略称はTDR。
1983年4月に開業。
本拠地であるアメリカ合衆国国外で初めてオープンした世界で3番目のディズニーテーマパーク(リゾート)である。
キャッチコピーは「夢がかなう場所 Where dreams come true」。
ディズニーランドのロゴマークはシンデレラ城、ディズニーシーのロゴマークはミッキーのマークがくり抜かれた夕日であり、リゾートのロゴマークは統合されている(シンデレラ城とそのバックに夕日)。
概要
また世界のディズニーリゾートの中で、唯一TDRのみウォルト・ディズニー・カンパニー(以降WDC)の直営ではなく、京成電鉄グループの株式会社オリエンタルランド(以降OLC)がライセンスを得て運営している(後述の奈良ドリームランドの一件と、フロリダ州オーランドにあるエプコットセンターに注力していたのでリスクを分散させた為)。
OLCの運営ではマニュアルの遵守やゲストへのサポートなどが徹底しており、むしろ直営よりも品質が高いとさえ言われている。このことについては「TDR」をライセンス方式にしたことに関して、「史上最大の失敗」と冗談めかして語っているそうだ。
なお、WDCとOLCで締結しているライセンス契約については、最長で2076年まで延長できることで合意されている。
最初に展開した東京ディズニーランド(TDL)の開業当初はテーマパークのみであったが、提携ホテルやショッピングモール、劇場が建設され第二テーマランドの東京ディズニーシー(TDS)が開業したのを期に、それらを包括したテーマリゾートとして東京ディズニーリゾート(TDR)と呼ばれることになる。
それには以下のものが含まれる。
- 東京ディズニーランド (TDL)
- 東京ディズニーシー (TDS)
- 複合商業施設「イクスピアリ」
- 多目的ホール「舞浜アンフィシアター」
- 「東京ディズニーランドホテル」や「ホテル・ミラコスタ」(OLCの直営は4軒。オフィシャルホテルが6軒。パートナーホテルが4軒)をはじめとするホテル
- 国内最大級の広さを誇るディズニーショップ「ボン・ヴォヤージュ」
休園日について
開演当初は休園日を設けていた時期があったものの、現在休園日は存在していない。ショーの中止や開園・閉園時間を変更することはあるが、基本的に多少のイレギュラーがあってもディズニーリゾートは通常通りに運営している。
理由としては、パークの設計・運営・対策に注意を払っておりゲストを迎える準備ができること。施設の4分の3が屋内にある為、天候に関係なく楽しめることなどである。
しかし例外もある。
一度目は東日本大震災が起きた2011年で、3月12日よりおよそ1ヶ月休園していた。
震災当日(3月11日)にパークも被災したが、従業員であるキャスト全員が日ごろから最悪を想定した防災訓練を受けていたことで、ゲストの安全を守り怪我人も出なかった。
その後TDLは4月15日、TDSは4月28日より運営を再開した。
しかし同年はTDS開園10周年のイベントが控えており、開催を4月23日から9月4日に変更するなど深刻な打撃を受けた。
二度目は大型台風19号が直撃した2019年で、10月12日は終日休園、翌13日は12時からの開園となった。
前述の通り平常時は気象条件が悪くとも休園はしなかったため、今回が初の台風による休園となり、天候での休園は大雪が発生した1984年1月以来35年ぶりとなる。
三度目は2020年。新型コロナウイルス感染症の世界的流行で、2月29日から6月30日の4か月間閉園していた。長期閉園の記録は2011年の48日を大きく抜き、122日と過去最長を更新した。
その後7月1日にTTDL共々運営を再開したが、感染拡大防止のため列の間隔を開ける・入園者数を通常の半分に減らす・ショーや一部施設の運営を実施しないなど徹底した対策を余儀なくされた。
快適なパークへ
東京ディズニーリゾートでは、2019年7月より、公式アプリでのファストパス取得システムを導入した。
このシステムが導入された経緯としては、ダッシュ防止が考えられる。このシステムが導入される前は、入園と同時にあるグループの代表者が人数分のチケットを持って、お目当てのアトラクションのファストパスセンターへ、ダッシュ、という行為が横行していた。一応あるアトラクションのファストパスを取得したら、ある一定の時間まではファストパスが取得できないようになっていたが、OLCは看過できなかったのか、このシステムが導入された。2020年、コロナ禍で、新たにファストパス改めスタンバイパス、エントリー受付が導入された。ただし、こちらは、公式アプリでの取得に限定されている。その為、公式アプリをスマートフォンにインストールしていない、あるいは、公式アプリの操作に不慣れな利用者は、設定されているアトラクション、キャラクターグリーティングに参加するのが、事実上不可能になってしまっている。このシステムには、賛否両論あることと思うが、2022年の社会情勢を鑑みると、致し方ない措置ともいえる。また、公式アプリ上では、ホテルの予約、指定日入園チケットの購入、プライオリティ・シーリング(要するに価格帯の高いレストランの予約)、入園した日の23時59分までお土産の購入、フォトキー(パーク内で、プロのカメラマンに写真を撮ってもらえるシステム)の提示が可能になっている。
また、ファストパス関連に関しては、ユニバーサルスタジオジャパンにも似たようなシステムがある。
再開発計画について
注意 この部分は、公式の情報を絡めた個人の想定などが含まれています。実際の内容とは異なる場合があります。
2014年4月28日 オリエンタルランドから以下の発表があった。
(オリエンタルランドグループ「2016中期経営計画」についてから一部引用)
「将来のマーケットの変化に応じた事業基盤の形成」に向けたテーマパーク価値の最大化を図るため、テーマパーク事業に 10 年間(2015 年 3 月期~2024 年 3 月期)で 5,000億円レベルの投資を実行してまいります。
これにより、入園者数レベル(周年を除く年度の入園者数の平均)が、2023 年までに 3,000 万人レベルとなることを目指してまいります。なお、この入園者数レベルは、現在からは 200~300 万人レベルの増加となります」
東京ディズニーリゾートは、2013年度の時点で非常に好調な売り上げ・入園者数を記録していた。
しかし、東京ディズニーランドのグランドオープンから30年が経っており、首都圏の高齢化・入園者数のゆっくりとした右肩上がりの増加、更に2020年に控えた東京オリンピックによる訪日外国人観光客の増加などにより、既存の施設が現在求められているキャパシティーに満たない状況となっていた。
このままの状態では、顧客満足度の低下・入園規制の多発などの機能面や安全性に深刻な問題が発生する可能性があり、今後増加する入園者数を受け入れられる施設の確保と快適な環境作りをするための整備・テーマパークの価値向上が必要になっていた。
そこで2023年にありたい姿として、「舞浜の土地の有効活用によるテーマパーク価値の最大化」を掲げ…
・現在の2700万人の入園者レベルを2023年までに3000万人レベルへ引き上げること。
・今後の入園者増加に耐えられる環境を整えること。
・3世代家族といった幅広い年代のゲストでも楽しめるパークにすること
を目標とした。
その後に詳細内容が発表され、TDLにはファンタジーランドの面積を約2倍に拡張し不思議の国のアリスと美女と野獣のエリアを、TDSにはアナと雪の女王のエリアが導入されるという内容だった。
しかし、2014年度以降の入園者数が想定より早い段階で3000万人レベルに達することを理由に、構想検討が延長されることが発表された。(事実、2017年以降3000万人レベルの入園数を記録している。)
東京ディズニーランドの計画
そして2016年4月28日、大規模開発エリアのテーマ方針が一部決定した。
計画の内容は、美女と野獣のエリアに約320億円をかけた大型アトラクションを含む施設(過去の新規アトラクション建設最高額は、タワー・オブ・テラーの約210億円であった)や、ベイマックスをテーマにしたアトラクションと施設、ミニーのスタジオをテーマにしたグリーティング施設、完全屋内型のライブエンターテイメントシアターなどを2020年度までに建設する計画が公表された。
また、TDL全てのテーマランドをエリア規模での刷新を順次おこなうことが公表。
事実上、TDL全体が生まれ変わるという衝撃の内容となった。
再開発事業により駐車スペースが減少したため立体駐車場の建設、老朽化によりメインエントランスのリニューアルが決定し、東京ディズニーランドの開発が本格的に動き出した。
2020年4月オープン予定だったが、上記の新型コロナウイルス感染症蔓延のために延期。
同年9月28日にオープンとなった。
一方、東京ディズニーシーは…
しかし、2016年時点のTDS再開発計画に関してはほぼ白紙の状態に戻ったと言っても過言ではないほど発表が無かった。
(この発表で、2019年度にオープン予定の新アトラクション「ソアリン」が公表されたが、それ以上の公表はなかった。なお、アナと雪の女王の計画がなくなったわけではない。)
その後音沙汰がない状況であったが2018年6月14日に、新しい8番目のテーマポートを「魔法の泉が導くディズニーファンタジーの世界」《ファンタジースプリングス》とした。内容は、アナと雪の女王・塔の上のラプンツェル・ピーター・パンの世界を日本オリジナルとなる4つのアトラクションなどで再現した3つのエリアと、リゾート内最上級ランクの部屋を有するディズニーホテルを建築し、TDSへの追加投資としては過去最高となる約2,500億円をかけ、東京ディズニーシー開業以来最大の面積を2023年度までに広げることを目指すという、これまた壮大な計画の発表であった。(発表当初は2022年度中の完成予定であったが、2020年1月30日に2023年度中完成へと修正された。)
今まで「大人のディズニー」というTDLとは違う方向性で開発されてきた、TDS初のファンタジーを前面に押し出した世界観を有するテーマポートと、これまで出入口は1つとされてきたディズニーパークの法則に対して、パーク内に位置するホテルという立地を利用した第二の出入口建設の可能性が出てくるというものであった。
ここまで大きな事業ともなるともはや第3のテーマパーク事業とも思えるような内容である。
一方で入園チケットの大幅値上げも決定し、他のディズニーパークと比べて目立つ安さから一定の料金になった。これが、今後の開発計画や入園者数にどのような変化が生じるかは、新しいエリア次第と言えるのかもしれない。
トリビア
幻のディズニーランドが日本に!?
こどもの夢の国ディズニーランド
実は1957年に日本橋三越の屋上に期間限定であったがディズニーランドが存在していた。WDCときちんと契約したこの小さなディズニーランドは屋上遊園地として日本で最初に生まれたディズニーランドだったのである。
期間限定であった為このディズニーランドは現存しない最初にして幻のディズニーランドであった。
手賀沼ディズニーランド
小さなディズニーランドから二年後の1959年に千葉県の手賀沼にディズニーランド建設の計画が持ち上がる。遊園地だけではない複合施設(具体的にはスーパー銭湯や釣り堀なども併設予定だった)として計画されたが、手賀沼の地の汚染問題等が重なり結局は中止された。実に現在の東京ディズニーランド誕生の15年前にはこんなことがあったのである。実現する事なく終わった点では幻のディズニーランドといえよう。
なお、今では信じられないかもしれないが、かつての手賀沼は多くの作家達に愛された、景勝地であり手賀沼への観光を目的に都心と直結するための鉄道まで計画されたほどであった。(参照)
奈良ドリームランド
松尾國三がアメリカのアナハイムにあるディズニーランドに感激し、ウォルト・ディズニーに直接面会し日本に誘致しようとした事が建設のきっかけである。当初、ディズニーは本気に受け取っておらず、「その時が来たら力になる。」と返事。しかし松尾が技術者を連れて再び訪れた事で松尾の熱意に打たれたディズニーは、ディズニーランドのノウハウを無償で与え、建設時にもWDC側から技術者を派遣させたという。なお、この無償のノウハウ提供と技術者派遣は日本にディズニーランドを作る目的ではなく、あくまでも日本人が日本に独自の遊園地を作ることに協力するという目的であった。
奈良ドリームランド側が一方的にディズニーランドを名乗るためにWDCと交渉したが、無論WDC側にはそんなつもりもなく、東京ディズニーランド建設の経緯から分かるように、細部にまでディズニーの「イマジニア」がデザイン・設計するこだわりがあるように、ノウハウ提供・一部での技術協力のみで作られたパークがディズニーランドと名乗ることなど無かったのである。一方、パーク側によればフランチャイズ契約交渉にはこぎ着けたが、契約料で折り合わず破談になったという。
日本人独自のパークを作ることを前提に協力したにも拘らず、奈良ドリームランド側がディズニーランドを模倣し、質の低い施設を勝手に作ったことが、日本でのディズニーランド誘致の障害となった。東京ディズニーリゾートの運営母体であるOLCの元代表取締役会長(兼)CEOの加賀見俊夫は著書の中で、直接名称を挙げてはいないものの、生前のディズニーがこの一件に強い不快感を示し、「日本人は二度と信用しない」とした上で、WDCが京成電鉄・三井不動産によるディズニーランド誘致交渉を当初は拒否したため、実現は非常に困難だったと述べている。(参照)
結果的にWDC直運営ではなくOLCによるフランチャイズ運営の遠因となっている。
黒字計上
世界中に存在するディズニーランドでも、アメリカ本国(ロサンゼルス・オーランド)以外のテーマパークで唯一黒字を記録し続けている稀有な例とされている。
その内訳から、収支源となっているのはパーク内の遊具や売店以上に宿泊施設による収入が30%以上を占めていると判明している。これはアメリカ本国でも共通するデータらしい。
ミッキーとミニーの顔が変わった
2019年3月26日、ミッキーとミニーの顔が変わったとツイッターで話題となる。これは、2016年上海ディズニーランドがオープンした時に初めてお披露目された顔で、以後世界のディズニーパークで公式のミッキー・ミニーの顔として変更され、日本も対象となった。
1983年に開園した当時のミッキー達は当初とは全く違う姿であった。1993年にミッキーとミニーの顔が初めて変わった以降は2019年3月25日までほぼ同じ顔であったため、この顔に親しみを持つファンやリピーターが多くなった。
しかし、今まで親しんでいたミッキーとミニーの顔が変更されて、一部ファンの間からは『偽物』扱いされてしまい、署名を行いWDCに元の顔に戻せという活動も行なう騒ぎとなった。
とは言え、ディズニーが掲げていた『ディズニーランドは永遠に完成しないテーマパーク』である事を考えると、顔の変更は仕方がないと考えよう。現にドナルドやデイジー、グーフィー達もオープン当初はまったく違う顔だったので、受け入れるかどうかは時間や個人の好みによるかもしれない。
顔の変化というのは受け入れしづらいことではあるが、ミッキーやミニーに対して偽物扱いする事は避けてほしい。彼らはエンターティナーとして活動しているので、純粋にTDRを楽しんでいただきたいと願っている。(参照)