概要
一部の駅を通過し、目的地へ速く到達する列車の事。
鉄道会社によって異なるが、一般的には快速と特急(特別急行)の中間にランクされ、場合によっては別途料金が必要になる列車もある。
国鉄、JRにおける急行
しかし、車両のグレードアップと共に特急列車に格上げされたり、料金不要の快速列車化されるなど、次第に二極化が進んだ結果、2016年3月の急行「はまなす」廃止をもって、JRから定期急行列車が全滅した。
急行全廃後
はまなす廃止以降、JRでは多客期やイベント時の臨時列車を除き急行表記は見なくなった。
一方、残った特急列車は食堂車や車内販売といった「特別なサービス」を廃止した列車が増えていき、もともとは「特別な急行」だった『特急』が、かつての「急行列車」のポジションに先祖返りしていった。
大きいのは時代の変化である。
- 新幹線の開業によって長距離輸送がそちらに移り、特急は中・短距離輸送がメインに
- 特急という種別自体の大衆化に伴う、求められる基準の高度化(特にリクライニングシートの装備はごく当たり前である)
- 高速バス、自家用車などの他交通機関の台頭による競合の激化
- 人手不足により車内販売員の確保が困難になり、同時に駅施設の整備により売店が充実し弁当等は駅での事前購入へシフト
これら時代の変化によって「特別なサービス」は採算性の観点から軒並み廃止され、特急列車自体も自由席車が連結されたり割安なB特急料金が設定されるなど、かつての急行のような状態へと変化してきている(この2つは近年では減少傾向にあるが)。
今や多くの特急は「特急型車両を使用しているという理由で『特急』を名乗っているが、サービス諸々を含めると実態は急行列車そのもの」「単に急行列車・ライナー列車を値上げしただけ」のような侘しい存在となりつつある。
余談
- 阪和線で1958年まで「急行電車」・「特急電車」、東京の中央快速線で1960年まで「急行電車」が料金不要で走っていたが、これは今の「快速」に相当する列車であり、使用車両も近郊形電車か通勤形電車で、車内販売や供食等の特別なサービスも一切ない。区別のため別途料金不要の速達列車は「快速」の呼び方に変わり、現在に至る。
- 東京メトロ・小田急電鉄と三社相互乗り入れを開始した常磐緩行線のE233系2000番台が乗り入れ先で「急行」運用に入るため、「JR車による急行表記」という限りでは現在も運用が続いている。またJRと相鉄が直通運転開始したことにより、ダイヤ乱れ時にE233系7000番台が相鉄線内で急行運用されることもあった(現在は急行の設定が休止されている為、通勤急行のみ見れる可能性がある)。
私鉄における急行
私鉄においては快速よりも使用する会社の多い主要な種別である。
JRと異なり依然として多くの鉄道会社がこの種別を使用しているが、(主に別料金が必要な)専用車両を使った「急行列車」と、通勤電車の種別として単に停車駅の少ない「急行電車」に大別されている。
前者は大井川鐵道のSL急行や秩父鉄道(電車のみ、SLパレオエクスプレスは急行ではない)など、後者は東京急行電鉄や近畿日本鉄道などの大手私鉄。
中には長距離有料列車(急行列車)から通勤用列車の種別(急行電車)に変更された東武伊勢崎線のような珍例もあり、阪急京都線や京成本線、山陽電気鉄道本線のように急行種別が廃止された路線もある。
また、大井川鉄道はかつてはSL、電車共に急行料金が必要であったが、現在はSL列車のみ急行料金が必要で、電車による急行は急行料金が不要となった。似たような例としては、前述の東武では伊勢崎線で急行料金が必要な急行列車があったころより、別系統の東武東上線で料金不要の急行電車が走っていた。