事の発端
1980年代に差し掛かり、崩壊へのカウントダウンが始まっていた末期の国鉄は、多額の債務を抱える赤字経営に加えてサービス水準の低さから社会的な批判が大きく、利用者の視点に立った輸送サービスの改善が強く望まれていた。その中で富山、石川の北陸本線でも客車列車から電車列車への改善が急がれていた。
当初は急行廃止で余剰になった急行形電車や419系を投入していたが、デッキ付き2ドア構造の車両では乗降時間が伸び、遅延が発生する状況にあった。そこで、急行型の電装品や走行機器を使用して車体を新造するという方法がとられ、1986年に413系が誕生した。
車両概要
新造された車体は417系に準じたステップ付き・デッキなしの2扉構造である。冷房装置と走行機器類は種車のものを流用しているため、同系列とはその部分で判別できる。
クロスシートやクーラーは種車から流用されており、またロングシートは大都市圏で廃車になった101系などの通勤電車から転用されたが、ごく一部には同時期に富山港線で廃車になった72系から転用した個体も存在した。(もっとも発生元は最終型の全金属車もしくは全金属改造車であり、101系あたりと比べてもさほどそん色はない。)
改造元の急行型や415系800番台とも連結可能とされている。
希少な473系から改造された100番台や、サハ455形からの改造車クハ455形700番台も2両ずつ存在しており、1986年から1989年にかけて3両編成11本の合計33両(うちクハ455形700番台が2両)が登場した。計画上は残存の471系や475系・457系からも追加で改造の予定もあったが、中途で中止となっている。
2015年春の北陸新幹線開業に伴う並行在来線の三セク化に伴い、11編成のうち第1,2,3,7,10編成の5本が新造台車への交換、床板張り替え、吊革交換、転落防止幌設置などの延命工事が行われ、あいの風とやま鉄道に譲渡された。譲渡後、第1編成は観光列車「一万三千尺物語」、第3編成はラッピング列車「とやま絵巻」への改装が行われた。譲渡対象外となる6本も七尾線用普通列車として残存した。
- あいの風とやま鉄道に譲渡された編成のうち、観光列車に改造された編成以外の分は2018年以降の521系1000番台投入によって2023年までに代替される予定である。観光列車は現時点で置換は未定のため定期検査を受けることになったがこれまで検査を担当してた松任工場が新幹線開業を機に閉鎖されることになり国鉄型車両の検査ができる工場が近隣から消えたため同じく国鉄型の検査をしてる長電の屋代工場まで回送されたため話題になった。
- JR西日本に残った6本も521系100番台の投入により2020年秋から置き換えが始まり、2021年3月13日のダイヤ改正をもって415系800番台と共に七尾線での定期運行を終了。同時に北陸本線での運行も終了した。
- 第6編成3両および第4編成のクハ455-701号車については、えちごトキめき鉄道が2021年に購入した。4両とも松任工場で国鉄交直流急行色に塗り替えられている。クハ455-701・モハ412-6・クモハ413-6の組成で観光用の急行列車として7月4日に運行を開始した。クハ412-6号車については直江津駅構内に開設を予定している「D51レールパーク」で静態保存・展示されている。
- えちごトキめき鉄道にとって初めての国鉄型車両となった。そのせいか自社内で検修を行う能力が不足しているようで、交番検査はあいの風とやま鉄道に委託している。このため、数か月おきに富山まで往復する姿が見られる。
- なお、2022年度中に全般検査の期限が切れる見込みだが、クラウドファンディングで必要な資金を集めて重要部検査を行い運用を継続する模様。