博多南線
はかたみなみせん
JR西日本の営業路線の一つである。
福岡県福岡市博多区の博多駅と、山陽新幹線の博多総合車両所に隣接する福岡県春日市の博多南駅を結ぶ。
本来この路線はJR西日本の博多総合車両所への回送線(現在はJR九州の九州新幹線の本線と一部共用)であったが、国鉄時代から続いていた沿線住民の要望により民営化後の1990年から旅客営業を開始した。
前述の通り博多南駅は春日市に位置しているが、駅を出てすぐのところで那珂川市(開業当時は筑紫郡那珂川町)に入る。博多南線開業により旧那珂川町中心部から博多駅までの所要時間が大幅に短縮され、同駅周辺の宅地化が進んだ(開業前はバスで約1時間かかったがこれが僅か10分程度にまで短縮。また、天神へは西鉄バスでそのまま直通か西鉄天神大牟田線の大橋駅での乗り換えが必須だった)。こうして福岡市内への交通状況が劇的に改善された結果、旧・那珂川町の人口を大幅に増やす結果となり、2018年秋の「那珂川市」昇格へとつながっている。
なお、在来線として運行されているが、法令上は新幹線と同様の扱いを受けており、開業当初から新幹線に関する特例法(無断侵入禁止など)が適用されている(後にほぼ九州新幹線の路線となっている上、そもそもが新幹線の回送用として車庫まで開通していたものを転用したので、元々開業前から適用されてはいたのだが)。なおあくまで在来線扱いということもあり、新幹線の車両を用いているが最高速度は120km/hである。それでも在来線としては十分に速い。
2011年3月12日の九州新幹線全線開業の際、博多南線の廃止、ないしダイヤの大幅削減が懸念されたが、休日2本のみ削減でほぼ現状維持のまま現在に至っている。
大半の列車が山陽新幹線と直通しており、上り列車は博多到着後、そのままこだまなどに列車名を変更して発車する(もちろんその逆もある)。博多南線内はJRグループでも唯一となる列車愛称なしの『特急』として運行する。
なお東海道・山陽新幹線とほぼ一体化しているので東京にある新幹線総合指令所の管理下にある関係上、東海道新幹線区間のダイヤ乱れが博多南線の運行にまで波及し列車の出発が遅れる事がある。(博多総合車両所へ入出庫する「のぞみ」の回送列車が走行するため)
営業上はJR西日本の在来線ではあるが、全列車特急列車扱いのため普通運賃のほかに特急料金130円を加算している(博多~博多南間は普通運賃200円+特急料金130円の合計330円)。青春18きっぷやJR九州用のフリーキップ等では乗車できないので注意が必要(どちらも別に特急券と乗車券が必要となる)。
改札機は自動化されているものの新幹線のシステムをそのまま使用している事もあり、在来線用である交通系ICカードは使用できない。そのような状況もあり近年姿を消しつつある自由席特急回数券がこの区間のみ廃止されずに残されている。
九州新幹線の全線開通までは「こだま」などのモノクラス車両の列車しか使用されていなかったが、全線開業後は「さくら」・「みずほ」用のN700系7000・8000番台も運用に入ったためグリーン車(グリーン席)に乗車可能に。この場合はグリーン席用の料金が追加される。
グリーン券は車内と博多・博多南両駅のみどりの窓口で販売している。
なお、「日本一安く乗れる新幹線」として紹介されることもあるが、実際は同じく新幹線車両で運行しながら在来線扱いの上越新幹線の越後湯沢-ガーラ湯沢間が普通運賃140円+特急料金100円の合計240円で乗車できるので、こちらが最安値である。ただし、通年営業の路線としては博多南線が安い。(ガーラ湯沢は基本的に冬季のみ営業)またガーラ湯沢は首都圏からのスキー客がメインであり、鉄道マニアの乗り潰し以外ではこの区間だけの乗客が少ないのに対し、博多南線は博多までの通勤通学等の地元利用者がメインの利用客層であることが大きく異なる。ちなみに1990年の開業から2023年3月末日まで長らく特急料金が100円であった(改定後は特急料金130円+普通運賃200円の合計330円)
新幹線の駅間で一番短い区間は東北新幹線の東京-上野間(3.6キロ)で、次の東海道新幹線の東京-品川間(6.8キロ)などが博多南線(8.5キロ)より短いが、特急料金はどちらも自由席利用で860円となる(なお、前述の越後湯沢-ガーラ湯沢は1.8キロ)。