概要
千日前線とは、野田阪神〜南巽間を結ぶ日本の地下鉄路線で、大阪市交通局(大阪市営地下鉄)の路線として1969年に開業し、2018年の民営化以降はOsaka Metroが運営している。
ラインカラーは「紅梅色」(ピンク)。ナンバリングは(Sennichimaeより)。
ラインカラーをピンクとしたのは、この路線が直下を通る千日前通り周辺、つまり、道頓堀付近でよく見られるネオンライトをイメージしたとされている。
その名の通り千日前通の下を走る路線で、東半分は阪神なんば線〜近鉄難波線〜近鉄奈良線と並行している状態である。この路線の建設自体、阪神西大阪線(当時)延長を阻止のためだったとされ、阪神の難波延長に伴い、さらに並行区間(≒末端以外ほぼ全部)の乗客が減少する懸念が示されており、実際に千日前線と阪神線の従来の乗り換え駅であった、野田阪神駅の乗降客は阪神なんば線開業後は2割ほど減少している。
千日前線も運賃は安くはないが、阪神・近鉄も2社の合算となるので、難波を越えて両者を乗り通すとさらに高く、千日前線を利用した方が安くなる場合もある。
特徴
OsakaMetroにおける第3軌条方式の路線で使われているのはWS-ATCと呼ばれる、古くから使われてきた信号付きのATC(自動列車制御装置)である。対して、千日前線はCS-ATCと呼ばれる車内の速度計に信号最高速度が表示されるATCを使用している。そのため、他路線との直通運転はできない。工場は中央線と共通だが、検査で回送する場合は中央線の車両に連結して牽引してもらう必要があった。その後、25系に両方のATCを搭載したため現在はその必要は無くなった。
車両は4両編成で運行。使用車両は、他の路線からの旧車、いわゆる「転勤族」が多く集まる路線として有名だったが、現在は同線向けに新造された25系を使用しており、これが千日前線初の冷房車ともなっている。2013年にはホームドア設置に備え、ATO(自動列車運転装置)を設置。25系電車には2010年度からホームドア関連機器とATOを車両に取り付けており、2014年12月13日には千日前線のすべての駅のホームドア設置が完了、2015年1月13日にワンマン運転が始まった。
また、液晶式列車案内表示装置の設置や25系のリニューアル更新を他路線に先駆けていち早く行っているなど、サービス面では積極的な姿勢を見せているが、収益状況は依然として悪く、18m級の準大型車が運行される6路線の中で唯一の赤字路線となっている。ただし、編成が短いこともあるが、地下鉄他路線からの乗り換えなどで難波を中心に混雑度は低くはない。
運行形態
基本的に野田阪神 - 南巽間の運転で、朝ラッシュ4分間隔、日中7分30秒間隔、夕方ラッシュ5分間隔で運転。ラッシュ時には阿波座発と今里発の列車もある。一時は、深夜に野田阪神発今里行きが存在した。
野田阪神駅は、1番ホームにしかエレベーターとエスカレーターがないため、多くの野田阪神行き列車は南巽行き列車が野田阪神駅1番ホームを発車するまで玉川駅で時間調整を行う。朝夕ラッシュ時と夜には野田阪神駅2番ホームに到着する列車があり、注意喚起のため他の駅の野田阪神行き時刻表にはその列車の発車時刻に印がつく。
駅
野田阪神 - 西長堀間は相対式ホーム、桜川 - 南巽間は島式ホーム。そのうち玉川、阿波座、西長堀の各駅では進行方向左側、桜川 - 北巽間では進行方向右側の扉が開く。ホームドア設置済み。全駅に液晶式列車案内表示装置が設置されている。接近時のアニメーションは、25系が接近してくるところを6コマで表したものとなっている。
この液晶式列車案内表示装置、今里筋線や中央線にも使用されているのだが、それらと違う点として文字が妙にいびつである。しかしこれには訳があり、北巽駅・南巽駅の「巽」という文字が、日本語の書体では特殊な方法(追加漢字面もしくは異体字セレクタ)を使うなどしないと正しく表示できないため、「Arial Unicode MS」が使われている(英語圏側が作ったフォントなのでアジア圏の文字の出来栄えはお察しください)。
「巽」という文字だけなら、中国語(簡体字/繁体字)・韓国語のフォントでも正しく表示できる。しかし、簡体字フォントを使用すると今里駅の「今」という文字が、繁体字フォントを使用すると新深江駅の「新」という文字が、韓国語フォントを使用すると野田阪神駅の「神」という文字が、それぞれ違うデザインになってしまう。強いて言えば繁体字フォントが全体的には近いデザインになるが、差異はある。
どの漢字圏の文字も中途半端に混ぜた「Arial Unicode MS」の古いバージョンが奇跡的に千日前線の駅名を正しく表示できるため、フォント切り替えなしではこれを使わざるを得ないようなのである。
駅一覧
駅番号 | 駅名 | 読み | 乗り換え |
---|---|---|---|
S11 | 野田阪神 | のだはんしん | |
S12 | 玉川 | たまがわ | JR大阪環状線(野田駅) |
S13 | 阿波座 | あわざ | 中央線(C15) |
S14 | 西長堀 | にしながほり | 長堀鶴見緑地線(N13) |
S15 | 桜川 | さくらがわ | |
S16 | なんば | ||
S17 | 日本橋 | にっぽんばし | |
S18 | 谷町九丁目 | たにまち9ちょうめ | 近鉄大阪線(大阪上本町駅) |
S19 | 鶴橋 | つるはし | |
S20 | 今里 | いまざと | 今里筋線(I21) |
S21 | 新深江 | しんふかえ | |
S22 | 小路 | しょうじ | |
S23 | 北巽 | きたたつみ | |
S24 | 南巽 | みなみたつみ |
※桜川〜鶴橋間は、阪神なんば線・近鉄難波線・近鉄奈良線と並行に走っており、乗換可能。なお、今里駅は近鉄大阪線の同名駅とは若干離れている。
※野田阪神駅は相対式2面2線のホーム。南巽方面へ向かう列車は1番線で折り返す。2番線は降車専用、折り返し回送列車のホームで、このホームのみバリアフリー非対応。