概要
《九日 Nine Sols》は古代中国神話を融合させた2Dプラットフォーム型アクションアドベンチャーゲームです。敵の攻撃をかわす弾きをはじめとするスピード感溢れるバトルに、アナログ風のグラフィックで道教SFファンタジーの世界を描き出します。
(Steamのストアページから引用)
巨大な宇宙船「新崑崙(しんこんろん)」を舞台に、忘れられていた英雄・羿が復讐とある目的のために9人の「太陽」に挑む物語。
主なゲームプレイは敵と戦いながら10に大別される広大なエリアを探索することである。最初の頃は探索範囲が限られているが、探索をすることで使用できるアクションが増えていき、その都度探索できるエリアもさらに広がっていく。
そして各エリアを管轄する権力者である9人の「太陽」を見つけ出して権限の証である「王璽(おうじ)」を奪い取り、宇宙船の全権を掌握することがこのゲームの最終目標である。
サイバーパンクと東洋の要素を融合させた「タオパンク」と称される世界観が大きな特徴で、無機質ながら豪華絢爛。キャラクターデザインも猫をモチーフに中国神話に登場する人物の意匠を加えており、ハードなストーリーとは不釣り合いなほど可愛らしい。
しかしキュートなキャラクターたちの見た目に釣られたプレイヤーを歓迎するのは地獄のようなトラップとサイボーグの衛兵、そして強力無比なボス達。
さらにゲーム性だけではなくイベントの描写も中々ハードで、CERO-C~D程度の暴力表現と性的表現を覚悟してプレイした方が賢明。PVの冒頭で見せられるゴア表現に耐えられないようであれば遊ばない方がいいかも。
なお、開発したスタジオの前2作はホラーゲームである。それが探索型アクションで何を意味するかについてはお察しください。
主人公の羿はすべての記憶を保っているものの、その記憶はプレイヤーにはイベント等で断片的にしか語られない。各地ので情報を集め、ゲームの背景で起こった事象を考察するのもこのゲームの楽しみである。
あらすじ
新崑崙―異星種族である太陽人が建造したシェルター―は、数百年もの間、その沈黙を守ってきた。やがて時は満ち、英雄・羿は『復讐』から『道―タオ―』へと至る王討伐の旅路に足を踏み出してゆく。(公式サイトから引用)
ゲームシステム
アクション
基本的にはメトロイドに近い2Dプラットフォーム型アクションアドベンチャーゲーム。
そしてゲームオーバー時の残滓などにダークソウルやSEKIROの影響がみられる2D版ソウルライクゲーム。
全体的に難易度は高く、特に中ボス、ボスは初見どころかリトライしても2~3回程度ではまず勝てないほど強い。トライアンドエラーで覚えていくのが基本だが、勝てない場合はボスの行動をじっくり観察してみよう。そうすればどんな攻撃でも隙が見え、回避行動がとりやすくなるかもしれない。そして行動を把握しシステムを使いこなした上で本当に勝てないような相手はいないため、理不尽に感じてもそこには必ず突破口があるし実際に全ボスノーダメージクリアの動画も存在している。一度二度の敗北にめげず、どんどん戦い、力をつけていこう。
弾き
衛兵やボスたちの熾烈な攻撃に対抗するための最大の防御手段。相手の攻撃を凌ぐだけでなく、大技を使用するエネルギーを貯めることが可能。
不完全な弾きでもHPは削られるもののライフは1残る上、正確なタイミングで弾きを発動すれば、完璧なガードでダメージを完全に無力化できる。とはいえ弾いているだけでは相手に傷を負わせられないしいつかは弾きにも失敗してダメージを受けてしまう。ノックバックは結構大きくその後の反撃も難しいため、状況に応じて攻撃などの選択肢と使い分ける必要があるのは他のゲームと同様である。
アイテム
金
このゲームの通貨であり資源。敵を倒したり箱を開けると入手できる。そして集まった金は玉石や強化アイテムなどに使用できる。ただし後述の通り厳しいゲームシステムのため、慣れないうちは簡単にロストしてしまう。
玉石
「玉石システム」を介し、主人公に常人を超えた様々な潜在能力を発揮させるアイテム。
ただし能力の発揮には莫大な演算をシステム側で必要とするようで、すべての玉石を一度に使用することはできない。
装備できる玉石の量は計算力という形で表現されており、玉石ごとに必要とする計算力(コスト)が違う。玉石の効果と組み合わせでシチュエーションに応じてプレイスタイルを変えることが可能で、計算力部品と玉石を集めれば主人公をどんどん自由にカスタマイズできるようになる。ただし古代樹ノードでしか玉石の装備は変えられない。
その他
経絡
羿が敵を倒すと修行(経験値)を獲得し、一定の経験値がたまるとレベルアップして経絡ポイントを獲得できる。経絡ポイントを消費することで羿をある程度自由に強化できる。
上記の玉石と異なり、一度獲得した能力は失われない。
ゲームオーバー
主人公のライフが尽きると最後に休んだ古代樹ノード(セーブポイント)に戻されてしまう。ペナルティとして、死んだ場所には残魂となって所持金と修行(経験値)が残され、雑魚敵に倒されてしまった場合は残魂はその敵に吸収される。いずれの場合も残魂は拾いに戻り、敵に奪われていた場合はその敵を倒さないと取り戻せない。
そして拾いに行く道中で、あるいは残魂を吸収した敵を倒せず再度力尽きると落とした修行とお金は永久に失われてしまうというややシビアな仕組みになっている。
登場キャラクター
- 羿(げい)
本作の主人公である謎の方士。作中冒頭で殺害されてしまうが、古代樹の力で長い時を経て復活した。仲間想いで面倒見のいい人物ではあるがだいぶ口が悪い。エレベーターなどの装置を即座にハッキングするなど、機械類の制御において並外れた力を発揮する。元ネタは中国神話に登場する九つの太陽を弓で撃ち落とした人物。
- 恒(こう)
羿の妹。フィールドの探索中にたびたび電話をかけてくるが…。
- 軒軒(けんけん)
桃花村で羿と同居する少年。穏やかな性格で好奇心が旺盛。元ネタは恐らく中国神話における始まりの王たる黄帝。
- 神農(しんのう)
桃花村に住む大男。俗にいう陰謀論者であり、自分を取り巻く世界に疑いの目を向けている。元ネタは三皇五帝と呼ばれる伝説の皇帝の一人で、人々に薬と毒についてを教えた医学の祖。
- 算盤-如羿(さんばん-じょげい)
羿の活動をサポートする人工知能。もったいぶった言い回しが多く、羿から「要点を言え」と苦言を呈されることもしばしば。
- 山海9000(せんがい)
太陽人によって造られた金魚鉢のような頭を持つサポートロボット。
ダンジョン内の各エリアに同型のロボットが1体配置されており、頭部に様々な魚を模したホログラムを投影して感情表現を行う。羿の拠点にいる個体はいかにもロボット然とした口調で振る舞っているが、何か目的があるらしい。元ネタは山海経という地理書。
- 蚩尤(しゆう)
太陽人によって造られた人工生命体。戦闘兵器として造られたはずが、何故か自我を持ち、詩と文学と珍品を愛する文化人。元ネタは饕餮とも同一視される異形の武神。(画像右の人物)
- 李耳
古代樹の中に住む謎の老人。元ネタは古代中国の哲学者である老子。
天道議会十王
太陽人の中でも、新崑崙を治める権力を持った実力者たち。新崑崙内において、それぞれが専用の担当エリアを与えられている。
- 夸伏(こほ)
蓄能施設の管理人者。太った体格の太陽人。
羿とは仲が良く、再会後には心強い協力者になる。元ネタは中国神話に登場する太陽を追いかけた巨人。
- 勾芒(こうぼう)
食料庫の管理者。スタイルの良い女性太陽人。
手や足が鳥のように変化しており、飛行することができる。前日談を描いた漫画にも登場している。元ネタは伏犠を補佐する鳥の姿をした神。
- 奄老(えんろう)
倉庫エリアの管理者。小柄な老齢の太陽人。礼儀を重んじる性格。老人らしく一度話し始めると話が長い。その一方でプライドも高く、反論や論破には激昂する悪癖も。
- 截全(せつぜん)
煉丹工場の管理者。屈強な体格の太陽人。かつて武力で名を馳せた截家の末裔。(画像左奥の人物)
- 蚨蝶(ふちょう)
演算室の管理者。ふくよかな体型の女性太陽人。元ネタは「胡蝶の夢」の故事。
- 伏羲(ふくぎ) / 女媧(じょか)
天人エリアの管理者。冷静で思慮深い兄と享楽的で奔放な妹の双子の兄妹で、風氏と呼ばれる貴族の生まれ。元ネタは中国神話における創造神の夫妻。
- 姫(き)
道教石窟の管理者。不思議な雰囲気を纏った中性的な太陽人で、その見た目と名前に反して実は男。元ネタは南北朝時代の中国に実在したとされる、冀儁という書家。
天道議会十王の中でもかなり異質な存在で、どのようにして十王に選ばれたのかも定かではないらしい。
- 易公(えきこう)
研究所の管理者。熟年の女性太陽人。天道議会の首長で、太陽人の中でもとりわけ強い権力を持つ。