もともとは中型バスの他小型バスもラインナップに含まれていたが、モデルチェンジが相次ぎ現在はいすゞ自動車エルガミオのOEM車種である「レインボーⅡ」→統合車種の「レインボー」のみがラインナップされている。
レインボーRJ・RR
K-(P-)RJ/RR系
1980年、それまでモノコックボディだったRL系をモデルチェンジして誕生。車体は直線的なスケルトン構造を採用し、それまでの中型バスのイメージを一新した。
路線系は、側窓が2連ユニット式となった天地の狭い2段式が標準で、窓上の幕板が広いのが特徴。前面は左右1つずつの丸形前照灯を採用し、「二つ目」と呼ぶファンもいる。オプションで角形4灯も選択でき、それらは阪急バスや尼崎市営バスなどに納車された。
なお、方向幕は当初は前面の大型表示器はオプションで、エアコンもオプション扱いだった。前面大型方向幕を設置する場合、その部分が盛り上がっていた。
サスペンションは当初はリーフサスのRJ系のみだったが、後にリーフサス併用エアサスのRR系も追加され、箱根登山鉄道などに納車された。
1984年、昭和58年排出ガス規制に対応するためにマイナーチェンジが行われ、エンジンはH07C型(直列6気筒)に変更。更に大型方向幕が標準となり、前面の大型方向幕部分の屋根の盛り上がりがなくなった。
1988年、ボディのフルモデルチェンジが実施された。直線的なスタイルは変わらないが、エッジが柔らかな印象となってイメージを一新し、ヘッドライトは丸型4灯が標準仕様になった。
U-RJ/RR系
1990年に登場した平成元年排出ガス規制に適合させたモデル。ラインナップに大きな変化はない。
リーフサスRJ系長尺車には改造扱いで低床車も設定された。
ミッションはフィンガーシフト式5速MT、1993年にはトルクコンバータ式5速ATも追加されている。機関直結式エアコンが標準装備された。
KC-RJ/RR系
1995年に登場した平成6年排出ガス規制に適合させたモデル。短尺車からリーフサスRJ系の設定がなくなりRR系のみに一本化された。ステアリングホイールの形状変更、メーカーエンブレムがウィングマークから現行のマークに変更とU代規制車とは微妙な差異がある。
1997年RJ系にワンステップ車が追加設定される。アイドリングストップシステムもこの頃設定されている。
KK-RJ/RR系
1999年に登場した平成10年排出ガス規制に適合させたモデル。ラインナップから短尺車が消え、9mの長尺車のみに整理される。床形状はツーステップ標準床と低床、ワンステップの3種類。低床とワンステはRJ系のみ。
ホイールパーク式駐車ブレーキや衝撃吸収型ステアリングホイールが標準装備されている。
2000年にRJの改造扱いでワンステップ車にエアサス車が登場。2001年以降RR系は消滅し、特装用が中心になった。
2004年に平成15年排出ガス規制へ移行する際いすゞ自動車とのバス事業統合に伴う生産車種見直しにより製造を終了した。以後路線系ワンステ車については、いすゞ自動車からエルガミオの供給を受け、レインボーⅡとして販売されることになった。
なお外観からはとても想像できないが、東京ディズニーリゾートと提携ホテル間を走行しているディズニーリゾートクルーザーは一部車種がレインボーRJ系である。
レインボー7M・7W系
1987年に登場した幅2.3mで全長7m以下の小型観光・自家用バス。従来のAC系に代わるモデルとして製造を開始。
7Mはシリーズ名CHで、直列エンジンを中央床下に水平配置したセンターアンダーフロアエンジン・フルデッカー・トップドアの観光用モデル。
一方の7WはRHで、AC系の代替としてCHに準じたスタイルで作られた自家用中心のモデル。リアエンジン車で、当初は中扉専用であったが、1991年以降トップドア化され、路線バスとしても使われた。7Mに比べて床・車体が低い。
1998年まで何度もモデルチェンジを繰り返して製造が続き、1998年以降はメルファ7に名称変更された。
HR系/いすゞ・エルガJ
1999年に登場した、中型幅のノンステップ車専用モデル。当時路線バスの主流となりつつあったノンステップ車をいち早く7m、9m、10.5mの3つの車体長でラインナップを完成させたが、ラインナップ整理が徐々に行われ、モデル末期は10.5m車のみだった。
このノンステップ中型10.5m車はその独特の見た目からウナギ、もやし、ダックスフントの愛称でバス愛好家から呼ばれることもあった。
KK・KL-HR系
KK・KL-HR系は長期規制適合車で7m車・9m車・10.5m車の3種からなる。
このうち7m車・9m車は1999年12月に発売開始。10.5m車は7m、9m車に遅れ2000年7月に発売を開始した。日産ディーゼルJP系に続く中型ロング車である。
ミッションは5速フィンガーシフト式MTで導入コストを下げたい事業者、MT車を好む事業者から好まれた。
車体はレインボーRJに準じているが、ノンステップ化に伴う窓位置低下などの違いがある。
2003年末から10.5m車のいすゞ自動車への供給が始まり、いすゞからはエルガJとして販売される。
型式は以下の通り。WBはホイールベースのことである。
7m車 WB3.35m | 9m車 WB4.6m | 10.5m車 WB5.48m | |
---|---|---|---|
レインボーHR系 | KK-HR1JEEE | KK-HR1JKEE | KL-HR1JNEE |
エルガJ | 未設定 | 未設定 | KL-HR1JNEC |
PB・PK-HR系
2004年8月発売開始。RJ系の発売が中止されたことにより、レインボーHR系からHRが取れ、名称がレインボーになった。
このモデルではKK代規制のHRシリーズから多くの仕様が変更されている。主な変更点は以下の通り
- エンジンを横置きから縦置きに。これにより9m車では中扉より後ろの座席が3列から4列に増えたが7m車では対応できず製造中止
- オプション扱いでATが設定
- ホイールベースが9m車では4.24mに短縮された。一方10.5m車はホイールベースが5.58mに延長され、ノンステップ部分の面積が広がった。
- 非常口の位置が車体中央部から後部へ移動。
- 前面の通気口が廃止
いすゞ自動車へのOEM供給車・エルガJとしてはKK-HR系に引き続き10.5m車のみが供給される。
名古屋市市民経済局が運営し、名古屋市交通局が運行する名古屋観光ルートバス「メーグル」にはフロントマスクがブルーリボンシティと同じHR系が存在する。
型式は以下の通り
9m車 WB4.24m | 10.5m車 WB5.58m | |
---|---|---|
レインボー | PB-HR7JHAE | PK-HR7JPAE |
エルガJ | 未設定 | PK-HR7JPAC |
BDG-HR7JPBE
2007年6月に発売された平成17年排出ガス規制適合車。PB・PK代で設定されたATの設定がなくなり、再びフィンガーシフト式MTのみの設定に戻った。
更にラインナップも10.5m車のみに縮小された。製造中止となった9m車はいすゞ自動車と日野自動車でラインナップが重複していたため、いすゞからエルガミオの供給を受け、レインボーⅡに整理された。
型式はBDG-HR7JPBEで、ホイールベースは5.58m。2010年9月製造終了。
レインボーⅡ
いすゞエルガミオのOEM供給車で、後に統合車種となったモデルである。
PA-KR234J1改
※イラストはKK-代エルガミオで代用。
レインボーRJワンステップ車を2004年8月の平成16年排出ガス規制適合の際、製造を中止しバス事業を統合するいすゞから、エルガミオワンステップ車のOEM供給を受けて、レインボーⅡの名称で発売することとした。ワンステップのみの設定で、ノンステップの設定はない。
外観・仕様はエルガミオと同一で見分けが付かない。車内のプレートも「ISUZU」となっている。
CNG仕様車も存在し、逆にこちらはノンステップのみの設定。
PDG-KR234J2
2007年8月に発売された平成17年排出ガス規制適合車。このマイナーチェンジよりOEMから「統合車種」になった。
ミッションは標準が6速MTで、オプションで5速ATが設定されている。レインボーHRから9mノンステップが廃止されたため、このモデルが9mノンステップをカバーする。
外観上はヘッドライトがブルーリボンIIと同様に規格型角形2灯化されたことでエルガミオと見分けがつきやすくなった。
SKG/SDG-KR290J1
2011年11月に発売された平成22年排出ガス規制適合車。ベース車のいすゞ・エルガミオに準じ、エンジンは直列4気筒、出力240馬力、最大トルク765N・mの4HK1-TCH型に変更。アンチロックブレーキシステムが標準装備になり、発進時にエアコンを停止させる機能を持たせている。
レインボー(2代目)
SKG-KR290J2
2016年5月発売。SKG-代のレインボーⅡからフルモデルチェンジが行われ、車名が「レインボーⅡ」から「レインボー」に戻される。
統合車種のエルガミオ同様に搭載エンジンは直列四気筒の4HK1-TCNにすることによって、平成27年度燃費基準を達成するとともに、ポスト新長期排出ガス規制に適合する。2015年8月にデビューした2代目ブルーリボンと同様にセミオートマチックトランスミッション(AMT ※)が標準となり、従来のMTとトルコンATが廃止された。
2KG-KR290J3
2017年8月発売。ポスト・ポスト新長期規制に適合し、尿素SCRシステムが搭載された他、車幅灯とロービームがLEDになった。
2KG-KR290J4
2019年7月発売。ドライバー異常時対応システム(EDSS)を装備した。
2020年6月にはマイナーチェンジを行い、トルコンATが新規設定された。メーカーはアリソントランスミッションで、セレクターは大型車同様のボタン式。
※セミオートマチックトランスミッション
クラッチ操作の必要がないマニュアルトランスミッション。日野自動車の公式ホームページによると、アクセルペダルの踏み込み量と車速によって自動で変速する自動変速モード、セレクトレバーを操作して手動で変速するホールドモード、低燃費運転に必要な変速を自動制御するECONOモードを搭載している。
クラッチペダルが無いため、法律上はAT車に分類されるのでAT限定免許でも運転できる。ただし大型免許にAT限定は存在しないが。