概要
日本国有鉄道(国鉄)が1965年から新製・運用開始した交直流両用急行形電車。
50Hz地域(東北本線・常磐線等)向けの抑速ブレーキ装備車である。制御車・付随車を60Hz地域向けの475系と共用(455形)している。1969年以降の新製は50/60Hz両用の457系に移行した。なお、165系・169系や453系の一部も当形式に改造の上編入されていた。直流用と違い走行中の電気方式切替などの関係から制御回線の余りが少なく、451・453系の改造車は制御関連機器の交換に加え、直流車では必要なかった制御ジャンパ線の増設を行っている。
国鉄分割民営化時には既に本来の目的である急行運用はなく、サロ・サハシは改造車(事故廃車の補充や短編成化の先頭車需要で少数改造車がある)を除き1985年までに消滅。JR東日本・JR西日本・JR九州に継承された。特にJR東日本の仙台車両センターの車両は車体更新や前面灯火類の一体ケース型への交換、種別・行先表示器が幕式からLED式への換装で印象を大きく変えたほか、様々なラインカラーを纏ったりした。
優等列車使用時は全車に便洗面所が設置されていたが、ローカル転用後は需要や維持コストの関係から3両に一個の割合に減少させられ、使用しなくなった設備は未更新車は閉鎖、更新車は水タンク共々撤去された。
1992年の成田線大菅踏切事故で、同様の前面の113系が過積載の大型ダンプカーと衝突大破し、運転手が救出の遅れから死亡したことにより、緊急対策で東日本所属の補強工事未施工車に対し前面補強工事が強力に行われることとなり、更新工事車も含む過半数の車両はファンに「鉄仮面」と通称される急ごしらえの補強板が設置され大きく外観を損ね、廃車期までの特徴となった。(それでも、最初から塗装処理されていただけ首都圏の車よりはだいぶましであったが。)
老朽化やアスベスト問題で急速に廃車が進められ、JR西日本の金沢支社管内においては、457系とともに普通・快速列車運用に一部が残存していたが、521系増備により2015年3月のダイヤ改正で運用を終了した。
この時点で残っていたのは、413系との混結編成として使われていたクハ455形700番台(サハからの先頭車改造車)が2両。この2両は最後の国鉄急行形電車として引き続き七尾線で使用されていたが、こちらも521系増備により2021年3月のダイヤ改正で運用を終了している。
保存車・譲渡車
- JR籍の車両は全滅となったが、先述のクハ455形700番台のうちクハ455-701号車はえちごトキめき鉄道が購入、動態保存車として使用継続。
- 埼玉県さいたま市の鉄道博物館には、国鉄色のクモハ455-1および仙台色のモハ454-4・クハ455-2各号車が保存されている。