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空の記録媒体にソフトを書き込む形でパソコンソフトを販売する自動販売機

基本的には「TAKERU」と呼ばれた。


概要編集

ブラザー工業が開発した世界初のソフトウェア自動販売機。初期は「ソフトベンダー武尊」と表記された(読みは同じ)。

名前の由来は日本を最初に統一したとされる日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が元となっており、「全国にゲームソフトの通信販売を広めよう」という思いが込められている。


画面の指示に従って購入したいソフトウェアを選択し、指定された金額を投入すると空の記録媒体(フロッピーディスクや空のROMカートリッジなど)が出てきて、それをTAKERU本体のディスクドライブ(またはROMライタ)にセットすると、ソフトが書き込まれて、更に取扱説明書(または取扱説明書取り寄せ用の応募券)が印刷されて出てくる。

TAKERU本体には販売するソフトのマスターデータが書き込まれたCD-ROMドライブが内蔵されているが、CD-ROM内に無いソフトはネットワーク経由で取り寄せることもできた。ただ、当時のネットワークではダウンロードの速度が遅く、それ故に回転率には難があり購入客が列をなすことがあった。また、カウンター内に配置して店員操作を前提としていた店舗もあったという。


元々はソフトウェアの販売において、人気のあるソフトはすぐに売り切れ、そうでないソフトはいつまでも店頭に残るという事態の解決を目指して開発されたシステムであるという。TAKERU本体内に在庫されているのは汎用のメディアであり、そこにソフトウェアが書き込まれて初めて製品になる。売り切れ不良在庫も発生しないこのシステムは、当時としては画期的なものであった。

店頭在庫に依存しないため、MSXなどの当時既に一般流通が途絶えていたマイナーハードのソフトウェアや、同人ソフトウェアの販売において特に威力を発揮した。特に同人ソフトウェアは当時は流通路がきわめて限られていたため、半ば「登竜門」のような扱いを受けていたという。

変わった所では、TAKERUの操作画面をシミュレートした、ソフトウェアカタログを兼ねたチュートリアルソフト「おうちでTAKERU」が存在し、これはマイコンBASICマガジンなど当時のCD-ROM付属雑誌にしばしば付録として収録されていた。


販売形態としては斬新であったものの、収益よりも通信費用のほうが嵩んでしまいビジネスモデルとしては失敗に終わった。・・・が、単なる失敗として無駄となってしまった訳ではなく通信カラオケサービスや証明書自動発行機などにこの技術は使われ、発展していった。

後にソフトウェアの容量が増大し、提供メディアがCD-ROMに移行した際、従来システムではダウンロードにあまりにも時間がかかり、しかし焼き込み済のCD-ROMを内蔵するのでは物理的在庫に依存することになりTAKERUである意味がなくなる。これがTAKERUの限界であったという。


TAKERU CLUBという会員システムも存在した。これに登録することにより、会報誌が毎月送付されてくる他、別個取説取り寄せが必要なソフト購入時の取説送付が自動化されるなどの恩恵を受けることもできた。


なお、任天堂ファミコンゲームソフトを発売する計画もあったというが、実現はしなかった。但し任天堂は当時としても「ディスクシステム」用ソフトウェア自販機「ディスクライター」を運営していた上、後年自ら同様のソフトウェア自販機サービスである「ニンテンドウパワー」を運営している。


営業していた期間編集

1986年4月~1997年2月


関連タグ編集

takeru タケル PCゲーム ディスクライター MSX X68000 PC-8800 PC-9800


Steam:後年に生まれた類似システム……かもしれない。


JOYSOUND:ソフトベンダーTAKERUシステムを利用した通信カラオケ TAKERUが不況となっていた時気分を晴らすためにカラオケを唄おうとしたが、当時はレーザーディスクが主流だった為歌える曲数が制約される事に対して「曲なんて所詮はデータだろ?TAKERUなら幾らでもぱぱっと送れるのにな」と愚痴を言った事で閃いたシステム。当時の社内プロジェクトネームは『コンピュータ・ミュージック・システム』


外部リンク編集

ソフトベンダーTAKERU - Wikipedia

ソフトベンダーTAKERU - ゲーム保存協会

ブランドストーリー「ソフトベンダーTAKERU」特設サイト


「神田伯山のこれがわが社の黒歴史」第3弾「ソフトベンダーTAKERU」回に関する記事

「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」のTAKERUの解説に関する記事


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