「忘れたの? それとも思い出すのが怖い?」
概要
Red Candle Games(赤燭遊戲)開発の2Dアドベンチャーホラーゲーム。
返校は「学校へ帰る」、Detentionは「拘留」「居残り」といった語意を持つ。
返校というのは、夏期・冬期の長期休暇が明ける前の1日だけ登校して校内の清掃や連絡事項の確認をする中華圏の学校の習慣である(映画版でも予告で公開日を返校日と呼ぶ演出がある)。
英題“Detention”は学校に“取り残された”主人公たちと、当時迫害された人々の“拘留”とのダブルミーニングになっているが、物語の結末を見るともう一つ意味が隠されている事が分かる。
1960年代の戒厳令時代(通称・白色テロ)の台湾が舞台。当時は台湾政権を掌握した中国国民党の支配が根付き、冷戦の影響もあって国民間の相互監視、言論弾圧が奨励される暗黒期であった(その戒厳の長さたるや実に38年(1949〜1987年)。これは世界最長記録でもある)。政府の意向に背く者は国事犯として容赦なく捕縛され、酸鼻を極める拷問と抑留の果てに多数の人々が命を落とす恐怖政治が行われた。
そのため、民衆は常に誰が自分の敵になるかわからない不安、弾圧によってそれらのガス抜きも儘ならないストレスに苛まれており、こうした世の風潮が本編では重要な要素となっていく。
ストーリー
時は1962年。当時の台湾は中国国民党による戒厳令が敷かれ、共産主義者及び反体制派の異分子がしらみ潰しに取り締まりを受ける荒んだ時代だった。それは地方の翠華高校でも例外では無く、生徒たちはバイ教官の監視や密告に怯える息苦しい空気の中で青春を過ごしていた。
そんなある日、台風が近づく中、2年生の男子魏仲廷(ウェイ・チョンティン/ウェイ)は授業中ふと寝入ってしまい、目覚めてから辺りを見回すと誰も居らず、一人教室に残されていることに気づく。急いで帰ろうとショートカットした講堂で、ウェイは椅子に腰掛け舞台上で眠る女子生徒を見つける。女子生徒は3年生の方芮欣(ファン・レイシン/レイ)と名乗り、宝物のペンダントを失くしたことを頻りに気にしていた。
ウェイがレイのペンダントを見つけ出したことで親しくなった二人は、嵐が過ぎ去るまで校内で一夜を明かすことにする。ウェイが席を外した刹那、レイは目まぐるしい幻惑に巻き込まれ、学校は死霊や妖怪が彷徨う不気味な世界に変わっていく。そしてさっきまで健在だったはずのウェイが無惨な姿で死んでいるのを発見してしまう。
事態を飲み込めず混乱するレイは、学校から出ようと校内を探索する。そして明らかになっていく真実。
レイの憂鬱だった人生。その中で見つけた一つの恋。
それが引き金となって起きたこの学校での惨劇と、
自身の犯した罪を。
敵(幽霊)と戦うことはできず、息を止めてやり過ごす。
登場人物
ウェイ(魏仲廷/ウェイ・チョンティン)
台湾の地方都市にある翠華高校の2年生。大人しそうな男子生徒。授業中に居眠りでもしてしまったのか教室内で一人目覚め、周囲から誰もいなくなっていることに気づく。台風が近づき荒れる学校で、上級生の少女・レイと出会った彼は、共に幽鬼が彷徨う学校からの脱出を試みる。
レイ(方芮欣/ファン・レイシン)
ウェイが体育館で出会った女子生徒。ウェイと同じ翠華高校の3年生で、彼にとっては先輩にあたる。ウェイが彼女を見つけた時には、何故か壇上で椅子に腰掛け眠っていた。翡翠のペンダントを大切にしている。明るく活発、おどけた一面もあるチャーミングな少女。異界と化した学校から脱出しようと進むうちに、自らも忘れていた過去を思い出していく。
イン先生(殷翠涵/イン・ツイハン)
翠華高校で歴史を担当する女性教師。校長の娘で教養のある家柄に育ったためか、当時の抑圧された社会には批判的だった。生徒たちに広い見識を持って欲しいと願い、一部の有志の生徒を募って秘密の読書会を開催している。
物語冒頭でバイ教官に呼び出されるが…。
チャン先生(張明暉/チャン・ミンホイ)
翠華高校の若き養護教諭。日本への留学経験もある優秀な青年で、悩みを抱えるレイに親身になって相談に乗る。
バイ教官(白國峰/バイ・グオフォン)
学校の指導教官。元軍人で国粋主義者であり、生徒からは嫌われている。
映画
2019年に実写化され、9月20日に公開。日本では2021年7月30日に公開される。
主演はワン・ジン。共演にツォン・ジンファ、フー・モンボー。