概要
千葉県市川市(本八幡駅近く)に本社を置く、京成電鉄の100%子会社。東京都内の足立区・葛飾区・江戸川区から千葉県北西部にかけての京成・北総・JR東日本沿線を主な営業エリアとする。一部は埼玉県にも路線を伸ばし、金町営業所隷下の戸ケ崎操車場が八潮市に設けられている。
京成電鉄のバス部門は1995年のちばフラワーバス設立後、地域毎に分社化したり、グループ会社に路線を移管したりする方法で合理化を進め、比較的輸送密度の高い地域は京成バス株式会社に譲渡する事で完全に分社化するという形を取ろうとしたが、合理化によって大勢の社員のクビが切られると考えた労働組合が分社化に抵抗。列車を1日運休させるストライキが計画されたほどである。京成バスの会社設立が1999年2月なのに実際の営業運行開始が2003年10月までにずれ込んだのにはこんな事情がある。
路線名と系統番号
京成電鉄のバス事業草創期から現在に至るまで、路線名が付与されている。近年は路線図に路線名が出ることはないが、路線の新設・廃止・改変時には路線名をきちんと表示する。
一方系統番号についてはまず東京都内全域のバスについて利便性を高めるため、東京バス協会の旗振りの下で全社一斉に近い形で番号が振られた。
都内
分社化以前からある路線の系統番号の振り方は都バスに似ており、一つの路線名に一つの系統番号を振ったため、途中で分岐しようが折り返そうが入出庫便であろうが、同じ路線であれば同じ系統番号であるものが多い。ただし系統番号の読み方は千葉県内も含め、東急バスや神奈川中央交通と同じく由来の地名を全て読む方式(幕01であれば「幕張本郷01」と案内)で都バスとは異なる。
金町営業所管轄の戸ケ崎線は、金町駅を境に運行系統が分割される前から、区間便に別々の系統番号が振られ、分社化後に開業した、金町営業所管轄の北千住線や荒川区コミュニティバスも別々の系統番号を持つ。
東京BRTについては、2路線があるものの現段階では系統番号が付与されていない。
千葉県
京成バス分社化後に系統番号が割り振られた。都内の路線と異なり、枝分岐を単位として一つの番号を割り当てている(関東バスや神奈川中央交通、横浜市内の東急バスなどが似ている)。この系統番号付与は地域子会社の京成トランジットバス、ちばシティバスでも実施されている。
松戸八潮線は例外的に、分社化以前は戸ケ崎線の支線として扱われ、都内の金町営業所が管轄していたという経緯もあり、分社化時点で既に系統番号を持っていた。同線はつくばエクスプレス線開業に併せ、八潮駅への乗り入れを開始すると同時に松戸営業所へ移管、戸ケ崎線から独立している。
営業所と担当路線
括弧内の英数字は社番に冠される営業所表記。
- 奥戸営業所(1)
- 担当路線:墨田区コミュニティバス「すみだ百景 すみまるくん、すみりんちゃん」、台東区コミュニティバス「ぐるーりめぐりん」、東京BRT(東雲車庫担当路線、同名の子会社との共同運行)
- 本体は葛飾ナンバー、東雲車庫は足立ナンバー。以前は本体配属の車両にも足立ナンバーがつけられていた
- 市川営業所(2)
- 担当路線:姫宮団地線、高塚線、国分線、冨貴島線、鬼越線、中国分線、ファイターズタウン線、市川学園線、市川市コミュニティバス
- 市川ナンバー。以前は習志野ナンバーがつけられていた
- 松戸営業所(3)
- 担当路線:市川線、流山線、国分線、日大線、矢切の渡し線、松戸八潮線、東初石線、西初石線、三輪野山線、流山ぐりーんバス(流山市コミュニティバス)
- 松戸ナンバー。以前は野田ナンバーがつけられていた
- 新都心営業所(4)
- 担当路線:新都心幕張線、香澄団地線、幕張学園線、コロンブスシティ線、谷津パークタウン線、袖ヶ浦団地線、秋津団地線、新都心回遊線(ポケットバス)、習志野市コミュニティバス「ハッピーバス」
- 習志野ナンバー
- 千葉営業所(5) ※四街道市にある
- 担当路線:大学病院線、小倉団地線、都町中通り線、ほおじろ線、都賀線、一部の高速線
- 千葉ナンバー
- 金町営業所(8)
- 担当路線:戸ヶ崎線、幸田線、亀有線、アイリスループ、ファミリーシャトル、亀有綾瀬線、荒川区コミュニティバス「さくら」、北千住線、新金線
- 葛飾ナンバー。なお戸ケ崎操車場が所在する八潮市は春日部ナンバー圏内だが、戸ケ崎には車両の配置がないため、春日部ナンバーの車両は京成バスには存在しない
- 江戸川営業所(E)
- 担当路線:篠崎線、鹿骨線、南小岩線、第二南小岩線、南行徳線、区役所線、臨海病院線、西瑞江線、環七シャトル、新タワー線、新高線
- 足立ナンバー
- 習志野出張所(0)
- 担当路線:大久保線、東習志野線、屋敷線、花見川団地線、花見川南線、実籾線
- 習志野ナンバー
- 長沼営業所(N)
- 担当路線:八千代台線、勝田台団地線、横戸線、こてはし団地線、あやめ台団地線、検見川線、瑞穂の杜線、さつきが丘団地線、中部美浜横断線、宮野木線、京成団地線、ファミールハイツ線、寺山線、千草台団地線、長沼原線、稲毛海岸線、一部の高速線
- 千葉ナンバー
一般路線は、千葉・長沼・新都心・習志野管内とその他とではエリアが完全に分断されているが、この京成バス空白地帯では船橋新京成バスや京成バスシステムが運行する。
都内ではかつて、都営バス共同運行路線も存在した。
近距離・中距離高速バス
近距離・中距離高速バスを担当する営業所は奥戸営業所、千葉営業所、新習志野高速営業所、長沼営業所の4箇所。
羽田空港・成田空港から南関東地域とその周辺、東京駅・東京都心から千葉方面を結ぶ路線が主体。
長距離高速線
長距離高速バスは全て夜行便。以下3路線を運行。カッコ内の会社は共同運行会社。
- ファンタジアなごや号(JR東海バス)
- 西船橋駅・東京ディズニーランド・横浜駅⇔名古屋駅
- やまと号(奈良交通)
- 五位堂駅・王寺駅・法隆寺バスセンター・近鉄郡山駅・JR奈良駅・近鉄奈良駅・天理駅⇔本厚木駅・横浜駅(YCAT)・京成上野駅・西船橋駅・東京ディズニーリゾート・海浜幕張駅
- 千葉・TDR・東京駅・横浜-大阪・神戸線
- 千葉中央駅・海浜幕張駅・西船橋駅・東京ディズニーランド・東京駅・横浜駅東口⇔千里中央駅・新大阪・大阪梅田・神戸三宮
(千葉・TDR・浅草・京成上野-大津・京都線は千葉中央バスが運行)
車両
国産では日野自動車・いすゞ・三菱ふそうで製造された車両が所属。過去には日産ディーゼルの導入実績もあるが、一部のコミュニティ路線や高速路線用としてごく少数が在籍したに過ぎない。
また幕張地区用の連節バスとしてメルセデス・ベンツシターロGも在籍している。
以前は営業所ごとに導入メーカーが決められていた関係で、ごく一部の例外を除いて新都心・長沼営業所、習志野出張所では日野、松戸営業所では三菱ふそう、その他の営業所ではいすゞを選択する傾向が強い。ただし車庫の移転や管轄営業所の変更などにより、営業所ごとの車両の統一性は崩れている。
ツーステップ時代には、三菱ふそうの大型車全車と、いすゞの大型車の約半数が富士重工業製の車体を載せていた。
どの営業所も共通して大型車の標準尺2扉車が多い。ノンステップ車の導入は勿論のこと、CNG車やハイブリッド車の導入も行っている。
比較的利用者が少ない路線、狭隘区間を走る路線用に中型車の配置もある。
車両のカラーリングは色調こそやや違うものの、親会社の京成電鉄の電車に近い。
新都心幕張線用連節バス
幕張本郷駅と海浜幕張駅周辺を結ぶ【幕01】新都心幕張線は、幕張新都心への企業進出の増加に伴い、利用者も急増。京成は混雑解消と輸送力アップのために全長のやや長い3扉の車両を多数配置し、頻発運行で対処しようとしたがそれでも捌ききれず、1998年にボルボ社製のシャーシを使用した連節バス、型式KC-B10Mを10台導入した。
この連節バスは一般路線バスとしては日本で最初に導入されたもので、全長18m、定員140名と電車1両分に近い。シャーシこそ海外からの輸入品だが、車体は富士重工業で製造されたもので、輸入車特有の違和感はあまり感じない。
カーブでは第3軸の車輪がハンドルを回した方向とは逆に動くことで、第2軸の軌跡を追いかけることで、内輪差が大きくなることを防いでいる。このため通常の大型路線バスと同じような感覚で運転でき、運転手に必要な免許も路線バスの運転に必要な大型2種免許のみである。ただし、全長が長いために運行できるのは特例により許可を得た新都心幕張線に限られている。
ボルボ製連節バスは平成6年排ガス規制にしか適合しておらず、2010年に神奈川中央交通で導入の実績があるメルセデス・ベンツシターロG、愛称「シーガル幕張」に置き換えられた。なお置き換えられた後のKC-B10Mは鹿児島県のいわさきバスネットワークとJRバス関東白河支店へ各4台ずつ譲渡されている。
その他
- 京成電鉄の社史によると日本で最初にワンマンバスを実施したとされている。ただし大阪市交通局(現大阪シティバス)の方がワンマンバスの運行開始としては6年ほど早いので、民営バスでのワンマンバス第1号としては正しい。
- かつては貸切車両1台毎に花にちなむ愛称がつけられていた
京成電鉄系のバス会社
(末尾のT・W・C・Eは下記再編後の事業者を参照のこと)
- 京成バス TWCE
- 京成タウンバス T
- 京成バスシステム C
- 京成トランジットバス(旧·市川交通自動車含む) W
- 千葉交通 E
- ちばレインボーバス C
- ちばシティバス E
- ちばグリーンバス E
- ちばフラワーバス E
- 千葉中央バス E
- 千葉海浜交通 W
- 千葉内陸バス E
- 成田空港交通 E
- 東京ベイシティ交通 W
- 東京BRT
グループ再編計画
京成グループではバス事業の経営一体化を目指し、以下の手順で事業再編が行われる予定。