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トロリーバス

とろりーばす

トロリーバスは架線から電力の供給を受け走行するバスであるが、法律上は「電車」扱いとなる。
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架線から電力の供給を受け、軌条を用いずに道路を走行するバス車両。その名にあるとおり集電装置にトロリーポールを使用している。なお日本の法令上は無軌条電車という鉄道車両である。


🚎概要編集

空中に架線(第3軌条でもかまわないが、物理的に利用することが困難)を敷設し、架線から得られる電力でモーターを駆動し走行するバスである。


地下鉄新交通システム等で用いられるゴムタイヤ式鉄道は、電力供給設備兼用(地下鉄の場合は電力供給機能はなし)の案内軌条を持つため、これとは認められない。


また名古屋市で実用化されている新交通システムで用いられるガイドウェイバスは、法令上無軌条電車であるが、実際にはゴムタイヤ式鉄道の気動車およびバスとなる。

名古屋ガイドウェイバス


比較編集

対路面電車編集

  • 利点
    • 線路が不要な分電車よりも維持管理コストが低い、車の邪魔をしない
    • 摩擦抵抗が大きいため、坂や急制動にも強い
    • 回避行動が可能(特にバッテリー搭載の場合)
  • 欠点
    • 路面電車ほど長く連結できない
    • タイヤのコストがかかる
    • 摩擦抵抗が大きく、鉄輪よりも走行に係るエネルギーが多くなる

対内燃機関バス編集

  • 利点
    • 電気モーターを使用するので整備の手間が少ない
    • 変速機が不要(今でこそ自動変速のバスがあるが、未だにMTが多い)
    • 排気ガスが直接出ない
    • 静か、振動が少ない
    • 架線があるためランドマーク性がある
  • 欠点
    • 架線が必要な分維持管理費がかかる、景観を害する
    • 運用の自由度が低い
    • トロリーポールの離線しやすさのため高速化に限度がある

対電気バス編集

  • 利点
    • バッテリーが少なくて済むので車両が安い(バッテリー非搭載も可)
    • 架線があるためランドマーク性がある
  • 欠点
    • 架線が必要な分維持管理費がかかる、景観を害する
    • 運用の自由度が低い
    • トロリーポールの離線しやすさのため高速化に限度がある

構造編集

外見はトロリーポールがついている以外、普通のバスと大差ない。内部もエンジンと変速機の代わりに電車用の制御機とモーターがついている以外は普通のバスと大差ない。


路線によっては踏切などトロリーバス用の架線が敷設されていない場所を通行することがある。短距離の場合は惰力通過で対応可能であるが、長距離の場合は制御機とモーターのほかに発電機や走行用エンジン電池(蓄電池)などを搭載することがある。


架線は鉄道の場合線路が電流の帰り道として利用できるが、道路は電気を通さないため電流の帰り道に使えず、2本張る必要がある。停車中には車体からアースを接地させることで、車体の電気を地中へと逃がしている。また、車両の折り返しにはループ線を用いることがあり、架線が本線に戻るところは絶縁することでショートを防いでいる。


利用状況編集

日本では一部の都市で路面電車(平面交差不能な地点に用いられる)や路線バス(燃料不足や燃料にかかる経費の削減)の補完として戦前~戦後期に導入されたが、ディーゼルエンジンの信頼性向上によるバスの安定化や、都市部において交通量の多い道路や幅の狭い道路が多い事情から渋滞を招くとの意見が根強く(これは誤解交じりであったが)、電力設備を共用が可能な路面電車が同様の理由で廃止となったこと、さらに保守部品等の確保が困難になったうえ、(財政再建団体に転落などの理由で)設備・車両の更新に多額の予算が出せなくなり、都市交通の手段としては1972年までに完全に姿を消した。

最後まで残ったのは、立山黒部アルペンルートを構成する関電トンネルトロリーバスと立山黒部貫光の2路線であった。トンネル内部を運行するために排気ガスを直接出さないという性質を買われての残存だったが、2018年に関電トンネルが蓄電池式の電気バスに移行。立山黒部貫光も2024年のシーズンをもって運行を終了、日本のトロリーバスは終焉を迎えた。(2025年に電気バスに移行する予定)


なお海外では、特に旧共産圏に多く存在し、都市設計自体がトロリーバスにあわせてあることが多い。またスイスなどの西欧やアメリカなどでも存在する。廃止したのはイギリスぐらいであり、逆にスペインでは2008年に開業した。


日本のトロリーバス路線編集

2024年12月現在、日本国内のトロリーバス路線は存在しない。


過去には以下の事業者によって運用されていた。

  • 日本無軌道電車(1928年8月~1932年1月)
    • 廃止は1932年4月。現在の阪急宝塚線雲雀丘花屋敷駅付近にあった新花屋敷温泉へのアクセス路線として開通したが、元々歩いて行ける程度の短距離路線だったことに加え、故障の頻発と昭和恐慌の影響によりわずか4年足らずで廃止となった。
  • 京都市交通局(京都市営トロリーバス、1932年4月~1969年9月)
  • 名古屋市交通局(名古屋市営トロリーバス、1943年5月~1971年1月)
  • 川崎市交通局(川崎市営トロリーバス、1951年3月~1967年5月)
  • 東京都交通局(都営トロリーバス、1952年5月~1968年9月)
  • 大阪市交通局(大阪市営トロリーバス、1953年9月~1970年6月)
  • 横浜市交通局(横浜市営トロリーバス、1959年7月~1972年4月)
  • 関西電力(関電トンネルトロリーバス、1964年8月~2018年11月)
  • 立山黒部貫光(1996年4月~2024年11月)
    • 2025年に電気バスに置き換え予定。

関連タグ編集

鉄道 電車 バス 名古屋ガイドウェイバス

電気自動車

こちら葛飾区亀有公園前派出所…「トロバス物語」がコミックス・アニメ双方で東京都の運営したトロリーバスを主題としている。また、昨今のエコカーブームに対し、両津がオチで「(省エネな公共交通を気軽に利用できた)路面電車やトロリーバスの時代へ回帰すべき」という旨の発言をした回もある。

国境のエミーリャ…東トウキョウの公共交通として、共産圏らしくトロリーバスが用いられている描写がある。

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