概要
張明暉とは、『返校』の登場人物。主人公方芮欣(レイ)の通う翠華高等学校の養護教諭。本作のキーパーソンでもある。作中では専ら「チャン先生」と呼ばれる。
レイの回想に登場する人物で、家庭崩壊に苦しんでいた彼女のカウンセリングを担当していた。彼女の気分転換になるよう映画を見に連れて行ったり、白鹿のペンダントを贈ったりするうち、レイから想いを寄せられるようになる。
留学経験があるようだが、彼曰く自身の経歴は“少し”複雑とのこと。
年齢の程は定かではないが、レイと親しくなる様子から20代前半から後半と思われる。
人物
穏やかで生徒に優しく、レイのことも親身になって相談に乗っていた。一方で現在(60年代当時)の全体主義的社会には同僚の殷翠涵(イン先生)と同様反対する立場にあり、政府にとってはかなりの危険分子であったと思われる。
ネタバレ
実は翠華高校の読書会を企画し、一連の事件の発端となった人物。
生徒たちに現政権の敷く抑圧を当たり前と思って欲しくないと、イン先生と協力して政府の発禁本(映画版ではタゴールの詩や厨川白村の『苦悶の象徴』が出てくる)を極秘に仕入れ、生徒たちに読ませる会合を開く。
危険を避けるため、秘密を守ると約束できる一部の男子生徒だけを集め、思い思いに議論し合っていた(映画版では女子生徒も参加している)。そのメンバーの中には物語の主要人物・魏仲廷も居た。
しかし当のチャンがレイと恋仲になろうとしていたことから、読書会の漏洩を危惧したインは彼に警告し、レイを関わらせないように諭す。チャンは後ろ髪を引かれながらもインの説得を受け入れ、レイと距離を置くようにした。
しかし…。
さらなるネタバレ
ある日、職員室に憲兵が乱入。チャンを声高に呼びつけ、極悪人呼ばわりまでして彼を連行しようとする。終焉を悟ったチャンは、この世の不条理を切々と嘆き、レイと過ごす日々は「最も単純な幸福」だったと、嘗てを懐かしむ。
「僕たちみたいな人間の居場所は無いんだ」
やがてチャンには死刑判決が下され、チャンは愛する少女に別れを告げる暇も無く、短い生涯を終えることになる。