近江鉄道500系
おうみてつどうごひゃくけい
近江鉄道500系電車とは、近江鉄道が保有する鉄道車両である。
制御電動車のモハ500と、制御付随車のクハ1500で2両編成を組む。
6編成12両全車が近江鉄道彦根工場で製造され、当時の近江鉄道の技術の高さがうかがい知れる。
登場時は、西武赤電塗装が施されており、行先方向板も運転席窓下側にあった。その後、山吹色の近江カラーへと塗り替えられ、しばらくして方向板が貫通路に埋め込まれた。
502F~505Fまでは山吹色にグレーのラインが入り、ドアも塗装されていたが、506Fと501Fは山吹色1色で、前面にはステンレス帯が配され、ドアもステンレス無塗装であった。(メイン画像参照)
90年代になると、1系やモハ100形などとともに、乗り心地や操作性の改善を目的として台車を空気バネ台車のFS-40に、ブレーキ装置を自動空気ブレーキから電気指令式ブレーキに改造した。
2000年代になると、車体は近江鉄道にしては経年が浅かったものの、冷房化がされていなかったことや吊り掛け駆動という旧型の性能であったことなどが災いし、製造年では500系より古いが冷房化、新性能化がされている西武401系を改造した800系や820系、700系に置き換えられ、次々と廃車になった。
2004年には502F~504Fが彦根駅東口再開発事業による駅前整備の一環として解体された。
廃車後は505-1505が長年高宮駅の貨物側線にて留置されていたが、車体のみを解体し旧型長物車を置き換えるための長物車チ10形のチ11・チ12に改造され、今も機関車代用の220形とともに現役である。
また、506-1506と1501の3両は2010年代に解体されたが、501のみ近江鉄道が運営する保育園である「ほほえみ園」で遊戯室として活用され、顔が描かれるなどのラッピングがされていたものの、姿を見ることができた。
しかし、2018年12月に近江鉄道ミュージアムが閉館し、その後2019年に入るとED14やロコ1101、220形、貨車などの使われていない車両がまとまって解体されることとなり、501も1月15日にトレーラーに載せられて解体場へと旅立った。これによって500系は前述の貨車に改造されたものを除いて消滅した。
なお、保育園で使用されるにあたり冷房化が行われており、妻面にはエアコンの室外機が設置された。現役時代は冷房化されないまま廃車となったため、この車両が500系唯一の冷房車であったことになる。