概要
15年にわたって製造が続けられた223系の次世代車両として開発された車両。
2005年に発生した福知山線脱線事故の教訓による安全の追求と、321系から始まった情報提供機能の拡充を目指した。
2010年12月1日より0番台が琵琶湖線・湖西線・JR京都線・JR神戸線(東海道・山陽本線)などで、5000番台が阪和線・関西空港線・大阪環状線・きのくに線などでそれぞれ営業運転を開始した。
- 2012年3月には、JR宝塚線(福知山線)向けに性能を変更した6000番台が登場。
- 2016年7月からは改良型の2次車(100・5100番台)が運用を開始している。
- 2020年度からは3次車以降の編成がJR京都線・神戸線系統に順次投入。
営業最高速度 | 130km/h(0番台)、120km/h(5000・6000番台) |
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起動加速度 | 2.5km/h/s、2.1km/h/s(5000・6000番台) |
減速度 | 4.6km/h/s(常用最大)、5.2km/h/s(非常、130km/h) ※0番台 |
3.9km/h/s(常用最大)、4.4km/h/s(非常、120km/h) ※5000番台 | |
3.5km/h/s(常用最大)、4.2km/h/s(非常) ※6000番台 | |
歯数比 | 15:98=1:6.53 |
駆動装置 | 平行カルダン駆動・歯車継手方式 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機
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制御方式 | 電圧形PWMインバータによるVVVF・ベクトル制御
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製造元 | 近畿車輛、川崎重工業(現・川崎車両) |
おもな特徴
車体
車体はステンレスを基本とし、先頭部のみ高耐候性圧延鋼材(SPA)と呼ばれる鋼材が用いられている。側板接合部や骨組みにレーザー溶接を適用し、歪みの少ない構体となっている。
321系以降の標準断面を採用し、ホームドアの設置を考慮して連結面から車端出入り口にかけての寸法を先頭車と中間車で共通化させている。321系からの改良点として、側窓上部の重ね溶接部を無くして見映えを向上させたほか、車体の四隅に補強を付けるなどして更なる強度向上を図った。
側面は、窓割りを223系の5枚から3枚(下降窓-固定窓-下降窓)に変更し、太い柱を設けることで強度を向上させている。
先頭部にはクラッシャブルゾーンを設けることで、衝突時の安全性確保を図っている。
225系は独自の「ともえ投げ方式」と呼ばれる構造を採用。これは、先頭部の上部を潰れやすく、下部を潰れにくくなるよう造られており、衝突時に上部が先に潰れることで衝撃を上方向に逃がし、乗客や乗務員の安全を守るという仕組み。
機器類
321系同様の「0.5Mシステム」を採用。車体構造や機器類など車両システム全体で合理化を図った方式である。
片側が動力台車(0.5M)の全電動車構成とすることで常に一定の電動車比率を実現し、車両全体の低重心化による安全性向上を図っている。また、全車両の構体設計を共通化することで製造コスト削減をも図った。
全車両に車両制御装置、フィルタリアクトル、空気タンク、蓄電池を搭載。うち225形には集電装置、空気圧縮機を搭載するが、8両編成の5号車は空気圧縮機が非搭載となり500番台が付与されている。
321系と同様のデジタル制御伝送システムを搭載しており、編成統括遅れ込め制御が可能。回生電力量増大に寄与している。各車両に伝送端末装置を搭載することで、1両単位での車両増減に対応。
また、異車種併結機能によって223系との併結運転に対応するが、221系には対応しておらず221系性能の6000番台を含めて実績がない。
主制御装置は補助電源装置一体型の電圧形PWMインバータ・WPC15A形。223系の3レベル電圧形に代わり、2レベル電圧形とすることで回路を簡素化している。
制御単位は1C2Mで、各車両に1台ずつ搭載された装置が自車の動力台車を制御する。
補助電源部は編成内全ての装置が並列運転を行い、万が一故障が発生した際は、編成内の健全な装置が出力を高めて電力を補うことによってフェイルセーフ性を確保している。
製造メーカー毎の違いがあり、三菱電機・東芝・東洋電機製造製の3種類が存在する(うち1次車の三菱電機製は東洋電機製と共通設計)。3次車からは日立製作所も加わった。
主電動機はWMT106A形。回生ブレーキ負担率の増加を見込んで1時間定格出力を270kWに強化。また、風切音の低減・継手と歯車装置の改良により、223系と比較して高速走行時の騒音が大幅に抑制されている。
内装
車内での転倒事故を防ぐため吊り革が増設された。咄嗟に掴まりやすくするため、視認性向上を図り持ち手は黄色く塗られ、掴みやすいよう直径が太くなっている。形状は従来通りリング型。
扉横や座席上部の手すりも同様に、黄色で太いものとなっている。
座席は223系と同じく扉間5列の転換クロスシートが、車端部は転換クロスと同じ形状の座席を向かい合わせに固定したボックスシートが配置されている。
阪和線向けの5000番台は空港利用客のスーツケース置き場・ラッシュ時の立席スペース確保の為、223系0番台・2500番台と同じく扉間のクロスシートの配置が横2+1列配置となっているほか、きのくに線の路線特性から津波等の災害時に備えて避難器具が各車両に1か所ずつ設置されている。
321系に引き続いて液晶式案内表示装置が天井部に等間隔で設置されている。2画面横並びのユニットとなっており、扉間のユニットは前後対称配置である。
左側の面では次駅・乗換・停車駅案内を表示、右側の面は「WESTビジョン」と呼ばれ、広告が流れる。当初は日本語・英語の表示に対応していたが、2016年12月24日からは大阪環状線でデビューした323系に合わせ、中国語・韓国語の表示にも対応した。また、連結と切り離しの案内も表示される。
乗降扉には、乗客や荷物が挟まれた際に引き抜き易くする戸閉力減衰機構を、JR西日本の車両で初めて採用した。また、ドア開閉時に点滅するドアランプも付いている。
トイレの汚物処理方式は223系1000・2000番台はカセット式、0・2500番台は循環式であったが、225系では真空吸引式に変更。
増備車
2次車
2016年より、新快速列車の終日12両編成化、阪和線・羽衣線の103系・205系置き換えを目的として製造された。
1次車からの仕様変更が多数存在するため、車両番号が101・5101から振り直され100番台・5100番台に区分された。ただし編成番号は1次車の続番である。
主な仕様変更点は以下の通り。
- 前面形状を変更。521系3次車以降・227系に準じている。
- 種別・行先表示器のフルカラーLED化。側面の表示器は一体型に変更。
- モハ225形に予備のパンタグラフを増設。
- 室内照明のLED化、併せて照明カバーを廃止。
- 貫通扉の引き手が改良され、アシスト機構付きとなる。
- 製造時より改良された補助椅子取手を装備、阪和線向けでは避難はしごを装備する。
また、5100番台は無線LAN・ネットワーク接続対応となった。阪和線・関西空港線向けの既存車にもWi-Fi対応化改造が順次施工されている。
3・4次車
2020年6月から順次落成しているグループ。100番台の増備車である。
JR京都線・神戸線系統で運用されている221系を大和路線・奈良線系統に転属させ、奈良支所に残る201系を完全に置き換える予定である。
2次車からの仕様変更点は以下の通り。
- 前照灯をHID灯からLED灯に変更。
- 空気圧縮機をオイルフリースクロール式に変更。
- 従来先頭車のみであった車椅子スペースを、フリースペースとして中間車含め全車両に1箇所ずつ設置。
また、有料座席サービス「Aシート」向けの編成も2023年に初めて落成し、2ドア車として設計変更・新造されたAシート車両はクモハ224形の「700番台」として区分された。ちなみにこのK1・K2編成は公式より4次車に区分されている。
これ以降登場したグループ(227系500番台など)は、製造当初より防犯カメラがドア上部の鴨居部に埋め込まれているのが特徴。それ以前のグループ(Aシート車登場後に落成したL11・L12編成含む)には順次後付けの防犯カメラの設置が進められている。
番台区分
0・100・700番台(JR京都線・JR神戸線・琵琶湖線・湖西線など)
4両編成のU編成10本(うち1次車は3本)、Aシートつき4両編成のK編成2本(全て4次車)、8両編成のI編成14本(うち1次車は7本)、6両編成のL編成14本(全て3次車)の合計244両が網干総合車両所本所に在籍。
運用は223系1000・2000番台と共通。JR京都線・神戸線、琵琶湖線の快速・新快速をメインに運行されている。
5000・5100番台(阪和線・大阪環状線・関西空港線・きのくに線)
HF編成。4両編成43本(HF401~429編成が1次車)と6両編成11本(全て2次車)の合計238両が吹田総合車両所日根野支所に在籍。最高速度は120km/h。
4両編成は223系と共通運用で、6両編成は単独運用。こちらはまとまった数が投入されているため、運行路線においては見かける機会が多い。
- 4両編成は大阪環状線直通の関空快速・紀州路快速・直通快速、阪和線・関西空港線、および紀勢本線(和歌山~紀伊田辺間)の普通・快速列車で運行。2次車は2018年3月17日より羽衣線での営業運転を開始。
- 6両編成はおもに阪和線の普通・(朝ラッシュ時の)区間快速に使用されている。
6000番台(JR宝塚線)
0番台をJR宝塚線向けに投入するにあたって、加減速性能を221系性能に変更したグループ。
4両編成のMY編成3本と6両編成のML編成5本の計42両が網干総合車両所宮原支所に在籍(全て1次車)。4両編成は223系MA21・MA22編成と共通運用で3本のみの少数派だが、6両編成は固定運用である。
JR宝塚線の大阪発着列車(おもに丹波路快速など)に使用されている。223系6000番台と同様、先頭車の前面貫通扉下部・乗務員用扉下部にオレンジ色のラインが2本追加されている。
関連タグ
E257系:0番台発表当時、貫通型先頭車と顔(特に前照灯)がそっくりだと話題に