概要
基本的には同人ゲームと同義ではあるが、同人ゲームよりもこちらはどちらかと言えば商業ベースでリリースされる事や一次創作な性格が強い。辿れば8bitPCの頃のシェアウェア文化の系譜にあたる。
この為、同人ゲームにありがちな二次創作モノはほとんど無い(後述)が、オマージュ・フォロワー作品もちらほら見かける。
この差は日本では同人ゲームが二次創作活動として多く作られてきた。そして「二次創作活動はファン活動で利益目的の活動ではない」と言う建前がある為である。この建前が完全崩壊した場合は使用許可を得なければならなくなる。ただし、Play,Doujin!の様に家庭用ゲームハードで東方Projectの二次創作ゲームをリリースするレーベルがある為、限定的とはいえ二次創作も含むといえる。
主に小規模なソフトハウスからリリースされる事が多い。勿論、個人製作のゲームが注目を浴びて著名になる事もある。
日本国内では「インディーズゲーム」と呼ばれる事が多いが、こちらは和製英語である。
インディーゲームの特徴としては、大手メーカーが手を出さずまた開発コストも低く抑えられる2Dアクションorシューティングなどが多かったが、現在ではUnity、UnrealEngineに代表される無料or安価なゲームエンジンなどの開発環境が充実したため、メジャータイトルに劣らない美麗な3Dグラフィックゲームも数多く存在する。
基本的なソフト供給はダウンロード販売が多い。稀にパッケージソフトとして発売される事がある。
これはSteamに代表されるDL販売の台頭により、販路を持たないインディーメーカーでも十分な利益が期待できるからである。
またキックスターターに代表されるクラウドファンディングで容易に資金援助が受けられる環境ができたため、作品の質においてメジャータイトルに比肩する作品が数多く生まれるほど盛況となっている。
もっとも、作品の数や販売までの敷居の低さゆえにクオリティが玉石混交状態になっているのも確かである。
インディーゲーム一覧
ピクシブ百科事典に記事のある作品のみ記載。
また、同人サークル開発のゲームは「同人ゲーム」を参照。
太字は投稿作品数1000以上、★付き太字は投稿作品数5000以上のゲーム(ただしタグの表記揺れ、文字が一致するだけでゲームとは無関係なタグの存在等は考慮していない)。
※タイトルの正式な読みは不明だが、英語圏では「six Vs」の呼び方が一般的。
家庭用ゲーム機におけるインディーゲーム
Nintendo Switch、PS4、XBOX Oneと現行の家庭用ゲーム機いずれも数多くのインディーゲームが発売されている。DL販売が主な販路ではあるが、一部の人気タイトルはパッケージ化されて全国のゲームショップや量販店などで流通している。PS4はPS♥Indiesと銘打ってインディーゲームを積極的に紹介、支援している。またNintendo Switchでも「INDIE WORLD」という自前のWeb番組・サイトを立ち上げてインディーゲームを紹介している。XBOX Oneについてもイベントブース等でインディーゲームをプッシュする様子が見られ、いずれのプラットフォームでもインディーゲームが一定の立ち位置を得ていることがわかる。
ただし、日本国内においてはCEROによるレーティング審査も通す必要もある(有料)。海外の場合はIARCによる自己申告式レーティング(無料)によりある程度まで簡略化できる場合もある。
判明している形では、恐らく日本のゲーム機で初めて公式に販売されたインディーゲームは当時ゲーム同人サークルだったゲームフリークのクインティだとされている。ちなみにゲームフリークはファミコンの仕様を独自に解析して構築した自前の開発環境でソフトを作り上げている。(販売元だったナムコ側が製品化にあたってある程度は調整を要求したようだが)
このクインティがきっかけでゲームフリークはインディーからメジャーへの道を歩む事となった。
一方でエニックスのファミコンソフト第一号である中村光一作の「ドアドア」の方が先ではないかとされるがこちらはPCが初出であるので厳密には違う。
なお、同じく独自の開発環境を構築してソフトを作っていたハッカーインターナショナルや西武企画等もいたが、両社共にアンダーグラウンドに属した手段であった為ここでは厳密には含まれない。
ただし、家庭用ゲーム機で動かすゲームやアプリケーションは90年代から試みが小規模な場で行われてきていたが、動かす為に必要なものが非合法なものが多かった為(違法コピーが動く)に現在と比べて大っぴらに公開というのは少なかった。
2010年代中盤~後半にかけては既に現役を退いたハード(ファミコン・メガドライブ等)の新作ソフトがインディー形式で製作・販売されるケースが出てきた。ただし、それでも少ない部類に入る。
なお、セガに2010年代中盤頃にインディーゲームとして二件程メガドライブソフトの公式ライセンス認可の申請が来たという。一応審査はしたものの、既にセガはメガドライブの本体サポートを終了している事等を前提とした上で結局は認可はどちらも下りなかったという。ならばバーチャルコンソールでならどうなのかと言うと、バーチャルコンソールは過去のゲーム作品の保存・継承を目的としたものである為に新規作だと当てはまらないのでやはり認可が下りないとされる。
ただし、現行ハードでリリースする場合はそのシステムで動く事を前提とするならば(エミュレーション等)その限りではない。その場合は例えばファミコン・スーパーファミコン等のレトロハード実機で動くものは8bit・16bitゲームとぼかす事が多い。
最近はパブリッシャーを通すことで個人制作者でも公式な開発環境を入手できるようになった。
また、インディーゲーム同士のコラボというケースも散見される事も多くなり、大手メーカーのゲームにもインディーゲームのキャラクターがゲスト出演する事も出てきた(例:大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL)。
インディーゲーム界隈での問題
インディーゲーム販売でパブリッシャーとデベロッパーの間で問題が発覚するケースが2019年12月に発生し、インディーゲームパブリッシャーの「Dangen」がソフト売上げのデベロッパーへの未配当が告発され(他にも関係者のスキャンダル等も含む)、インディーゲーム界隈で物議を醸した。
また、クソゲーもそれなりに存在し果ては(アセットだらけを組み合わせただけの)ゲームとして成り立ってない稚拙なものもあったりするので内容の割に価格が釣り合ってない事も多々ある。そういうものに限って何故か強気の価格設定。
2020年にはニンテンドースイッチでも配信された「ファイナルソード」がインディーゲームとしてのゲームバランスがおかしい等のクソゲーとして話題になったが、根本的な問題はそこだけではなく、スイッチ版で使用していた一部楽曲が著作権に抵触するとしてスイッチ版は配信中止になったのである。顛末等の詳細は当該項目を参照。
家庭用ゲーム機における個人開発ライブラリ
過去の開発ツール
過去にも家庭用ゲーム機のメーカー公式(公認)個人向け開発ツールがリリースされていた事がある。以下はその一例。
ファミリーベーシック
ファミリーコンピュータ上でBASICを用いてプログラミングできるツール。ただし、後述の「プチコン」とほぼ同じ性格があるのと、性能が貧弱だった。
PC-FX GA
PC-FXの個人開発ツール…というよりはPC-9821のCバスに取り付けるPC-FX互換拡張ボードと言った方が正確。勿論開発ツール「GMAKERスターターキット(プラス)」がある。
でべろBOX
1996年に徳間書店インターメディアのPCエンジン情報誌「PCengine FAN」で通信販売された、PCやMSXと接続してPCエンジンで自作ソフトを動かす為のツール。なお、でべろBOX自体はあくまでもPC(MSX)とPCエンジンを繋ぐインターフェース機器にすぎない。PCエンジン最末期に出たものである。これはPC-FX GAに触発された企画だったとの事。
ネットやろうぜ
1996年にSONYから個人向けプレイステーションソフト開発ツールが発売された。通称「黒ステ」と呼ばれた通常のプレイステーションとは少し仕様が異なる黒いPS本体とPCを接続するもの。約12万円で発売された。おそらくメーカー純正の個人向け開発キットをリリースした先駆けである。
電撃プレイステーションDの付録ディスクにはこのツール製ゲームが収録された事もある。
GB Kiss
ハドソンが自社タイトルのゲームボーイソフトカートリッジ「GB Kissカートリッジ」にソフト内のシステムで動くアプリケーション開発キットを出していた事がある。開発環境はPC上で行い、作成したアプリケーションは開発機器から「GB Kissカートリッジ」に搭載された赤外線通信ポートを介して送りこんでいた。
ワンダーウィッチ
ワンダースワンの公認個人向け開発キット。これによるコンテストの優秀作品は実際に製品化された事がある。当初はモノクロだったが、カラーに対応したソフトも作れるようになった。
Microsoft XNA
Xbox360上で動かせるアプリケーションを「C#」で作成できる。
現行ゲーム機での開発ライブラリ
先述したように、「Unity」「Unreal Engine」等が現在ではほぼ主流であるが、メーカー公式の開発環境を入手しなければならない。
が、一部にはそれ以外のツールが存在する。
プチコンシリーズ
smilebasicを用いたBASIC言語のソフト。厳密に言うとゲームハードのソフト開発と言うよりはどちらかと言えば専用BASIC上で動かすシステムである。とはいえ、ニンテンドーDSi(プチコン・Mk.Ⅱ)・ニンテンドー3DS(プチコン3号)・WiiU(プチコンBIG)・ニンテンドースイッチ(プチコン4)はそのゲームハードのデバイスが使えるプログラミングができる為、一応は開発ツールに入る。8ビットPCに隆盛したBASIC文化の延長線に入るともいえる。
BIGまではタッチパネルの仮想キーボードを使わないと入力できなかった為、作り上げるのは一苦労であったが、BIG以降はUSB接続可能な機種でリリースされた事でキーボード接続ができるようになり解消された。
アーケードゲームにもインディーゲームのムーブメントが
株式会社ShowMeHoldingsが開発した業務用アーケードシステム基板『exA-Arcadia』はメーカーや個人の開発したソフトをアーケードゲームとしてリリースできるとの事。すでに「アカとブルー」が稼働開始したほか、ピコリンネソフトの「INFINOS」がロケテストに入っている。
また、株式会社セガ・インタラクティブは2019年11月開催の同人・インディゲームオンリー即売会「デジゲー博」に出展し、参加サークルに対して自社のアーケードゲームプラットフォーム「ALL.net P-ras Multi Ver.3」の新規タイトル候補を募集するチラシを配布した。2020年のJAEPOではその成果として横スクロールSTG「Rolling Gunner」のアーケード版発売が発表されている。
その前にもタイトーの「NESiCA×Live」では「ヤタガラス」「トラブル☆ウィッチーズ」「クリムゾンクローバー」など複数のインディゲーム(同人ゲーム)がアーケード化されている。
始まりがインディーだった企業達
日本国内にしぼって考えると、現在でもあるいはかつて存在したソフトハウスは幾つかは現在の観点からすると始まりはインディーだったといえる企業がいくつか存在する。
そこには8bitPC全盛期におけるマイコンブームも深く関わりがある。
- ハドソン:かつて北海道で創業したゲーム会社。当初は趣味の商店(鉄道関係・アマチュア無線)だったが、創業者兄弟のうち兄がプログラミングにはまりソフト開発を始めた事がきっかけとなっている。
- 光栄(現:コーエーテクモゲームス):元々は全く別の業種であった。後に8bitPCのソフトを手がけてから、歴史シミュレーションゲームの雄と称されるゲーム会社となった。
- チュンソフト(現:スパイク・チュンソフト):当時学生だった中村光一がエニックスのコンテストで準優勝した「ドアドア」を皮切りにゲーム業界入り。
- テクノソフト:創業当初はマイコンショップ「佐世保マイコンセンター」を営んでいた。やがて自社開発・客が製作したソフトの持ち込みの商品化によりソフト開発会社に転向した。社名は元々は佐世保マイコンセンターのソフトウェア群に付けられたブランド名である。
- ゲームフリーク:現在ではポケモンで有名だが、元々は同人ベースでゲーム攻略法といったものを同人誌配布していたゲームサークルにすぎなかった。独自でファミコンの開発環境を構築してついには商業ベースでアマチュア作品が発売されるという日本で数少ない先例を持つ。