- 蒸気を意味する英単語。"Steam Locomotive(SL)"で蒸気機関車。
- Valve softwareが運営するゲーム配信サービス・サイトの名称、およびクライアントソフトの名称。(こちらのスペルはスティーム)本項で説明
ValveのSteam
アメリカ合衆国のワシントン州に拠点を構えるValve softwareが、2003年9月にクライアントアプリケーションの提供を開始。同時に大本となるサービスをスタートさせた。当初はWindows向けに同社の『カウンターストライク 1.6』などのアップデート配信を主な目的としていた。2004年12月に最初の正式DL販売となった『Half-Life2』では起動障害やDL障害等各種トラブルが相次ぎ、地道に土台を固めていくためにクライアントやシステムの更新もかなり頻繁であった。2005年には外部のパブリッシャーと初めて契約を結び、ここからSteamでのDL販売を普及させる足がかりを築いていくこととなった。
折しも、常時接続の普及(提供エリアの地方への拡大)、ネットを介しての配信・支払い・アカウント管理・アップデートするというサービスインフラが確立するにつれ、更には国際的なネット環境の拡充を追い風に、従来型のパッケージソフト特有の「不良在庫」を抱えることを嫌った多数のデベロッパー/パブリッシャーは徐々にSteam経由でゲームを配信するようになっていった。
※時期としては2007年に当時のEidos、id Software、カプコンといった大手パブリッシャーが自社の作品をSteamで配信するようになった時点を境とする見解が多い。
特に2012~2015年の間で急速に拡大し、現在は国際的なメジャータイトル(日本製も含む)から無名インディーゲーム、さらにはアニメや映画に至るまで、多数のコンテンツを発信する一大拠点となっている。
配信を始めるための制限が緩く、CEROやESRBなどによる審査を受けていないタイトルも多いため、多数の独立系開発会社が参入しており、玉石混交といった感もあるが、それでもゲームの法的規制が厳しい国(特に韓国のGRACやドイツのUSKなど)もあるため、かつてはエロゲやラノベの類に当たるゲームの配信は認められていなかった。だが、ここ近年の規約改定により配信作品に明らかに成人向けのものが混じってたりと更にカオスな様相を見せている。
(注)当然ながら、無秩序に閲覧させないよう一定のゾーニングは設けており、基本的に非ログイン時はページ自体が表示されないようになっている。ログインすれば閲覧は可能だが「見たくない」のであればアカウント設定で非表示にすることも可能。
頻繁に値下げやセールを行い、50%オフ~時には90%オフなど爆安価格が珍しくないのが特徴で、安さに釣られてついついゲームを買い込んでしまい、気がつくと大量の積みゲーを前に頭を抱える、というのも利用者によくある。Steam自体が「ゲームを買うゲーム」と言われることもある。
Google Playにあるsteamのスマホアプリは、パソコンのSteamクライアントの補助的な役割であり、多要素認証によるセキュリティ向上以外は、期間限定セールに間に合う様に事前にストア購入するために限っての利用に限定されている。
Steam Deck
同社が開発した携帯型ゲーム機。OSはSteam OS3.0、プロセッサはCPUは“Zen 2 4c/8t、2.4~3.5GHz”、GPUは“8 RDNA 2 CU, 1.0~1.6GHz”のカスタム仕様、メモリは「16GB LPDDR5オンボードRAM」、本体ストレージは「64GB eMMC・256 GB NVMe SSD・512 GB高速NVMe SSD」のいずれかとなっている。
購入時に選択可能だが、当然ながら容量が大きくなるにつれて高価になっていく(日本円で2万円単位)。ただし後述のSteam Deck OLED(有機EL版)が出たため256GBが最低容量となり、それに伴い256GBは値下げ、64GBと旧512GBは在庫分で販売終了となる。
ストレージは交換可能なので、ひとまず256GBモデルを購入し、本体容量が足りなくなったら後からストレージを追加購入して交換した方が初期費用が安くなる。ただしSSD交換=本体の分解なので、その時点で動作保証外となる点には注意。保証を大事にしたいなら保証期間が切れてから交換するか、もしくは多少値が張ってでも有機EL版の512GBか1TBモデルを買った方が良い。外部ストレージはMicro SD XCカード対応。
ディプレイサイズは7インチ、解像度は最大1280×800ピクセルのフルHD画質、フレームレートは最大60fps。バッテリー容量は不明だが、最大45W・PD3.0電源対応・USB Type-C端子で充電する。
最大輝度は400ニトとNintendo Switchの最大370ニトと同等程度。
オーディオ端子は内蔵スピーカーと3.5mmヘッドホンジャック。Bluetoothは5.0対応でコントローラー・オーディオ・その他アクセサリが接続可能。プレイ可能時間は(ゲームによるが)2~8時間。重さは約669gと非常に重いが、膝の上に乗せてのプレイも意外と快適。また、別売りドックを買えばモニター出力および有線LAN接続も可能。
総合的にエントリークラスのゲーミングPCくらいのスペックでしかないが、「モバイルPCゲーム機」として考えると随一のものとなっている。
また、Nintendo Switchと比較すると重量以外のスペックでは上回っており、Switch版では画質がイマイチなゲームでもSteam版では画質が高いので、「どうしてもSwitch版で遊びたい」とか「Switch独占タイトル(マリオやポケモンなど)で遊びたい」で無ければSteam Deckの購入を推奨する。
そして安いモデルなら5万円台から購入可能なので、初めて「モバイルPCゲーム機」を買うのならアリと言える。ただし512GBまたは1TBモデルの価格帯になってくると同価格帯で同性能あるいはそれ以上のスペックの物が出てくるので、色々と検討したり量販店などで試遊機があるのなら軽く触ってみるのも良いだろう。
Steam Deck OLED
Steam Deckの有機ELモデル。512GBと1TBの2種類が販売。
ディスプレイサイズは7.4インチにアップグレード、解像度はそのままだが有機ELになったことで見た目上は変わっていない。むしろ最大輝度が1000ニトとかなり明るくなったため気にならない。
(ちなみにiPhoneの最新機種が最大1200ニト)
また1TBモデルのディスプレイはプレミアムアンチグレアエッヂングガラス採用により(旧モデルや新512GBモデルと比較して)更に綺麗になっている。
電力まわりのチップが変わったことによりバッテリー性能が30~50%上昇、プレイ可能時間は3~12時間へと大幅に伸びた。最大フレームレートは60fpsから90fpsへ上昇。
重量は約669gから約640gへと大幅軽量化、手に持った時に疲れにくくなった。
ゲーム機の性能としてはMHRiseが旧モデルが30fps前後(Switch版と同等)に対し、新モデルは60fpsを安定して張り付くようになったほど。
注意点として公式オンラインストアでの支払いは新旧ともに分割払い不可となっているので、分割払いをしたいのなら取り扱い店舗で購入するしかない。
おま国
日本(スクウェア・エニックス、バンダイナムコエンターテインメント、セガゲームスなど)や、海外の大手メーカー製のゲームが、Steamでは日本国内から購入できない現象。
皮肉の意味を込めたインターネットスラングで「おまえの国(日本)には売ってやらない」ことをさす。
ただし、「A列車で行こう9」のように、国内版(日本語版)は従来のディスク版やダウンロード直販なら購入可能といったケースもあるので、知らずに煽ったりしないよう注意しよう。更にそれに加えて、KADOKAWAのGotchaGotchaGamesからリリースされているRPGツクールのシリーズもRPGツクール2000とRPGツクール2003がこれに該当する。
よしんば日本から購入できるとしても、
- (日本メーカーの生まれであろうとも)日本語の表示や音声がなく
- 配信の際、わざわざ日本語の字幕や音声といったデータを削除し、後日DLCで別売する。(希にだが無料の場合あり)
- ひどい場合は日本語のデータの配信(アップデート含む)すらされない
- 日本での販売価格が、他の国の相場と比して高い(特に円建てになった2014年8月以降)
などがあり、この場合は「おま語」や「おま値」といったインターネットスラングで呼ばれている。
ただし、アジアやアフリカ諸国といった途上国では低所得者の多い国々の経済状況に配慮し、日本市場よりも大幅に低価格で配信している場合もあるし、時にはドル円レートでも為替相場より低い価格設定もあるため、それだけで「おま値」ということもできない。
また厄介な話として、Steamから配信されるソフトはDLCなどで分けない限り基本的に「1つになっていないといけない(配信国ごとなどを条件に配信するものを変えられない)」のだが、欧州の古いPC環境ではマルチバイト文字が想定されていない(含まれているだけでプログラムが正常動作しなくなる場合もある)ため、国際配信のためにわざわざ日本語を削って別物にせざるを得ないという事情も存在する。
(特にRPGツクール系のゲームはこの影響が顕著で、「日本語がわからなくてもいいからプレイしたい」という海外ユーザーを悩ませている)
日本のSteamユーザーにおけるスラング
上記の「おま国」のほか、どちらも古くからのSteamユーザーにとっては「おなじみのネタ」というべきものがある。
「スチムー」「ゲムー」
サービス開始当初のSteamはフォントの不備により日本語表記に不具合が出ていた。特に「ー」等の記号の描写位置に問題があり、「ー」の表記がそれぞれ「ム」と重なって表示されてしまい、「スチムー」や「ゲムー」と読めてしまったことがそもそもの原因。この不具合は早期に修正されてしまったものの、古参クラスのSteamユーザーからは皮肉や愛を込めて今もそう呼ばれることがある。
「開発中」
これも古くから存在するもので、ゲーム購入時の決済処理の際、英語版クライアントでは「処理中」の意味で使われていた「Working」が何故か「開発中」と誤訳されてしまったことが原因。これを面白がってか、Steamでゲームを購入することを「開発する」と呼ぶユーザーも多くいる。こちらは後に日本語環境が整備されたも関わらず、長い間未修正のままだったが、2017年10月初旬のサイト/クライアントアップデートで「処理中」に修正された。決済処理に関わる大事な部分なだけに「やっと対応したか……」という声と同時に寂しさを感じる声も一部にあった。
pixiv上では
ゲームメーカー記事のないSteamで配信されているゲーム作品の親記事としても機能している。それ以外には、Steamで配信されているゲームの関連イラストも多い。
注意
steam外で同名タイトルを発見し、プレイしたら全くの別物だったという事例が存在し、それも問題となっている。この項目を追加している段階(2023年12月22日現在)では、特に8番出口はsteamのみなのに他所で同名アプリが目撃されている事例も存在しているが、場合によってはスマホやPCなどにも悪影響が出る可能性があるので、ダウンロードはしないようにしていただきたい。
steam外への移植などに関しては公式からのアナウンスを参考にしよう。
キャラクター
Steamセールちゃんを参照
関連タグ
ソフトベンダーTAKERU:Steamのシステムにおけるご先祖様と言えるかもしれない存在。
ASUS ROG_Ally:Steam Deckのライバルモバイルパソコンを販売している。Steam Deckと同じくZenだが性能はこちらの方が高く、OSもWindows(Windows11)。
ONEXPLAYER:台湾のパソコンメーカーONE_NET_BOOK社のモバイルパソコン。