概要
近江鉄道の開業100周年を記念して、1998年に2両編成1本が改造・製作された。改造種車は西武401系の437編成。
愛称は「あかね号」。これは八日市線の沿線で、「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」という万葉集の句を額田王が詠んだことが由来。
西武401系時代からの車齢が50年を突破し、老朽化が進んだことから、2019年5月の退役が決定。西武新101系改造の900形に「あかね号」の愛称を継承させることになった。
種車からの改造内容
近江鉄道は中小私鉄とは思えぬほど高い技術力を持っており、500系を自社製造してしまうほど。その技術力をふんだんに生かした仕上がりとなっている。
- ブレーキの電気指令式化:近江鉄道では旧性能車にも電気指令式化が行われており、それが700系にも行われた。
- 車体端部の切り取り:車両限界対策で車両側も少々削られており、近江鉄道の西武401系改造車の特徴となっている。
- パンタグラフ1基撤去:前面側のパンタグラフが撤去された。
- 電気連結器の撤去:西武では2両単独で使用することはほぼなく、他の車両と連結して運用されていたが、近江鉄道では2両以上になることはまずないので、電気連結器が不要となり撤去された。
- ワンマン化:近江鉄道では1987年5月からワンマン運転が行われているため、整理券発行機や、運賃箱、自動放送装置などが設置された。
- 前面の交換:流線型風の前面に付け替えられた。前面窓は大型化し、運転台側面に三角の小窓も装備。ライトも角形のものが取り付けられた。
- スカート(排障器)の取り付け:401系時代にはスカートがなかったが、灰色で大型のものが取り付けられた。
- 側面窓の大型化:従来の「日」の字のような側面窓をすべて取り払い、連続的な大型窓に交換。前述のとおり、前面も付け替えられたので種車の面影が感じられない。
- 貫通路の縮小:401系の広幅貫通路を狭幅貫通路へと変更している。
- 座席の交換:もともとロングシートであったが、車端部の車椅子スペース付近以外はすべて転換クロスシートに交換されている。この転換クロスシートは、もともと国鉄185系特急形電車の普通車に用いられていたものと同じものであり、185系のリニューアルに際して使われなくなった座席を譲り受けたものではないかと言われている。ちなみに185系時代のシートピッチは910mm、近江鉄道は1020mmと、特急型よりゆったりとした座席配置となっている。
形式一覧
- 701
貴生川・多賀大社前・近江八幡方の制御電動車。
パンタグラフ、主制御器、主抵抗器を搭載している。
- 1701
米原方の制御電動車。
パンタグラフのない車両。電動発電機、コンプレッサーを搭載している。
余談
- 本来はもう1編成製作予定であったが、予算の都合で701編成のみにとどまった。
- 800系・820系も改造種車は西武401系。改造点は700系よりも少なく座席もロングシート配置。
- 『烈車戦隊トッキュウジャー』:エンディングコーナー「みんなの列車コーナー」の第37駅でこの車両が紹介された。