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概要編集

道路上の決められたコースを巡回し、停留所バス停)で乗客を乗降させるバス

乗客は停車したい停留所名がアナウンスされたら降車ブザーを押してバスを停車させ、降車する。乗車待ち客も降車したい客もいない停留所は通過する。

法律的には一般乗合バスと言い、高速バス一般路線バスに分かれる。

高速バスは専ら高速道路によって全国の主要地点を結ぶバスで、途中停車しない特急バスと高速道路上の停留所に停車する一般高速バスに分かれる。

一般路線バスは一般道路を走行するものであるが、まれに高速道路も利用するものもある。この内自治体が住民の交通の便宜のために事業者に運行委託するものをコミュニティバス、特定の停留所間を往復するものをシャトルバスという。

またバス会社が自ら企画する観光ツアーのために運行するものを定期観光バスといい、観光バスと付いているが路線バスの一種である。遊覧バスもこれに含まれる。

1日の走行距離が100kmを越える路線バス車両はタコグラフの装着が義務付けられている。


路線バス事業者と経営編集

※後述の「主な路線バス事業者」も参照


2021年現在のデータによれば、日本で路線バスの営業免許を持っている事業者の数は2337にも及ぶ鉄道会社に比べると事業規模は小さく、乗合バスの民営事業者の約95%が資本金1億円以下の中小企業である。鉄道会社の系列会社や鉄道会社のバス部門、あるいは以前は鉄道会社であった事業者も多いが、1990年代以降バス事業者の経営状態が軒並み悪化し、大手事業者でも分社化や子会社化による人件費抑制が進められた。


かつて50近くを数えた公営バス事業者は23と半減した。残っている仙台市東京都川崎市名古屋市京都市神戸市などの公営事業者も認可上最大限の民間委託が行われている。


なお路線バスを運行する事業者は、一般乗合旅客自動車運送事業者許可、運輸局への旅客運送事業用自動車登録(事業用バス登録)のほか、道路運送法第4条の定めによる国土交通大臣のバス路線開設許可(通称4条免許)が必要である。これは路線ごとに与えられるもので、その路線が廃止されれば消滅する。この許可は容易に取得できるものではないので、不採算路線でも免許維持のために1日1往復~1週間1往復は走らせる場合があり、これを通称「免許維持路線」という。このような路線は大都市圏でも珍しくない。


日本では路線バスなどの公共交通機関運賃で採算をとるのが基本的な考えだが、現状では7〜9割の事業者が赤字とされている。2023年9月には大阪府南東部(富田林市など)を営業エリアとする金剛自動車が、運賃収入の減少と乗務員の確保が出来ないことを理由に同年12月に自主廃業することを発表し、公共交通を民間事業者任せとする日本の交通政策の破綻を印象付ける出来事となった。関係する自治体から南海バス近鉄バスに運行引継ぎの打診がなされ、両社とも可能な限りの協力を表明しているが、条件として「自治体による経費の負担」と「現状の運行に支障しないこと」(おそらく乗務員の確保等)を挙げている。

また後述のように運転手の確保がままならない状況から、2030年ごろの開通が見込まれる北海道新幹線並行在来線区間の代替バスに地元事業者が参入に難色を示したり、BRTへの置き換えが検討された北陸鉄道の石川線も、バス転換自体が断念されるなど、鉄道の代替としての役割すら機能不全に陥りかけているのが現状である。


一方、イギリス以外のヨーロッパでは公共交通は道路同様の公的インフラと位置付けられているため公的資金での維持が前提であり、運賃は(採算度外視で)極めて安く抑えられている。自動車産業のロビー活動により政府や政治家が鉄道・路線バスを支援したがらず極端な車社会に陥ったと言われるアメリカ合衆国ですら、一部の大都市ではその反省から中心部(ダウンタウン)の再開発に合わせて公共交通機関の再構築を進めている状況である。


乗務員編集

バスの運転には多数の乗客を乗せた大型自動車を、あらゆる環境下で安全に運行するための特殊な技量と、万一のトラブルに冷静に対処できる器が求められる。そのため、かつてバス事業者への入社のハードルは極めて高く、大型(主に貨物)自動車の職務運転歴や、その間の事故・違反の経歴はもちろん採用の際に審査され、さらに大型2種免許も自前で取得する必要があるなど、誰もが「なりたいから」といって簡単になれる職業ではなかった。


ところが、上記のバス事業者の経営悪化による分社化に加え、2000年代に「競争促進」「サービス改善」が叫ばれ規制緩和が行われた結果、過酷な長時間の超過勤務、職務上の責任にとても見合わない薄給...といった具合にバス運転手の待遇が劣悪なものになってしまったのである。近年では、様々な業種が少子化で少ない若者を取り合う人材獲得競争が激しさを増す中、バスドライバーは「若者から見向きもされない職業」の代表格となってしまっている。


それでも2010年代初め頃までは、この頃までは公共交通機関である路線バスは零細事業者が乱立しているトラックやタクシーと比べればまだしも安定していると見られ、労働条件の悪さを承知の上で、職にあぶれた就職氷河期世代がバス運転手を目指す動きも散発的にあった。また大阪市営バスのように妥当な賃金水準の事業者も残っていたのだが、おおさか維新の会と在阪マスコミ主導による行政改革キャンペーンの一環として「市バス運転手で平均年収800万円弱なんてありえへん」といった所謂公務員バッシングが繰り広げられ、結果として大阪シティバスとして公設民営化されている。結局は年収が4割ほど削減されて労働時間も激増し、民間バス事業者同等かそれ以下のブラックな労働水準に引き下げられてしまい、その過程で多くの運転手が退職してしまったという。


現在は公営・大手事業者ですら通年・常時乗務員の募集・採用をするほど人材確保に苦労している状況で、30代、40代の未経験者でも入社可能、しかも会社負担で大型2種免許が取得できるのが当たり前になるなど就業のハードルは格段に下がっているが、それでも労働環境の悪さによる退職率の高さに追い付いていない。(事業者によっては深刻なパワハラの問題もあるという)特に十分な人件費を出す余裕がない地方の事業者ではベテランドライバーの引き抜きが相次ぎ、人手不足による減便・路線の廃止が続いている。


特に旺盛な観光需要を受けて好調な貸切バスとの間で人材の引き抜き合戦が起こっていることが大きい。2020年代コロナ禍で観光客相手の運送事業が立ちいかなくなり、仕事のなくなった貸切バス運転手が路線バスに回ることで、この問題は一時的に落ち着くことになったが、ポストコロナの観光需要の回復に伴い、貸切バスへの人材流出が再び活発化。(2024年問題を抱えている)トラックドライバー、(高齢化社会で需要が大きい)病院の送迎バスや介護タクシーなどへの人材流出もあり、自治体から補助金を受けずにバス会社が自主運行している路線バス路線は次々に廃止・減便され、公共交通機関が存在しない「交通空白地」が急速に拡大しつつある。さらには自治体から運行を受託しているコミュニティバスすら引き受ける事業者がいなくなったり、大都市部でも人手不足を理由に大規模な路線短縮・廃止に踏み込む事業者が出てきている。「人工知能による自動車自動運転化」がささやかれる状況で「運転手は将来性のない職業」と見られており、また国や行政、さらに政治が既存の公共交通機関に極めて冷たい制度を改める気配もない現状では、残念ながら今後の見通しは暗い。


また、1960年代までは車掌が乗務することも多く、かつては女子小学生のあこがれの職業の筆頭でもあった。1980年頃までにごく少数の例外を除きほぼ全ての一般及び高速路線バスが車掌の乗務しないワンマンバス化され、残るのは事実上定期観光バスのバスガイドだけである。車掌が乗務していた時代のバスは車内に停発車合図用ベル(ブザー)または釣り鐘を設置していた。


運行頻度編集

鉄道同様、地域によって運行の頻度が大きく異なる。大都市では運行系統が重複する区間などでは10分間隔以下など高頻度で運転されるが、郊外では30分~2時間、田舎では5時間以上間隔が開くことも珍しくなく、過疎地域などでは朝と夕方~夜だけの運転という場合もある。路線網の大半は高度経済成長期までに設計されており、昔ながらの街を通るため道が狭いことが多い。大都市郊外でも道路事情が劣悪な地域では乗客数が多くても運転間隔を増やせないこともある。


路線バスへの依存度が高い都市では、多数のバスを円滑に通行させるため、道路上ににバス専用車線またはバス優先車線を設置しているところが多い。バス専用車線は一般車は原則通行禁止(自転車と軽車両は通行できる。また自動車も方向別指定により通行が指定されている場合は交差点の手前に限り通行できる)。通常は朝のラッシュ時のみ有効となる。また、公共車両優先システム(PTPS)、バスロケーションシステム、都市新バスシステムなど信号機をバス優先にするシステムも各地で利用されている。


地方の中小都市では商店街の衰退及び、旧来バスが通っていなかった地域の商業開発(大規模ロードサイド店建設等)により、バスでは買い物に行きにくいことも多い。こうした都市のほとんどは既に民間の路線バス自体が路線の縮小や廃止に追い込まれており、後述するコミュニティバスによって代替されているケースが多い。


近年の傾向として上記のように乗務員の確保が極めて難しくなったことから、大都市の比較的運行頻度が高い黒字路線であっても減便が相次いでおり、郊外地域(多摩地区)ではかつて20分間隔で運行されていた系統が減便を繰り返した末、現在では2時間近くも間隔が開く時間帯が発生したり、さらには郊外から都心部に直通していた路線を近距離にある鉄道駅で打ち切る(札幌市内)など、利便性低下による旅客の逸走と運賃収入の減少を承知の上で、運行本数を無理矢理確保する末期的な状況すら見られるようになっている。



車両編集

高速路線バスでは、長距離・長時間乗車になる路線が多いことから、いわゆる観光バスタイプのフルデッカー・ハイデッカー車が用いられる。また空港関連の路線向けに、大型の荷物スペースなど用途を特化したモデルも設定されている。


一方で都市郊外で使用されている一般路線バスは、2002年に施行されたバリアフリー法によって(上記の高速路線バスを除いて)車椅子に対応できない新車の販売が不可能になったこともあり、基本的に車椅子スペース付きのノンステップまたはワンステップ低床車で運用される。


現在主に都市部で使用されているバスは、エアサスを装備しニーリング(ドア開放時に車体を傾ける機構)またはスロープ付きとしているものが多い。扉は前・中扉の2扉車で、中扉が引き戸から折戸に変わっているが、これはドアの幅広化・巻き込み事故防止・戸袋を不要として車内の幅を広くすることが目的である。また、都市部の車両の中には貸切バスと兼用の用途外車というものもある。


1980~90年代に都市部でよく見られた仕様として、車体長10~10.7m、2ステップ都市低床またはワンステップ低床、リーフサスペンション、中扉4枚折戸または前後ドア、上下2段窓、直結式冷房など、導入台数が多い反面比較的ベーシックな仕様になる傾向が強かった。(もちろん例外は多数ある)


一方郊外や田舎のバスでは道路事情が悪かったり、雪深い地方では降雪に対応しなければならない関係で低床化が進んでおらず、都市部より保守的な構造のバスが多く使用されている。何より財政的な面で新車への更新も思うに任せず、都市部でかつて使われていた中古車も広く使用され、特に沖縄県では車両寿命が長い。しかしこれら地域では高齢者の利用者が多いこともあり、バリアフリー化が課題となっている。

以前の地方・郊外路線の標準的な仕様として、車体長10.5~11m、2ステップ標準床、エアサスペンション、座席数重視のハイバックシート、前後引違い窓、サブエンジン式冷房など、乗車時間が長くなるため快適性に重点を置いた仕様になるケースが多かった。


近年はメーカーの統廃合、市場の縮小や法規の改正によって車種・仕様の整理が進んでしまい、事業者が路線の実情に合った新車を購入できないケースも発生している。極端な例ではバリアフリー法によって(会社の構想に合わない)ワンステップ・ノンステップ車の導入を義務付けられたことを嫌い、その後約10年新車の購入を停止した事業者も存在した。(そもそも既存の車も特注レベルで自社仕様にこだわっていたが・・・)



車両の大きさにより、大きい方から(連接車を含む)大型車・中型車・小型車・マイクロバスなどに分けられ、特に大型車・中型車を中心に、複数の車体長が「標準尺」「長尺」「短尺」などとおおまかに設定されている。

大型車の場合、一応標準尺車(車体長10.5m~10.8m)が基本サイズであるが、道路事情に余裕があり、乗客が特に多い路線では長尺車(車体長11m~11.5m)も使われる。なお、連接車は輸送需要が極度に逼迫しているなど特殊な事情がある路線に於いて「特認の上」で使用される。大都市では小回りの利く短尺車(車体長9m~10.3m)が使用されるケースが多い。

中型車(車体長約9m・車体幅2.3m)はかつて地方の閑散路線向けに使われることが多かったが、近年は大都市やその郊外で使用されることも多く、特に地方の事業者では主力車として大型車の代替に中型車を購入する場合も多いようである。

小型車は中型車同様の用途に使われるほか、コミュニティバスでよく使用される。

マイクロバスは特定輸送によく使用されるが、少なからず路線バスでも使用される。


平成時代に入ってからは車両の「ダウンサイジング」が進み、かつて大型長尺・標準尺が多かった路線でも短尺車や中型車が幅を利かせるようになり、中型車や小型車が多かった路線に至っては廃止・自治体による代替バスに移行した路線も非常に多い。


扉配置がいくつかあり、用途やバス会社によって使い分けている。

  • 1扉車(前扉車・中扉車・後扉車) - 前扉車はトップドア車ともいい、高速バスはほとんどすべてがこれである。また旅客のそれほど多くない地域の一般路線バスに見られるほか、都市部でも用途外車などで使用される。中扉車はマイクロバスでは標準的な配置で、かつて車掌が乗務していた時代は広く使われた。(ボンネットバスではほぼすべてが1扉であった)後扉車は日本ではほとんど使用例がないが、イギリスロンドンバスがこのタイプである(但しロンドンバスは扉がない)。
  • 2扉車(前中扉車・前後扉車・中中扉車) - 前中扉車は、現在の一般路線バスでは最も標準的な配置で、均一料金制の地域では前扉から乗り、距離別もしくは区間別料金制の地域では中扉から乗るのが基本。ただし、かつての神奈川中央交通の一部の営業所では、整理券発行機が前ドアにあり、途中停留所では前扉から乗降の両方を行う(中ドアは起点の乗車専用)「トップドア車と同様」の運用を行っていた(前乗り後払い方式)。また、大阪シティバス京都市バス、神戸市営バスのように均一料金制でも中扉から乗る方式をとっている事業者もある。前後扉車は前中扉車と運用は同様で、特に近畿圏ではかつて主流のドア配置であった。中中扉車は日野ポンチョ(2代目)特有の構造である。
  • 3扉車 - 前中後と3つの扉を持つ車両。混雑が激しく終点での降車客が多い路線、いわゆるニュータウン輸送に実力を発揮した。郊外路線では長尺車が多かったが、都市内路線でも標準尺・短尺車の3扉車を標準仕様にしている事業者も存在した。基本的に乗車は前扉であり、途中の停留所では中・後いずれかのみから降車する。(乗客の動向に合わせて臨機応変に対応した事業者もあった)終点ではすべての扉を開放し、乗客がスムーズに降車できるようにする。構造上3扉車として使用する際は均一料金制が主であるが、前乗り・信用乗車制の路線で使用されることも多かった。1990年代に入ると需要の減少もあって次第に廃れ始め、さらにワンステップ車が普及し始めると降車時間の短縮よりも低床化が重視されるようになり、98年頃を最後に3扉車の導入は終了した。

車両のサイズもいくつか用意されている。


ちなみに2012年に定められた「新ワンマンバス構造要件」では中ドアが開いている時は動力伝達をカットしなければならないことが定められている。MT車やシフトセレクターがレバー式のタイプのAT車であればシフトレバーをニュートラルポジションへ、ボタン式AT車はドア開閉時に自動的にニュートラルポジションへシフトチェンジする。


また公害及び燃費対策としていち早くハイブリッド化やCNG(天然ガス)燃料化が行われたが、コストや整備性の問題で一時的な導入にとどまり、現在は一部車種にハイブリッド仕様車が設定される程度である。


運賃の徴収方法編集

現在では車掌が乗務して運賃収受を行う(いわゆる「ツーマン」)方式は一般には行われていないため、「ワンマン」運行による運賃収受の方法を解説する。


基本的には均一料金か距離別運賃か、前払いが後払いかがおもな違い。現金で支払う場合が多いが、切符やカードを使用する/できる路線もある。

均一料金前払い制

都市部の一般路線バスやコミュニティバスに多く、距離にかかわらず同額の運賃を乗車時に支払う。一般路線バスの場合は前扉から乗ることになるので前乗りという。

距離別料金前払い制

乗車時に運転士に降車する停留所を告げて、その区間の運賃を支払う。乗客の申告を基に運賃が決定されることから「信用乗車方式」の一種として扱われる。

過去には首都圏郊外を中心に実例が多く見られたが、1990年代にプリベイトカードが普及すると後述の「後払い」方式に切り替えられていった。(上記の3扉車が廃れた一因でもある)

現在でも終点で降りる乗客が極端に多い路線(例:団地発→駅行き)の場合、申告式前払いの路線もまれにある。

また一部の高速路線バスに同様の扱いをする路線がある。

距離別料金後払い制

降車時に乗った距離に応じた運賃を支払うもので、郊外や地方の路線バスに多く、日本では乗車証明に整理券を使うことが多いので俗に整理券方式といい、この場合は後ろ扉から乗るので後乗りという。乗車時に整理券発行機から整理券を受け取り、整理券に書かれた番号に対応する運賃が車内の表示機に表示されるので、降車時に運賃箱にその運賃と整理券を投入する。プリペイドカード交通系ICカードの場合、乗車時(整理券代わり)と降車時(運賃支払い)の両方に機械でチェックを行う。

均一料金後払い制

比較的関西圏に多い収受方式。

都市によっては市街地の地域が均一料金、周囲が前述のような距離別料金という場合もあり、均一料金の区域だけ走るバスも後払い制になっていることがある。


地域によっては路線により支払い方式が混在していることもあり、複数の方式に対応できるワンマン機器を装備する車も存在する。

予約制の高速路線バス

インターネットコンビニの端末、またはバス会社や旅行代理店の窓口で予約・購入する方法が一般的である。乗車時には乗車券を渡すか、スマホ等の端末の画面を乗務員に提示する。


信用乗車制の是非編集

車内で運賃を収受する方法は非常に効率的であり、また不正乗車などによる運賃の取り逃れも少ないシステムである。しかし(特に現金での)運賃収受は停車時間を伸ばし、表定速度を下げる原因にもなっている。そのため、海外(特にヨーロッパ)に於いて路線バス・路面電車で普及している「信用乗車制」の導入を検討している会社も存在していたようである。しかし実際には問題点も非常に多く、そのまま簡単に導入する訳にはいかないようだ。


日本では馴染みのない運賃収受方法なので簡単に記す。

簡単に言えば運賃の支払いを乗客の「良識」と「相互監視」に任せる方法である。また運転士は運賃収受に一切の関りを持たない。

まず、乗車前に停留所にある券売機で乗車券を購入して、乗車後直ちに車内のチケット・キャンセラー(一種のタイムカード)で乗車証明・時刻を打刻(入鋏)する。なお、運賃は(都市によってはバス・トラムの他、地下鉄まで含めた)「ゾーン制」になっている場合が多く、乗り換える場合も(時間の制限を越えなければ)新たに乗車券を購入する必要もない。また事業者にとっては車両を大型化してドアを増やすことで、輸送力を上げることもできる。

当然無賃乗車もやろうと思えばいくらでも出来てしまうが、時々検札(警備員同伴)が抜き打ちで乗車券の有無や乗車券の不正使用(未入鋏)のチェックを行う。不正が発覚した場合、正規運賃の数十倍もの罰金を請求される。単純な入鋏忘れや、不慣れな外国人であっても基本的に問答無用である。また「常習犯」の場合警察に告訴されることすらあるという。

とは言え、実際にはザルも同然であるらしく、都市によっては無賃乗車率が10%以上に達すると見られるなど、相当な(日本であれば経営が傾きかねないレベルの)運賃の取り逃しがあるとみられる。

例えばイギリスのシェフィールドでは、路面電車の開業の際に上記のシステムを導入したが、無賃乗車が経営不振の一因になってしまったため、新たに車掌を乗務させる羽目になった例もある。


また日本では、既に都市部を中心に交通系ICカードの導入・普及が進み、多少ではあるが状況の改善が見られたこと、さらに関係する事業者の数も多大に渡り、また警察との連携や刑法の改正、さらに裁判への対応など、新たな運賃収受システムを根付かせることは非常に困難と思われる。


鉄道代替バス編集

バスは鉄道と比べると維持コストが低いため乗客が少なくても採算を合わせやすい。そのため、地方では乗客の少なくなった鉄道路線を廃止し、バスに転換することが頻繁に行われた。国鉄も例外ではなく、特に民営化前後に全国各地で地方交通線が切り捨てられた際に、地元の民営バス会社に転換される例が非常に多かった。しかし近年さらに過疎化が進み(鉄道を失った地方都市と沿線は、ほぼ間違いなく衰退する)、転換されたバスですら採算が合わずに廃止になってしまい、公共交通空白地帯に追い込まれる例も増えている。

なお廃止に至る事情は異なるが、鉄道としての復活を断念した路線の鉄道用地を道路に転用し、国鉄バス専用道路として鉄道に似た運用を行っていた事例も存在する。(例としてJRバスの白棚線)

2011年3月の東日本大震災において被災したJR東日本の気仙沼線大船渡線においては路盤を舗装し駅至近の場所に停留所を設置するなどして代替バスとしての路線運行を順次再開した。この場合、バスの専用道路を主軸としたシステムでBRTと称されることがある。


廃止代替バス編集

地方の過疎化や乗客の自家用車への逸出が進んだ1970年代以降、地方のバス会社の経営も軒並み経営の悪化が進み、支線系統を中心に減便などの合理化や路線の短縮、また廃止が全国的に進んだ。さらに1990年代以降はこれまで「本線」扱いだった路線にまで大鉈が振るわれるようになり、地域から公共交通機関そのものが消滅する事例が相次いだのである。また、これとは別に大都市間を結ぶ中~長距離の路線バスが、高速道路の延伸によって次々に高速道路経由に乗せ換えられてしまい、結果として地域交通としての機能を喪失する例が現在まで続いている。

こうした事情によって地域住民の生活に重大な支障があると判断される場合に、地方自治体がバス会社に補助金を支出することで「一定の路線と便数を確保する」事例が全国に多数存在する。

またコミュニティバスの運行を、地元のバス会社やタクシー会社に依頼して運行するケースも目立っている。

以上のような支援を行っても住民の足が確保できない過疎地域などでは、自治体の持つ自家用バス(通称白バス。公用ワゴン車や公営スクールバスなど)を地域バスとして転用することもあり(自主運行バス)、その場合に限り運転士は一種免許で運転できる。これは自家用バスで旅客営業ができる例外的な事業で、あくまで法的には特殊なケースである。これは事実上「完全に採算度外視」が確定している、市町村による公共事業の一種(役所の各種手数料と同様の収入)とみなされているためである。当然、このような事情がない場合は、自家用バスで有償旅客運送を行うことは違法である。

自治体によっては利用者を「登録者の予約制」に限定するなど、もはや公共交通機関としての体をなしていない(事実上タクシーの借り上げ)ケースも存在する。


トロリーバス・ガイドウェイバス編集

架線から電気を受け取る構造を持つ電気自動車を使ったバスをトロリーバス、案内軌条により操舵せずに走るバスをガイドウェイバスという。これらは乗客から見れば路線バスの一種であるが、法律上は無軌条電車と言い、鉄道の一種であるため運転士は自動車運転免許ではなく無軌条電車操縦免許が必要である。ガイドウェイバスの場合一般道路上も走行するため、バスの車格に該当する自動車運転免許の第二種免許も必要である。

日本におけるトロリーバスの運行開始は、兵庫県の新花屋敷温泉土地が観光客輸送用に1.3kmの路線を1928年に開業させたものが最古である。(1932年に廃止)

その後1932年に京都市、1943年に名古屋市が開業、戦後は東京都川崎市横浜市大阪市にも波及するが、基本的に架線下でしか走行できないことから、当時の路面電車と同様に道路交通の障害とみなされてしまい、1972年までに全廃されている。

2019年現在も残存する路線は、長野県富山県の立山・黒部アルペンルートの「立山トンネルトロリーバス」のみが運行を継続している。(関電トンネルトロリーバスは2018年に廃止、電気バスに置き換え。)


また、愛知県名古屋市でガイドウェイバスが運行されている。

また、DMV(デュアル・モード・ビークル)はガイドウェイバスのうち、従来の鉄道の線路を案内軌条として用いるものを指す。現在は阿佐海岸鉄道で運行されている。

ガイドウェイバスに関しては、案内軌道上と道路上での位置づけが一切異なり、両方のすべての規制に則らなければならないことから、開業には極めて高いハードルがある。


主な路線バス事業者(各県別)編集

記事が確認され次第追加します。またバス会社も参照。

北海道・東北地方編集


北海道編集


このほかにも多数の事業者があるので詳しくは検索エンジンで検索。


青森県編集

  • 弘南バス 青森県西部。高速バスノクターン号が有名。
  • 十和田観光電鉄 元鉄道事業者。青森県東部エリア。【国際東北グループ】

この他に青森市営バス八戸市営バス南部バス(岩手県北バス南部支社)・下北交通がある。



秋田県編集


このほかに羽後交通がある。


岩手県編集


宮城県編集

  • 宮城交通   県内全域。仙台エリア以外は子会社のミヤコーバス運行。【名鉄グループ】
  • 東日本急行  乗合バスは高速バス路線のみ。
  • 仙台市営バス 公営事業者。

山形県編集



福島県編集

  

関東地方編集

 

茨城県編集


栃木県編集


千葉県編集

以上は【京成グループ。】



埼玉県編集


東京都編集


神奈川県編集


中部地方編集

以上7社と先述の宮城交通は【名鉄グループ】である。


  • 三重交通 三重県 元鉄道事業者。三重交通グループホールディングス傘下。【近鉄グループ】
    • 名阪近鉄バス 岐阜県西部・愛知県と三重県の一部。三重交通グループホールディングス傘下

愛知県編集


静岡県編集


新潟県編集


長野県編集


富山県編集


福井県編集

  • 福井鉄道 鉄道事業も行う 元名鉄グループ。

近畿地方編集


滋賀県編集


奈良県編集

  • 奈良交通 近鉄バスホールディングス傘下。【近鉄グループ】

京都府編集


大阪府編集


兵庫県編集


中国・四国地方編集


岡山県編集


広島県編集


山口県編集


愛媛県編集


高知県編集


九州・沖縄地方編集

福岡県編集


佐賀県編集


長崎県編集


熊本県編集


大分県編集

因みに大分県のバス会社4社は西鉄が関わっていた。(大分交通は元西鉄グループ、大分バスは近鉄グループから離脱後に西鉄などの支援により再建。亀の井バス・日田バスは西鉄グループ。)


宮崎県編集


鹿児島県編集


沖縄県編集


JRバスJRグループ各社のバスの総称)編集



関連タグ編集

バス ワンマン運転 バス停 バスターミナル 公共交通機関

乗合バス 貸切バス 観光バス 市営バス スクールバス

レールバス ボンネットバス ノンステップバス ガイドウェイバス トロリーバス

大型乗用自動車等通行止め 路線バス等優先通行帯

ローカル路線バス乗り継ぎの旅 地方・郊外の路線バスの惨状を実感できる人気テレビ番組

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