大阪市交通局
おおさかしこうつうきょく
大阪市とその隣接自治体で地下鉄・新交通システム・バスを運営していた部門のこと。略は「大市交」。
路面電車(大阪市電)を運営するための機関である大阪市営電気鉄道として1903年に設立。日本初の公営の電気鉄道でもあった。元々は工務課というところの所属だったが、電気鉄道課→電気鉄道部→大阪市電気局を経て、1945年9月に「大阪市交通局」となっている。
この間、1933年に地下鉄(現在の御堂筋線の一部)が開業。これは軌道法で建設され、以後、大阪市の地下鉄は「路面電車の延長」という形で、すべて軌道法での建設である。他方、路面電車は地下鉄網の整備進展により、1969年3月末をもって全廃された。
また、1953年から1970年6月にかけて、トロリーバスを運行していたことがある。
かつては戦前の大阪市長による「市街鉄道のような市民生活に必要な交通機関は、利害を標準に査定されるものではなく、私人や営利会社に運営を委ねるべきではない」という考えから「市内交通を営利企業に任せず、市民の利益が最大となるよう市営にて行う」とした都市計画に関する基本方針による公営交通一元化政策、いわゆる「市営モンロー主義」が敷かれた。
一度は公営ゆえの放漫経営により長らく赤字が続いていたが、ここ数年のうちに急速に健全化が図られた。2005年に単年度黒字化を達成し、その僅か5年後の2010年には累積赤字をも全て解消。単年度収支で黒字の公営地下鉄は比較的多いが、累積赤字を解消した地下鉄は大阪市営地下鉄だけであった。
なお、住宅地と病院・商店街・鉄道駅・区役所などの公共施設をきめ細かく結ぶコミュニティバスの赤バスは運行開始から11年で全廃された(東淀川区役所〜新大阪駅など、一般バスとして残存する路線はある)。
2011年12月、大阪市長に就任した橋下徹氏(当時)が民営化を唱え、大阪市長職が2015年12月に橋下氏の「右腕」とも言われた吉村洋文氏(当時)に交代してからも議論は継続。
最終的に、2018年4月に地下鉄・ニュートラムは全額を市が出資する外郭団体「大阪市高速電気軌道」(愛称:OsakaMetro)に、バスは同じく大阪市の外郭団体である「大阪シティバス」に移管された。
市営地下鉄には延伸計画が幾つか存在していたのだが民営化により万博絡みで続行される中央線延伸以外は事実上頓挫した。
交通局職員の研修施設。過去に起きた事故や重大インシデントの事例や安全装備などが展示されていた。
交通局時代は1ヶ月に1度のペースで一般公開が実施されており、申し込んで抽選で当選すればたとえ大阪府外に住んでいる人でも見学することが出来た。民営化後、見学会は実施されていない模様。