概要
『ファイナルソード』(FINAL SWORD)とは韓国のインディーメーカーHUP Gamesが制作したアクションRPGである。『英雄の誕生』(The Birth of Hero)という副題が付けられている。
2020年7月2日にNintendo Switchで配信ソフトとして発売され、『Mobile Edition』と銘打たれたiOS・Android版も販売された。しかしながらNintendo Switch版はゲーム内で使用しているBGMの著作権違反が発覚し、配信から4日後の7月6日に配信停止、任天堂のサイトからも排除された。2022年5月18日からはPlayStation Storeでも配信開始されたが、まさかのPlayStation5専売。価格はNintendo Switch版が1,890円、iOS版が860円、Android版が800円、PS5版が1870円である。
なお、スマホ版はスキルが使用できないなど、いくつか搭載されていないシステムがある簡易バージョンである。
また、クソゲーオブザイヤー2020大賞受賞作品でもある。
詳しくは下記の項目を参照。
ゲーム内容
結論から言えば「ゲーム開発者向けに発売されている3DアセットやBGMを多用したゼルダ+ダークソウルもどき」。有り体に言うと「Steamによくあるクソゲー」である。
自作されている部分もどこか安っぽさが窺え、身も蓋もないことを言うと完全な技術力不足である。
突っ込みどころ満載の要素
ゲームとしては一応完成しており、遊べないほどではないものの、節々で完成度が著しく低いとされる部分が目立つ。
- 攻撃判定や操作系統が雑で思うように攻撃を当てられない。
- しかも3Dゲームなのにロックオンがなく、思った方向に攻撃するのも一苦労。
- 「調べる」とローリングが同じボタンに設定されているため、話したい人の回りでローリングを繰り返す不審者になったり、崖際の宝箱を開けようとしてローリングを誤爆、落下死が多発する。
- 調整不足で経験値テーブルがおかしく、推奨レベルに達するまでがあまりに苦行。
- 装備を整えようにも金銭のドロップバランスがあまりに渋い。例:序盤の敵は1Gしか落とさないため15Gの薬草を買うために15体倒す必要がある。後に14G落とすが、その頃には武器の価格は約600Gである。
- Switch版の強気な価格設定に釣り合わない、時代遅れすぎる低品質なグラフィック。
- 世界観にそぐわない緊張感皆無のフォント。なお、ネット有志の手で「コーポレート・ロゴ丸」と判明した。
- 会話が成り立っていないレベルのクソ翻訳、誤字、台詞発話者の設定ミス。
- 「あぶよ」という謎の言葉が書かれた魔法陣。
- プレイ時間自体は長いが、敵を倒す以外に強くなれる要素が無く単調気味なレベリングが大半を占めるため、ストーリーのボリューム自体はそこまで濃いわけではない。
などなど、あからさまなクオリティの低さからクソゲー愛好家や野次馬達の注目の的となった。
その他にも突っ込みどころは多く、バグや仕様を含めてとんでもない場面に遭遇したことが多く報告されている。
- 推奨レベルが高いのに最初の村の近所で出くわす最初のボス「トロル」。しかもレベル上げが先の通り苦行。
- チュートリアルがなく、誘導や説明もないゲームシステム。
- 母親のためにせっかく取ってきた薬草を直で渡す主人公。しかも効果はなく、徒労に終わる。
- 意味のない村人との会話。遅すぎるヒント会話(戦闘のコツは回避だと中盤に聞かされる)。
- 貧相な内容の宝箱しかないがっかり探索。
- 序盤は剣より薬草が高い(主人公の村での価格、剣10G 薬草15G)。
- 毒などの状態異常エフェクトが小さすぎて見えない。初見だとスリップダメージでようやく気づくレベル。
- 慣性が働かず、自分で合わせて動く必要がある移動床。ちなみに瞬間的に主人公の移動速度を超える。
といった仕様上の問題はまだ可愛いもので
- 宝箱を開ける時にザコ敵に殴られてダメージ、イベント会話中にザコ敵に殴られてゲームオーバー。後半は致命的。
- ボスの身体にめり込んでハマり、ダメージを1ずつ食らってじわじわと死亡。
- オートセーブのバグで、復帰地点が落下死地点になって無限ループ(ただしセーブデータは複数に分けて保存されているため、詰みという程ではない)。
- ローディング画面でもスリップダメージがあり、毒を受けているとその後すぐ死亡。
- スペランカー並の高さでも何故か死ぬ(一応侵入不可地域ペナルティではある)。
- バグで死んだ状態のままゾンビプレイスタート(無敵ではない)。
- オアシスの池で溺死。
- 溶岩はちょっとだけ歩けるがすぐに溺死する。
- 水など一部のSEやジングルがBGMやSEと別設定になっており、調整できない。
- 回避のためにムーンウォークをするゴブリン。
- 起き攻めによる永久ハメは日常茶飯事(ただし凍った主人公には手を出さないと妙に紳士的、なお解凍した瞬間)。
- 天空の離れ小島がこちらの足場と接続する際、タイミング良くいくと石の中に埋まる。
- 鳴き声のあってないモンスターの数々。子猫の声で鳴く植物(通称猫草)が特にシュール。
- 他のモンスターが横文字なのに、蜘蛛型モンスターだけは「巨大蜘蛛」「巨大黒蜘蛛」。
- 穏やかな口調で話していたはずの神木が、意味もなくいきなり見下してくる(原因はとあるボスのセリフが混入したため)。
など、枚挙に暇がない。クソゲーではあるが、これらの光景は抱腹絶倒シーンとしてあちこちで語られている。
一筋縄ではいかない評価
しかし、ゲームをクリアまでやりこんだ猛者からは、ただクソゲーと罵られるだけのゲーム性ではないと評価されている。
- 各強敵に明確な攻略法がありレベリングと戦術の試行錯誤を繰り返すスルメ的な楽しさ。
- スキルシステムなどはチープながらも比較的自由度が高く、アクションとしてわりと遊べる。
- いつでもどこでもセーブできるため復帰が簡単。
- ボス戦前に印象的なカットシーンを挿入する、イベント進行でモブの台詞を変化させるなどの演出の作りこみ。
といった、本来製作者サイドが想定したと思われるゲームデザインが垣間見える良い部分も少ないながら指摘されている。少なくとも「レベルを上げて物理で殴ればいい」として片付けられるような類のクソゲーではない。
手抜きというよりは技術力が不足しているだけで、熱意が悪い意味で空回りしてしまった結果だという評価もある。開発元はこれらについて真摯に謝罪するコメントを出し、「エンディングをできる限り見せないで欲しい」とお願い(強制ではない)を発布したり、クソゲーと罵られても素直に謝罪するなどしている。
少なくとも自身が作ったゲームへの愛情は、ゲーム制作への熱意はそれなりに伝わってくる。重ね重ね技術力の問題が惜しまれるところである。
ただ、どれだけ言ってもこれだけの低クオリティの作品を約2000円で販売したのは無謀としかいいようがない。いくら作り込みはしっかりしていても、デバッグを一切やってないレベルで不足していたり、全体的に説明不足なゲームデザインなど、プレイヤー目線での作り込みが明らかに足りていないのは間違いない。
ゲームとしては序盤が非常にキツく、中盤からスキルなどを得てようやく戦えるようになってくる。そして「意外と出来の良いゲーム」と油断していると、後半の鬼門にハマる。序盤など目ではないほどの理不尽な展開が、終盤は次々と襲ってくるようになる。そのため、ここで終わり際にこのゲームが嫌になるプレイヤーも多い。
後半のボスは大体が理不尽。特にアンデッズなどは、ツクールなどでバランスを考えずに敵を闇雲に配置しただけの適当調整。攻略法はあるが、一死はほぼ確定なうえ、プレイヤー目線ではあまりにも理不尽が過ぎる。
さらに氷漬けハメ(氷のブレスを受けて凍る→攻撃されて倒れる→起き上がるとまた氷のブレスが命中。こうなると避けるのも困難になり、半永久ハメになる)、ボス戦における雑魚敵の無限湧きも、本作のバランス崩壊を語るうえでは欠かせない。
これらに遭遇したプレイヤーからすれば、決して納得できる死に方とは言い難い。
基本的に詰みはないが、変な所でもセーブはできてしまう。よって落下死ゾーンに囲まれたところでうっかりセーブしてしまうと、場合によっては完全に詰みとなる。それでもワープ魔法やアイテムを使えばなんとかなるが、その場面でMPなし・アイテムなしだった場合、最初からやり直しは確実である。
要するにかつてのクソゲーよろしく「ゲームとしてはクソだが笑える」という基本に立ち返った作品となっている。一応楽しめるといった部分を越えてもなお、ガバガバすぎる内容は「クソゲー」という評価を覆すにはあまりにも重すぎるのである。
エンタで陣内がやるゲーム
Twitterにおいては慣性ガン無視の移動床、気の抜けるレベルアップやゲームオーバー演出、迫真の転落死ボイスなど、珍場面の投稿が相次いだ。これによりトレンド入りし、ネット話題を全てさらっていった。
極めつけとしてニコニコ動画に投稿された、プレイ動画が多くの目に止まり、人気を博す。
投稿者のさめガーイは当時ほぼ無名で、殆どの動画が再生数二桁という状況にありながら、堅実に投稿を続けていた。が、このゲームを投稿した途端、一日で20万再生達成、総合ランキングでも一位を獲得という、一夜にしてとんでもないスコアを叩き出して一気に有名人となった(本人は胃が痛いと悲鳴をあげている)。
この投稿者が動画内で思わず放った一言「エンタで陣内がやるゲームだろ」は本作を表す代名詞となっている、それ以外にも妙に親近感のある+レパートリーが広くキレのある例え、クソゲーでも過度に罵倒せず素直に楽しむ姿勢が視聴者の共感を呼んでいる。
なお投稿者はクソゲーハンターではなく、軽い気持ちでクソゲーに手を出した結果大火傷したという被害者である。
動画もPart1だけでやめる気満々だったことが窺え、急遽作ったPart2の時点で精神的な消耗がかなり激しくなっていた。ところがPart3でスキルの存在に気づいてからはむしろ楽しくなってきたとのこと。
しかしPart8からは一変、先の通り「理不尽」極まりないゲームバランスに四苦八苦し、ストレスがマッハに。Part9に至っては普段は滅多にイライラしない投稿者が明らかに苛立ちを見せる程であった(通称「憤ガーイ」または「洗脳が解けた」)。
陣内が本当にプレイしたゲーム
さらには先のフレーズを知った陣内智則本人がファイナルソードの存在を認識してしまい、ついにはYouTubeでプレイ動画を公開するに至った。
陣内は「クリアするまでやりたい」と四苦八苦しながらこのゲームに挑んでおり、2020年9月現在、このプレイ動画は第3弾まで出ている。
果たして、クリアできるのだろうか……?(というかDE版に切り替えても良いような気もするが…)
そしてeスポーツへ(RTA)
バグが多い本作であるが、それを逆手に取り、本編をすっ飛ばしてラスボスをバグでハメて倒すというRTAが確立された。
販売期間が4日間という短さながらも限られたRTA走者たちによる研究が進み、RTA in Japan 2020 では本作のRTAの配信が行われた。
稀代のクソゲーということで配信前から話題を呼んでおり、深夜にもかかわらず当イベントの最大同時視聴数65,000人を記録し、大盛況であった。
配信停止の詳細
開発元によれば、BGMの著作権違反については、アセットとして販売されていたものを使用した所その中に著作権違反の物があり、知らずに使用してしまった物、と表明している。
言い訳ではないかと疑う声もごく一部には有るが、実際の所アセットにはこうした違法な物も少なからず存在して問題になっているし、「特に重要でもない上にすぐバレる1曲だけわざわざ不正使用」などするメリットは全くないので、弁明の通りと見て間違いないだろう。
「アセットをそのまま使う」「元ネタがバレバレの曲に気づかない」と言う点にはツッコミもあるが、それはそれとして。
どうしてこうなったかは不明だが、恐らくコンシューマ進出にあたってゲームを更にブラッシュアップしようとしたためである。実際、モバイル版からBGMがほぼ全て差し替えられており、ちょっとしたサービスの結果こうなってしまったと思われる。
ともあれ発売元は、BGMなどの著作権的な問題から販売停止されたことを発表。先の通り修正の上で再配信を目指していた。なお、モバイル版が配信停止されていないのは、問題のBGMが使用されておらず、配信継続に問題がないからである。
HUPゲームズは「Comming Soon」の強気のアオリ画像を掲載するとともに再配信を目指すとしていた。
7月20日、BGMを修正したアップデータが配信された。しかし今の所再配信には漕ぎ着けておらず、やって当然の調整をしただけで終わっている。結局、2020年中の再配信は叶わないまま、今後のSwitchでの再販はほぼ絶望的と見られていたが……。
Definitive Edition
2021年1月13日、開発元であるHUP Gamesが「ファイナルソードの発売に関してまもなく良いお知らせをお届けする」という内容のツイートを投稿。
そして1月21日、「ファイナルソード Definitive Edition(ディフィニティブ エディション)」と名を改めついに配信を再開した。
本来は「決定版」として使われる名称だが、開発曰く「完全版」とのこと。その名の通り、配信停止となった以前のファイナルソードとは別IDかつ別ゲームとして調整し直した配信となっているため、以前とは雰囲気自体はかなり変わった別ゲーと化しており、ファイナルソード購入者でもプレイには再度購入が必要。
つまり以前買えたプレイヤーはホーム画面でファイナルソードを2つ並べて二刀流できる。意味は殆ど無いが…。
価格は1799円とほんのり安くなったが相変わらず強気の価格設定である。
「完全版」と称された本作だが、こちらはこちらでツッコミどころが多い。
- グラフィックはSwitch版よりも劣化仕様となるスマホ版がベース。それに微妙にトゥーンレンダリング風味の演出をかけたため、余計に劣化ブレワイ感が増す。
- ファイソ語録が大幅に修正、売りの一つが失われる
- しかしところどころファイソらしい日本語のおかしさはしぶとく健在
- ロックなし戦闘、慣性無視の床などの仕様も健在
- 「イージーモード」を新たに作成したが正直誤差レベルの調整であまり難易度変わらず
- 多くのバグが未修正で、RTA勢歓喜(?)
完全版なのにいかんせん完全という感じがしないのはご愛嬌(語録の修正はともかく)
- ロードが若干短くなる
- マップを一部調整。クリア後の追加要素を追加。
- 1,890円から1,799円に小幅値下げ。何故こんな端数なんだ……。
- クリア後に女性ルートの新要素を追加。ちゃんと台詞も全部女性的に改変され、しかも微妙に足が早かったり初期のお小遣いが上がるなど特典あり。
- ただし本作の売りの一つでもある装備による見た目変更は武器と盾のみで、姿形装備は一切反映されない残念仕様(別タイプのアセットのため)。
- イベントも一部カットされるなど、追加要素だからということなのかいろいろ手を抜かれているうえ、父親には「息子」呼ばわりされる。
- そもそも元の主人公が平凡な村人の外観なのに、女性主人公は女騎士(しかもエルフナイト)アセットというチョイスが謎なうえ村人として不向き。
などまったくそれらしい要素がないわけではない。
これでも製作は新作にかけるスケジュールを割き、力を入れて再調整した力作である。
ファイナルソードに興味がある方は是非とも購入してみよう。
「自信があります 心配しないでください」※この台詞は修正されて消失
まさかの続編
(動画の51分頃から)
RTA in Japan 2021でトリを飾ったファイナルソード。その中でHUP Directと称し、ファイナルソードの続編の制作が決定したことが解説者のべるにん氏から発表された。このことは走者のふぃす氏がHUP Gamesと連絡を取った際に知り、事前に調整した上での発表とのことで、事実上の公式発表。ジャンルは本作と同じくアクションRPG。
「初期作品とは違いグラフィック部分を大きく向上させ、様々な世界を体験できる、新しい面白さを与えるような作品を計画しています。更に、アクション的要素も向上させ、より楽しく画期的なゲームを披露したい」とのこと。
現在の開発状況、発売時期は未定。
登場人物
- 主人公
ローレル村生まれの青年。父と病気持ちの母と暮らしている。母を助けるため薬草を取りに旅に出ることになる。名前は自由に設定できる。
無課金アバターみたいな見た目をしているが装備を変えることで服装だけ変更できる(兜の類はかぶらないので頭部だけ変更不可)。
男性主人公は銀髪なんだろうが白髪交じりにしか見えない(そもそも父母の髪の色は白じゃない)。本作のアプリアイコン等には精悍な顔立ちで描かれているが、ゲーム中では似ても似つかない非常に間の抜けた顔をしている。
名前はプレーヤーが付けられるのだが作中一切呼ばれることは無く、会話ウインドウの名前として使われるだけ。
言葉遣いは基本的に丁寧ながら、時折「ん?????」や「はい?!?!?!」などやたらと感嘆符を付けてしゃべる。また自問自答(バグ)をする。
見た目や素性は村で生まれ育った一般人としか思えないが、そうとは思えないほどの素質を開花させていく。正体は後述にもあるように「100年に一度生まれる勇者」。
「Definitive Edition」ではゲームクリア後に女主人公(エルフ)に変更できる。装備を変えても見た目は変わらないが、移動速度が若干早くなっている。ボイスも男性主人公とは異なる。元々は4000円で販売されていたDLCのキャラ(エルフパラディン)だった。
ちなみにテキストは変わっていないため父親からは息子と呼ばれる。逆にお姫様から求婚されるイベントはバッサリとカットされている。またラスボスに最後の一撃を打ち込むムービーもカットされいきなりエンディングとなる。
- ナターシャ
妖精の森に囚われている黒髪で黒い服を着た妖精(子供ぐらいの大きさ)。
薬草が効かずに落胆する父子の前に現れ「自分を助けてくれるのなら、母を助ける」と取引をしてくる。ただの民間人に何を…トロルを倒してはいるのだが…(ただしエンディングの描写を見るに主人公の正体を知っていたようである)。
救出すると古代のエルフ製の妖精の剣(村で売っている剣と3ダメージの差しかない)と宣言通り母を治癒してくれる(一応杖を使った魔法なのだろうがくしゃみで飛んだつばにしか見えない)。
なお飛行の際は棒立ちでスイーッと平行移動する。
エンディングでは主人公の危機に駆け付け「あなたはこの世界の光よ」と告げて救出するなどなかなかの活躍を見せた。
- ビッグブリッジを警備する騎士
キングダムに向かう主人公の顔色を見て「良くここまでこれたな」(戦士の顔つきではない的なニュアンス?)という見下した態度をとる。
しかしマンティコアとの戦いぶりを見て「お前すごいな」「さっきは無視してごめんな」と気さくに対応してくる。
なお戦闘に参加することは無く、槍を持っているのに剣の防御態勢をするためすごい不自然。
- 魔法士
通称「フムおじ」(最初はローレル村にいるのだが話しかけても「フム」としか答えないため)
アンダス村(ゼルダBGMの不正使用はここ)で主人公に魔法に興味は無いかと問いかけ魔法の粉を取りに行かせる。なおこの時「魔法で川を渡れるか?」という主人公の問いに対し答えずに話を進めた。実際主人公が川を渡る魔法を覚えることは無い(いったことがある村にテレポートできる魔法は覚えられる)。
主人公いわく「しきりに僕の前に現れる魔法使いらしき男」(なおこの時会ったのは二回目、まあこの後も行く先々で会うのだが)。口調も安定せず前半では「~じゃ」とお爺さん風だったが最終的に若者口調になっている。
北東と南東を言い間違えたことが「さめガーイ」氏の動画で有名だが、先に南東の敵を倒したため自動的にクエストが北東に切り替わっただけである(不親切なのには変わりないが)。
主人公に魔法の力を与えるシーンがシャドーボールのようなものをぶつけるといったもののため裏切ったようにしか見えない。実力はあるようで襲撃されたキングダムを魔法の力で防衛していた。
ただし隠しボスのリッチが出現した際には主人公に丸投げしてどこかへと去っていった。
- 国王
キングダムの王。
実はデーモンが化けた姿で主人公を消すために王のふりをして地下神殿にけしかける。
本物の国王は周りからはすでに死亡したことにされている(せめて探す振りはしろ)。
- 大臣
キングダムの大臣。
王に近づく主人公に対して「貴様!!!国王の前でよくも無礼なまねを。」と制止する。なおこの時バリアの魔法を張っておくと反映される為、別の意味で無礼なまねができる。後に王が偽物だと分かり頼れるものが主人公しかいないと悟ると王家の鎧と盾を託してくれる(剣は…?)。
- 護衛隊長
キングダムの兵士。
モンスターの根源地を攻撃するために群(原文)を招集していたところ姫をさらわれる。護衛できてない…。
なお王がデーモンであるとバレたときに「俺がこの手で倒す」と息巻くのだが、話の順序がおかしいのか未使用文が出ているのかは知らないが「私の力不足だ…」と一瞬にして心が折れる。
ついでにそばにいる兵士はふらふらと虚構を見つめなにもしない。
- お姫様
通称「ぉ姫様」。「お」だけ何故かフォントサイズが小さいため。
普通のお淑やかそうな言動に反して極端なミニスカワンピースな服装のため、中身はともかく外見があまり姫っぽくなくどちらかというとキャバ嬢のそれ。
このゲーム割と王道展開なので攫われる。救出に成功した直後に「わたくしと結婚してください。」と初対面の主人公に求婚する。たしかに勇者で命の恩人なのだが…。
テレポート魔法を持っており村の安否を気になる主人公を飛ばすが、実は村の住民は避難していたことを知っていた。
EDではついに結婚した(規制箇所だが王道展開だしまあ)。
- ドワーフの鍛冶屋
ドワーフ村(建物は二軒しかない)の鍛冶屋、寝室と溶鉱炉が同じ部屋にある。
主人公に装備を作るための鉱山が敵に占拠されたため討伐を依頼する。なお引き受けると「お前勇敢なヤツだな。」と返してくる。あなたが聞いてきたんじゃ…。
- 神聖な木
主人公を待っていて主人公の事を100年に一度の勇者だと伝える。
ドラゴンを打倒すためにドラゴンの剣と盾が必要だと伝え、その在りかにテレポートさせてくれる。ついでに古代の巨人族の技術で作られた剣と盾をくれる。
なお去り際に「人間がこの場所に現れたのは始めてだけど、ここは人間ごときが来る場所ではない。」と暴言を吐く。このせいでユーザーからは「辛辣な木」とか言われている。
なおこのセリフ自体は本来のセリフではなく、古代神殿の中ボス「ジニーキング」のセリフが混入したせいと見られている。ただし微妙に異なる箇所がある(ジニーキングは「人間がこの場所に現れたのは始めてだが」)ため、やはり誤訳の可能性もある。
モンスター
本作の敵キャラ。
ボス・雑魚問わず、全体的にアホみたいに強い。
予備動作なしの攻撃、ハメ、起き攻めは当たり前。さらに高速リポップによりもたもたしていると数の暴力で圧殺される。
またアルテリオス計算式のせいで、主人公がレベル不足の場合理不尽な火力と硬さになる。
こんな化け物が闊歩しているのだから主人公が人類の希望と呼ばれるのに妙な説得力がある。
- トロル
神秘の泉にいるボス、最初のボスにしてはやたら強い。泉から上がるとバグってハメられる。
ゲームの仕様上足音がうるさい。
- スパイダークイーン
妖精の森のボス。
攻撃速度が速く回避が間に合わない。正面に留まらなければ安定して立ち回ることができる。
- マンティコア
突如ビッグブリッジで主人公と騎士の前に降り立った敵。最初は体力が半分になると飛び去って行く。
後に再戦できるのだがイベントも何もなくあっけなく倒される(一応大ボス扱いらしくヒドラやブラックドラゴンと同じBGMが流れるが)。が直後に雑魚落ちするのでタチが悪い。
マンティコ"ラ"という雑魚敵もいる。
ここからボス戦+無限沸きの雑魚に苦しめられることになる。
- ヒドラ
深い洞窟にいるボス、長い首と比べて体はすごい貧弱。
ボスの構造に問題があり、足の間に挟まれると移動も何もできずハメられる。
登場シーンでは特に意味もなく二本の首が背後を振り返る謎アクションが採用されていてシュール。
- ヘルウォーム
中盤最大の壁である理不尽ボス。
当たり判定は口と側面のイボしかなく(しかもイボはやたら防御力が高く、ほとんどHPが減らない)、攻撃されると直ぐに地中に潜る。
毒属性付きの遠距離攻撃、地中からのノーモーション奇襲、雑魚モンスターの生成など強行動しか振ってこない。
またボス部屋判定が可視化できないため、適度にヘルウォームに近づかないと戦闘エリア外に出て仕切り直し(全回復)にされる。通称ベホマ。
- ブラックガーゴイル/ハーピィ
地下神殿のボス達。まさかの2連戦となる。
ガーゴイルは飛ばず田舎のチンピラみたいな歩き方で迫ってくる。
ハーピィは罠のため姫に化けていた。ゲロビームを飛ばしてくる。
- デーモン
王に化けていた敵。姫が偽物だったという報告に「当然"ん"じゃろ…!」と返した。直後正体をあらわし「人間の姿で窮屈だった!!!クアアア!!!」と雄叫び(?)を上げるが、テレポートや天井を突き破ったりせずに主人公を突き飛ばし、律儀に正門から走り去っていった(この時プレイヤーカメラに向かって妙にいいフォームで走り寄ってくるので腹筋に悪い)。
その後は未知の寺院で姫と一緒に主人公を待っていた。この時剣を装備しているため先ほどの行動は武器を取りに行くためだと推測できる。なお討伐後にこの剣を入手できる。
雑魚が出現しない、攻撃は多彩だが理不尽な攻撃は少ないなどこのゲーム内で一番まともなボス。そしてプレーヤーが「意外と出来の良いゲーム」と油断する相手である。
なぜか敵一覧の画像(通称「記念写真」)で背景が未知の神殿ではなくただの平原である、さらに少し遠くに映っている。
- ゴブリンズ/アンデッズ
まるで草野球チームのような名前をした集団の敵。
大群で襲ってくるため囲まれてハメ殺しにされる。
ゴブリンズは廃墟と化したローレル村で現れる。登場時ナズェミテルンディス!!と見切れており、さらに主人公を見ずにカメラ目線であった。
アンデッズは氷の湖で三連続で出てくるため合計380体もの敵を倒すことになる。途中で逃げると最初からやり直しになる。
- ジニーキング
名前も見た目もいろいろと危ないキャラ。まあ魔神のテンプレのような姿をしているのでアウトに見えるセーフではある。
スローなどの魔法攻撃を放ってくるため、こちらも魔法で攻撃する必要がある。
出会い頭に「ここは人間ごときがくる場所ではない」と罵ってくる。
- トロルナイト
伝説のドラゴンの盾を守っている敵。ナイト(騎士)に見えない。
持っている武器を振りまわしてくるがモーションが不自然。
- ワイバーン
伝説のドラゴンの剣を守っている敵。本作の理不尽ボスその2
速度も判定もひどい凍結ブレスを放ち、一歩も動けずはめ殺しは当たり前というイカれたボス。
その上当たり判定も異様に狭く、飛行されると手も出せない。
スタート位置もおかしく、主人公の目の前から戦闘が始まるため開始1秒と経たずブレスか噛みつきを喰らうのも日常茶飯事である。
雑魚が出現しないのが救い。
ちなみにイベントの発生範囲がかなり雑で、古いバージョンではステージの端を通ると戦わずに伝説のドラゴンの剣が手に入る。
- リヴァイアサン
水モンスターの代表格だがなぜかマグマから現れる。見た目も到底水棲生物には見えない。
高速リポップする雑魚と数の暴力で攻めるタイプ。
- ブラックドラゴン
本作のラスボス(画像左側)。1000年の眠りから覚めた漆黒のドラゴン。ボスの中では唯一回復魔法を使うため長期戦を強いられる。山頂にある火口付近で戦うことになる。
序盤でビッグブリッジを渡っている主人公を襲撃し橋も破壊した。その後ローレル村を襲撃した。
火炎放射や薙ぎ払いビームなど火力の高い攻撃を放ちつつ、さらに空中へ飛ぶので攻撃を当てづらい。弱点は頭で、どんな魔法でも当てると怯むことがある。怯む条件はよくわかっていないが、魔法ごとに違う当たり判定が影響しているのではと言われている。
撃破すると、帰還するべく背を向けた主人公に不意打ちを仕掛けるが失敗に終わる。今度は飛翔すると主人公に最後の一撃を見舞おうとするが、それよりも早く剣を投擲され、ドテっ腹をブチ抜かれて火口へと落下していった。この最後の一撃が本作のタイトルにもなっているファイナルソードである。
因みに作中で主人公は「100年ぶりに生まれた勇者」と言われている。このことから勇者を抹殺するために行動していたことが窺える。残り900年の勇者は何をしていたのだろうか……。
- その他中ボス
本作には様々な中ボスが登場するが、撃破直後に雑魚落ちする。
無論ステータスは落とされているがボス特有の巨大な体格と強行動、そして本作特有の高速リポップにより中ボスのときより苦戦することもしばしば。
- ○○ドラゴンウォーム
中盤以降登場する雑魚敵。
遠距離から弾を飛ばしてくる。弾速・射程がかなり高く、ハメを多数発生させる。
特に雪山に出現するアイスドラゴンウォームは氷漬けになる弾を飛ばしてくるので非常に厄介。しかも雪山の中ボス戦はほとんどがこのアイスドラゴンウォームが無限沸きする。間違いなく後半最大のストレス要因。
クソゲーオブザイヤー2020
本作品は有志が集うクソゲーオブザイヤー2020の大賞という大きな功績(?)を上げた。
しかもその理由は非常にポジティブなもので、同企画の本質が「ただ不出来で神経を逆なでするゲーム(ゲー無)を選ぶもの」ではなく、「クソッぷりを面白おかしく笑いに出来うるゲームを選ぶもの」という、KOTYの原点に立ち返らせてくれたから(意訳)というものである。
とはいえ、問題はあれどノミネート作の中では比較的遊べはする部類であり、この受賞に疑問を持つ声は決して少なくない。
一応、比較的遊べるというだけで後半の「高難易度」という言葉で片付けるにはあまりにも理不尽かつクリアさせる気が薄いバトルバランスは、クソゲーと言うに十分ではある。実際選評にも「遊べると見せかけて、その後地獄を用意していたことに対する指摘」は行われていた。
だが、それでも「本作より遊べないクソゲー」はこの年にも存在している。実際、総評において「(他の候補と)比較すれば、明らかに完成度が高い」「他の作品より優れているとすら言って良い」と言われてしまっている。
KOTYは確かにクソゲーを面白く笑い飛ばすネタスレだが、それは「その年でいちばんクソだったゲームを決める」話し合いを通して行われるべき物である。そこに恣意的な物を入れてしまえば、スレの前提は完全に覆ってしまう。
自分が気に入らないだけのゲームをKOTYに入れようとする「お客様」に対して「ちゃんと遊べる程度のゲームを持ってくるな」と言いながら、自分たちは「遊べるゲームだけど笑えるからKOTY」と言うのは、ダブスタとしか言いようがないだろう。
そう考えるとファイナルソードの選出を原点と言うのは、はっきり言って無理がある。
(まあ「四八(仮)ショック」以前の原点は確かに「実際のゲームの出来とか関係なく嫌いなゲームを論う」物であったが、その原点は戻るべきではない場所である)
だがこれに関しては、当時のKOTYスレの空気も考慮に入れる必要がある。
そもそもこの頃のKOTYスレには、重苦しい閉塞感が漂っていた。
ブームが過ぎ去った事によるスレの勢いの鈍化や、そもそもSNSの多様化による5ch自体の過疎化と、それによる「クソゲーを語り合う」需要の他所への流出。
開発費高騰による大手メーカーが堅実化する一方、多種多様なインディーズが台頭するなど、KOTY創設当時からは考えられなかったゲーム市場の大きな変化。
重篤なバグを発売後アップデートで修正出来る環境(これ自体は良い事だが、KOTY的には選評を書いても修正されてしまうと無効になってしまう)。
こうした様々な事情から、住人は減り、選評者は失踪し、にもかかわらず「お客様」は減らず、スレは殺伐とした空気が流れていた。
インディーズゲームには様々なクソゲーが存在したが、いわゆる「手抜きゲー無」が非常に多く、語って楽しい物ではなかった(実際、翌2021年にはアセットをそのまま移植しただけの超手抜きゲームが登場してしまい、「IARC審査作品を選考対象外にする」と言う苦肉の策が取られている)。
スレ住民の誰もが、KOTYの斜陽を感じていた。そんな状況においては、本作のような「愛されクソゲー」の存在が切望されていたのである。
挙げたらキリが無いほどのネタ要素、理不尽だが一応遊べはする絶妙なゲームバランス、クソッぷりを誰かに話してしまいたくなる話題性。それら全てが、疲弊していたクソゲーハンター達の心を掴んだのだ。
ゆえにこのゲームはKOTYを受賞し、「感情を共有したくなるクソゲー」と言う称号が与えられたのである。
また本作は、目立ったバグもなく仕様通り完成しているのにクソなゲーム、いわゆる「ストロングスタイル」のクソゲーとして認識されている。
このストロングスタイルと言う概念は2009年のエロゲーKOTYで生まれ、翌2010年に据置・携帯機にも広まった概念である。この頃のKOTYはまさに全盛期を迎え、スレは2020年とは比較にならないほど盛り上がっていた。
その黄金時代を懐かしむ思いも、選考に影響した可能性は高い。
この後のKOTYは翌2021年こそ『バランワンダーワールド』が受賞したものの、2022年は「大賞なし」、2023年は「選評未提出による審議不成立」となった事をきっかけに終了し、その長い役目を終えた。
とすればファイナルソードのKOTY受賞は原点回帰ではなく、全盛期を偲ぶ作品、KOTY終末期最後の徒花だったと言うべきだろう。
関連イラスト
外部リンク
ファイナルソード Switch Edition | ニンテンドーeショップ
ファイナルソード(MobileEdition)をApp Storeで
ファイナルソード(MobileEdition)-Google Play のアプリ
関連項目
デスクリムゾン:本作を「令和のデスクリムゾン」と評する愛好家もある。同じく開発者の技術不足と情熱の空回りで、劣悪なゲームに仕上がった前例。