジンの見た目と動き、そして音はやはりロマンがあるのだ。
…また別の見方をするならば、やはり往復運動で力を発するというのは特に男にとってはいろんな意味で本能に訴えかける物があるのかもしれない…
短所
- 部品数が多い
レシプロエンジンはガスタービンなどと比べると部品点数が増える。
これはコスト面などで不利を強いられやすいという点にもつながっている(但しコストに関しては量産効果などでそこそこ改善は可能)。
- 摺動部分が多い
「ピストンをシリンダー内で往復させる」ということはそれだけ摺動部分が増えるということでも有る。これは故障の発生箇所が増えるという点にもつながる。
- パワーウェイトレシオで不利
構造が複雑な分、重量あたりの出力はガスタービンやロータリーなどと比べて不利になりやすい。
- 振動がある
間欠燃焼や往復運動など振動を起こす要素が多く、防振などに気を使う必要がある。
直列レシプロエンジンの「横置き」
多気筒のレシプロエンジンにはシリンダーの配置に「直列」「V型」「水平対向」等があるが、この内「直列」エンジンには、主にガソリン/ディーゼルの自動車・鉄道車両において「横置き」と表現される配置方法がある。
だが、この「横置き」には2通りの意味がある。
1つは、エンジンの配置が車両の前後方向に対して90°傾いている場合。FF車やRR車、及びそれをベースとした4WD車によく見られる配置で、パワートレインを前後方向に短くできるため、前輪の軸配置の自由度を増すために採用される。特に軽自動車に多い。
この場合、エンジンの構造を直列ではなく「並列(Parallel)」と呼ぶ場合もある。補足すると、直列エンジンを「スレートエンジン」と呼ぶのは和製英語である。
2つ目は、天地方向に対してシリンダーが横倒しになっている場合。これは日本において液体式気動車の総括制御により動力分散方式の長大編成を実現するという日本面丸出し]]の発想から来たもので、床面高さを抑えると同時に、客室内点検扉を廃止して、その上シリンダー往復の振動を伝わりにくくするというもので、キハ80系気動車で実用化された。自動車でもその後アンダフロアエンジンのバスで散見される。
シリンダーが横になるため、既存のシリンダーブロックを応用する際には、潤滑系統を変更する必要がある。