曖昧さ回避
鉄道車両の形式の一つ。ほぼ、JR西日本の新幹線500系のイラストで占められるため、本項目では主に同車について説明する。
新幹線500系電車
概要
JR西日本は自社路線である山陽新幹線の更なる速達性と快適性を図るため500系を開発。当時山陽新幹線において日本最速である時速300km/hでの営業運転を実現した。
1997年3月22日に山陽新幹線区間で営業運転開始、同年11月29日より東海道・山陽新幹線直通「のぞみ」に投入された。1998年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。ギネス記録も持っている。更に、デビュー前年の1996年には通商産業省(現・経済産業省)のグッドデザイン商品選定(現在の公益財団法人 日本デザイン振興会・グッドデザイン賞)の商品デザイン部門での選定を受けた。
スピードだけでなく、その強烈な個性でも他の追随を許さない。
空気抵抗を抑えた超ロングノーズの前頭形状は、電車というより戦闘機に近い印象である。
速さをアピールした外観は単純にカッコよく、デビューから25年以上経つ現在も、その人気は衰えない。意匠設計を手掛けたドイツの工業デザイナー、アレクサンダー・ノイマイスター氏いわく「要求性能を満たすだけならこのような先頭形状でなくとも十分達成可能だったが、見た目のカッコ良さも追求したかったのでこの形状に仕上げた」との事。
長らく東海道・山陽新幹線の最速列車「のぞみ」を中心に運用されてきたが、ドア数・座席数が300系・700系(C・B編成)と異なるなどの運用上の問題から、2007年7月1日改正以降徐々に後継のN700系へ置き換えが進み、2010年2月28日を以てのぞみ運用から離脱。
以降、W1編成を除く8編成が16→8両に短編成化改造され、山陽新幹線でこだまの運用に就き、東海道新幹線から姿を消す事になった。この際、玉突き転属で2008年12月1日から0系の6両編成を置き換えた。
尚、こういった運用の経緯のため、東海道新幹線での500系は終始「のぞみ」のみで運用され、のぞみが停車しない東海道新幹線駅(特に静岡県)では500系は全く馴染みが無い車両となった。
300系や700系(C・B編成)が全電動車ではないために短編成化に向かない事、500系は車両構体に他に類を見ないアルミハニカム構造を用いていたために極めて頑丈であった事(短編成化改造の際、念のために切断した車体を検査したところ、構体に痛みが全く無かったというJR職員の証言が残されている)、500系車両そのものがファンに人気であるなどの理由から、新幹線としては異例の経年25年以上に渡って運用されており、同車より後に製造された700系(C・B編成)が先に引退し、更に2020年7月2日以降本系列の運用を置き換えたはずのN700系(X編成)の廃車までも始まっている(実際に本系列を置き換えたのは2020年7月から廃車が始まったX編成ではなく、K編成(旧N編成)である)。
- V5・V6編成については運用削減・保有車両の削減のため2022年3月12日ダイヤ改正に合わせて除籍。
- 車両延命のため、V2・V7・V8編成の制御装置がGTOからIGBTへ、V2・V4・V7・V8・V9編成の行先表示器がフルカラーLEDに交換された。
代替車両に関しては、2020年時点では「500系・700系E編成の後継車両は自社では開発せず、N700Sを導入する予定」と報道されていたが、その後2024年2月14日に「500系4編成を、2026年度末までに自社保有のN700系16両編成を8両に短編成化改造して転用し置き換える」方針を発表。残る2編成の置き換えは未定としていたが、同年7月24日に2027年を目処に引退と追加発表された。(参照)
エピソード
16両編成時代
- 最高速度320km/hでの営業運転出来る性能を持っていたが、運用開始前に発生した阪神淡路大震災の影響もあり、地震発生時などの緊急時の制動に対応出来るよう300km/hでの営業運転となった。
- 発車時の起動加速度は、通常は当時現役だった100系や300系に合わせた1.6km/h/sに設定されていたが、高加速度設定時は1.92km/h/sまで引き上げる事が可能だった。ただし、これは将来の短編成化時に電動車が減る事を想定しての物であり、通常は設定される事はなかった。しかも、当初の想定は12両編成までであり、まさか実際には8両編成にまで短縮される事は完全な想定外であった。
- 現時点で、日本の新幹線車両では主幹制御機に横軸ツインレバー式を採用している唯一の形式である(他は縦横軸併用ツインレバー式)。
- ひかりには基本的に使用されず、多客期のレールスターの代走と車両故障時の突発的な代走、W編成引退後の2012年3月17日改正~2013年3月15日までのV編成による岡山駅-広島駅間の定期運用(ひかり441号)のみである。
- 300系より1両あたり約600kgの軽量化がなされているが、部材の加工が困難なため、1両当たりの価格が高額になってしまっている(1両あたり約3億円、1編成46億円と、300系よりも6億円弱余分にコストが掛かっている)。
- 16両時代に搭載していた翼型パンタグラフは、一般的なパンタグラフのようにバネで上昇させるのではなく、圧縮空気で上昇させていた。このため長時間の停電時に圧縮空気が無くなってしまうとパンタグラフが降下してしまうため、非常用として予備のバネ上昇式パンタグラフが搭載されていた。
- W1編成は登場時、パンタグラフを3基搭載していた。ただし1基は試験・予備用だったので後に撤去されており、量産車であるW2編成以降には搭載されていない。
- 300系と同じく8~10号車はグリーン車、それ以外は普通車。7号車の東京寄りと11号車の博多寄りにサービスコーナーを設置していたが、2003年9月30日を以て営業終了。
8両編成化後
- 最高速度は285km/hに変更。編成記号は16連の「W」から8連の「V」となった。
- 3号車と7号車に新たに喫煙ルームを設置していたが、全列車の禁煙化に伴い2024年3月15日を以て廃止された。
- 8号車には新大阪寄りの一部の座席を撤去し、運転室手前の子供用に運転台を模した遊具を設置。
- 2013年9月から12月にかけて、従来より指定席に設定される事のある4・5号車の座席を横2列-3列から2列-2列とし、「ひかりレールスター」の指定席と同じ座席に取り替える工事が行われた。
- 翼型パンタグラフをシングルアームをパンタグラフに換装。パンタカバーも曲線主体の物から直線的な形状の物に変わった。
- 全9編成のうちV2編成以降の8編成が8両編成化されているが、W1編成は編成ごと廃車除籍になっており、このうち博多方先頭車の521-1が京都鉄道博物館へ保存展示され、東京方先頭車の522-1が日立製作所笠戸工場に保存(非公開)されている。
- 山陽新幹線運行開始40周年、ならびにエヴァンゲリオンTVアニメ放送開始20周年記念事業として2015年に『新世紀エヴァンゲリオン』とのタイアップが実現した。2017年3月までを予定していたが、好評だったため、2018年5月まで延長された。V2編成を使用。⇒500_TYPE_EVA
- 2024年1月19日に、東海道新幹線の浜松駅-三河安城駅間で発生した停電によるダイヤの乱れに対応するため、新大阪駅~姫路駅間にのぞみ967号が臨時列車として運行され(のぞみ95号の運転ダイヤを用いている)、この運用に際し500系V4編成が充当された。V編成がのぞみ運用に供されるのは初であり(更に、フルカラーLED仕様に交換された行先表示器に「のぞみ」の列車名が表示されるのも初)、500系全体で見ても定期運用終了以来13年ぶりの運行となった。
500系が登場する作品
前衛的なデザインから人気が高い車両のため、ロボット作品でもしばしば登場している。
勇者王ガオガイガー
500系新幹線型のガオーマシン「ライナーガオー」。ガオガイガーの肩部を構成。
「FINAL」には500系新幹線に類似した鮫型のジェネシックマシン「ブロウクンガオー」も登場する。
ヒカリアンシリーズ
500系と融合したヒカリアン「ウエスト」。
超特急ヒカリアンと続編の電光超特急ヒカリアンに登場し、「電光超特急」では主役を務める。
トランスフォーマーカーロボット
(イラスト中央下。右がジェイセブン、左がジェイフォー、中央上は3人が合体したJRX)
500系に変形するサイバトロン戦士、「音速参謀ジェイファイブ」が登場。
チーム新幹線のリーダーを務め、ジェイセブン、ジェイフォーと合体する事で合体戦士「JRX」となる。
新幹線変形ロボ シンカリオンシリーズ
500系新幹線が変形するシンカリオン「500こだま」が登場。4両が変形合体し、E5系と合体する強化形態もある。
続編となるシンカリオンZでは、先頭車2両から変形し、腕を323系と交換する武装形態もある。
玩具版では通常版の他に、TYPE EVA仕様やハローキティ仕様の物も発売され、アニメ版でも同機がゲスト出演している。
また、2022年12月には「もしも500 TYPE EVAに弐号機が存在したら」というコンセプトで登場したEVA弐号機を模したオリジナル仕様の「シンカリオンZ 500 TYPE EVA-02」がプラレール製品と同時に発売された。
カンセンジャー
JR西日本公式によるマナーを伝えるために生まれたヒーロー。
正確には500系新幹線電車そのものが戦うわけではなく、あくまで舞台としての登場ではある。
しかし、主人公カンセンジャー500はEEKO(エエコ)星出身の宇宙警備隊の一員ながら500系そのものといった姿をしており、更に500系にそのまま翼が生えたような「500系シャトル」という小型宇宙船を所持し(設定では、この500系シャトルをもとに500系新幹線が開発されたとされている)、普段は博多総合車両所にて格納・整備しており、敵の追跡や移動に使用する。
平成25年~28年まで、500系V6編成を使用したラッピング車両も運行されていた。
メダロット
メダロットNaviにスーパーエクスペという500系のような姿のメダロットが登場する。