概要
長さ9m程度、幅2.3mの中型バスをベースに、長さを10.5mと大型車並まで伸ばした車両。車体断面は中型バスと共通。見た目は車高が低い上に細長く見えることから「ウナギ」・「モヤシ」とも呼ばれる。
中型バスがベースのため車両価格が大型ワンステップバスと同程度と安く、日野・レインボーHR系を中心に全国各地のバス事業者で導入が急増、大ヒットした。しかし、ポスト新長期規制が適用された2010年9月以降、どのメーカーも製造していない。
各社の状況
日産ディーゼル
中型ロング車の嚆矢である。
1992年に廃止された西鉄・北九州市内線の代替バスとして、安価に大量の低床車を導入するために
中型車のJM系のシャシーを延長した特注車を投入したことが始まりである。当初は西鉄傘下の西日本車体工業のみで架装され、いわば西鉄バス向けの特注モデルであったが、1994年以降日産ディーゼルのカタログモデル(スペースランナーJP)となり、富士重工でのボディ架装にも対応するようになった。特に1995年、過去25年間日産ディーゼルと取引の無かった京王バスが、当年度分の新車46台を独占的に購入(うち11台は、当時関東圏では希少だった西日本車体製)して話題になったこともある。(京王バスの日産ディーゼル独占は98年まで続いた)
その頃から少数ながらも各地で導入が見られ、改造扱いで短尺車も設定された。その後長らくリーフサス/ワンステップバスのみの設定だったが、2000年よりノンステップバスが追加され、末期は三菱ふそうへのOEM供給もされていた。
日野自動車
2000年に登場したレインボーHR・10.5m車は、中型ロング車の代表車種。同社製のノンステップバスは高価なフルフラット式車両ばかりだったため、その反動で当車種が大ヒットした。一時はいすゞ自動車へOEM供給もなされていた。
三菱ふそう
2002年より参入。エアロミディMKワンステップをベースに10.5mへサイズアップしたもの。そのためエンジンが横置きではなく、縦置きになっている。2007年に製造が中止され、翌年より日産ディーゼルより先述のJP系のOEM供給を受けていた。
いすゞ自動車
国産4メーカーの中で唯一、中型ロングを自社で製造していない。しかし日野・いすゞのバス事業統合に伴って、日野からレインボーHR10.5mのOEM供給を受け「エルガJ」として発売していた。と言っても、僅か10数台程度である。
現状
中型ロング車は既に製造終了しており、大都市圏からも姿を消しつつある。しかし、多くの車両が地方都市に移籍してバリアフリー化に貢献しており、中には国産4メーカー全ての中型ロング車を集めた事業者もいる。