1990年にブルーリボンRU19/60/63観光系をモデルチェンジして販売開始。2000年にセレガRとしてマイナーチェンジを行い、2005年にはいすゞ自動車のガーラの統合モデルとして車名も新たにサブネームのない「セレガ」にフルモデルチェンジした。いすゞとの統合車種はセレガーラとも呼ばれる。
初代セレガ
U-RU1H/1F/2F/3F系
1990年7月登場。従来のブルーリボンRU60/63B系の後継モデルとして登場し、従来モデルに比べてフラッシュサーフェス化と柔らかな前面造形を与えられた車体が架装されている。車体こそ大きく異なるが、構造面ではブルーリボンRU60/63B系と共通の部分が多い。車種名は「Sexy & ELEGAnt」というデザインの方針が由来。
車種構成は以下の通り
セレガFシリーズ
他社で言うハイデッカー車に相当するもの
- FM・高床III(ミドルデッカ)
一番車高が低いもの。車内にタイヤハウスが張り出しているなど、観光・高速仕様というよりは送迎バス向けの仕様。
- FS・高床II(スーパーミドルデッカ)
FMよりも車高を少し高くし、床面も嵩上げしてタイヤハウスの張り出しを無くしている。ハイデッカーの廉価版。
- FD・高床I(フルデッカ)
スーパーミドルデッカーよりも車高が高く、一般的なハイデッカー車。
- FC(9m車)
FSをベースに車体長を9mに縮めたもの。
セレガGシリーズ
他社で言うスーパーハイデッカーに相当するもの。車高は何れも3630mm
- GD・超高床
前面一枚ガラスのスーパーハイデッカー車。
- GJ・超高床
前面二枚ガラスのスーパーハイデッカー車。
- GT
床が傾斜しているシアターシートを装備したスーパーハイデッカー車。
エンジンは、平成元年排出ガス規制に適合した、F17D型(310ps)、F17E(340ps)、F20C(370ps)の3種類が設定。トランスミッションは6速MTでロッド式パワーシフト(棒ギア)とFFシフト(フィンガーシフト)が設定されている。
1994年にマイナーチェンジが行われ、車体長12m車は定員増加に対応するため軸重配分の見直しとそれに伴うホイールベースの短縮とフロントオーバーハングの延長、フルトラスフレームの採用など車体構造に大きく手を加えている。
KC-RU1J/3F/4F系
1995年からは平成6年排気ガス規に適合し、マイナーチェンジを実施。標準出力エンジンは従来高出力エンジンだったF20C型をデチューンして燃料噴射量を絞り出力を400psから355psに落とすことで排ガス規制に適合。高出力エンジンは当時の国産バス最強の430psを発揮する新型のF21C型を搭載している。
車体は後部エンジンリッドの形状変更、後部尾灯間のリアガーニッシュの色が赤からシルバーに変更されるなど目立つものは少ない。運転席のインパネが乗用車に近いレイアウトに変更されている。
セレガR
2000年発売。初代セレガシリーズのマイナーチェンジ車種で、愛称は「セレガール」。平成11年排出ガス規制と中期安全ブレーキ規制に適合。ボディ強度の向上やホイールパーク式駐車ブレーキ、集中故障診断システムの採用など初代セレガに比べてより信頼性を高めている。
基本的なスタイリングは初代セレガと変わらないが、ヘッドライト周りのデザインが変わり、前面の印象がより精悍なものへと変化している。また、コンビネーションランプの形状も変更された。
ミッションは6速MTのみの設定だが、全車フィンガーシフトを標準化し、ロッドシフトはオプションに落とされた。
形式はKL-RU4FSEA。車高はGシリーズ並びにFDに関してはマイナーチェンジ前と変わらないが、FSは3120mmとU-車一代限りで廃止となったFMよりも低い数字となっている。
メーカー標準で従業員送迎、観光、空港連絡、空港路線仕様を用意し、更にリフト付観光車も追加設定され幅広いニーズに応えた。
セレガHIMR/セレガR HIMR/セレガRハイブリッド
ハイブリッド車。路線系のブルーリボンで設定されたディーゼル・電気式ハイブリッドのHIMRの高出力バージョンで、FS(高床II)の全長11.5m車のみに設定。
1997年に型式KC-RU2PPCRが発売された。動力アシストとエネルギー吸収に三相交流誘導モーターを用いる。エンジンは出力310馬力のP11C型を搭載する。
2003年にマイナーチェンジが行われ、前面がセレガRマスクに変更となり名称も「セレガR HIMR」に改称した。型式はHM-RU2PPER/PPFR。
2005年1月には新長期規制に対応するため、セレガR HIMRをマイナーチェンジして「セレガRハイブリッド」を発売。型式はVM-RU2PPER/PPFR。ハイブリッド機構の基本的な構成は変わらないが、バッテリーが従来の鉛蓄電池からプリウスと同じニッケル水素電池に変更されている。
主に山岳地の路線バスや観光地のシャトルバス用として導入された。
2代目セレガ
2005年8月日野といすゞの統合モデルとして平成17年排ガス規制適合に合わせたフルモデルチェンジを実施。このフルモデルチェンジによりサブネームのない「セレガ」の名称となった。製造はジェイ・バス小松事業所。
このモデルはいすゞ向けも含めて日野が一括して開発を担当している。車体のデザインはヨーロッパの観光バスのイメージに近くなった。いすゞのガーラとは細かな部分で差異がある。大きな違いはアクセントピラーの有無(※1)、社名表示または行先表示用行灯の下部にあるくぼみが2本のラインになっているのに対し、ガーラは6分割の窪みを入れるようになっている。またガーラにはLEDのオーナメントランプが未装備となる。(※2)また背面はセレガが左右一体窓で統一されているのに対し、ガーラは観光仕様では先代でも採用された2分割の小窓を継承、高速路線仕様は行先表示機を搭載する都合上、セレガと同じ左右一体窓を採用と、仕様によって異なる為、高速路線仕様での見分けは非常に困難である。
手っ取り早く見分けたければ、メーカー別に会社固有番号を付けている場合の会社固有番号、エンブレムが取り付けられている場合はメーカーエンブレムを見ればいい。
ラインナップは、先代のGDに相当する「スーパーハイデッカ(SHD)」とFDに相当する「ハイデッカ(HD)」の2種類で、先代のFSに相当する高床II系、GJに相当する低運転台タイプは廃止された。
ラインナップ内のバリエーションは、SHDが観光用(リフトなし・リフト付)とインターシティ、HD12mは観光系はスーパーハイデッカに順じ、都市間路線用はトイレ付・なしとインターシティ(長距離夜行高速バス用)が用意されている。
※1:セレガにしかアクセントピラーは存在しない。ただし一部モデルで設定がない他、事業者の好みでアクセントピラーレスを選択している場合もあるので実際ややこしい。
※2:ただし、ハイデッカの廉価仕様であるリミテッドエディションにはオーナメントランプが装備されない。
ADG-RU1E/RU8J系
2005年8月発売。エンジンはプロフィアにも搭載されるE13C型を搭載する。トランスミッションはフィンガーシフト。
2006年2月に9mタイプのハイデッカショート(HD-S)が発売。エンジンは出力270馬力のJ08E<J8-VI>型を搭載。またSHDとHDに車いす対応のリフト付き仕様と夜間都市間高速バス仕様が追加された。
PKG-RU1E系/BDG-RU8J系
2006年6月発売。変速機や外観などに於いても差異は殆どなく、識別ポイントは低排出ガス重量車と燃費基準達成車を示すステッカーのみ。
2007年1月HD-S がBDG-RU8J系となった。こちらもADG系との識別ポイントはステッカーのみ。
LKG-RU1E系/LDG-RU8J系/SDG-RU8J系
2010年7月発売。平成21年度排ガス規制に適合したほか、前モデルと同様に平成27年重量車燃費基準も達成。
衝突被害軽減ブレーキ・スキャニングクルーズII・ニューセーフティアイが全車に標準装備され、フロントにミリ波レーダー照射装置が取り付けられており、さらにSHD・HDでは後輪とルーバーの間に尿素水注入口もあるため、この点でPKG代・BDG代規制と見分けがつく。
QPG-RU1E系/QRG-RU1A系/LDG-RU8J系/SDG-RU8J系
2012年5月発売。LKG-代規制車のマイナーチェンジ車で、エンジン周りの改良のほか、横滑り防止装置の標準装備化、シート並びにシートベルトに関する保安基準に適合するなどの改良が加えられている。
QRG-RU1E系/QRG-RU1A系/LDG-RU8J系/SDG-RU8J系
2014年4月発売。この代でもエンジン周りの改良が実施され、車線逸脱警報装置、ドライバーモニターの標準装備化が行われた。
2015年4月からA09Cエンジンを搭載する車両の型式がQTG-RU1A系に改められた。
2RG-RU1E系/2TG-RU1A系/2KG-RU2A系
2017年6月発表。ポスト・ポスト新長期規制適合に合わせてマイナーチェンジ。12m車はFFシフトのままだが、9m車は中型トラックのレンジャーと同じエンジンに切り替えられ、大型トラックのプロフィア同様ダイヤルセレクター式の7速AMT(Pro Shift)に変更されている。またプリクラッシュセーフティの改良も実施され、停止車両や歩行者にも支援が効くようになった。
2018年6月にマイナーチェンジを行い、廉価版以外の12m車もAMT搭載車を設定。ギア段数はE13Cエンジン車は6速、A09Cエンジン車は7速となっている。
廉価版は従来どおりFFシフトのみ。安全面でもさらに改良され、ドライバーの異常時に乗客がボタンを一つ押すだけで自動で停止するドライバー異常時対応システム、可変式スピードリミッター、全席3点式シートベルト、客席シートベルト警告灯が設定された。
セレガハイブリッド
BJG-RU1A系
2008年5月発売。ハイブリッド車は2代目セレガ発売後もセレガR FSで生産が続けられていたが2007年に生産が中止されていた。
2008年のモデルチェンジでは、車体や足回りなどの基本的な部分はセレガHDと同一となり、サイズもハイデッカー・12mとなった。新車価格は4180万円。
エンジンは三相交流誘導電動機を併用するA09C-1M(8866cc)で、従来のハイブリッドモデルに比べてパワーアップしているが、排気量が小さいために上り勾配などではアクセルを踏み込まないと加速せず、燃費に関してはディーゼルと殆ど変わらないという。
主に定期観光バス用やツアーバスなどに導入されたが、アルピコ交通、道南バス、JR東海バスなどが都市間高速バスへ導入している。2010年に製造を終了。
LJG-RU1A系
2011年10月発売。平成21年度排出ガス規制適合車。
尿素SCR触媒とDPRを併用した日野のクリーンディーゼルシステム「AIR ROOP」を採用。インパネもディーゼル車をベースにしているが、ハイブリッド車に適したものとしている。
エンジンはA09C-1Mから変わらないが、最高出力がアップしている。
QQG-RU1A系
2012年5月発売。LJG-規制車にはなかった折戸仕様車が存在する。このモデルを最後にセレガのハイブリッド車は消滅した。