路線データ
路線延長 | 21.7km |
---|---|
軌間 | 1067mm |
駅数 | 19駅(起終点含む) |
複々線区間 | 新今宮駅~天王寺駅 |
3線区間 | 福島駅~西九条駅 |
複線区間 | 西九条駅~新今宮駅,新今宮駅~天王寺駅~大阪駅~福島駅 |
電化区間 | 全線直流電化(1500V) |
閉塞方式 | 自動閉塞方式 |
保安装置 | ATS-P(拠点P方式) |
運転指令所 | 大阪総合指令所 |
列車運行管理システム | 大阪環状・大和路線運行管理システム (SUNTRAS) |
最高速度 | 100km/h |
呼称について
「大阪環状線」の呼称が指す区間は、典拠や目的により、以下のように使い分けられている。東京都の山手線と異なり、こちらは1.の場合を除いて『全区間が』正式の線路名称としても「大阪環状線」と称する。
以下、特記がない限りは1.(運行系統としては3.)に従って記述する。なお、近畿圏においては単に「環状線」と呼称する場合は当路線を指すことが多い。
- 1987年4月1日の国鉄分割民営化時に当時の運輸省に提出された事業基本計画、国土交通省監修の『鉄道要覧』、およびJR西日本が発行している『データで見るJR西日本』における「大阪環状線」。天王寺駅〜大阪駅〜新今宮駅間の20.7km(営業キロ)を結ぶ路線であり、このうち今宮駅〜新今宮駅間(1.2km)が関西本線との重複区間となる。新今宮駅〜天王寺駅間(1.0km)は関西本線の単独区間であり、大阪環状線には含まない。
- 『JR線路名称公告』における「大阪環状線」。大阪駅を起点・終点として大阪駅〜天王寺駅〜大阪駅間の21.7km(営業キロ)を結ぶ路線であり、このうち今宮駅〜天王寺駅間(2.2km)が関西本線との重複区間となる。
- 運行管理や旅客案内、『JR時刻表』、『JTB時刻表』における「大阪環状線」。区間・距離は2.と同じだが、天王寺駅を起点・終点とする(天王寺駅〜大阪駅〜天王寺駅間)。
- JRの旅客営業規則第78条第1項第1号に規定され、同第86条第5号の図中の太線区間で示される、「大阪附近の電車特定区間」における「大阪環状線内」。大阪環状線(大阪駅〜天王寺駅〜大阪駅)のほか、桜島線(JRゆめ咲線)の西九条駅〜桜島駅間と関西本線(大和路線)の天王寺駅〜JR難波駅間が含まれる。なお、JR東西線は新福島駅〜北新地駅〜京橋駅間で大阪環状線の内側を経由するが、この区分には含まない。この区間内を相互発着する場合は、運賃計算などに関する特例が適用される。JR西日本の京阪神都市圏における運賃体系の見直しに伴い、この区分は2025年4月1日付で廃止となる予定。
概要
国鉄→JR西日本が運営する鉄道路線で、大阪府大阪市内を一周する環状路線。路線記号は「O」。
よく同じ環状線である東京都の山手線と比較される事が多いが、山手線と異なる最大の特徴は、直通運転の系統を別線化せず環状線と同じ線路やホームで捌いていること。これによりターミナル駅のダンジョン化を抑えている。
環状線内を周回する電車のほか、関西本線(大和路線)や阪和線、東海道本線(梅田貨物線経由)、桜島線(JRゆめ咲線)との直通電車も多数運転されており、特に京橋以降の環状ルート西側は他線からの乗り入れ列車が多く行き交う。また大都市圏を走行する路線でありながらクロスシート車の比率が高い事も特徴である。
車両の目安として大和路線・阪和線直通車両はクロスシート、環状線内・桜島線直通車両はロングシートに分けられている。
環状線からの直通運転の多さは乗り換えをせずに目的地まで一本で行ける便利さもあるが、線内で事故等が発生した場合には直通各線を経て関西圏全体の運行に大きな影響が生じるデメリットがある。また、直通列車に乗って居眠りでもしようものならエラいことになってしまう。
大阪環状線を南北もしくは東西に貫く鉄道路線は数多く存在し、多くの区間で競合関係となるが、どの区間も地下鉄より安い。
例えば大阪駅(梅田駅)〜天王寺駅間は環状線が170円に対して、地下鉄御堂筋線が240円である。私鉄の近鉄(奈良線)/阪神(阪神なんば線)も境界駅である大阪難波駅で2社分を合算してしまうことから2倍となる。具体的には鶴橋駅〜西九条駅間だと環状線が190円、近鉄・阪神経由が460円であると書けば利点がわかるだろう。
但し大阪市のビジネス街である船場(本町)・淀屋橋、繁華街である心斎橋・難波にはたどり着けないという難点もある。JR難波駅は旧名「湊町」で、難波の西外れにあるという初見殺しであり、前述のエリアに行く場合は必ずどこかで地下鉄や私鉄などへ乗り換える必要がある。
また、山手線には3駅ある新幹線との接続駅も無い。
上記のように他線への直通運転を優先したダイヤ設定のため、ルート西側(旧西成線部分)の駅では日中時間帯において1時間に4本(15分間隔)でしか停車しない駅が存在する(下表参照)。ここも山手線とは大きく異なる点なので、駅巡りの際には注意しよう。
また、吹田駅から新大阪駅経由で延びている東海道本線貨物支線(梅田貨物線)の線路(単線)が福島駅から西九条駅まで並走しており(同区間の梅田貨物線の線路財産名称は「環状第三線」で、「大阪環状線の線増部」という扱いになっている)、桜島線安治川口駅方面へ向かう貨物列車の他、1989年7月22日からは特急「くろしお」(新大阪駅〜和歌山駅・白浜駅・新宮駅間)の走行ルートにも大阪環状線と共に組み込まれている。1994年9月4日に運行開始した関空特急「はるか」(京都駅〜関西空港駅間)、通勤特急「らくラクやまと」(新大阪駅〜奈良駅間)も同ルートを経由する。
歴史
もとは、大阪駅と天王寺駅を結ぶために大阪市街地の東側を迂回して作られた「城東線」と、大阪駅から大阪湾に近い工業地帯へ延ばされた「西成線」があり、大正から昭和初期にかけてようやく市街地化したような郊外を走っていた。このあたり、特に城東線は山手線の開通当初の事情に近いが、山手線とは異なり、当初から城東線より内側に乗り入れている私鉄は多数存在していた。
残りの南西部分は延長予定区域が開発途上で、第二次世界大戦前に大阪環状線の線路は9割近く開通していたが、全線開通は1961年4月25日の西九条駅〜大正駅〜天王寺駅間の開業によってようやく達成された。
大半が戦前に開通していたのは、今宮駅から伸びていた関西本線の貨物支線(大阪臨港線、1961年4月25日から廃止までは大阪環状線の貨物支線)を旅客転用した部分があり、しかも大阪環状線になった後の大阪臨港線の分岐位置(境川信号場)が大正駅と弁天町駅の中間地点にあったためである。大阪環状線の全線開通と同時に、大阪臨港線は起点が今宮駅から大正駅に変更され、関西本線の貨物支線から大阪環状線の貨物支線に変更された。その後、1987年4月1日の国鉄分割民営化に伴い、大阪臨港線の起点は大正駅から境川信号場に変更された。
しかし、開通後しばらくの間は高架駅と地上駅が隣り合う形で西九条駅の構内で線路が途切れていた。そのため、西九条駅が全面高架化され環状運転が始まったのは1964年3月22日のことであった。同日、大正駅〜天王寺駅間に新今宮駅が開業している。1997年3月8日には、それまで関西本線(大和路線)にしかホームが設置されていなかった今宮駅にも大阪環状線のホームが設置された。
大阪環状線改造プロジェクト
最新車輌を気前良く使う山手線に比較して、長らく国鉄時代の車輌をリペイントして使うなど、良くも悪くもJR西日本の懐事情が色濃く現れた路線であった。
そこで2013年から、大阪環状線改造プロジェクトなる構想が立ち上がった。線区の価値向上、都市の魅力向上を目的としている。
このプロジェクトの一番の目玉と言えるのが、2016年〜2018年にかけて、大阪環状線向けに設計された新造車323系を順次投入することであり、第1編成は2016年12月24日に運行を開始した。
また、2017年度までに駅の改良・美化、高架下・駅周辺の開発などのテコ入れが行われた。これに先立つ形で、2015年3月から各駅のイメージに合わせた発車メロディが導入されたが、中には鶴橋駅のようにネタとしか思えない選曲もある。
新型車両323系は3ドア・ロングシート車で、4ドアの103系・201系を順次置き換えて行く方針となった。
これには理由があり、大阪環状線は3ドアの近郊形電車と4ドアの通勤形電車(さらに特急形電車も)が混在しており、ホームドア対策および整列乗車による混雑緩和を図るため3ドアに統一する試験運用を一定期間行い、問題ないと判断された結果である。
関東在住者が聞けば「西武鉄道に逆行してオール3ドア化ってどういうことなの・・・?」と言いたい所かもしれないが、地域により事情はここまで異なるのである。
あくまで大阪環状線専用車両のため、置き換え対象の列車で使用されていた快速運用は奈良支所の221系での運用に変更されている。
103系は順次廃車となり2017年10月3日に大阪環状線での運用を終了。1969年に投入以来、国鉄→JRを通して約48年間に渡る環状線での務めを終えた。
201系は6両に減車(中間のサハ2両は廃車)の上で吹田総合車両所奈良支所へ転属となり、大和路線に残存していた103系を置き換えた他、おおさか東線の延伸増発用に使用された。当初は奈良線の103系も置き換えるのでは?と目されたが、奈良線の変電所容量が小さく、編成出力が大きい電機子チョッパ制御やVVVFインバータ制御の車両が入線できないことからそれには至らなかった(実際に奈良線用103系を置き換えた車両は、既に運用実績のある221系と同じ制御方式の205系で行われた)。
この対象となったのは後期に製造された比較的車齢の若い編成で、LB7、8、10、11、12、13。以上6編成が奈良支所に旅立っていった。
これより車齢が若い編成もいたが、6編成で所用本数が足りたためその後は検査切れ順に吹田総合車両所へ廃車回送された。
編成単位での廃車は2018年3月31日のLB5編成(クハ201-89以下8連)が最初となり、2019年6月7日をもって運用終了、こちらは2005年の投入以来約13年間の活躍であった。この置き換えにより大阪環状線を走行する通勤、近郊型車両は全て3ドアに統一された。こうしてようやく真の民営化が完了した。
なおこの環状運転の323系への置き換えに伴い女性専用車が導入されており、4号車は終日女性専用車両として使用されているので注意が必要。これも東京の山手線には無い特徴である。
他のJR近畿エリアと同じく乗車位置案内には〇と△を使用しておりかつては〇が4ドア、△が3ドアを案内していたが、3ドア車統一後は〇が323系、△が221系・223系・225系の案内に変わっている。
駅一覧
◎:停車 |:通過
駅番号 | 駅名 | 快速停車駅 | 接続路線 | 発車メロディ | 備考 |
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JR-O01 | 天王寺 | ◎ | あの鐘を鳴らすのはあなた(和田アキ子) | ||
JR-O02 | 寺田町 | ◎ | Life Goes On(韻シストBAND 大阪環状線イメージソング) | 外回りホームでは旧駅名標が保存されている。 | |
JR-O03 | 桃谷 | ◎ | 酒と泪と男と女(河島英五) | ||
JR-O04 | 鶴橋 | ◎ | ヨーデル食べ放題(桂雀三郎withまんぷくブラザーズ) | ||
JR-O05 | 玉造 | ◎ | Osaka Metro:長堀鶴見緑地線(N19) | メリーさんのひつじ(アメリカ民謡) | |
JR-O06 | 森ノ宮 | ◎ | Osaka Metro:中央線(C19)・長堀鶴見緑地線(N20) | 森のくまさん(アメリカ民謡) | |
JR-O07 | 大阪城公園 | ◎ | 法螺貝(オリジナル) | ||
JR-O08 | 京橋 | ◎ | ゆかいな牧場(アメリカ民謡) | ||
JR-O09 | 桜ノ宮 | ◎ | さくらんぼ(大塚愛) | ||
JR-O10 | 天満 | ◎ | Osaka Metro(扇町駅):堺筋線(K12) | 花火(aiko) | |
JR-O11 | 大阪 | ◎ | やっぱ好きやねん(やしきたかじん) | ||
JR-O12 | 福島 | ◎ |
| 夢想花(円広志) | |
JR-O13 | 野田 | | | Osaka Metro(玉川駅):千日前線(S12) | 一週間(ロシア民謡) | |
JR-O14 | 西九条 | ◎ | アメリカン・パトロール(アメリカ民謡) | 桜島線への直通電車あり | |
JR-O15 | 弁天町 | ◎ | Osaka Metro:中央線(C13) | 線路は続くよどこまでも(アメリカ民謡) | |
JR-O16 | 大正 | ◎ | Osaka Metro:長堀鶴見緑地線(N11) | てぃんさぐぬ花(沖縄県民謡) | |
JR-O17 | 芦原橋 | | | 南海(芦原町駅):高野線(汐見橋線)(NK06-4) | 祭(芦原橋太鼓集団「怒」) | |
JR-O18 | 今宮 | | | JR西日本:関西本線(大和路線)(JR-Q18) | 大黒様(文部省唱歌) | |
JR-O19 | 新今宮 | ◎ | 交響曲第9番「新世界」より(ドヴォルザーク作曲) | ※あいりん地区 | |
JR-O01 | 天王寺 | ◎ | ※上記参照 |
快速電車:阪和線に直通する関空快速・紀州路快速・快速、大和路線に直通する大和路快速。いずれも外回り電車については2018年10月28日以降、大阪駅から先は普通電車として運行。
大阪環状線内各駅停車:阪和線から直通する直通快速(2018年10月28日以降、環状線内は普通電車として運行)、大和路線に直通する区間快速(外回り電車については2018年10月28日以降、全線で普通電車として運行)。
大阪環状線内の特急停車駅:「はるか」・「くろしお」・「らくラクやまと」のいずれも天王寺駅(全列車)のみ。「はるか」は2001年3月3日〜2010年3月12日、「くろしお」は2002年7月20日〜2023年3月17日に一部の列車が西九条駅に停車していたが、現在は全列車通過となっている。ただし、2023年3月18日に開業した梅田貨物線の大阪駅(うめきたエリア)を含めた場合、実質的に全列車が大阪駅・天王寺駅の2駅に停車する。
(※)野田駅・芦原橋駅・今宮駅は、日中時間帯は1時間4本(大阪環状線内各駅停車)のみ停車。但し、今宮駅は関西本線(大和路線)の列車も停車する。
(※)弁天町駅〜大正駅間に境川信号場(2007年5月20日廃止)があり、ここから貨物支線(大阪臨港線)が分岐していた。
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