鉄道やバスで同一区間を繰り返し利用する乗客に対し発行される乗車券の一種である定期券(定期乗車券)を描いたイラストに付けられるタグ。
切符と同様、架空の定期券を描いたものが多い。
殆どが交通系ICカード定期券だが、磁気券・紙券も未だ健在だ。
多くの定期券は券面に記載された氏名の人しか利用できないが、中には乗車時に定期券を持ってきた人に対して有効とする持参人式としている場合もある。
定期券は経路と区間が限定された代わりに有効期間が最長半年になるフリーパスのようなものである。なので券面記載の経路・区間内であればどの駅で降りても自由。例えば新宿駅から埼京線経由で大宮駅までの定期券を持って利用した場合、池袋駅で降りてもいいし、武蔵浦和駅から乗車しても構わない。これはJR・私鉄問わず通勤・通学定期券どちらにも適用される。
JRグループの定期券は長距離乗車が前提になる新幹線定期券を除き、在来線で乗車区間が101km以上の場合は理由を口頭でも良いので説明して駅長の承認が得られると購入できる。こちらは在来線で長距離通勤する需要がまあまああるので通勤や通学に必要と言えば大体購入できる。
ただし200kmを超える場合は「その定期券が絶対必要な理由」を書いた上で発売箇所に提出し、JRの承認を得る必要がある。当然生半可な理由では売ってもらえない。
利用できる列車
JRグループでは原則として普通列車・快速列車の普通車自由席にしか乗車できない。ただし実際は例外規定が設けられており、特急券や特別車両券購入で特急列車や指定席・グリーン車に乗車できる例も多々ある。
例外規定
- 快速ムーンライトながらは全車指定席だが、沼津-大垣間は指定席券を購入することで乗車できる
- 首都圏の一部区間および瀬戸大橋線快速マリンライナーでは、グリーン券を購入することでグリーン車に乗車することができる。同じように指定席を連結する列車でも指定席券を購入することで乗車できる場合もある
- 以前は特急や急行には定期券+特急・急行券の組み合わせでは乗車できなかったが、特急の大衆化により特例扱いで普通車自由席に乗車できる列車・区間が増えていき、2020年現在は普通車自由席の設定がある特急列車全てで定期券と特急券の組み合わせで乗車できる。なお山形新幹線の福島-新庄間も対象である。
- 定期券と指定席特急券の組み合わせで指定席に乗車することは原則出来ないが、ひたち・ときわ・あかぎ・スワローあかぎ・あずさ・かいじ・富士回遊・はちおうじ・おうめの全便は指定席特急券または座席未指定券の購入で指定席へ乗車できる。秋田新幹線の秋田-盛岡間は特定特急券の購入で利用可能。
- 成田エクスプレスは一部の列車・区間に限られるが、指定席特急券または特定特急券と定期券の組み合わせで乗車できる。
- JR九州は各特急列車に対応する料金を支払うことで定期券でもグリーン車や指定席を利用できる
- 小田急線新宿駅とJR御殿場駅を結ぶ特急あさぎりは小田急線区間も含めて指定席特急券を購入すれば乗車できる。
JRグループの定期券
通勤定期券
会社の最寄り駅と自宅最寄り駅の間で発売される定期券。主に職場への通勤目的で発売されるものだが、購入時に証明書を提示する必要はないので誰でも任意の区間で購入できる。通勤目的以外での購入も当然可能。
例えば自宅の最寄りが立川駅で、会社の最寄りが中野駅の場合でも新宿駅によく行く用事があるなどの理由から差額を自己負担して新宿駅までの通勤定期券を購入しても構わない。
何故通勤以外にも利用できるのに通勤定期券という名称なのか。これはかつて通勤定期券の購入には職場の発行する通勤証明書が必要で、これとは別に証明書のいらない普通定期券が存在したためである。
あまり知られていないが小児用通勤定期券も存在する。学習塾や病院への通院などの利用を想定しているらしい。
有効期間は大体1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の3種類。割引率はJRグループだと最大60%。
通学定期券
学校の最寄り駅と自宅最寄り駅の間でしか発売されない定期券。購入時には学校が発行する証明書が必要。
経路も制限され、通勤定期券ではそれこそ希望すれば遠回りになるルートでも発券できるが、通学定期は最短、または最安になるルートでしか発券されない。
制限は多いがその分割引率は高く設定されている。
校外実習の実施場所を学校施設の一部と見做し、実習先最寄り駅を発着する通学定期券が発売されることもある。
なお通学定期券は学校へ通うために発券されるものだが、経路・区間内であれば途中駅での乗降も自由である。例えば総武線津田沼駅から両国駅までの通学定期券を持っている場合、アルバイト先や学習塾などの最寄り駅が経路・区間内に存在すれば通学定期券を使用していいし、週末に遊びに行く時にも利用できる。乗越になる場合も乗越区間の運賃を支払えばそれでOK。
グリーン定期券
正式名称は「特別車両定期乗車券」。その区間内でのグリーン車の利用を前提にした定期券で、一般の通勤定期に比べて高い。有効期間は1ヶ月と3ヶ月の設定しか無い。
新幹線定期券
新幹線の普通車自由席または、普通車指定席の空席を利用できる定期券。当然定期券代金には新幹線特急料金も含まれている。区間・通用期間によっては50万円を超える場合もある。
特急料金定期券
特急料金が含まれる、或いは特急料金だけの定期券。JR東海以外の各社が発売している。購入時には定期乗車券との同時購入か、既に所有している定期乗車券を提示する。
なお博多南線は全列車が特急列車なので購入申込書を書くだけで発売される。
私鉄などの定期券
私鉄や公営地下鉄などでは基本的に通勤・通学定期券の2種類が発売されている。原則として利用できるのは特別料金不要の列車の普通車のみであるが、有料で運行される特急・急行列車と特別席については、それに対応する料金を支払えば乗車できる場合が多い。
通勤定期券
神戸市交通局では普通定期券と呼称する。JRグループの定期券とシステムは変わらないが、全線均一制のバスや路面電車の場合、定期券を購入するだけで全線乗り放題になる。
通学定期券
こちらもJRグループの通学定期券と変わらないが、名古屋市交通局など一部の事業者では学生であることが証明できればどの区間でも購入できる制度を導入していたり、愛知環状鉄道などでは4月上旬から7月中旬までが有効期限となる定期券を発売している。
こちらも全線均一運賃制の交通機関の場合、通学定期券でも全線乗り放題となるのは同じ。
全線定期券
福岡市交通局など一部の事業者が発売しているもので、運賃や区間に関わらず一定の定期運賃のみで全線が自由に使用できる定期券。ただし全線定期券を発売していない事業者でも運賃が全線均一であれば定期券を購入するだけで全線乗り放題になる。
連絡定期券
異なる事業者にまたがる定期券。例えば京王電鉄調布駅からJR東日本秋葉原駅まで通う場合、通常であれば京王とJR、両方の定期券を持つ必要があるが、連絡定期券を利用することで1枚の定期券にまとめられる。便利な半面、発売されない区間もある他運賃は2社の合算で特別な割引はない。
契約定期券
鉄道会社・バス会社と沿線の事業者が契約し、退職や人事異動などの特別な場合を除いて払い戻ししないことを条件に、通常の通勤定期券より安く従業員に発売するようにしたもの。
バスの定期券
バスも基本的に鉄道と変わらないが、利用者への利便性向上のために鉄道では見られない定期券を発売している。
共通定期券
複数の会社が共同で運行するバス路線の場合、例えばA社の定期券を持っている人がB社のバスを利用できないなどの不便を防ぐために発売される。
均一区間定期券
運賃が均一の区間であればどこでも利用できる定期券。
地区定期券
均一区間定期券を更に拡大解釈し、ある一定のエリアを「XX地区」という形で設定し、そのエリア内で乗車可能としているもの。
通勤・通学定期券
通勤定期券と通学定期券をまとめた呼び方ではなく、定時制の学校に通いながら仕事をしている人のための定期券。自宅・勤務先・学校の3か所の最寄り停留所を結んで発売されるもので、別名三角定期券。