蒸気とは
概要
物質が液体や固体の状態から蒸発したり昇華したりして気体になったもので、常温では気体でない物質が気体になっている状態が「蒸気」である。
基本的に「気体」と同じ意味で使われているが、厳密にはその物質の臨界温度以下にあり、圧縮によって液化しうる気体の状態を「蒸気」と呼び、それ以上の温度にある場合を「気体」と呼んで区別する。
日本では、「水蒸気(Steam / 気体」のH2O)」の略語として用いられる事が多い。
乗り物での利用
蒸気機関が全盛だった頃は、「蒸気」と言えば推進用の動力源であったが、現在の用途では熱源としての利用がほとんど。動力源とは別に熱源としてボイラーを搭載している乗り物もある。
鉄道では客車列車は蒸気機関車から蒸気を送って暖める蒸気暖房が主であった。電化の進展などによって廃れた(電気暖房用の電源が確保できるなら、その電源で夏場はエアコンを動かせばよいため)が、ディーゼル機関車には蒸気供給用の補助ボイラーを搭載しているものもある。なお、蒸気が気化するときに熱を奪うことを利用した「蒸気冷房」という方法もあり、満鉄のあじあ号ではアメリカ製蒸気冷房装置のコピー品を搭載して蒸気で暖房と冷房の両方を実現したが、湿度の高い日本本土では使えず、当時の日本では一般化しなかった。
現代では、吸収式ガス冷房として、天然ガスを冷暖房の両方に用いるようにもなってきている。
戦前や戦中の海軍艦艇や、戦後しばらくの海上自衛隊艦艇は蒸気タービン推進だったので、水上艦艇では推進用の蒸気を分けて調理熱源に用いていた。しかし、現代では機関にガスタービンなどを使うため、蒸気発生用のボイラー(ドンキーボイラー)を載せている。これは火の気を遠ざける意味もある。もがみ型護衛艦ではドンキーボイラーが廃止され、オール電化となった。