概要
バスの後部にさらに人間を乗せる車両をつなげたもの。連接バスとも呼ばれる。
トレーラーバスとの違いは、2つの車体の間を乗客が自由に通り抜けが出来ること、簡単に切り離すことが出来ない固定編成であることである。
エンジン配置は先頭車両の床下にミッドシップエンジンとして置き後部車両を牽引するものと、最後部車両にリアエンジンとして置き中間・先頭車両を推進するものがある。
車両全長は2車体連節でおおむね18m~19mで、旅客定員は110~190人程度。
日本での連節バス
国内メーカーで最初に連節バスを製造したのはいすゞである。1950年に当時のベストセラーであったBX91をベースにした連節バス1両を試作製造した。当時は「双子バス」と呼んだ。八戸市交通部に納入されて営業運転に使用され、のちに弘南バスに移籍した。
1985年、茨城県の筑波研究学園都市で開催された科学万博つくば'85会場へのシャトルバスとしてボルボ・B10Mシャーシに富士重工業の車体を架装した連節バスが100台導入された。
運行区間は万博会場と常磐線の万博中央臨時駅(現在のひたち野うしく駅の位置にあった)の間だけだった。
万博閉幕後は80台がオーストラリアへ輸出され、19台は東京空港交通へ移籍、残った1台は富士重工業伊勢崎製作所保存のため引き取られたが、部品供出の関係で欠品がかなり目立つようになり、2000年頃に解体された。
東京空港交通へ移籍した19台のうち3台は空港のランプバスとして使用し、16台を東京シティエアターミナルと成田空港を結ぶ路線バスとして使用することになった。路線バスへの転用時、後部車体の乗降口を撤去したうえ、最後部に荷物置き場を設置、座席を全てリクライニングシートへ交換し高速走行に対応するようギア比が6.166から4.86に変更されている。これらの改造を経て運行路線と途中経路を限定する形で道路交通法の特例措置を受けて運行された。
運行に際しては以下の制限がかけられた。
これらの制限が仇となり、渋滞によって迂回することも許されないことからのちに運行は廃止された。
ちなみにランプバスとして使用された3台は、1999年に旭川電気軌道へ移籍し冬期の通学路線用として2004年まで使用された。
ボルボの連節バスは1998年に日本でも正式発売されたが、導入したのは朝の混雑が激しい幕張地区を抱える京成バスの10台限りで2000年に販売が中止された。
21世紀になると運転手不足もあり連節バス導入が相次いで行われるようになる。2005年にはドイツ・ネオプランのセントロライナー2両が神奈川中央交通(神奈中)に導入され、「ツインライナー」として神奈川県藤沢市内の路線で運行開始、同年9月には4両に増備された。
2007年末にはメルセデス・ベンツシターロが導入され、2008年2月より神奈川県厚木市内の路線で営業運行を開始している。
神奈中で導入された連節バスは新潟市、浜松市に運行実験を目的に貸し出されたが、この時は乗務員と車両をセットで貸し出している。
2019年5月末、いすゞは路線バスのエルガに連接バス・エルガデュオをラインナップに加えた。日本のメーカーで全てをまかなった連接バスは先に挙げたBX91の双子バス以来約70年ぶりであった。
なお、いすゞ販売店のほか、日野自動車の販売店でも「ブルーリボンハイブリッド連節バス」と言う名称で取り扱っている。
連節バスは全長が日本の保安基準で定められている12mを越えるなどの特殊構造のため、道路運送法に基づく国土交通省運輸局の特例措置を受け、使用路線を限定して運行される。このため、簡単に他の路線へ転用したり、ダイヤ乱れ時に所定外の路線へ入れたり、新規路線への導入・非常時の迂回時にはその都度実車による検証と認可が必要となり、運用には依然として制限がある。
なお免許に関しては、切り離すと運行できないので、法律上ではけん引免許は不要であり、大型二種免許があれば路線バスや貸切バスを運転できるが、けん引自動車の運転と同等の技能が必要であることから、運行する事業者はあえてけん引免許を取得させている。
日本で導入している会社
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