乗車券・特別急行券・乗船券・航空券・入場券・食券などの切符、チケットなどの券類を売る機械。自動販売機のお仲間と考えていい。
使途
乗車券用
1970年代以降都市圏を中心に普及。自動改札機での利用を想定して発売時に磁気に情報を書き込む機能を有している。鉄道駅の他バスターミナルにも設置されている場所がある。
利用できる金銭・カード
今でこそ10円玉から1万円札まで対応できるが、1980年代以前はその使途である短距離乗車券の発売がメインであったことから小銭のみ対応し、発売する切符の額に合わせた貨幣しか入れられないタイプもあった。(今も地方ではあるらしい)
その後千円札にのみ対応するタイプも登場したが、5千円札以上の高額紙幣に対応する機種はあまり多くなかった。ただし、新幹線の自動券売機は元々の運賃が高いので高額紙幣に対応していた。
自・提携事業者が発行する磁気プリペイドカード(オレンジカードやパスネットなど)に対応している場合、券売機でプリペイドカードを購入したり、プリペイドカードを挿入口に挿入して乗車券類を購入したりできる場合がある。また、SuicaやPASMOなど交通系ICカードに対応した券売機であれば、乗車券類・ICカードの購入のみならず金額の積み増し(チャージ)、カード使用履歴の確認・印字などができるものもある。
その他
誤購入した乗車券を取り出し口に押し込むと自動で代金を払い戻す機能を持つタイプもある。
JR発足当初はJR各社の区間を厳密に区別するために全ての会社境界駅と一部の境界駅に近い駅に設置する券売機にJR会社区間を区別する機能を付加しているものがあった。
大手私鉄などの券売機は、概ねJRなどと似通った構造のものを使っている。
しかし一部支線では他事業者への移管〈たいてい第三セクター)により券売機も交換され、食券の券売機を流用したものへ交換したケースもある。(そもそも線内に自動改札すらない場合これでも成り立つ)
指定席券売機
国鉄分割民営化後の1990年代よりマルスシステムに接続され、新幹線、特急、急行、快速列車の指定席券や特別料金券、長距離乗車券などの発売に対応した自動券売機が設置される駅も増えている。通称MV。
その性質上普通の自動券売機と異なりクレジットカードでの支払いにも対応している。
ただしみどりの窓口に置かれている駅員操作型マルス端末と異なり、発売できる列車や券種などに制限がある。一例として、寝台特急や臨時列車は一部を除いて購入できない。
JR東日本
東京近郊および新幹線・特急列車の停車する主要駅を中心に、指定席特急券を購入できる券売機が設置されている。在来線の定期券や各種乗車券、割引きっぷも購入可能。一定の範囲内という制限はあるが、設置駅以外を発駅とする乗車券の購入もできる。
2007年からマルスシステムに搭載されている時刻検索機能を利用してJR全線および連絡運輸を締結している他社線の列車時刻・乗換検索、および当該区間・列車の乗車券・特急券などの発売が可能となった。
2008年からはインターネット上で予約した定期券の購入、普通回数券の購入、本日以外の指定席の乗車変更、さらには現金で同社の指定席券売機で購入したものについての払戻し機能が付加されたが、これらの機能は他社の指定席券売機では使用されていない。
2010年からは253系とE259系が混在し、シートマップを利用しての指定席発券ができなかった成田エクスプレスの普通席に関しても車両がE259系に統一されたことからシートマップに対応した。
JR東海
新幹線特急券をメインとした指定席特急券が発行可能な自動券売機が主要駅に設置されている。またエクスプレス予約で予約した指定券の受け取り専用、またクレジットカード支払専用機もある。
磁気式の継続購入のみという条件付きではあるが通用期限の2週間前から定期券の購入もできる。
2022年以前は津駅以外のMVは設置駅発の乗車券しか購入できなかったが、2023年以降津以外の各駅でも順次他駅発の乗車券が購入できるようになった。
JR西日本
「みどりの券売機」と称する指定席特急券の発券用の券売機が設置されている。機能面ではJR東日本に準ずるが、他駅発の乗車券は特急停車駅を2駅以上含む場合以外発売できない。
JR北海道
札幌駅・新千歳空港駅・旭川駅に指定席特急券を購入できる券売機が、札幌駅と新千歳空港駅に快速エアポートのuシート専用券売機が設置されている。
JR四国
他のJR各社に比べてMV端末が設置されたのが非常に遅く、2008年3月の高知駅が最初である。見た目と機能はJR西日本のタイプに類似するが入場券の購入が可能なのが異なる。
JR九州
博多駅・小倉駅に指定席・自由席特急券・2枚きっぷ・4枚きっぷ・継続定期券を購入できる券売機が設置されている。
短距離区間の乗車券購入時であっても領収書を出せるが、宛名の記入欄が存在しない。
私鉄各社
私鉄の場合、日本全国の駅を網羅する必要はそもそもなく、自社エリアさえカバーできていればOKなので、たいていの社局では定期券発売機能程度とJRのMVに比べて機能は質素である。(その代わり主にPASMO事業者でICカードのチャージ金額を細かく指定できたりするのだが…)